仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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ようやく一区切りついたかなぁ……


EP18.つかの間の平和

 あの黄金の騎士の分身体みたいなのを倒してから、数か月が過ぎた。その間、ちょくちょく初級インベスや少し強めのインベスが現れる以外は、それほど大きな事件もなかった。大型もイノシシ以外は出現しなかったし、世界中でもインベスの騒ぎは薄まっている。初級なら対処できるし、上級も集団で現れないからか何とか対処できているらしい。どうやら各国も対インベス用の部隊や装備を準備しているとか。

 フレッシュパインについては謎のまま。家に帰った後は普通のパインロックシードに戻っていたのでデータを十分に取れなかった。一応、ドライバーのログを調べたりもしたのだが、なんだかよくわからないデータしか出てこなかった。それに、もう一度作ろうとしても結局一度も成功しなかった。何か他に条件があるのだろうか……

 他の成果と言えば、スイカロックシードがようやく完全な状態で使えるようになったことだろうか。今までは、スイカ双刃刀は使えたが、本来はドライバーのデータから武装を構築したりもできるのだ。あとはジャイロモードのエネルギー効率アップや、大玉モードの時に酔わなくするための措置とか。

 ……あと、今まで忘れていたがゲネシスコアの解析も進んだ。ふと、ホオズキエナジーを見ていて思い出せたがアレは本来、エナジーロックシード専用のドライバーのコアパーツだったのだ。ただ、完成させるには時間がなく、父さんも作り切れなかったようだが……設計図もないし、どうするか悩んでいる。エナジーロックシードのデータは一つ見つかったので、自分でどこまでできるかわからないが適合する果実の選定だけはしている。

 さて、そんな日々を続けているわけだが……

 

「はっはっは! みたか束さんの実力をッ!」

 

 本日、高校の合格者発表です。まあ、僕は点は良かったし保険委員長もしていたからそれなりに評価あったから普通に合格したけどね。篠ノ之は前にけしかけたからか、トップで合格した。正直、あの文系壊滅状態がここまで来るとは感動した。思わず涙が出てきて篠ノ之にバカにするなと蹴られたが。

 ちなみに、織斑はスポーツ推薦で入った。それ言ったら篠ノ之だって他に楽に入る方法もあったし、海外で大学に行くって手もあったんだが……こいつは束縛を嫌うし、いまさら大学に行っても学ぶことはないのだ。だったら友人と一緒にいる方がこいつにとっては有益なんだろう。あとは、僕に煽られたから引くに引けなくなって受験したというのもある。

 

「まあ、無事合格できたのだから良しとしよう。蜂矢、これから篠ノ之道場で合格パーティーをするんだが、お前もどうだ?」

「むしろすぐにパーティーできる準備をしてあるのにツッコミたい。というか、落ちていたらどうすんだよ」

「束もお前も落ちるわけないだろ。知っているか? お前二位で合格なんだぞ」

「……ふぁっ!?」

 

 え、マジで?

 

「しかも面接や、中学校の素行から……そういった点を加味すると束より上の評価に……」

「やっぱりお前は敵だ!」

「なんでいきなり敵認定されるんだよ僕」

「というかこいつ猫かぶっているだけだよちーちゃん! 本当は腹の中どす黒いんだよ!」

「安心しろ。自覚はあるから」

「……そこまで堂々と言うのか…………まあいい。で、来るのか?」

「んー、ヒマだしいくよ」

「ええぇ……」

「……ああ、箒ちゃんが誰かに料理作りたいって言ってたからレシピ伝授しようと思ったのになぁ……残念だなぁ」

「なにしてるの? さあ早く行こう!」

 

 ……やっぱ根っこは単純だな。

 

「……本当に腹黒いなお前」

「言っただろ。自覚はある」

「というかあれだけでわかるものなのか?」

「……今のを一夏君に置き換えたら?」

「…………スマン」

 

 シスコンとブラコンの考えなどお見通しのだよ。ああ言えば、必ず自分に作ってくれるものと思うのだ。まぁ、実際に姉に作ろうとしているっぽいからいいではないか。

 ちなみに、箒ちゃんとはインベスがあまり出てこなくなってきたので、戦闘勘が鈍らないようにちょくちょく篠ノ之道場に足を運んだ際に仲良くなった。最初は篠ノ之がドロップキックを仕掛けてきたが、箒ちゃんが泣きそうになったのを見てやめた。その後、料理を教えてあげたら姉である篠ノ之にあげたらしく、なんだか篠ノ之の僕に対する対応が柔らかくなったのだが……正直、アイツが笑顔を向けてきたときは放心してしまった。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 ご機嫌な篠ノ之と、いつも通りの織斑と一緒に篠ノ之道場までやってきていた。ここには何人か門下生もいるが、僕はそこそこ仲のいい関係を築けている。まあ、僕の場合我流だが、向こうも学べることは多いと言ってくれて少し稽古をつけてもらえる。基本は実戦形式の打ち合いのみの参加なのだが、インベスとの戦闘で上がったスキルは対人戦でも十分に通用している……黄金の騎士を倒すことを目標とするなら、対人戦の経験も必要になることを痛感したのだ。スキルが上がっても、勝てないことも多い。僕の一番の長所は攻撃バリエーションの多さなのだが、切り替えの時に隙が大きいし、一つを極めたタイプの人間相手ではうまく戦えない。

 これは時間をかけて各アームズの武器に合わせたスキルを上げなくてはいけないのだか、先は長いなぁ……

 

「それでは、三人とも合格おめでとう。それじゃあ今日は堅苦しいのは抜きにして食べていってくれ」

 

 柳韻さんのあいさつもすぐに終わり、各々が騒ぎ出す。なんだかんだでみんな騒ぐ口実が欲しいだけなんだろうなぁ……と、そこで柳韻さんがこちらへ近づいてきた。

 なんだろう……なんだか嫌な予感もするんだが?

 

「……それで、跡を継ぐ気にはなったか息子よ」

「ブファッ!?」

 

 いきなり何を言い出すんだろうか、この人は? 前に打ち合ったときからこの調子で、なんだか変な発言を繰り返すようになってしまった。前はもっと厳格で、真面目な人だったのに……

 

「いやいやいやいや、いきなり何を言い出すんですか!? と言うか箒ちゃんだっているんだから、何もわざわざ僕にそんなことを言わなくてもいいでしょう!? というか養子にはなりませんって」

「いや、そういう意味ではなくてだな」

「とにかく、僕も普段は忙しいんですって……父さんから引き継いだことも多いですし」

「本当に……こういうのには鈍感だな君は」

 

 なんなんだろう? 千冬もいるしなぁなんて言っているけど、織斑も養子にしたいのだろうか?

 とりあえず、適当につまみながら隅の方で静かにしている……いまさらだけど僕も篠ノ之のこと言えないなぁ……この方が落ち着くとか。

 

「まったく寂しいやつだねぇ」

「で、お前は突っかかってくるわけなんだよなぁ……」

 

 なんだかんだで篠ノ之と普通に会話できる程度まで仲良くなるとは思わなかった。いや、仲が良いというわけではないのだが、最初の印象と比べたらずいぶんと進歩したものである。

 というかいつの間にか隣に座っていて、なんかビックリなのだが。織斑か箒ちゃんのところに行かないのか?

 

「一応、箒ちゃんにはレシピと簡単な調理法のメモとかあげたけど……あと、趣味で作った安全包丁とまな板のセットもついでに」

「なんだか、変な方向に器用だよね君」

「色々煮詰まった時に趣味で作っているだけだよ」

「ふーん……ねぇ…………一つ、聞いていいかな?」

「なんだよ」

「…………インベスって何なの?」

「都市伝説でも調べれば?」

「……そう」

 

 それだけ言うと、篠ノ之は立ち上がって箒ちゃんの方へ行った。

 ……アイツはあれで勘も鋭いし、独自の情報網も持っている…………あえてお互いに何も言わないが、もしかしたら僕の正体とか色々と気づいているのかもしれない。まあ、向こうが確信を持って聞いてこない限り僕もごまかすしかないんだが……たとえ稀代の天才でもインベス相手では危なすぎる。なるべく、近づいてほしくはないんだが……

 

「なーなー、蜂矢のにーちゃん」

「どうしたんだ一夏君、またレシピ教えてほしいのか?」

「今日は違うぞ。どうしたらにーちゃんみたいに強くなれるか知りたいんだ」

「いや、別に僕は強いってわけじゃ……」

「でも千冬姉にも勝ったことあるんだろ?」

「アレは初見殺しの技を使ったからなんだけどなぁ……普通に剣道で戦ったら負けるぞ? というかなんで一夏君は僕に聞いたんだ? 織斑に聞いた方が良いと思うんだけど」

「だって、そうしたら千冬姉より強くなれないじゃん」

 

 男の子だからだろうか、向上心の高いことで……一夏は才能もあるし、地道に努力すれば織斑よりも強くなれると思うが……

 

「小さいうちは練習するしかないよ。無理に強くなろうとすると怪我して一生強くなれなくなるけど、それでもいいのか?」

「うー……わかったよ」

「ほれ、向こう行ってこい。姉さんがこっち見てるぞ」

 

 さっきからジトーっとした目で見ていてちょっと怖いんだけど……

 一夏君が行ってくれたおかげで、一安心かと思いきや……次が来た。

 

「えっと、お兄ちゃんはケーキって作れる?」

「まあ作れるけど……箒ちゃん、その呼び方はなんなの? あとしゃべり方も織斑っぽくなかった?」

「なんだか、お父さんがこう呼べって……しゃべり方も」

 

 柳韻さん、本当なに考えているんですか?

 

「お母さんも練習に手伝ってくれたの!」

「うん、なんで一家そろって僕を養子にしたがるんだろう? ホント何考えてんのかわからなくなってきた」

「?」

「いや、箒ちゃんには関係ないから」

 

 そういえば、なんでちゃん付けするようになったんだっけ? 篠ノ之がうるさいから普通に妹さんとか呼んでいたような……ああそうだ、妹さんだと涙目になったから篠ノ之が嫌々許可したんだっけ。

 結局、アイツもシスコンだよなぁ……

 

「まあ、最初はパウンドケーキとかにしておきな。今度一夏の家で教えるときに一緒に教えてあげるから」

「うん!」

 

 たぶん、次の篠ノ之の誕生日か何かには自分でケーキを作ってあげたいんだろうなぁ……篠ノ之は両親とはあまりうまくいっていないみたいだが、妹とは中良いし。でも、最近は篠ノ之も両親と会話が多くなっているみたいだ。何か変わるきっかけでもあったんだろうか?

 その後、妹分が不足した篠ノ之がやってきた以外は大したこともなく、パーティーは終わった。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 そして、ソレからまたしばらく経って……僕はこの高校の玄関にいる。卒業式で篠ノ之が暴走しかけたり、先生が感極まって泣いたと思ったら、これで解放されるとか言い出してオチがついたり、一夏君や箒ちゃんがなぜか姉より先に僕に相談をしてくるもんだから姉ーズに襲撃されたり。他にもいろいろあった。

 最近は色々と世の中が変わり始めた。IS操縦者を育成する学校の建造計画……しばらく先になるだろうし、男の僕に関係はないんだが。それでもISを操縦することができるのは女性だけ。各国は女性優遇の傾向が出てきた……ただ、インベスに対して有効な手立てが見つからない現状では、かなり賛否両論なのだが。人相手にはISは強力な兵器である。ただし、必ずしも万能ではない以上……どうなることやら。スポーツというか、競技用になる線が濃厚だけど……今は気にしても仕方がない。

 今日から新しい日常が始まる。最近はインベスもあまり出てこないし、クラックも自然に開かない。かなり不気味な状況。ヘルヘイムの森に行っても、腕輪の反応も鈍くなっている。まるで誰かに妨害されているようだ。きっと、今までとは違った大変さが待っている……そんな予感がする。

 だけど……今はまだこのつかの間の平和を楽しもう。そうして、僕は一歩を踏み出した。

 

 ――ここから、新しい日常が始まる。そして、僕の……僕たちの戦いは次のステージへ――

 

 

 




第二部、終了かな。

今回は普段の英と周りの人々の関係性のおさらいと言うか、浮世離れした人たちにもそれぞれの日常やらがあるという話。
束さんは原作だと家族とは疎遠みたいな感じだったけど、そうなる前だってあったはず。
まあ、色々あったんでしょうね。性格というのは積み重ねで作られるものですし。
とりあえず、ここでは最初からあの性格ではないのです。と言うよりは色々影響を受けた結果かなぁ

そろそろ、設定捏造とかのタグを入れた方がいいんだろうか……クロスオーバー系ってのは設定のすり合わせをするから、そうなるのが普通だけども……
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