仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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予想よりは短く終わるかもしれない。
もうどういう展開にしているのかわかってきた人もいるでしょうね……


EP187.禁断の力

 中に入ると、初級インベスや上級インベスで視界が覆いつくされるんじゃないかと思った。

 弾君やラウラともはぐれてしまったし、これは色々と厳しい状況なんじゃ……

 

「皆さんは先に進んでください」

「百花さん!?」

「ももちゃん、流石に無茶だよ……いくらジンバーアームズっていってもこの数相手じゃキツイよ」

 

 百花さんの装着しているアームズはジンバートマト。束が素で使ったときと同じようにガトリングをメインに使用することとなっているけど、彼女のドライバーは量産型を改造しただけのもの。正直、この場に残る危険性はかなり高い。

 

「……いいから行ってください。心配しなくとも、すぐに追いかけます。それに、はぐれたお二人を回収する人間が必要でしょう?」

「…………ごめん! 必ずくるから!」

「ああもうッ! そういうかっこつけはやめてよね――絶対に帰って来てよ!!」

 

 一夏たちは迷っているようだが――ここで立ち止まっていては全てが手遅れになるかもしれないのだ。

 シャルロットさんがマルスに一撃入れてくれたおかげで猶予が生まれたと言っても、奴の最終的な目的そのものを食い止められたわけではない。すでに時間との勝負なのだ。

 

「――――それでいいのですわ……最初は一目惚れでしたが、あなたはそうしてまっすぐに突き進んだ方が輝いていますもの。その隣にいるのがわたくしではなかったのは残念ですが…………それでも、ここで惚れた相手の期待に応えられなくては女が廃るというものッ! かかってきなさい、雑兵ども」

 

 

 

 フロアを駆け抜けると、轟音が鳴り響いてきた。おそらくは百花さんが……

 

「英、立ち止まっている暇は無いよ」

「わかってる――弾君たちとうまく合流してくれることを祈ろう」

「時間との勝負っていったって、どこに向かえばいいのよ!」

 

 鈴ちゃんはそう言うが、こんなおあつらえ向きの城なんだ。目指す場所は一つしかないだろう。

 まるでゲームのラスボスがいる城だったら答えなんてすぐわかるだろうに。

 会話しながらも階段を駆け上っているんだ。これほどわかりやすい答えもない。

 

「最上階しかないだろ!!」

「安直だと思うんだけどッ!?」

「目的地に何の疑問も持たずに上を目指していたんですけど、それでいいんですか英さん!?」

「大丈夫だ! マルスの正体――精神がどれほど歪んでいるのか、それとも元々の性格なのかは知らないが――は僕の伯父だぞ! こういう時にどこで儀式を行うかなんてテンプレなことをしているよ。まあ、空に近い方がやりやすいってのもあるだろうけどね」

「そっちを先に言ってくださいよ――――どうも正解みたいですけど」

「……本当に、最上階にいるっぽいね…………っていうかそこまでテンプレしなくてもいいと思うよ」

「シャルロットの言う通りね――――まあ、ちょっとだけ予想外だったけど」

 

 僕らの目の前にいたのは、黒い鎧に身を包んだ箒ちゃんと――もう一人の仮面ライダー。たしか、織斑マドカと名乗っていた少女だ。

 ……僕も予想外だったよ。一層ずつ誰かが守っているのはやりそうかなとは思っていたのだが(戦術的にも足止め目的なら有効だし)まさか二人同時に出てくるとは…………

 

「不思議そうな顔だな――まあ、表情は見えないが」

「……私たちが組んでいるのが不思議か?」

「そりゃあな……特に協調性がなさそうだし」

「箒、今からでも遅くないわ……お姉さんに謝って、おとなしく帰りましょう?」

「…………ふふ、ふははははは!」

「何よ……何がおかしいの?」

 

 鈴ちゃんが疑問に思った通り――怒りこそすれ、笑いだすなどおかしいではないか。

 何かとても嫌な予感がする。箒ちゃんの装着しているアームズの形状――あれは、カチドキ…………ふと、頭によぎったものがあった。カチドキアームズともう一つ、データだけでしか見たことが無いが……

 

「お前たちには呆れたよ。私が、謝るだと――なんで謝らなくてはならないのだ」

「ッ――あんた、本気で言っているの?」

「当たり前だろう――だが今日は気分がいい。この手でその男を殺せるのだからなぁ」

 

 箒ちゃんが喋るたびに、彼女から黒い瘴気が噴き出す。以前の箒ちゃんとはまるで別人……一体、彼女に何が起きているというのだ?

 だけどそれ以上に気にしなくてはならないのは、彼女の目標が僕であるということ……そうか…………

 

「マドカって子は一夏が狙い。箒ちゃんは僕が狙い……お互いの目標が違うから、協力できるってところか」

「ご明察――しかし、篠ノ之箒はそれを抜きにしても協力できると思った。運命を捻じ曲げられた者同士――私たちは、本来過ごすべきだった時を取り戻す」

「そのために……お前たちにはここで死んでもらうさ」

 

 そして、二人が取り出したのは――鍵と、毒々しい色のロックシード。箒ちゃんはそれをカチドキロックシードの横に差し込み、マドカは新たなロックシードを使用する。

 嫌な予感は的中した。

 

【ロックオープン! 極アームズ!! 大大大大! 大将軍!!】

【ヨモツヘグリアームズ! 冥界! 黄泉黄泉黄泉!】

 

 ◇◇◇◇◇

 

 箒はもうどうしたらいいのかわからなかった。

 カチドキアームズの力でさえ、蜂矢英に勝てるのかわからない。自分じゃ、勝つことは不可能であることは理解している――勝つにはそれこそ裏技でも使わなければ勝てない。

 

「……私には力が足りない――――どうすればいいのだ」

「――――篠ノ之箒よ」

「…………首領か」

 

 微妙な立場の違いからか、箒はマルスとは協力関係という立場にある。

 彼女が手に入れた二つの黒い果実を彼に加工してもらい、専用のドライバーも用意してもらったのだ。おかげで、頭に入る妙な声も聞こえなくなってスッキリした。

 しかし、逆に自分をどこかで分析することもなくなったのではないかと考えているのだが。

 

「力が、欲しいか?」

「……はい。力が欲しいです。何者にも負けない強い力が」

「人を捨てることになってでも、力を欲するのなら与えることもできるが――もう、後戻りはできない」

「それでも――私には力が必要だ」

「ならば――これを託そう」

 

 マルスが取り出したのは鍵の形をしたロックシード。10年前に最強のロックシードとして考え出されていた者の、あまりにも高いリスク故に封印することとなった極ロックシード。

それを更に改修した黒極ロックシードを箒の手に渡し、マルスはその場を去って行く……あとに残されたのは、人の身には過ぎた力を与えられた箒のみ。

 

「…………使うかは、自分で選べと言うことか」

 

 悩むぐらいならば使うべきではない――しかし、いざ彼らを目の前にすると自分の中で湧き起こった衝動には逆らえなくなってしまったのだ。

 

(ああ――――私はどこまで行っても、こうすることでしか語れない…………ならば、全てを受け入れよう。この黒い感情を否定しても意味がない――――全ての憂いをここで絶つ)

 

 鍵は開かれた。もう、後戻りはできない。

 

 

 

 

 マドカは、数日前の戦いののち、森をさまよっていた。

 

「クソッ! クソッ!! 私には何が足りないというのだッ!!」

 

 力も、経験も足りないというのか? いや、織斑一夏よりも私の方が強いはずだ。そう思っていても――あの男に勝てるイメージが浮かばない。

 友も愛する人も、家族も持っているアイツがなぜ孤独に耐えて辛苦を味わってきた自分よりも強いのか。

 

「ふざけるなよッ!! 私は、私は負けるわけにはいかないのだ……あいつから、私の全てを取り戻すまでは……あいつの全てを壊すまでは」

 

 だけど、今の自分じゃ勝てないのを心のどこかで認めてしまっている。

 なにか強力な力が必要だ――アイツの力を上回るために、自らの何かを捨ててでも強力な力を手にしなければならない――その願いに、この森は応えてしまった。

 まるで何かに導かれるようにマドカは森の中を進み始める。そうしてたどり着いたのは、開けた場所――その中心にぽつんと、小さな植物が一つ。ヘルヘイム植物もついているが――――見ているだけでもそれが良くないものだと分かるほどの嫌な気配。

 たとえドライバーをつけていなかったとしても、その果実だけは食べることはないだろう。そんなことすら思えるほどに危険な臭いを漂わせている果実があったのだ。

 

「――――はは……天は私を見捨てていなかったということか」

 

 おもむろにその果実をとると、ドライバーの力で果実はロックシードへと変貌を遂げた。

 形はブドウロックシードに近いが、見たことないものだ。

 

「いや、それは関係ないだろう――おそらく、誰も持っていない代物だ。考えるだけ無駄だろう……だが、これで私は織斑一夏を……奴の全てを破壊したら、次は姉さんだ…………必ず、やり遂げて見せるさ」

 

 禁断の力を、マドカは手にしたのだ――そして、今この場において彼女はためらいもなくそれを使って見せた。ただ一夏を殺すという目的のために。自分の体がどうなろうとも。

 

(体への負担が尋常じゃない――だが、私は負けるわけにはいかないのだ。私は、必ずあの男を殺すッ!!)

 

 空間が悲鳴をあげるほどに濃縮された負のエネルギー。

 アームズとして装着されているのが不思議に思えるほどのモノがそこにあった。

 

 

 

 英たちは茫然とし、彼女たちの変化を見ている。アームズの切り替えは無防備になるというのに――いや、箒にそれは当てはまらなかっただろう。

 空中に飛来するいくつものアームズ。それが彼女の体を取り囲むように動いていたせいで妨害などできなかったのだから。そして、箒の中にアームズが入った直後に鎧が弾けて、見たこともないアームズに身を包んだ箒が現れた。

 マドカの方は箒の出したアームズの影響もあったが――それ以上に、アームズそのものから嫌な気配を感じたのだ。そこにあってはいけない、そう思えてくるものが。

 

「もう後戻りはできない――今すぐ、消し去ってやる」

「グッ――――ふふはははは、時間も惜しい……さあ、ここで決着を――――――!?」

 

 全てを言い切ることはできなかった。一瞬、光が瞬いたかと思えば二人の足元が爆発したのだから。

 それを引き起こしたのは、桃色の鎧に身を包んだ少女。

 

「なんつーか……ビンタ一発じゃダメね。こりゃちょっとオシオキが必要かなぁ…………お二人とも、先に言ってください」

「だけど……マドカはともかく箒ちゃんは」

「そうだよ、任せたっていっても鈴ちゃんたちじゃ今の箒ちゃんは――」

 

 あれは、エナジーロックシードの力でも対抗するのが難しいだろう。英か束でなければ厳しいというのも鈴は見てわかっている……だけど、今一番重要なのはそこではない。

 

「二人は、私たちが帰ってくる場所を守らなくちゃダメでしょ――ホラ、早く行って」

「そうですよ……ここは俺たちが何とかします。何とかして見せます」

「私だってそのためにここまで来たんだから……お願いします」

 

 三人の懇願に――確かに止まっている暇は無いと思い直す。

 時間は無い。ここも何とかしなくてはいけないが、今ここで魁アームズや雅アームズを使用すればマルスとの戦いには万全の状態で挑めない。

 

「――――絶対に、負けるなよ!!」

「三人とも――おねがい!」

「任せてください!」

「言われなくてもやって見せるわよ!!」

「……ってことだから、二人とも邪魔はしないでよね!!」

 

 シャルロットがバナスピアーを投げ飛ばし、牽制する。いくら強大な力と言えど、一瞬で使いこなせるわけでもない。マドカは負担に苦しみ、箒は変身してから一か月も経っていない。その状態で咄嗟の判断ができるわけもなく、ヤエザクラタイフーンを起動させて全速力で駆け抜けた二人を追撃するはずもできなかった。

 

「貴様ら……私の邪魔をすると言うのか!!」

「当然でしょ――友達がバカやっているなら止めるものよ!!」

「黙れ!! 私を友と言うのなら、何故私のこの痛みを理解しようとしない!」

「あんたのそれはただの子供の癇癪よ! 本当の友達なら真正面から止めるもの――あたしが、あんたを止めて見せる!! それがあたしにできるあんたへの唯一のことだから!」

「人間は間違える生き物だよ箒……時には間違いに気が付かないこともあるし、逃げ出したいこともある――だけど、いつまでも嫌なことから目を背けていちゃダメなんだ……私だって、みんなのおかげで戻ってこれた。だから、今度は私が助ける番なんだ!」

「黙れ――もう後戻りはできない……私の行く手を邪魔するというのなら、まずはお前たちからだ」

 

 

「となると、お前とは一対一になるわけだが――本当に戦わなくちゃダメなのか?」

「当たり前だろう……お前の全てを壊して、私は私自身を始める」

「そんなこと何の意味があるんだよ!」

「黙れ――――ぬくぬくと育ったお前に何がわかると言うのだ……」

「わからねぇよ……わかりたくもねぇ!! 人を憎むことでしか生きていけないなんて、わかりたくない! 俺はお前を止めて見せるぜ――家族としてな」

「私に――家族などいない!!」

 

 

 英と束は先に進み、少年少女たちは戦いを始めた。

 意地と意地のぶつかり合い。主義主張は平行線をたどり、5人の戦士の戦いが幕を開けた。

 




なんか目が回る今日この頃。
心の中に言い知れぬ不安が湧いて来て、いきなり叫び出したくなる。
ヤバそうな感じがしますが、体的には元気だと思います。



何年か前にメンタルクリニックに通院していたけど、母親がノイローゼ気味になって泣き出したから行くの途中でやめたのが今になって響いてきた、とか……いや数年たっているし、でもなぁ…………
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