仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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原作キャラ一人追加。


EP24.アリスは前に進む

 天気は快晴。待ち合わせ場所の公園でペットボトルの紅茶を買って待つこと数分。織斑がやってきた。隣に小さい女の子を連れているところを見ると、彼女が先生の言っていた真耶ちゃんだろうか? ……訂正、一部は身長に似合わないほどでかい。

 

「何を考えているのだお前は」

「……いや、純粋に驚きが勝った」

「…………気持ちは分かるが」

 

 あまりにも規格外だったり、常識を超えると声も出ない。そんな、彼女の身体的特徴。

 天然さんなのか、彼女は僕と織斑が下世話な話をしているのに気が付いていないらしい。

 

「えっと、蜂矢英さんですよね? 恵さんから聞いてます」

 

 恵ってのは佐々木先生の下の名前である。一緒に来ていないってことは合コンに行ったのか……

 

「初めまして、蜂矢英です。えっと、真耶ちゃんでいいのかな?」

「はい! 山田真耶って言います。中三です!」

 

 ……これで一つ下かぁ…………色々な意味で信じられねぇ。

 それにしても、保護者であるはずの先生がいなくても大丈夫だろうか……一応、一般公開されているけど子供だけで行くにはちょっと面倒だぞ。

 

「そうだ蜂矢、先生から伝言を預かっている」

「なんだい?」

「……出会って即敗北。すぐに行く」

「何があったらそんなに早く失敗するんだよ!?」

 

 きっと天才の篠ノ之でもわからないことなんだろう。織斑も何を言えばいいのかわかっていない。真耶ちゃんは苦笑いしていた。

 

 その後は先生と合流して会場に入ったんだけど、人が多いなぁ……偉そうな人も多いし、ちょっと居心地が悪い。

 学生も多くいるところを見ると、近くの学校の生徒は同年代の天才見たさに集まってきたのかな? 真耶ちゃんもその口だし。何だか見覚えのある顔がちらほらとあるなぁ……先生とか、田中君もいる。最近は篠ノ之と絡んでいた花村さんもいた。他にも数名のクラスメイトがいる。中学の同級生も何人かいて、ちょっと挨拶をしておいた。中学の教頭までいたのにはびっくりしたけど……

 

「僕らだけで入っても良かったかもね」

「ああ、先生はいなくても良かったかもしれないな」

「あはは……すいません否定できません」

「ヒドイッ」

 

 慰めてほしくてこっちに来たのがまるわかりだから仕方がないよね?

 ヨヨヨと泣き崩れている先生。いい大人がそれでいいのかなぁ……

 時間も余ったので色々と話をすることにした。真耶ちゃんは将来IS操縦者になるのが夢らしい。織斑の剣道の試合も見たことがあって、なんだか憧れの視線をぶつけている。織斑もまんざらじゃなさそうだなぁ……

 

「どう? 真耶ちゃんかわいいでしょ」

「まあそれは認めますけど……復活速いですね、慣れですか?」

「君はいちいち毒を吐くわね……ねえ話は変わるんだけどいいかしら?」

 

 先生の暴走とか、今までいろいろありましたからねぇ……後半は声を小さくして聞いてきた。真面目な話っぽいし、おふざけはここまでかな?

 

「なんですか?」

「……例のアレ、まだ誰にもバレてないの?」

「ええ……今のところは。ただ、ちょっと気になることがあるんですよね」

「気になること?」

「…………野良インベスが出なくなりました」

「良いことじゃない」

「……元々、この町はインベスが出やすいのにも関わらず、最近は全くでないんです」

「たしかに、気になることだけど……」

「それに、僕以外のドライバー使用者も現れました」

「え……でも前に聞いた話じゃそれってありえないことなんじゃ……」

 

 そう、ありえないことなのだ。僕自身、ドライバーを複製できないか試してみたけど……機材はないし、根幹部分で理解できない点が多い。これの製作者は間違いなく天才だ。しかも、もしかしたら篠ノ之クラスの……断片的な情報からだと複数人いたってことまでは分かったから、僕一人じゃどうしようもない。整備できるだけでも御の字だったのだ。

 ……もしかしたら製作者の生き残りがいるのかもしれない。でも、だとしたらどうやって生き延びた? 当時の人物で生きている奴なんて――あ、一人いるじゃないか。

 

「なんでその可能性に気が付かなかったんだよ……」

「ど、どうしたの?」

「いえ……もしかしたら一つどころじゃないかもしれませんね。篠ノ之も狙われてますし、もしものことがあったら避難誘導とかお願いしますよ」

「……もしかして、私って危険地帯にいるのかしら?」

「まだ何とも言えませんけど、もしかしたら」

「……あはは…………また厄日なのね」

 

 マジですいません。楽観視し過ぎました。でも説明のしようもないんです。

 ……もう一人いるドライバー所持者。黄金の騎士。そうだ、花蓮さんも言っていたではないか。暴走を起こしたのは……爆発事故の原因は……研究員の一人だって。ならドライバーの設計図も知っている可能性がある。現にドライバーは他にも存在した。ということは、黄金の騎士とあのドリアンはかかわりがあるのか?

 

「そういえば野良ってどういうこと?」

「……僕も知らない技術なんですけど、インベスを呼び出せる奴がいるんです」

「今すぐ帰りたい」

「帰れる性格でもないでしょうに」

「……そうなのよねぇ」

 

 お互い、難儀な性格ですね。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 なんだか緊張してきた。この束さんが緊張するとかかなりレアな光景なんじゃないだろうか? いや、原因は分かっている。いつもは隣にいてくれたちーちゃんがいないからだ。実際の操縦を見せるときはちーちゃんがやってくれていたから、こういう場所には一緒にいてくれたんだ。でも、今はいない。

 

「……大丈夫、大天才の束さんなら一人でもできる」

 

 いつから私はこんなバカなことを考えるようになったのだろう。一人が怖い――それは最初からだろ――人が怖い――それもはじめからだ――ただただ、寂しい――何を当然のことを――

 ネガティブなことを考え始める。だけども、浮かんでくるのは否定の言葉。

 

「……」

 

 私は本当に変わったのか? ふと、そんな考えが浮かんでしまう。だけど……それが一番怖かった。

 一人だから変なことを考えるのだ。立ち上がって気合を入れる。いつまでもちーちゃんに頼るなんて束さんらしくもない。大丈夫。今日はISよりもその副産物で出来た発明の発表なのだ。すでに準備は済ませたからあとは前に出て、説明して、それだけ。実証と言うより現物見せるだけでいいのだからいつもより簡単だ。

 なのに、ちーちゃんがいてくれた時の方が安心できたのは……よそう。今はこの発明のことだけ考えよう。これが成功すれば資金も増えて――そこで、そもそもこの発明を作った原因を思い出してしまった。

 背中を押してくれた彼。なんだかんだで面倒見が良くて、いつの間にか隣にいた人。

 最近付きまとってくるアイツの声が聞こえた気がした。なんだか、顔が熱くなってきた。

 

「関係ない……関係ない」

 

 何だか緊張がほぐれた気がして、むかついた。

 

「ふんっ……そうだよ、私は一人でも大丈夫なんだって証明するから。そしたらちーちゃんたちも心配しないよね!」

 

 私は『たち』にどんな人たちを含めたのか気が付かないふりをした。今はそれを気にしてる場合ではない。目の前のことをできなくて、天才は名乗れない。

 そして、一歩を踏み出した。

 

「はろはろー天才の束さんだよー!」

 

 普通に考えればこの挨拶は無いだろう。でも、世間ではこういう人物として広まっている。このぐらいなら今更何も言われない。もっと平坦に行こうかと思ったが、むしろ印象が悪くなるらしく、そちらはやめた。

 

「今日の発表は――」

 

 その後は予定通りだった。空間ディスプレイや医療用ナノマシン、元々はIS用の追加ブースターにと開発したが、大きすぎたために飛行機に搭載できるように改造したジェットエンジン。などなど、これでも世界の技術レベルを底上げするだろう数々。さすがに、ちーちゃんに怒られるくらいやり過ぎたかなぁと思ったのだが……

 

「……え?」

 

 偉そうなだけだと思っていた学者たちはちゃんと理解していたのか、小声だが色々と話し合って、自分の考えをまとめている。

 どういう理屈で動いているのか、細かく検証しているのか計算式のようなものをメモしている人物もいた。

 なんで? 今までは理解できる人なんて……あれ? ふと、実機のお披露目で持ち込んだ空間ディスプレイで表示されている設計図や、写真を見た……正確には、解説文を。

 

「……なぁんだ、そんな簡単なことだったんだ」

 

 最初に一蹴されたのは、誰も理論がわからなかったからじゃなかった。私の文章じゃ説明しきれていなかっただけだったんだ。それほどまでに違いがよくわかる文章の違いだった。

 結局のところ、アイツのおかげなのか……まったくもってむかつく。

 

「どうかされましたか? 篠ノ之博士」

「いえ、何でもありません。では次は――」

 

 司会者に促されて次の発表をする。宇宙開発用に研究していた、居住可能なコロニーの概要……まあこれは資金や材料の多さからあくまで理論としてしか立ててない半分ネタな発表だけど。

 会場もそれをわかっているのかちょっと笑いが漏れている。ただ、実現可能だから大真面目に見ている人も3割くらい……さすがに私もこれはやらないつもりなのに、ちょっと驚いた。

 

 そして、昼休みへと入る。控室に入ると、どっと疲れが湧いてきた。のど飴をなめておかないとのども痛くなって……でも、不思議とストレスは溜まっていない。

 心の余裕が出てくると、会場にいた顔がなんとなくおぼろげにだが頭に浮かんできた。どっかで見たことある顔もいくつかあったけど……ちーちゃんとすぐ――アイツもいたのには驚いた。なんだかんだで心配し過ぎなのだ。この会場には警備の人もいるし、ISを使用する人もいる。あの怪物対策で最近は肉弾戦のプロとIS操縦者が組んでいることも多い……たぶん大丈夫だ。そう言い聞かせて、お昼ご飯を食べる。箒ちゃんの作ってくれたおにぎり……形は不恰好だけどどんな料理よりもおいしい――そこで箒ちゃんに料理を教えてくれた奴のことが頭に浮かんだ。なんだかいちいち頭に浮かんでくる。

 

「……今日ぐらいは許す」

 

 一応、心配していたんだしそのぐらいは大目に見よう。そういえば、近くに保健の――佐々木? だっけかが一緒にいた……ただ、なんだかおっぱいのどでかい子も一緒にいたんだけど……何だかむかついてきた。眼鏡にロリに巨乳とかどんだけだ。あとで揉みつくしてやる。

 佐々木で思い出したけど、中学の教頭もいたな……私のことを最後まで一般生徒扱いしていた人だ。どうにも頭に残っている人が多い。最近付きまとってくるアイツもいたな……他はまだよく思い出せない。

 

「なんだか覚えている人が多くなっちゃった」

 

 こんなのは私のキャラじゃないはずなのに、どうしたのだろうか?

 考えをまとめようとすると、時間が来た。午後の部は第二世代ISの発表。といってもカタログスペックはすでに公開してあるから簡単な説明がほとんどで、新技術は午前で終っているけど。

 会場に戻って、発表を進める。順調に進んで、そろそろ終わりというところで異変は起きた。警報が鳴り響き、避難をしてくださいとか放送が聞こえる。

 そして、会場になだれ込んでくる怪物――インベス。その中心には、この前のトゲトゲの仮面ライダーと、初めて見るライダーがいた。こっちは、片手サイズのハンマーを持った奴。

 会場はパニックになって、人々が逃げ惑う。私も急いで逃げようかと思うが、天井が崩れてきて咄嗟によける……足にがれきの破片が飛んできて、血が出た。アドレナリンが分泌されたからか、痛みは感じなかったようだが……だんだん痛くなってきた。これじゃあ歩けないッ

 

「グッ……」

「あらあら、これは好都合」

 

 目の前にライダーが迫ってきている。このまま、連れていかれる……そう思ったが、様子がおかしい。

 ISが二機、こちらにやって来てライダーを弾き飛ばした。一機は壁の向こう側へとライダーを連れ去っていく。そしてもう一機が私のそばへ寄ってきた。

 

「大丈夫ですか!?」

「足を怪我した……」

「急いでこちらに――ッ!?」

 

 だけども話はそう簡単にはいかない。火球を放ってきたインベスが複数いて、ISは避けるために一旦離れるしかなくなってしまった。インベスはどういうわけかISのシールドエネルギーと絶対防御を貫通する。なにか、エネルギー同士が干渉しているんだと思うんだけど、詳しいことは調べてみないと分からない。でも、今はその結果だけが大事だ。おかげで、ISは遠距離戦に持ち込むしかなく、いま会場は人が多い。誰かが率先して避難誘導しているからか驚くべきスピードで避難が進んでいるけど、私は無防備になった。

 

「ハアアア!」

 

 そこで、ドングリみたいな鎧をつけたライダーが迫っているのに気が付いた。だけど、その横から仮面ライダー冠が飛んできて、そのドングリ鎧を壁まで押し込んでいく。

 でも、そこで終らなかった。赤い色でライオンみたいなインベスが飛んできて、まっすぐに私に向かってきた。手には鋭利な爪――マズイ、そう思って持っていた緊急シールドを発動する。でも、失敗した。これはISコアを使用したもの。インベス相手にすぐに引き裂かれてしまった。ほんの少し、隙を作るだけが限界だった。

 ……ここで死ぬ。なんとまぁあっけない終わり方だろう…………思わず目を閉じそうになった、その時だった。私が作った隙、それが彼女が間に合った理由だろう。間に合わなければ良かったのに、そう思った。

 

「え?」

 

 いつも付きまとってきたアイツ――花村花梨が、私の盾になって、怪物に貫かれていた。

 




オリジナル設定多いな……
山田先生登場。

アリスシリーズは結構難産。
サブタイトルは内容から考えてつけていますけど、わけのわからないものも多いでしょう。

ブラーボが敵なので当然グリドンも敵側です。

次回鬱展開になりそうなので覚悟がいるかも。
作者もプロット通りとはいえかなりキツイ。
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