仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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今回、ISについて設定捏造しちゃったかも……というよりは自分なりの考察ですけど。


EP23.アリスは笑わない

 新入生交流会。近くの多目的ホールで行われる……まあ、レクリエーションとかみんなで食べたりするだけのイベント。うちの高校の恒例行事でもあるんだけど内容からかなり緩い催しで、みんなわりと好き勝手に遊んでいる。

 一応、プログラムがあって進行はその通りに進んでいるんだけど、昼休みに入ってからはみんなあちこちに好き勝手にばらけて……収拾つかないなぁ……ちなみに、毎年こうなることがお約束だから先生も黙認しているらしい。割と自由だなうちの学校。

 

「で、織斑は仲直りできたのか?」

「……出来ていたら今頃束が抱き着いてきているぞ」

「だよなぁ……」

 

 最近は寄り付かないから篠ノ之も一緒にはいない。クラス分のケーキ作りの担当はちゃんとやっていたらしいし、今日も来ているみたいだけど……姿が見えない。

 あいつはいったい何がしたいんだか……他人を気にしない言動のわりには行動はそうじゃない。と言うかISを世間に発表したのだってどういうつもりだったのか……自分の身内だけで使うって手もあったはずなのに。

 背中押すような発言しておいてあれだけど、なんというか間違った方向へ押してしまったのではないかと不安になってきた。

 

「どうしたのだ? 浮かない顔をして」

「いや……僕はアイツの背中を押さない方が良かったのかなって……」

「別にそんなことがなくてもアイツは自分で突き進むさ。むしろ、お前が背中を押してくれたおかげでアイツは周りを見る余裕ができた。身内と他人の境界線とでもいうべき立ち位置にいるお前だからこそ、アイツはその両方を改めて見ることができるようになった。今はその状況に戸惑っているだけなんだ」

「……よく見てるよなぁ」

「長い付き合いだからな。まあ、アイツはまだ中身は幼い……と言うよりアンバランスか?」

「だな。頭の出来が良すぎるのも考え物だなぁ……」

 

 まだ僕らは子供。下手に強い力や膨大な知識を手に入れると暴走しやすい。そういえば自分も例外じゃないよな……肝に銘じておこう。

 

「さてと、さすがにアイツもそろそろ頭が冷えてきたころだろう……私は探しに行くが、お前はどうする?」

「うーん……僕もちょっと外を見まわってくるわ…………少し考え事もあるし」

「最近はそればっかりだな」

「まあ、色々とね」

 

 少し近くを散歩するけど、みんな好き勝手に遊んでいるなぁ……まあ、この前まで中学生だったしこんなもんか。

 歩いていると、小さな高台が見えた。そしてそこに、特徴的な髪の色の女の子の姿も。近くに行ってみようかと思ったけど……そこに、もう一人誰かがいるのを見た。

 あの子も頑固だよなぁ……花村さんは。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「……いい加減、付きまとうのやめてほしいんだけど」

「えー束ちゃん冷たいー」

「ああもうっ」

 

 このところこの女に付きまとわれて鬱陶しい。よく飽きもせずに私に話しかけられるものだ。

 まったくもってわけがわからない。

 

「ねぇねぇーおいしいアイスクリーム屋さん見つけたんだけど今度一緒に行こうよー」

「だから束さんはそんな暇はないし、あたなと一緒に行くつもりもないの!」

 

 何度言えばわかるのか。私はあなたとかかわる気などないのだ。だからあっちに行ってくれ。

 一度痛い目を見たらわかるのではないか? そう思って突き飛ばそうとするも、あっさりと躱される。

 

「えへへー」

「なんで笑ってんだよ」

「だってねー」

 

 わけがわからない。なんで拒絶しているのに笑っていられるんだ?

 

「口元ー」

「?」

「ちょっとニコッとしてるよー」

「!?」

 

 思わず口を隠す。何だか調子が狂うことばかりだ。本当、なんでこんなことになるんだか……

 自分で自分の心がわからなくなっている。最近の私はどこかおかしい。いったい、どこで間違えたんだ?

 

「やっぱり笑った顔の方がかわいいよー」

「笑ってない! なんであなたは私にきついこと言われてもそんな風に笑っていられるの?」

「きついこと言われたっけー?」

「そ、そこから……」

 

 むしろあきれる。この女はどこまでも幸せな奴なんだろう。年中花畑な女だ……そう、花畑。今日から花畑と呼んでやる。

 

「おい花畑、飴玉あげるからあっち行ってろ」

「……」

 

 さすがに、堪えたのか?

 

「あだ名……束ちゃんがあだ名で呼んでくれたー!」

「ちょっ!?」

 

 どうしてそうなるんだ!?

 

「じゃあ私もたーたんって呼ぶねー!」

「なんでそうなるんだ!? というかそのあだ名はヤメロ!」

 

 わけがわからない。わけがわからない。わけがわからない。

 

「もういい加減にしてよ!」

 

 思わず、その場を走り去ってしまう。明らかに悪口だったのになんで笑えるんだ。なんで嬉しそうなんだ。なんで話しかけてくるんだ……なんで、なんで……

 そのあとはよく覚えていないけど、担任の男に帰るとだけ伝えたと思う。そして、気が付いたら部屋に戻っていた。体中が痛い。久しぶりに、本気で走ったらしい。

 やっぱり体力もつけた方が良いんだろうか……少なくとも、あの変な仮面ライダーっぽいのからは逃げられるようになるかもしれない。

 

「……この世界を作り替えるんだ。私が、自分の手で……でも、変なのが邪魔をする。邪魔な奴らばっかり。どうすればいい? まずはISの数をそろえろ。第二世代への道はできている。各国も開発を進め始めた。なら、私のすることは……」

 

 スケジュールを確認する。そうだ、もうすぐ県庁のある場所で技術発表の場がある。そこで、新技術をお披露目しよう。

 まだ二次移行をした機体はないようだから、単一使用能力については解説できない。そもそも操縦者との相性などが関わってくる場所のため、束さんでもコントロールはできない。一部例外的な事例はあるだろうけどまだデータが足りない……やはり、ナノマシン技術や第二世代に搭載予定のパッケージシステムについての方が良いだろうか?

 と色々と計画を立てているうちに、自分が他人に説明することを前提としていることに気が付いてしまった。

 

「……あは」

 

 ショックだったのだろうか? それともあっけないほどに受け入れたのか? 自分でもよくわからなくなってきたが、いつの間にか私は……他人を認識していた。

 

「あはは、はは」

 

 口からは乾いた笑いが漏れる。いや、笑いではない。これは何かが崩れる音だ。

 腰が抜けて、力が入らない。なんてことは無いはずなのに、私の体から何かが抜けていくような感覚がする。

 

「……認めない。こんなのは束さんじゃない。そうだ、次の発表はやり過ぎるってぐらいやってやるよ」

 

 そうと決まれば、準備を始めよう。予定よりもコアの製造は早く終わりそうだが、他の研究をおろそかにし過ぎた。だから私は次に進むため一歩を踏み出した。

 でもそれは……果たして本当に前に踏み出したのか? それを知るのはもう少し先の話だった。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 花村と篠ノ之が何を話していたのかはわからない。でも、突然篠ノ之が走り去ってしまい、どうするかなやんでいたのだけど……花村が、目の前に来ていた。

 

「蜂矢君」

「えっと……花村、さん?」

 

 なんだろう? いつもと雰囲気が違う。いつもの伸びたような口調ではなく、普通に話しかけている。

 それに、笑っている感じもない。ポヤポヤしたオーラみたいなのもなくなって……まるで別人だ。

 

「大丈夫」

「え?」

「大丈夫だよ。束ちゃんはお化けを怖がっているみたいに、よくわからないモノにぶつかっちゃっただけなの」

 

 いつもの彼女は、年下みたいな少女というイメージなのだが……今の彼女は、まるで年上……母親とか、保育士とかそんな感じのイメージを抱いた。

 本当に別人に見える。

 

「花村さん?」

「だから、いつか分かってくれるよ。ね」

 

 それだけ言うと、いつもの彼女に戻って走っていく……一度だけ、こちらを振り向くと「蜂矢君もおいでよー」と本当にいつもの調子に戻ってしまった。

 

「……なんというか、見てはいけない一面を見た気分だなぁ」

 

 人には色々な面ってものがある。アレも彼女の一面なのだろうが……なんというか、すべてを見透かされているようで少し怖かった。というか、いつか分かってくれるってなんのことなのだろうか?

 自分でも気が付かないことまで見透かすから怖いと感じたのか、それとも的外れで電波だったから怖かったのか……出来れば後者だと思う自分がいるのが情けないなぁ……

 

 結局、その日はみんな疲れて眠そうだったなぁ……先生たちも疲れてたけど、先生は汗ひとつかいてないってどういうことだよ。あんたも動きまわっただろ。

 

「お前も元気だな」

「織斑こそな」

 

 さすがに汗はかいているけど、僕も織斑もまだまだ元気だ。鍛え方が違うのだ鍛え方が。

 

「束は大丈夫なのだろうか……」

「さぁな……なんだか、おかしなことしなきゃいいんだけど……」

 

 さすがに、今のアイツには僕も手の出しようがない。下手に何か言えばそれこそ暴走する。

 織斑もそれがわかっているから、歯がゆい気持ちなのだろう。手に力が入っている。

 とりあえず場を和ませようかと前から気になっていたことを聞くのもいいだろう。

 

「そういえば織斑」

「なんだ?」

「なんでISスーツってあんな見た目なんだ?」

「……」

 

 スクール水着(しかも旧型)っぽい外見なのはいかがなものかと前々から思っていたんだ。圧迫式の宇宙服っぽいのでも良かったんじゃないだろうか? もともとは宇宙開発用で研究していたらしいし。今じゃ一応競技用ってことで落ち着いたけど。

 

「……」

「なんで黙る」

「…………色々と建前というか、まあ電気信号のやり取りにはなるべく布地が少ない方が良いというのは分かるな?」

「うん」

「で、ISの開発は学校に行きながらその合間を縫っていたのも知っているな?」

「まあ当然だよね」

「中学生に機材とかを買う金や伝手がないのもわかるな?」

「そりゃそうだね」

「……材料は、どこから持ってくると思う?」

「篠ノ之が廃材とか不法投棄とか拾っているの見たことあるけど……でもISスーツの材料をそんなところから拾ってくるわけもないし……あ、まさか」

「そうだ……あるもので作るしかない」

「……だからスク水っぽいのか」

 

 納得。スク水を改造して作ったからまんまスク水っぽい見た目になったのか。

 で、ここにいる白騎士さんもそのスーツ着てたし、他にサンプルもないから発表した後もそれが定着しちゃって今に至ると。

 

「今更変更できないんだ。束も時にはうっかりする」

「あいつあれで抜けているところあるからなぁ……」

「自分でも気が付いていないが、アイツの最大の弱点だからな」

 

 確かに、詰めが甘いというかちょっとしたミスをすることがあるんだよなぁ……天才ではあるけど完璧ではないし当然か。

 

「でだ、あの物陰から見ている人はいいのか?」

「最後の最後で裏切った人のことなんか知らねぇよ」

 

 さっきから気が付いていたんだけど、面倒だから無視していた。まあ、もういいから出てきてください佐々木先生。

 

「あはは……ばれてたのか」

「バレバレですよ。背後取りたいなら凄腕のスナイパー雇ってください」

「なにそれ?」

 

 正直、最近は物騒だから半径50メートルぐらいなら人の気配が分かるぐらいに神経張り巡らせているんで、後ろから脅かそうとしても無駄ですよ。

 

「で、先生は何か用ですか?」

「うーん良かったらこれに一緒に来てくれない? 場所が近いから親戚の子を連れて行ってくれって頼まれたんだけど……私忙しくて。織斑さんは詳しいだろうから頼みたいかなーなんて」

 

 見ると、ISの生みの親、篠ノ之束の技術発表会と書かれたチラシが……

 

「織斑、知ってたか?」

「話には聞いていた。だが、今は喧嘩中だからな……」 

 

 当日は行けないと。

 

「そんなー……真耶ちゃん楽しみにしてたんだけどなぁ」

「変装していけばいいじゃないかよ。お前から仲直りするって手もあるだろ」

「それはそうなのだが……」

 

 仕方がない。どうせ篠ノ之が公の場に出ると狙われる確率も上がるし、僕も隠れていくだろうからここは一緒に行った方が良いか。

 

「じゃあ僕も行くからさ。それでいいだろ?」

「仕方がないか」

「本当にいいの!?」

 

 先生には世話になったし、色々と迷惑もかけたしなぁ……ただ、なんで忙しいんですか?

 

「えっと……怒らない?」

「……場合によります」

「…………合コン」

「「……どうせダメなんだから一緒に来てくださいよ」」

「ハモって言うなー!」

 

 相変わらず残念な人だなぁ……だけど、こうして僕と織斑は先生の親戚の子と一緒に会場へ行くことになった。先生は来ないつもりみたいだけど……この人のことだし、面白い理由で来るかもしれない。

 

 

 そんなこんなで、次の日曜日……運命の日が、始まった。




というわけで、IS開発したときって中学か高校くらいなんだから材料とかどうしたんだというところから話を膨らませた結果、こんな話もはさんでみました。

束さんは色々迷走したりシリアスだったりするのに、主人公たちはなにくだらない話をしているんでしょうね(作者のせい)

というわけで、佐々木先生再登場。この人は原作のあるキャラのイメージで書いたので、その人とかかわりを持たせることにしました。
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