仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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今作の箒さんがどれだけチートな存在なのか。
正直まともに戦いたくはない。


EP188.闇をいざなうもの

 バイクで突き抜けて、徐々に重苦しい空気が強くなる中……やはり、下に残してきたみんなのことが気にかかる。

 束もおそらく同じ気持ちなのだろう。腰に回された手が少し震えていた。

 

「……情けないよね。自分たちの力だけじゃ足りないんだから」

「ああ……でも、みんなが自分で決めたことだ。こういう時に大人になるって色々と考えさせられるよ。僕らに出来るのはあいつらを信じてやることだけ。昔から突っ走ってきたんだ――その度に、周りを心配させただろ。今度は僕らが心配する番ってだけだよ」

「そうだね……束さんもたくさん心配されたっけ――いつの間にか、小さくまとまっていたかな。束さんはもっと突き抜けたことをしなくちゃね」

「その意気だ! しっかりつかまれよ!!」

 

 一気に加速して、目の前の扉をぶち破る。同時にアームズを切り替えるためにロックシードを装填して――奴に肉薄する。場所は屋上と言うわけではなく、まるで聖堂か玉座のような部屋。機械があちこちに設置されているが、その中にISコアらしきものがいくつも光っている。そして、その全てをヘルヘイム植物が覆っていた。

 

【魁アームズ! 天下泰平!! フルオーケストラ!!!】

【雅アームズ! 百花繚乱!! 才色兼備!!!】

 

 束はその場で浮遊し、援護に徹してくれた――僕は一気に前に飛び出して奴の儀式を止めなくてはならない。

 

「マルスゥウウウウウウ!!」

「――やはり、邪魔しにきたか……だが、たった二人で何ができる!」

「二人じゃない! みんなが支えてくれたから今の僕がいるんだ!! だから、ここであんたを止めて見せる――唯一の肉親の僕が止めなくちゃならないんだ!!」

「戯言を――ならば、止めて見せろ。蜂矢英!!」

 

 僕が手にもった無双セイバーと、やつの炎を纏った剣がぶつかり合い――――

 

 ◇◇◇◇◇

 

 轟音が鳴り響いている。

 一夏たちが箒とマドカと戦闘を開始して数分、世界が悲鳴を上げているかのように、何かが起きているのを本能とも呼ぶべき場所が感じているのだ。

 言い知れぬ不安感――それがこの上からしているということ。原因など一つしかないではないか。

 

「英さんたちも……」

「首領がついに動いたか――織斑一夏。お前たちの勝つ可能性など、万に一つもない」

「そんなのやってみなくちゃわからないだろうが……それに、お前をこのまま放っておくわけにはいかない」

 

 よくは分からないのだが――彼女と自分の中で何かがつながっているような気が一夏にはしているのだ。

 そして、それは向こうも同じことで――マドカはそれを否定している。

 

「ッ――何をふざけたことを」

「ふざけてなんかいないさ……お前の使っているロックシードは体を蝕み続けているだろうがッ!! そんな力を使って体が無事なはずがない!!」

「だとしたらどうするというのだ!! お前はまだ甘いことを言うのか!? 世界はお前の考えているほど優しくはできていない!」

「だとしても――俺がどうするかは俺が決めることだ。お前が決めることじゃない!」

 

 マドカの振るう武器――ハルバートのようなそれと、一夏のソニックアローがぶつかり合う。

 力は拮抗しており、お互いに一歩も引かない。

 

「だが――武器が一つだけのお前では不利という状況に陥るのだ!!」

「ッ!?」

 

 すぐに覆された状況。マドカがブドウ龍砲を取り出したのだ。

 ヨモツヘグリアームズも複数の武器を召喚できる力を有している。

 

【ヨモツヘグリオーレ!】

 

 二回動かされたブレードに応じて、ブドウ龍砲の銃口に禍々しい色のエネルギーが集束されていく。

 とっさにかわそうとするものの、放たれた弾丸は軌道を曲げて一夏に突き刺さった。

 

(ほ、ホーミング!?)

「さっさと立て――あまり時間もかけていられない。死へのカウントダウンは迫っているんだ……簡単に死んでくれるなよ」

「勝手なことを、言ってんじゃねえ――絶対に、お前を倒してやる……それで、千冬姉の前に突き出してやるよ。案外、一番怖がっているのはそれみたいだしな」

「――――アアアアアアアアアアア!!」

「痛そうな声を出すぐらいなら、そんなアームズを使うな!!」

 

 自分の言葉に激昂したわけではない。彼女は体中に走る痛みで叫びたいのを我慢していて、都合のいい言葉を聞いて叫んだだけだ。

 彼女と再びぶつかり合っていることで一夏には彼女がまるで、助けを求めている小さな少女に見えた。

 

(――――確実な方法は、ドライバーを破壊することだ。チャンスは必ず存在している)

 

 

 

 

 鈴とシャルロットは予想外の変身を遂げた箒と渡り合うことすらできていなかった。

 彼女の力があまりにも強大だったから。

 

「英さん以上にチートじゃないのよ!!」

「――――ハァ!!」

「このッ!」

 

 シャルロットほどのセンスは無い。鈴ほどの胆力があるわけでもない。セシリアのように高度な理論もない。ラウラのように経験が豊富なわけでもない。そして、一夏のように心に強い思いを抱いているわけでもない。

 それでも――箒には誰よりも強い鋭さがあった。

 

「……無駄だ。今の私に、お前たちの攻撃が通用するはずもない」

「そんなの――やってみなくちゃわからないじゃないのよ!!」

「やるまでもないと言っているのだ――黒き極にたどり着いた私にお前たちが勝てるはずもない……もっと言えば、こいつが私にある限りお前たちの攻撃が私に届いたとしても意味のないことになるのだ」

 

 彼女が左手をふる。そこに揺れていた鈴が主張している事実こそ鈴たちにとって状況がどれだけ悪いかを伝えているのだから。思わず歯噛みするほどには厄介なもの。

 

(単一能力……絢爛舞踏だっけか。本来なら少量のエネルギーも増幅して完全回復するっていうチートな力……それがドライバーとの併用を可能としちゃったせいで、箒の体力を無尽蔵にしている)

 

 スカッシュなども打ち放題。これがチートでなくて何なのだ。

 一応奥の手が無いわけでもないが、今の状況では手の内をさらして終わってしまう。

 

(せめてもう一人いてくれたら、なんとかなったかもしれないんだけど……)

 

 ようは箒の隙を伺いドライバーを破壊すればいいのだ。

 自分たちの力の源はこのドライバー。たとえ絢爛舞踏という能力があれど、元が0ならば増幅の使用が無い。

 

「――――鈴、10秒でいい。時間を稼いで」

「どうするのよシャルロット……10秒で何ができるの?」

「私が箒の隙を作って見せる――だから、お願い」

「……そうまで言われちゃ仕方がないわよね!!」

 

 箒に肉薄し――ソニックアローにロックシードを装填して突き刺すように動かした。

 流石に特攻まがいの攻撃には驚いたらしく、空中にいくつもの武器を召喚して迎撃してくる。

 見たこともあるものもあれば、見たこともない武器がたくさん出てくるのには驚いたが――鈴のやるべきことは変わらない。

 

【無双セイバー! 火縄大橙DJ銃!】

 

 二つの武器が接続されて――凶悪な光を纏う。そこにロックシードを一つ装填し、箒は鈴に向かって振り下ろしてきた。そのままならば死は避けられないだろう――だが、箒は気が付いていなかった。何の策もなく鈴が武器を捨てるような攻撃をするわけが無いことに。

 エナジーロックシードが一人につき一つだと思い込んでいたのが、彼女たちの反撃のきっかけを産んでしまったのだ。大剣の上から降ってきた何かに気が付いたときには、もう遅い。鈴がハンドルを動かしている。

 

「もっと周りをよく見なさいよ! あんたは勝手に自分が不幸だと思い込んでいるだけ!! 手を伸ばせばすぐに変えられるようなことばかりだったのに、自分の心を言葉にすればそれで良かったのにあんたはそれを怠った!! それが、今みたいな状況を産んでいる原因でしょうが!!」

「だ、黙れ!!」

「黙らないわよ――あたしたちがあんたの家族に託されたものの重さを理解しようともしない大馬鹿相手にはね!」

 

 鈴が手を突っ込んで回していたのは――赤色の鎧。いや、鎧というには柔らかい印象を受けるそれは服とも呼ぶべき代物に見える。

 それでも、強靭な強度を誇っているのか箒の大剣を受け止めていたのだ。

 

「なんだと!?」

「時間は稼いだわよ!! シャルロット!!!!」

 

 箒の攻撃の威力でバックに跳び、シャルロットと入れ替わる――その姿はまだバナナアームズだったが、腰からドライバーを外して別のドライバーと取り換えようとしていた。

 そのドライバーは――セシリアの使っていたゲネシスドライバー。

 

「セシリア用だし、体がついてこれるかわからないけど――これなら箒も無視できないでしょ!」

「だが私の攻撃の方が速い!!」

 

 横なぎに振るわれた一撃――されど、それが届くことはなかった。

 一瞬でアームズを変えたシャルロットが下から膝で叩き上げることで防いで見せたのだ。

 

「なっ――!?」

「私の得意技忘れたの? ラピッドスイッチ――アームズチェンジでも同じようにとはいかなかったけど、ゲネシスを最初から起動状態にして取り換えればできるもんだね!」

 

【レモンエナジーアームズ!】

 

 戦極ドライバーからすぐに取り外したバナナロックシードをソニックアローに装填し――シャルロットもハンドルを二回動かす。

 

【バナナチャージ! レモンエナジースパーキング!】

 

 箒の胸に矢を突きつけて、ゼロ距離から打ち抜く。今持てるすべての力を注いで、彼女を打ち抜くために。

 

「はあああああああ!!」

「舐めるなぁああああああああああああ!!」

 

 だけど、箒の体から噴き出した黒い力がそれを阻んだ。

 力の圧力だけで体がバラバラになりそうだけど――シャルロットのするべきことは隙を産むこと。

 もう彼女も準備は出来たのだから。

 

【ホオズキエナジーアームズ! 一刀両断!】

 

 まるで、狩衣のような格好の一風変わったアームズ。

 英が父から受け継ぎ、束へと渡され――そして、今は鈴の手にそれはあった。

 

「――――!」

「――――ッ!?」

 

 まっすぐに振り下ろされたその一撃は箒のドライバーに当たり、カチドキロックシードを破壊した。

 同時に彼女の変身が解けて、鈴は勝利を確信し――――すぐに、裏切られる。

 

「甘いぞ鈴……私を倒すつもりならば…………殺すつもりでこい」

 

 砕けたはずのカチドキロックシードをその手につかみ――その手の中でカチドキロックシードは金属の塊のような果実へと変化し、すぐに無事な状態のカチドキロックシードへと生まれ変わる。

 その変化に合わせるように、彼女の右目も赤く輝いていた――すでに人ではないと主張するように。

 

「――――うそ、でしょう」

「極ロックシードの力は、人を人ならざる者へと変化させるもの――――私は、もう人間ではない」

 

 再び変身し――次の瞬間には、ヘルヘイム植物のツタがシャルロットを叩き飛ばしていた。

 

「しゃ、シャルロット!?」

「次はお前の番だ――楽には殺さない。いたぶっていたぶって…………いたぶりつくしてやる」

「だったら……今度はドライバーを壊すだけよ!!」

 

 口ではそう嘯くが……鈴にとって今の状況がどれほどまずいかわからないハズもない。

 

(そこまでして何の意味があるってのよ――本当に、箒を殺す気で戦わなくちゃいけないっていうの!?)

 

 短い間だったけど、確かに楽しい思い出も共有していると思っていた。

 だからこそ、鈴は彼女をどうやって止めればいいのかわからなくなってしまっている。

 確実に、戦う力は削がれていた。

 

 

 

 一夏は、短期決着しかないと考えていた。

 鈴たちのことも助けにいきたい彼としては、どれだけの負担がかかろうとも時間を一番かけなくてすむ方法を真っ先に選んだのだ。

 

「おおおおお!!」

「やはり、ISとの同時使用――――だが、それがお前だけの専売特許だとは思わないことだ!!」

 

 マドカの背中から、蝶の羽のような光が噴射する。

 それは、ISを今の状況に最適化した姿。固定の形状を取らずにデータを噴き出した状態。

 

【ヨモツヘグリスパーキング!】

【メロンエナジースパーキング!】

 

 一夏は手に持った雪片にロックシードのエネルギーを注ぎこみマドカの放つ力すべてを消し去ろうと斬りかかった――だが、マドカは、一瞬で一夏の後ろに回り込んで手に持ったフランベルジェのような剣で切り裂いていた。

 その動きは一夏が編み出したものだ。一夏が自らの戦いの中で手に入れた力――繊月加速。

 

「ッ!?」

「私はお前だ――織斑一夏。お前に出来ることが、私にできないはずもない――――さあ、もうそんなおもちゃにはおさらばしてもらうとしようか」

 

 手に持った赤黒い剣が爛々と輝いている――その一撃はマズイ。一夏の頭の中で警笛が鳴り響いているのに、体が思うように動かない。

 まるで毒に侵されたかのように。

 

【ヨモツヘグリスカッシュ!】

 

 直後に、その一撃が一夏の体を切り裂いた――白式とドライバーの力で守られてはいたが、そのドライバーが砕け散っていった――

 

「これで、チェックメイトだ」

 

 勝利を確信したマドカは――その顔を歪ませた――――白式が、ドライバーと共存するために最低限の大きさであるガントレットの姿を輝かせたことには気が付かずに。




靴を変えたら負担がだいぶ減って精神的にも楽になった。
というわけで、箒さんテラチートスペシャルでした。

絢爛舞踏で実質無尽蔵のエネルギー。
さらにオーバーロードの力。



艦これ、今回のイベントはそこまで厳しいものでもないようですね。
E-2まで何とか突破。レベルがそこまで高いわけではないので乙作戦ですが。
明日からはE-3に。ここからが大変そうだが。
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