仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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なんかもう束さん別人だけどいいや。
前回と比べて落差がひどいかもしれませんが、どうぞ。


EP27.ネクストステージ

 なんだか医者がヤバい目をしていたから怖かったこの数日。どうも自己回復力が速すぎてサンプル的な視線をぶつけられていたらしい。マジで人体実験されるかと思った……なんだろう? なぜバッタ男に改造される人のイメージが湧いたのだろうか?

 それはともかく、ようやく家に帰ってこれる……あー埃たまっているだろうから掃除しないとなぁ…………だけど、なんだかピカピカである。どういうこと?

 

「妙に行き届いた手入れ……まさか泥棒…………だったらここまできれいにするわけないか」

 

 でも侵入者はいるっぽい。ドライバーは先生に預けておいて、退院するときに返してもらったから平気だし、預金通帳とかはばれないように隠しているけど……一応、確認しておくか。

 とりあえず自分の部屋に入ると……侵入者はすぐにわかった。

 

「……何してんだよ束」

「えっと、おかえり」

 

 篠ノ之束が、なぜか僕の部屋にいた。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「とりあえず不法侵入で警察呼ぶか」

「待って待って! さすがの束さんも前科一犯は嫌だよ!」

「じゃあ納得のいく説明をしろ」

「……てへぺろ」

「もしもし警察ですか?」

「うわーんまってー!」

 

 安心しろ冗談だ。まあ、予想はつくけど一応反省してもらうために一芝居打つことにした。

 

「素直に言えばいいのに……まだ花村のこと引きずっているんだろ」

「……」

「なんかあると茶化して次に進むタイプだからなお前は……で、どうしてわざわざこんなことを? いくらお前でもここまではしなかったと思うけど」

「…………一応、約束だから……花梨ちゃんとの」

「そっか」

 

 どういう約束をしたのかよくわからないけど、憑き物は晴れている。引きずっているというよりは、まだ迷っていると言った方が正しいかもしれない。

 とりあえず飲み物を出して一息つく。

 

「……今日来たのはそれだけじゃないの。あのインベスのこととか教えてほしいんだ」

「分かった」

「無茶は承知だけど、束さんは……え?」

「だからオーケーだって言ったの」

「……もうちょっと悩んだりは?」

「しない。言っただろ。覚悟はしているって……誰かにバレるのなんて覚悟の上、というかそんなことはどうでもいいんだよ。些細な問題だしね」

「…………白騎士事件バレたらどうしようって思ってる束さんとしては信じられない発言なんだけど……」

「そりゃお前は箒ちゃんとかいるからだろ。僕に家族は一人もいないからね。バレたところで迷惑をかける身内はもういないんだ……と言うより、その身内が死んだから僕に引き継がれたんだけど」

 

 とりあえずはどこから語るか……あのライダーたちが束を狙う以上はこいつも無関係ではないんだろうけど……うーん、まずは僕がドライバーを手に入れたあたりからかなぁ……

 

「ちょうど二年前になるのかな……父さんからこの戦極ドライバーが突然送られてきたんだ」

「戦極ドライバー? なんていうかベルトみたいだけど……大きすぎない?」

「まあ、それは思ったけど……一応ベルトではある。こいつをこうやって装着してこのロックシードをセットする」

 

【シルバー! ロックオン!】

 

「なんだか和風な音楽が流れてるんだけど……ハッキリ言って無駄なんじゃ」

「ああ、僕も思う。もう慣れたけどね。で、このカッティングブレードを使って割ることで変身することができるんだ」

 

【ソイヤッ! シルバーアームズ! 白銀ニューステージ!】

 

「仮面ライダー冠……」

「そういうこと、で外して少しすると変身は解除される」

「……空間をどこか別の場所とつないで鎧を呼び出したり、スーツを展開するというよりその場で構築している…………束さんでも理解が及ぶ範囲を超えているよソレ」

「お前でもそう言うレベルなのか……元々は父さんと、母さんの兄さんが中心になって作っていたものらしいんだけど……」

「そういえば家族はいないって」

「うん、研究中の爆発事故で父さんは死んだって聞いた。母さんはお前も話には聞いているだろ?」

「……ちーちゃんからね。それで、そのロックシードってなんなの?」

「まあ実際に見た方がいいか」

 

 取り出すのは、世界樹の苗木。ドライバーを装着してちょうど一つなっていた果実をもぎ取る。すると、果実がロックシード――オレンジロックシードに変化する。

 

「!? え、なにこれ!?」

「ヘルヘイムの森、そこになっている果実にはとんでもないエネルギーが秘められていて、このドライバーはそれを人間が使える形に変換する機能がある。父さんたちもエネルギー問題解決のために研究していたみたいだけど……正直、危険すぎたしろものなんだ。この木は亜種だから平気だけど……ヘルヘイムの森の果実を見たものは――」

「都市伝説の通りに、食べたくなって……」

「インベスになる。あの都市伝説自体、僕が流しているんだ」

 

 束はオレンジロックシードを手に持ち、色々な角度から眺めている。スイッチを押して開錠したり、また戻してみたり……あんまり不用意にいじらないでね。一応危険物だから。

 

「そもそもヘルヘイムの森ってなんなの?」

「鎧が出てきた空間は見たか?」

「うん……なんか森っぽいけど、あれがそうなんだ」

「そう。僕の見解だと地球上に重なって存在するもう一つの地球とでも言えばいいのかな……異界って言った方が良いと思うけど」

「はぁ……なんだか束さんでもわからな過ぎて今まで色々悩んでいたのとか、頑張ったのとかすっごいどうでもよくなっちゃったんだけど……というかなんでそんなところがあるのに今まで知られていなかったのかな」

「ああ、インベスはつい最近狂暴化してこっちに出てくるようになったんだ。今まではそんなことはなかった」

「……え、そうなの?」

「ちょうど二年前。僕が戦い始めたのは狂暴化してからなんだ。というより、最終的な目的とも関係があると思う」

「最終的な目的?」

「ああ……元々、戦極ドライバーはこいつと、この研究チームの使っていた簡易版の二つしか残っていなかったはずだったんだけど……最近、爆発事故の原因を思い出してね。三つ目の存在を思い出した。しかも量産されている可能性もね」

「……」

「研究チームの開発した金のリンゴロックシードの暴走が爆発の原因。でも、そいつを使った研究員は死んでいなかったんだ。今も、どこかにいる……そいつなら量産が可能だし、こいつを作れるような科学者だ……お前もなんとなくわかったろ?」

「束さんの可愛いISたちに……変なことをして、こっちの命令を聞けなくした。うん大体わかったよ。束さんも無関係じゃないってこともね」

「……ご明察。ごめんな、いくらお前でも向こうに行けば――」

「大丈夫、もういいんだ……」

 

 他には、この二年間の戦いについてを少し語ったのと、黄金の果実についての概略を話しただけだった。

 よく考えるとあんまり情報とか集まってないんだよなぁ……こう、あと一歩足りない感じだ。

 

「……で、この前使ったアレはなんなの?」

「あれって言いますと……」

「血を吹いていたアレ。なんだか危ないものなんでしょ?」

「……えっと、あれはその――」

「いいから、言いなさい」

「はい」

 

 結局、洗いざらいゲロっちまいました。なんかそんな危険なことするなとものすごい怒られた。

 しかし、現状二人のライダーに対抗する術はこれしかないし……ゲネシスドライバーがあれば良かったんだけどなぁ……

 

「ゲネシスドライバー?」

「ああ……このゲネシスコアを中核とした新型のドライバーだよ。父さんが一人で研究していたっぽいんだけど……完成することはなかったんだ。こっちのエナジーロックシード専用のドライバーなんだけどな」

「……ねえ、これ束さんに貸してくれる?」

「え!?」

「この天才の束さんがそのゲネシスドライバーを完成させてあげるって言っているんだよ!」

「いやでも巻き込むわけにも……」

「……束さんも無関係じゃないんでしょ? だったら私だってやりたいことはやりたい。言ったよね、まっすぐ進むのが私だって」

「…………そりゃそうだな。やっぱお前はそうじゃないとな。じゃあ、こいつも持っていけ」

「これって……花蓮って人の形見じゃないの?」

「そうだけど、お前に持っていてほしいんだ。そいつをつけていれば、もしもヘルヘイムの果実を見ることがあっても平気だしな」

「……わかった。それじゃあ何かあったら連絡するね」

 

 それだけ言うと、束は玄関までちょっと小走りでかけていく……ただ、少しだけ立ち止まって何かを考えているそぶりを見せると、いきなり振り返って――花の咲くような笑顔がそこにあった。

 

「私も、目的を果たすまでは少しだけ我慢するけど……やっぱり、好きなものは好きなんだ…………だから、覚悟しておいてよね」

「……そっか」

「ふっふっふー、じゃあまたね英!」

 

 そして束はなんだか妙なテンションで走って行った……あ、オレンジロックシードも持って行きやがった……まあいいけど

 なんていうか慌ただしい一日だったなぁ……あと最後のは反則だろ。今までのギャップもあって破壊力がヤバい。

 

「……さてと、僕もうかうかしていられないな。今までとはわけが違う。インベス相手とはまた違った戦法を考えないと厳しいぞ…………」

 

 これは本格的に篠ノ之道場に通った方が良いかもしれないなぁ……

 

 ◇◇◇◇◇

 

 翌日のこと、さすがに学校は行かなくちゃいけないのでゆっくりと歩いていると、目の前に見知った影が二つ……仲直りできたんだな。

 

「おいーっす、束、織斑」

「なんだその挨拶は……それにしても、束、か…………」

「にやけた顔すんじゃねぇよ」

 

 織斑は案外、人をからかうのが好きなんだよな……これは覚悟しておくべきか……だが、束の反応がないのが気になる。

 

「……ほわぁ…………おはよう英」

「隈が凄いけど……大丈夫か?」

「うん、さすがに一日じゃ無理だったよ」

「だろうな」

 

 僕も解析にはかなり時間がかかったし、いくら天才とはいえアレを調べるのには骨が折れるだろう。

 

「……束まで、名前呼び、だとっ!?」

「織斑……さすがにそれは失礼じゃないか?」

「ちーちゃん驚きすぎ」

「いやいやいやいや!? 束が名前呼び捨てなど初めて聞いたぞ!? 蜂矢ッお前どんな魔法を使ったのだ!?」

「…………束、ここまで驚かれているのってどうなんだ?」

「……もうちょっと、人の名前覚える」

「うわああああああああああああああああ!? 束がなんか別人だぁああああああああああああああ!?」

「失礼過ぎるよ!?」

 

 織斑は、絶叫を上げて学校まで走って行った……今日は朝練無いはずだけど、こりゃあ授業始まるまで素振りをして精神を落ち着けようとするよなぁ。アイツの行動パターンもこの数年で大体わかってきた。

 

「……ねえあそこまで驚かれることなの?」

「成長して視野が広がっただけなのになぁ……そっか、織斑は逆に成長し過ぎて脳みそ固いんだ」

「あーちーちゃんそういうところあるんだよねぇ……」

 

 ミス堅物だしな。美人だけど堅物過ぎてそう呼ばれていたのである。中学時代だけど……本人は知らないんだろうね、天然入ってるし。

 そういうところ表に出せばモテるだろうに持ったいな――痛ッ

 

「な、何故私の足を踏んでいるんでしょうか束さん」

「いくらちーちゃんでも、邪な考えを持ったら……どうなるかわかってるよね?」

「い、イエスマム!」

 

 なぜだ、なぜ逆らえない――ッ

 そんなこんなで学校にたどり着く。薄々思ってはいたが、束はすこしおびえているように見える。

 

「やっぱり、怖いか?」

「……うん」

「案外、トラウマなんて誰もが抱えているもんだよ。大事なのは、受け入れられるかどうか……安心しろ。みんなが敵になっても、僕は絶対にお前の味方だから……織斑だってそうだろ?」

「……うん。そうだね」

 

 最初は悲しそうに、でも次は安心したようにうなずく。さあ、行こう……前に来た時より、静まり返った校舎。教室には人はまばらで、なんだか暗い雰囲気。

 ちらほらと、こっちを見る人が数人……束は、僕の後ろに隠れる。元々、他人に対しては本質的に恐怖を抱いている気があった。視野が広がったことで、彼女はそれが表面に出てしまったのだ。

 クラスの反応は……唖然としている。案外、受け入れられるのは早いのかもしれない。

 

 

 ちなみに、織斑がこの様子を見て乱心したおかげでオチが付いて、表面的にはクラスの空気は良くなった。工藤先生がいつも通りの仕事をし、田中くんがみんなをまとめていたおかげで束に対してはそこまでひどいことにならなくて良かった……それでも僕たちは忘れることはない。ここにいたもう一人の女の子を。

 

 こうして、とある一人の女の子にまつわるお話は終わり、新しい物語が幕を開ける。僕と束と、そしてライダーたちの。新しい物語が。




なんだか、自分が書くヒロインはヤンデレの気があるような……
この作品の千冬さんはこういうポジション。というより、原作の端々で出てた素の部分を強調した結果でしょうか。一夏の姉だし、まだ思春期だし。

これにて第三部は終わり。まだ高校編は続きますが、一応一区切り付きました。
そしてついにわが主人公英にもちゃんとした協力者が!
20話以上、作中では2年も一人で戦わせてごめんよ。

メタな理由を言うと、ゲネシスドライバーが未完成なのはこのためでもありましたが。

モンドグロッソの開催時期が原作に明言されていたので、慌ててプロットを見直しています。
途中、おかしいなと思ってもスルーしてください。後々説明入れますので。
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