あと、裏話更新しました。
一言で片づけるのなら、この状況はこの言葉が一番あてはまるだろう。
――キリがないッ!
「なんでこう、物量で押してくるかなぁ!!」
「ザコだけどオーバーロードも混じっているね……」
まだ、それなりに距離があるけど……炎が噴き出しているポイントが見える。
きっと、あそこにマルスがいる。そして、今にも完全な力をもって復活しようとしているのだろう。
「クソッ――飛ばすぞ束! ザコにかまっている暇は無い!!」
ヤエザクラタイフーンをフルスロットルに。
周りの敵はふきとばすか、束が杖ではじいている。
加速するごとにあたりの景色が歪んで見え始めてきたが――今は気にしている暇は無い。体への負担も度外視して、目的の場所へと向かう。
足場が悪く、何度も点灯しそうになるものの、目的の場所は近い。
遠目に見えてきたその場所は、城と言うのが正しいだろう……炎に包まれていなければ。
「凄い……あれ、マルスの炎?」
「ああ。見ているだけでヤバいな……まだ制御しきれていないってことなのか……チャンスは、今しかない!」
空を見上げると、点滅するかのような光景が広がっていた。
おそらくは一夏たちの作戦が成功したことにより、ムーが地球に引っ張られている。もしかしたら、マルスが力を制御できていないのは、そのあたりも関係しているのかもしれない。
しかし、僕らが城に突入することはなかった。
「残念だけど……ここは通さないよ」
「――おっと、これはまた……厄介なのが現れたな。たしか、シャーベットだっけか?」
亡国機業の一員で、昔彼女が人間だった時にやりあったこともある。
まあ、千冬と戦っていたんだけど……この感覚、油断するどころか…………
「束、わかってるよな」
「うん。コイツ、間違いなく――亡国の中でも、トップクラスだよ」
「ふふ、うれしいわ……あなたたちのような実力者と戦えるなんてね」
しかも多くのオーバーロードに見られる精神的な弱さがみじんも感じられない。
ただそこに立っているだけと言うのに、隙なんてものもないし……こりゃ、時間がかかるどころか怪我の一つや二つは覚悟しないとマズいかも。
「理性があるのなら、一応聞くけど……通してくれたりは?」
「しないよ。私も、ここを死守しろって言われているから。それに、二人とは一度本気で戦ってみたかったんだ……バカどものおもりもいい加減、辛かったし」
「それはまた、ご愁傷様……だけど、向かってくるっていうのなら、容赦はしない」
「ああそれでいい。むしろ、情けをかけるなんて言い出したのなら――――氷漬けだけじゃ済まさない!!」
あたりが一瞬で――何とか回避できたのは、スパーキングを発動させたからか。束は、スカッシュによりマントを防御のために展開して巨大なかぼちゃみたいになっているけど……
だけど、一瞬であたりを氷漬けにするなんて……オーバーロードでもかなり高いレベル…………スコールとかいう奴や、猛と同格。いや、精神面も踏まえると、それ以上か?
すでにオーバーロード体に変身しているし、戦闘準備は完了ってか。
「頭が冴えていて、実力も高いとか厳しすぎるだろ!」
「どうした! 動きが止まっていては死ぬだけだぞ!」
首筋――ッ!? この女、的確に殺しに来ている!?
動きを阻害しないように防御が薄い場所を狙っているあたり、今までの中でも間違いなく一番厄介な敵だぞ。
「英!」
束のアシスト。氷には炎と言うわけなのか、後ろから火球が飛んでくる。しっかりと、敵にのみ当たるように。だが、この女にはそんなもの意味がなかったのだ。
炎がぶつかっても平然としていて――それどころか、小さな結晶になるように、炎が消されていってしまう。炎自体が凍らされるように。
「ありえないだろ……炎を凍らせるとか!?」
「それが、私の能力だ――お前たちも、凍結させてやろう」
「――束、後ろから援護!」
「うん!!」
束は後ろに下がって、援護に集中してもらう。ノロシアームズに取り換えた方が良いかとも思ったが……コイツ相手にそれはできない。
動きの遅いノロシアームズでは、攻撃をかわすことができない。それに、いくらノロシアームズでもこいつの氷を突破するのは困難だ。
「だったら、スピードで勝負するしかないだろ!!」
「ジンバーエナジーか。確かに強力な力だが……私相手に、通じると思うなよ!!」
氷の嵐が、吹き荒れる。
かわそうと動くものの――いや、かわすなんて無駄だったのだ。避ける先が無い。
全方位攻撃。馬鹿らしくなるほどの、圧倒的な力。
「――――ッ」
「人の身で、私に勝てると思うなよ。人の身を捨てる覚悟に、勝てると思うなよ人間」
その言葉は、他の奴らとは違う。自分が何をしているのか理解したうえで、人であることを捨てた存在。
「私の全てを持って――お前たちをここで亡ぼす!! 私の矜持にかけて!!」
――遠くで、束の声が聞こえた……体が凍る。マズイな……なんか、考えがうまくまとまらなくなってきた……
「私の力は凍結。それは、物理的なことだけではない。お前の意識さえも、凍結させてやろう……次は、お前だ篠ノ之束」
「英! しっかりして、英!!」
…………なんだろう、体を動かしたいのに、動くってことを考えることができなくなって――――考えが――まとまらない――意識が、遠くなって……
「英さん!!」
空から、大きな光が見えたのは偶然だった。
一筋の光が、僕の体を切り裂いて――氷から弾き飛ばす。
「グッ!?」
「やべ、やり過ぎた!?」
「勢いあり過ぎなのよ!! それよりも、先にアイツを止めるわよ!!」
「わ、わかった!!」
いや、幸いにして衝撃を殺せなかっただけみたいだから、ダメージはないが……この声、まさか…………
「一夏!?」
「詳しい話は後にします! まずは、アイツを!!」
みると、すでに白式とドライバーの同時使用を行っている。そうか、零落白夜で氷を切り裂いたのか。
可能だとは思うけど、無茶なことをしてくれて……
「っていうか、なんでここに」
「いっくん! そいつは、いっくんの力じゃ――」
だけど、一夏はやって見せた。隣に立っている鈴ちゃんと共に。
瞬時加速を織り込んだ高速戦闘。鈴ちゃんがブツブツと何か言っているが、どうやら敵の攻撃をサーモグラフィのような機能か何かで予測して、それを一夏に伝えているらしい。
それをしっかりと受け取った一夏は――シャーベットの攻撃をかわして、的確にその光の刃を叩き込んでいる。
「クソッ! こんなガキどもに不覚を取るとは……」
「油断大敵! 実力差なんて、関係ない!! 俺たちだって、明日を生きたいんだ!!」
「その覚悟を、あたしたちの日常を守りたいっていう覚悟を、舐めないでよ!!」
二人の体から粒子があふれるように、ロックシードがその思いに応える。
二人は飛び上がり、同時に蹴りこむ。
「「いっけぇええええええ!!」」
「――――ッ!」
決まった――しかし、奴は予想以上の力を持っていた。
右足を踏み込んだと思ったら――そこから、氷柱が飛び出してあたりを包み込む。
「なんだよこれ!?」
「さ、寒い!?」
白い霧まであたりに散らばり――彼女は、いなくなっていた。
気が付くと、残っていたのは僕ら四人だけ。
「逃げた?」
「みたいだね……一安心、ってところかな」
「いやぁ、良かった良かった」
「そうね」
「……助かったけど、なんでここに来ているんだよ君たちは」
「「……す、すいません」」
あのままじゃ僕も危なかったのは事実だけどね。
だからと言って、この場に連れてくるつもりはなかったんだよ……決着は、僕たちだけでつけたかったから。
「でも英さん――俺たちだって、もう守られているだけじゃないんですよ」
「あたしたちも、自分の明日を守りたい――友達を助けたい。だから、逃げません」
「……ハァ、そうだよな…………僕だって、そんな風に無茶してきたんだから、人のこと言えないよな」
「英、大人になるって……大事なこと忘れちゃうよね」
「だな」
今更、僕たちだけが決着をつけるところを見ていろなんて都合が良すぎるか。
こういう風に、前につき進めるのは若者だからこそか。
「まだそんな年じゃないんだけどなぁ……怪我しちゃったせいかな」
「だねぇ……まあ、しゃべってるヒマはないし、行こうか」
もう城は目と鼻の先。
まだ厄介なのが、たくさん残っているし……出るわ出るわ、仲間を呼びに行ったのか、シャーベットがまた来ている。それに、その後ろにいるのは――猛。箒ちゃんまで……後は、スコールだっけか? それに、あの少女は……
「千冬姉?」
「また会ったな。織斑一夏――ああ、殺したいと思っていた。改めて名乗らせてもらう。織斑、マドカだ」
……束の方を見ると、少しの驚愕と何かに納得した顔。たぶん、なんか知っているんだな。だけど、今は聞いている暇がないか……
向こうは5人なのに対して、こっちは4人とか……
「ハハハ、姉さん。久しぶりですね」
「箒ちゃん……なんでこんなことに…………お父さんも、お母さんもこんな箒ちゃんを見たら悲しむよ!」
「うるさい!! 家族を、家族を引き離したあなたが……まあいい。あなたよりも、私はその男が許せない!!」
――僕?
「なんで姉さんにはあなたみたいな人がいるんだ。なんで姉さんばかりが恵まれて、私はこんなにも一人なんだ……転々としなくてはいけなかったのは、あなたが保護プログラムなんてものを用意したせいだ!!」
「そ、それは……」
「違う! アレは、箒ちゃんたちの身を守るためにも必要だったの! 私たちは、他の人よりもヘルヘイムの――――」
そこで、黒い波動が僕たちを襲った。
慟哭がそのまま力になったような、そんな衝撃が。
「――知ってますよ。私が、私たちが太古のオーバーロードの子孫だということは」
「なら、なんで……」
「だって許せないじゃないですか――私が手に入れるハズだった幸せを奪ったそいつを」
なんていうか、こういうのは慣れていないよな……悲しみと殺意を向けられるってのは。正直、ここまで辛いなんて……
「だからって、他人の幸せを奪うようなことしちゃダメだろ……やっぱ、あの暴走の時のことをもっと突き詰めておくべきだった。この力……限定的だけど、オーバーロードのものだぞ」
「あなたも、同じなくせに」
――――亡国機業の狙いは、箒ちゃんそのものだったのか……
一夏や鈴ちゃんも言葉が出ていない……この状況、無理もないけど……
「あら? 私も忘れてもらっては困るわよ――織斑一夏、凰鈴音。オータムの仇は取るわ。あなたたちが殺した私の可愛いオータムのね」
「先ほどは無様に引き下がったが――今度は容赦しない。まあ、こいつらの方が腸が煮えくり返っているだろうからな。私は、後ろに下がっていよう」
「つーわけだ。生きて帰れると思うなよ……蜂矢英。今度こそ、殺す」
「なんていうか……ここが総力戦って感じなのかねぇ…………」
幻覚能力を持っている奴を見かけないけど――あたりにいるのか、それとももう倒されたのか……別働隊なのか。気になることはいくつかあるが……
「仕方がないよな! ここは――」
ガキンッと、金属音があたりに響く。
地面の下から、何かが飛び出してきたのだ。
「なん!?」
「あら、ミランダまで出てくるなんて珍しいわね」
『わっちも参加させてくりゃんせ。なにせ、こいつのお披露目もまだだったからの』
下から飛び出してきたのは――巨大な龍。いや、龍の姿をしたインベス。
その頭部に――クリスタルのような者が飛び出しており、その中に女性の姿が見える。
『弩級インベスを操る、この装置。どこまでやれるか試して見せようぞ!!』
「ってことで、こっちは6人だ。さあ、どうするよ」
マズイな……戦力でも、力そのものでも厳しいぞ――――だけど、援軍は、敵側だけではない。
「ならば、こちらも――――!」
「6人だ!!」
空から降ってきたのは、青色と黒色の光。
バチバチと放電するかのような音が聞こえたと思ったら――閃光と爆音があたりにまき散らされた。
「何っ!?」
「こ、これは――――まさか!?」
「そのまさかですわ! わたくしたちも、参戦させてもらいますわよ、この不良娘!」
「セシリアッ!? それに、ラウラもか!?」
そう――そこにいたのは、オルコットさんとラウラの二人。
空から降りてきたからISに身を包んでいるが――すぐにライダーの姿へと変身する。
なんていうか、懐かしい気分だ……あの、修学旅行の時を思い出す。
「背中を押されて、隣りに立たれて――ホント、懐かしいよね」
「ああ……本当にそうだ。でも、まだまだ追い抜かれるわけにはいかないだろ」
「だね――グレた妹もいることだし、束さんも久々に無茶やっちゃうよ」
「じゃあ――こっちも行かせてもらおう!!」
【ノロシアームズ! 反撃開始! アンコール! アンコール!!】
敵も味方も集結。一部の人は来ていませんが。
スーパーヒーロー対戦GPも公開が迫っていますが……見に行ける暇があるのかどうか。
戦隊の方も時間が無くて見に行けていませんし。
バトスピ? 無理やりにでも時間を捻出したよ。