仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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ドライブはデッドヒートが登場間近。最近のライダーは中間フォームが雑誌より先に次回予告で出るケースが多いですね。


EP176.棘

 便宜上、ムーと呼ばれる大陸の上空――スレイプニル船内。

 

「英さん、束さん、クラックの形成完了しました」

「そっか……それじゃあ、百花さんは引き続き上空でオペレートをお願い。各地で中継してくれているミシェルたちと連携して作業を進めてくれ」

「それじゃ、行ってくるね」

「ええ…………ちゃんと、帰ってきてくださいよ」

「分かっているよ」

 

 思えば、ここまで来るのに長い道のりだった。最初の数年は、一人で。

 束と一緒に戦うようになったのだって、最初は予想することさえなかったし、百花さんとも険悪だったから……まあ、束とだけど。

 僕も、今こうして一緒にいることになるとは夢にも思っていなかったが。

 

「わたくしからはあまり多くを言いませんけど……いつも通り無茶するでしょうから、これだけ言っておきます。ここまで来て、諦めたりしないでくださいよ」

「当然」

「誰に言っているのかなぁ……そんなの今更言われるまでもないよ」

 

 突入用に調整したグラニに乗り込み――クラックに突っ込んでいく。

 急な加速で体に衝撃が入るがッ……

 

「――――行くぞ!!」

「うん!」

 

 すでに、変身は済ませている。

 大陸の上空――バリアのような壁に阻まれるが、それも織り込み済み。

 グラニから飛び降りるように空中に身を投げ出す。グラニは、自動的に戻っていくが……

 

「うおおおおおお!!」

「はああああああ!!」

 

【ノロシスカッシュ!】

【パンプキンエナジースパーキング!】

 

 キックの際に放たれるエネルギーを同調させて、増幅させる。

 まずはグラニでバリアまでたどり着く。その後は同時キックによってバリアを――突き破る!!

 ガラスが割れるような音と共に、あたりに光がまき散らされていく。どうやら、バリアは一度破ると再度展開できないか、展開に時間がかかるらしい。

 

「よし、突入――――ブースター点火!」

「プロテア、起動!」

 

 お互いに空中移動可能な装備を使って、着地できそうな場所を探す。

 内部事情にはあまり詳しくはなかったが……思った以上に荒廃としているようだ。

 もっと森みたいな場所かと考えていたのだが、サバンナに近い。

 砂っぽい大地に、雑草みたいな植物があちこちに生えている。大きな木があっても木の実がなっているようには見えないし……

 

「どういうことだよ、コレ……昔、写真を撮った時は森が見えていただろ!?」

「力が弱い――まって、向こうに一際大きいポイントがある。あっちに流れて――――ッ!? マルスの出していた反応と合致!」

 

 ――――ま、まさか……あいつ、エネルギーを吸収することで無理やりにでも完全復活をしようとしているのか!?

 いや、そうなるとムーを僕たちの世界に引きずりだすってのは悪手になりかねない……

 

「とにかく、止めに行くぞ!!」

「うん!」

 

 通信にノイズが入っているが――どうやら、順調に一夏たちはオーバーロードに勝っているらしいということがわかる。だとしたら、おかしい。

 仮にもオーバーロードだぞ。そいつら相手に、順調に勝っているだって? 僕は、トルーパー部隊も合わせて挑めば勝てると踏んでいたのに――一対一で勝っているみたいだ。

 

「クソッ――戦力の分散と時間稼ぎ。やられた!」

「ど、どうしたの?」

「アイツら、初めからマルスの持つ力を完全復活させるためだけに動いているんだよ! オーバーロードすらも捨て駒にしてな!」

「なっ!? そ、それじゃあ……」

「ああ。僕らにも、妨害のためだけの力を注ぎ込んでくるよ……倒すためじゃなくて、最初から時間稼ぎを目的とした奴らがな……」

 

 コツコツと、足音を響かせて現れたのは……元、僕らの担任だった人と、クラスメイトだった人。工藤烏龍と田中太郎。久々に会ったけど……昔の雰囲気はまるでない。

 こちらが、本当の彼らと言うことなのか……

 

「……まさか、ここでお前らが来るなんてな」

「君たちは危険なのよねぇ……今ここで引導を渡してあげるわ」

「生憎だが、ここでゲーム―バーだ。おとなしく消えてもらうよ」

「冗談言わないでよ――だまされた落とし前、ここでつけてやるよ」

 

 言葉はそこで終わり、彼らがドライバーにセットしたロックシードを使用したことで戦いは始まった。ただ、工藤烏龍の方が見たこともないロックシードをセットしているのが気になるが……

 

【ローズヒップアームズ! ブラッドオブスカーレット!】

【ザクロアームズ! 血飛沫フィーバータイム!】

 

 田中の使ったザクロアームズは見たことがある。昔、猛が使用していた物だ……強化型ロックシードのため、いくら警戒は必要。

 それに対して、ローズヒップアームズは未知数。この場合は……

 

「束! 田中の方を頼む。そっちはナックルと斧の二つの武器だが、完全近接型。油断しなければいける!」

「わかっているよ! 束さんだって覚えているッ!」

 

 分断――することは叶わなかった。

 

「うそ!?」

「言っただろ。ここで、ゲームオーバーだってなぁ!!」

 

 まるで――ロックシードが田中の気迫に応えているかのようだ。

 だけど考えている暇は無い。僕の方にも、レイピアのような武器を持って突進してくる工藤がいる。

 

「クソッ! 見た目以上に重すぎるだろ!!」

「あらあら。そっちは重武装の割には軽いわねぇ……もっと本気でいらっしゃいよ!」

「うるさいよ、オカマ野郎!!」

 

 弾くように両手で敵を押す――しかし、紙一重でかわされてしまう。

 コイツ、以前よりずっと強い……しかもロックシードがSランク相当だぞ…………

 これは本気で行かないといけないか……ハーモニクスカノンを無双セイバーと連結させる。遠距離から狙うべきかとも思ったが……コイツ相手に安全地帯からの攻撃なんて意味がない。

 

「本気で、ヤバい相手みたいだからな……」

「あらあら、うれしいこと言ってくれるじゃない」

「正直なところ……外で戦っているオーバーロードよりも強いだろ」

「うふっ。ご明察――外に行っている奴らは、捨て駒。オーバーロードになることはできた。でも、アイツらは失敗作よ……自尊心だけで保っているような奴らじゃねぇ……ジャッカルはいい線いっていたんだけど、黒に呑まれちゃったし」

 

 黒? いくつか多い当たる節はあるが……

 

「あんまり気にしなくていいわよ。自分の力に呑まれちゃったってだけの話だから――それじゃあ、闘争を、始めましょう。一緒にダンスはいかが?」

「悪いけど、オカマとダンスを踊る趣味は無いから」

「そうだよ。英と踊るのは束さんだけで十分。英、思ったよりも厄介だから……」

「ああ、わかってる。久々に――コンビプレイといきますか!」

 

 それに合わせるかのように、奴らも二人並び立って構える。

 

「それなら、こっちは師弟コンビでいかせてもらうよ」

「あらぁ、久々ねぇ……今度は足を引っ張らないでちょうだいよ」

「愚問ですよ――もう、迷わない」

「んふふふ、いいわよぉ……いくわよ!」

「ゼリャアア!!」

 

 突き出される武器――それを僕たちは、二人の武器を交差させていなす。

 二人、手をつないで体をグルグルと回転させて――上に巻き上げる。

 

「なっ!?」

「言ったでしょ――英と踊るのは束さんだけで十分だってさ!」

「まあ、そういうわけで――今更言葉の合図はいらないってね!」

 

 それでも、相手は強い。空中で回転をつけて体勢をすぐに立て直しやがった。

 

「なら、師匠! 合わせます!」

「ええ――ついてきなさい!!」

 

 ぐんっ――と加速した工藤は、僕に肉薄する。マズイとは思いつつ、懐――いや、鎧の隙間に攻撃が入る。

 

「――ッ!?」

「綺麗に、剥いてあげるわね!!」

「させないッ――――て、テメェ!?」

「悪いけど師匠の邪魔はさせないよ。安心して、彼を倒したら次は君の番だからさ」

 

 た、束――止めようにも、鎧の隙間を縫うようにして攻撃が入ってくる。

 相手の攻撃を弾いて、時には反撃しようとするが――その度に入れ替わるように田中が攻撃を防いでしまう。

 

「もう負けないよ。こっちだって、いい加減負けるわけにはいかないんだ!」

「だからって――お前らがやろうとしていることを見逃せるわけないだろうがッ!!」

 

 身近にいた人だけでも、花村さんは死んで、フロンは家族を失った。

 他にも、大勢の人がこいつらのせいで泣いているんだ……

 

「それだけの理由で――――僕たちに、勝てると思っているんじゃねぇぇえええ!!」

 

【――スパーキング!!】

 

 鎧が弾ける――普通なら、防御力が落ちただけだと思うだろう。だが、僕の体――いや、ライドウェアが光り輝いている。ノロシアームズに備えられていた僕も気が付いていなかった力。

 それが、Sランク相当の力さえも凌駕している。

 

「うおおおおお!!」

「なんで――なんでこんなに力が上がっているんだよ!?」

「束さんたちは、今まで自分たちのためだけに戦っていたわけじゃない! あの時の思いなんて、もう繰り返すわけにはいかないんだよ! 花梨ちゃんみたいに、犠牲になる子なんてもう、たくさんなんだ!!」

 

 束も同じように、光り輝いていく。

 鎧が弾けるわけではないが――ざわつくように、マントの形状が変化していく。鎧のようであり、翼のようでもあり――不可思議な見た目だが、不思議と頼もしい。

 それが、二人を拘束した。

 

「なん――なんなのよこれは!?」

「知らない……こんなの知らないぞ!」

「僕たちだって知らないさ……ただ、人の思いを舐めるなよ。お前らが、自分の思いで強くなるっていうのなら――僕たちは、自分の思いと、背負ってきた想いで強くなる!!」

 

 取り出したのは――銀色に輝くロックシード。それを、ノロシロックシードと取り換える。

 実のところ、こいつの力を完全に理解しているわけではないが……今、この状況で一番頼れるのはこいつだ。

 

【シルバーアームズ! 白銀ニューステージ!】

 

 グルグルと、杖を回転させていく。それに合わせるように先端に銀色の光が灯る。

 いや、光と言うには荒々しい。まるで、炎。

 

「――――覚悟はいいか、三流ども」

「ふざけないで! こっちにだって、目的がある! 夢がある! かなえたい願いがある!! お前らに、邪魔されてたまるかってのよ!!」

「そうだ――犠牲を強いているのもわかっているさ、自分勝手なことだってのも理解している!! それでも、お前なんかが踏みあらしていいことじゃない!!」

 

 そうか……言いたいことは、それだけか。

 

「だったら――――眼前に、お前らが家族を奪った子供たちを連れて来てやるよ。5年の間に、何人の子供たちを保護したと思っているんだ……」

「な、なによ、この……怒気」

「データにないぞ……蜂矢英は、人に向けてそこまでの攻撃をしないハズだろ――ッ」

 

 彼らの言うように――僕は今まで、人に向けて本気の一撃を叩き込んだことはない。インベスとなって、介錯するしかなかった場合を除けばだが……

 それでも、彼らのように人間をこのような一撃で攻撃したことはない。この、一軒家ぐらいの大きさがある炎みたいな攻撃で。

 

「あーあ。英がぶちぎれた……束さんも滅多に見たことないから、言えることは少ないけどね。一言だけ言ってやるよ――その保護した子供たちには、今じゃうちの大事な娘たちもいるんだよ。そりゃ、怒って当然」

「まあ、死にはしないだろうから――――悔い改めろ。外道ども」

 

 直後に、炎の嵐が二人を襲った。

 鎧は無理やりはがされ、体を侵略していかれる中で二人が何を思ったのか知らないが……もうこれで悪さはできないと信じたいものだ。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「ふぅ、終わった終わった」

「お疲れ様、って言いたいけど……こいつら、どうする?」

「そのままにしてくのもなぁ……」

 

 まあ、なんとなくわかっていたがあの炎は、ヘルヘイムの力を打ち消すためのもの。人体にはそこまで大きなダメージを与えないらしい。

 二人とも生きてはいる……精神まで無事だという保証はしないが。

 

「とりあえず、ゴーレム君に運ばせるね。なん機かロックビークルみたいに最小化して持ってきているから」

「用意が良いことで……それじゃあ、さっさと行こう…………時間がないみたいだからな」

「うん。敵さんも、お出ましだし」

 

 遠くの方を見ると、出るわ出るわ……インベスの大群が。

 いっそ清々しいほどに物量戦法で攻めてきたよな……この分だと、オーバーロードもいるのかもしれないが……

 

「どうする、お姫様?」

「キザなセリフ似合わないよ。まあ、突っ切るしかないよね」

「そうだな……」

 

 取り出したのは、ヤエザクラタイフーン。

 元々がサクラハリケーンのため、こいつも機動力はかなりの物である。

 

「それじゃあ、束は後ろに乗って」

「あいあいさー!」

「飛ばしていくぞ!」

 

【ジンバァア! エナジィイ!! ヒカエオロー!!】

 

 僕のサクラハリケーンに搭載されていたアームズによって性能が変わる機能も健在。

 そのため、一番相性のいい組み合わせが、このアームズ。

 

「しっかり、掴まっていろよ! 突っ切るから!!」

「わかった!!」

 

 一気に加速して、大群の中をかき分けるように突き進む。タイムリミットは、あとわずか。

 




なんか久々のジンバーエナジー。
最初、自分で決めた音声ど忘れしてました(笑)

いよいよ最終決戦染みてきたけど――まだ最終フォームも出していない事実。
それに、前篇。
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