3号がミッチーかよとびっくりしたりもするライダー界隈ですが、今日も頑張っていきましょう。
光に呑まれたとき、左手が暖かかった。
この手に握っている感触が、何があろうとも死ぬわけにはいかないと思い起こさせてくれる。
時間が長く過ぎていくようで、僕は今まであったことを思い出していた。
まるで走馬灯。縁起でもないなとは思いつつ――まず思い出すのは最初の戦いだろうか。
【シルバーアームズ! 白銀ニューステージ!】
幼稚園児たちを助けるためだったと思う。シカインベスとの戦いだった記憶があるが、あの頃はがむしゃらに戦っていたっけ。恐怖で足が震えていたし。
すぐに次の戦いも起こった。
【イチゴアームズ! シュシュっとスパーク!】
自分の感情に突き動かされていたけど、あの時の行動が仮面ライダーと呼ばれるようになったきっかけだったんだよな。
その後は、本当に色々なことが次々に起こった。
【クルミアームズ! ミスターナックルマン!】
インベスの正体を偶然知って、改めて戦おうと思ったり、突発的なクラックからみんなを守ろうと思ったり。
【ドングリアームズ! ネバーギブアップ!】
束がISの発表をして、白騎士事件を起こしたり。
そういえばあの頃は衝突ばかりだったっけ……今みたいな関係になるなんて夢にも思っていなかった。
【パインアームズ! 粉砕デストロイ!】
そして、出会ったのが花蓮さん。父さんたちの仲間だった人。
もう生きることさえできない体だったのに、僕のために多くのものを与えて、道を示してくれた。
束も感づいているけど、僕の初恋の人。まあ、淡い思いだったし初恋と言っていいのか微妙だったが。
【ブラッドオレンジアームズ! 邪ノ道オンステージ!】
その後は一年ぐらい大きな変化もない日々が続いたが、体は鍛えていたと思う。
そしてやってきたのが修学旅行。佐々木先生にバレたあの事件。そして、初めて人だったものを殺すという経験をすることになった原因でもある事件。
【ドリアンアームズ! ミスターデンジャラス!】
あの時のIS操縦者が、回り巡って敵対することになるんだから……何が起きるのかよくわからないものだ。
正直今でも気にすることがあるが――だからと言って、僕がやることには変わりない。
【スイカアームズ! 大玉ビッグバン!】
結局のところ、マルスを止めるため――伯父を止めるために、今まで戦っていたのだ。
家族の問題と言ってしまえばそれまでだが、家族だからこそ止めなくてはいけない。
【メロンアームズ! 天下御免!】
あの時の戦いで初めて死にかけた。
そして、どこか遠い世界で父さんや母さんたちを見ることができた。
【マンゴーアームズ! ファイトオブハンマー!】
あの敗北があったからこそ、今の僕がある。
どれだけ無茶だろうと、諦めたらダメなんだ。
【ホオズキエナジーアームズ! 一刀両断!】
ボロボロになっても前に進んで――体が悲鳴を上げようとも、諦めないで。前に進み続けた。
日常でも変化があって、高校に進んだ。
いつの間にか、束と千冬と一緒にいて、猛と初めて出会った。
【バナナアームズ! ナイトオブスピアー!】
束を狙って襲ってきた、工藤と田中とも戦ったこともあったな。
その時は、すぐに撃退出来たけど、思えばあの事件が一つのきっかけだったのかもしれない。
【ブドウアームズ! 龍砲ハッハッハ!】
そして、花村が束をかばって死んだ。
あの事件があったからこそ、今の束がある。でも、あんな事件起こすべきではなかったとずっと後悔してきた。
あの時、もっと力があれば助けられたかもしれないのに。僕が弱かったから、そんな風に悩んでしまうのだ。
【キウイアームズ! 撃輪セイヤッハ!】
でも、彼女が多くのものを残してくれたからこそ今の自分たちがいる。
感謝しきれてもしきれない。あの時、世界を変える一手を決めたのは彼女何だと思う。
彼女が動かしたものが、多くの影響を残した。
【ジンバーホオズキ! ハハーッ!】
猛がドライバーを引っ提げてやってきたときは、かなり厳しい戦いだったと思う。でも、束のおかげで打開策が見つかったんだよな……本当、一人でがむしゃらにやっているだけじゃダメなんだと痛感したよ。
そのおかげで、色々なつながりが生まれた。
【ジンバーレモン! ハハーッ!】
一人じゃ無理なことも、束と一緒なら出来た。普段の生活でも千冬も入れて色々なことをやったり、一夏たちとも遊んだり。あんな日々を取り戻すために、戦っているんじゃないか。
諦めていいのか? 今までのことを無駄にしてもいいのか?
【ジンバーチェリー! ハハーッ!】
百花さんとだって、ぶつかり合っていたし、暮桜をみんなで作ったり。戦う以外にもいろいろあった。その全てが、今の僕を作り上げている大切な思い出じゃないか。
それをすべて捨てるなんてありえない。無駄にするなんてありえない。
人をやめるなんて選択肢、僕にはない。死なんて選択肢、僕にはない。
【ジンバーピーチ! ハハーッ!】
それに、全部終わったら束に指輪を渡すっていう約束もあった。
高校の時のみんなを呼んで、また騒ぎたい。
そんなことすらできなくなるなんて、嫌だ。
【ジンバーメロン! ハハーッ!】
束が隣りに並んで戦うようになったり、新しいロックシードを開発したりと、公私ともに支えられて……一番守りたくて、一番頼りにしている。そんな存在になったのはいつからだっただろうか。
【ブルーベリーアームズ! 豪快ビッグウェーブ!】
高校の修学旅行ではクラスのみんなに支えられたり。
思い出すだけでも一苦労なぐらいたくさんの思い出が詰まっている。
このロックシードだって、みんなの思いが詰まっている。
【ノロシアームズ! 反撃開始! アンコール! アンコール!!】
オーバーロードが現れて、マルスの復活が始まっていて、目まぐるしく変わる中でも卒業がやって来て、みんながそれぞれの道を歩みだした。
時折何をしているのかは聞くけど、みんな頑張っている。
信二や、ジョニーたち。スレイプニルのみんなと一緒にその後の5年は厳しい戦いが続いた。
【ジンバーマツボックリ! ハハーッ!】
宇宙から見たヘルヘイムから今地球がどのような状態なのか調べたり、今後の対策など頭を使うことが多くなって、本当に色々と考えさせられることが多かったよ。
ただがむしゃらに頑張るだけじゃダメなんだって、痛感したんだ。
【ジンバーココナッツ! ハハーッ!】
それでも強くなる亡国機業に対抗するために、新たな力を作り上げた。
まだまだ足りなかったけど、経験でカバーし続けるしかない。正直、鼬ごっこで終わりは見えなかったけど……仲間たちがいたから頑張れた。支えてくれる人がいたから、立ち止まらない。
守るべき家族がいるから、諦めない。
【ミックス! ジンバァア! エナジィイ!! ヒカエオロー!!】
怪我で倒れたまま動けない日々もあったけど、いつの間にか弟分が大きく成長していたり、守っていた者がいつの間にか隣で戦うようになっていたり。
本当、いつの間にか大人になっているわけだ……もう10年以上も経っている。
後ろを振り向くと、僕がそこにいた。何人も。その姿は様々だが……今までの時間が、そこにあった。
「そういえば、奇跡みたいなことなんて今までたくさんあったじゃないか――今更、奇跡を起こせないなんて弱音、僕らしくもないよな」
不可能だろうと、何だろうと……奇跡をつかみ取ってきたじゃないか。
真っ白な鍵だけど――必ず、奇跡を起こしてやる。他でもない、僕の手で!!
『――はじめはちっぽけな存在だったかもしれないけど』
『今じゃ、こんなにも多くの力が集まっている』
『不可能が何だ。そんなもの、勝手に決められた限界だ』
『無茶を通してきたのが、蜂矢英だ。だったら、これからもそうだろ』
「ああ――――奇跡はいつだって、この手の中にあるんだから!!」
今この瞬間の僕を除いたすべての僕が光となって、鍵へと吸い込まれていく。
力に押しつぶされそうだが――負けてたまるか、奇跡を起こしてやる。どんなに絶望的だろうと、そこに希望を生み出してこそのヒーローだろうがッ!!
「10年、舐めてんじゃねぇえええええ!!!!」
光が集束し――鍵の色が変化していく。白色から、銀を基調とした色に。花弁のように、赤色の小さな果実が8個並べられている意匠に。
そして――いつものようにロックシードを起動させる。どんな効果かは、使ってみるまでわからない代物になったが……不思議と、大丈夫だという自信があった。
【ミラクルフルーツ!】
ほらな。奇跡の名前を持っているんだから、悪いことにはならないさ。
◇◇◇◇◇
右手につかんだ暖かい感触。
最初は嫌いとさえ思っていた彼だけど――今の私には、無くてはならない大切な存在。
「束さんって、最初はとことん嫌な子だったよね……」
今の箒ちゃんに強く言えなかった理由。私も、今の箒ちゃんと同じようなことをしていたと思ってしまったからだ。だからこそ、私には箒ちゃんを叱る資格なんて無いんじゃないかと考えてしまう。
考え過ぎだ。そう思っても、箒ちゃんから多くのものを奪ってしまったのは事実で……
「死んだ方が良いんじゃないかな、なんて考えちゃうんだよ……」
もう、この瞬間には終わってしまう命。
そう思うと楽になって――――なるわけがない。
「まだやりたいことだって、たくさんあるんだよ。全部終わらせて、ちゃんとデートもしたい。クーちゃんと買い物に行きたい。フロンちゃんと料理作りたい。まだ、リリーだって小さいんだよ……ももちゃんとだって、決着をつけているわけじゃない。ちーちゃんと遊びたいよ。他にも、たくさん、たくさん…………色々なことを我慢して、頑張ってきたんだから……こんなところで、死にたくなんかないよッ!!」
そうだよ、死にたいわけがないだろ!! あきらめたくなんて、ないだろ!!
それでも状況を打開する術がないのも事実。
どうすればいいのか、何度考えても思い浮かばない。
英ならどうするのだろうか? ちーちゃんならどうするのだろうか? 他の誰かなら?
結局のところ、天才だと言っても私にもできないことなんて数えきれないだろう。
万能の天才だと自負しているが――全能ではないのだ。苦手なことが無いと言うだけで、全てを極めることができるわけでもない。
「こういう袋小路に入った時、どうすればいいのかわからなくなるんだよね……挫折なんて、嫌いだけど…………必要なことなんだよね」
こんな時、どうすればいいのかな…………
頭を抱えそうになったその時、懐かしい声が聞こえた。
『素直に人に頼る! それが一番だよ、束ちゃん』
「――――え」
ありえない。彼女がここにいるのはありえないことだ。
だけど――ああ、それでも会いたかった。
「花梨、ちゃん……」
『やっと、話せたね…………』
これは夢なのだろうか。それとも、私はもう死んでしまったのだろうか。
考えても答えは出ないが……私は思わず彼女を抱きしめていた。
「――ッ、なん、で……こんな時に出てくるのッ!! 会いたかったよ!! ずっと、ずっと……」
『ふふ、ごめんね……会わない方が良いと思った。でも、やっぱり心配だよ……人はね、悩む生き物だよ』
「それでも、ずっと考えていたよ。あの時、束さんをかばって良かったのって……生きることって、こんなに苦しいことだったのかなぁ……」
『それでいいんだよ。生きているのは確かに苦しいけど――大切なものも、たくさん見えるでしょ』
「うん……友達がね、たくさん出来たんだ」
『ちゃんと見ていたよ――いい友達がたくさん。束ちゃんが作った、束ちゃんの友達――思い浮かべてごらん、みんなが笑っているところを』
――しっかりと、思い浮かべることができた。
昔なら無理だっただろう。だけど、今の束ならばできる。
「そうだよね――この笑顔を消しちゃ、ダメだよね――当然、束さんがいなくなっても消えるんだから、死んだらダメだよ……絶対に、負けられないんだよね」
『もう、大丈夫だね――』
「それでも……今でも、花梨ちゃんは束さんの大切な友達だよ」
『ああ――それを聞けただけでも、会いに来てよかった――――最後に、プレゼントを渡すね。今まで頑張ってきた束ちゃんに、前に進むためのプレゼントを』
「ありがとう――大切な、友達」
手に持っていた、白色のロックシードが淡く色づく。綺麗な黄色のそれは不思議と、暖かかった。
感謝を伝え、そのロックシードを起動させる。
【カリン!】
彼女と同じ名前の、果実の力がここにあった。
◇◇◇◇◇
そのことに気が付いたのは、誰が最初だったのか。
光に呑まれてしまった二人が――内側から更に強い力で光を切り裂いたことに気が付いたのは。
「もう、立ち止まらない。諦めない!!」
「私たちは、多くの人に支えられてきたから……多くのものを背負ってきたから!!」
「今までの時間がここにあるから、だからお前らに――負けてたまるかよッ!!」
「絶対に、勝つんだッ!!」
最初に動いたのは、束。
淡く色づいたロックシードをドライバーにはめ、ハンドルを動かした。
ロックシードは横一文字に切断されるように、上下に開く。上部のふたに、ボタンのような機構が3つ。
【雅アームズ! 百花繚乱!! 才色兼備!!!】
月のように輝く果実が、十二単のような鎧となって束の体に装着されていく。
戦うための力でありながらも、その姿は見る者を魅了するほど。
ただそこにいるだけで、不可思議な存在感を放っている。
次は自分の番とばかりに、起動させたロックシードをノロシロックシードの鍵穴に近づけると――フェイスプレートがその形を変えて、鍵を受け入れる準備を整えた。
鍵を差し込み――回すと、一気に鎧が弾ける。
すぐに英の周囲に虹色に輝く小さな果実が8個。すべてが展開して、英の体に鎧となって装着されるた。強固でありながら、動きやすさも兼ね備えたものに。背中には、銀色のリンゴの絵が家紋のように描かれている。
【魁アームズ! 天下泰平!! フルオーケストラ!!!】
全てを越えて――今ここに、人の身で人ならざるものを越えた者たちが誕生した。
魁……さきがけ
鎧というよりは法被のようなデザイン。
詳しいモチーフは次回になりますが、今までに伏線は入れていたから気が付く人は気が付くかもしれない。
ミラクルフルーツなのは、色々と伏線入れていたんだけど……気が付いた人はいたのだろうか?
雅……みやび
モチーフはかぐや姫。
カリンロックシードは名前こそ通常と同じだが、形状はエナジーと同様。