仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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ほとんど説明回ですが、序盤はちゃっちゃと進めないと途中で倒れる気がします。
割とオリジナル設定が多いですが、パラレルワールドってことで一つ。


EP03.桜吹雪

 怪物の戦闘の後、家に帰ってきたのはいいがかなり疲れていて、すでに夕方。夕焼け空がまぶしくて、目に痛い。

 花壇の水やりを忘れていたことを思い出して、ホースで放水(ホースイ)する……5点(100点満点中)だな。まだまだ修行が足りない。

 

「なにをくだらないことを考えているのだお前は」

「いや、自分でも最低点を更新したところだから追い打ちかけないでくれ」

 

 彼女……織斑千冬はいつもの通り不愛想な顔をして玄関に立っていた。手にはクリアファイルのようなもの――というかクリアファイルを持っていた。

 じっと見ていると、中からプリントを取り出して渡してくる。

 

「林間学校のお知らせだそうだ。珍しいものだな、お前が連絡もなしに休むなど……驚きすぎて束が目を見開いていたぞ」

「え、惜しいものを見逃したんですが……やっぱずる休みはいかんね」

「本当にどうしたのだ? そういうことをするような奴とは思っていなかったが」

 

 なんとなく、そんな日もある。

 もっとも、口で言うほど良くなかったとは思っていない。おかげで、守ることができた人もいるのだ。

 

「で、林間学校ね……まったく学校も毎年毎年飽きもしないもんかね」

「生徒は毎年違う。それだけでも違うものではないのか?」

「そんなことはないと思う。まあ、そこまで言うのなら教師になれば? 自分で証明して見せろ」

「……教師か、それも悪くないな」

「え、冗談で言ったのに」

「ふっ冗談だ」

 

 織斑マジ男前。でも表情には出さない。バレたら何をされるかわからない。

 

「そういえば、聞いたか?」

「何を?」

「向こうの通りの事件だ」

 

 ……さすがにご町内には広まっていますよね。そうですよね。

 しかし、あまり不用意に話を広げたくないのも事実。とりあえずごまかす。

 

「今まで寝ていたからなぁ……事故かなんか?」

「なんでも怪物が現れて、特撮ヒーローみたいなやつがそれを倒したそうだ」

「……」

「言っておくが、私も聞いただけで目撃者の話をそのまま言っているだけだからな」

「ああ、うんわかってる」

 

 確かに、自分でも思っていたことだが……人に言われると言葉が出なかっただけである。

 

「さて、私はいくぞ……明日は学校にこいよ」

「わかってますよ、さすがに今日のは気の迷いだよ」

 

 二日続けて、なんてことは無いと信じたいのは僕も同じだけど。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 水やりを終え、部屋に入る。とりあえず散らかっているものを片付けないといけないと思うが、色々と面倒くさい。まず、資料類を整理しないと……英語辞書片手に翻訳もしないといけないのか。

 ロックシードはどうするか……とりあえずなくさないように机の上に置いておこう。

 

「でも、一体何なんだろうこれ……変身したときのエネルギー源なんだろうけど、この大きさでとんでもない量のエネルギーを持っているってことだよな? オーバーテクノロジーどころの話じゃないとおもうけど……考えたって仕方がないか」

 

 とりあえずは晩飯を作っておくか。今日は焼きそばにしようそーすよう……2点(最低記録更新)。

 つまらない洒落を口に出しながらテキパキと準備を終えて、食べ始める。一人の食事は何ともまぁ味気ないものである。

 

「……一人か、父さんは…………」

 

 プルルルル、プルルルル、そんな音と共に思考を中断させられる。しかし、僕にはこの音……電話に出た時点で何か、嫌なものが確定してしまう。そんな気がしてならない。

 それでも電話は鳴り続ける。とるしかない、世の中には目を背けることができないものもある。

 

「……もしもし」

 

 電話は海外からだった。予想はしていた。父さんの安否についてだった。電話は父さんの所属していた研究チームのスポンサーが手配した救助部隊らしい。

 結論から言うと――僕の父、蜂矢昭雄(あきお)は死んだ。爆発事故で死体も残らなかったらしい。研究チームも全員生存が確認できなかったそうだ。だから正確には行方不明なんだろうけど、生存は絶望的。僕も、父が生きているとは思えなかった。

 研究チームの名前を言われ、遺族に知り合いがいないか尋ねられた。どうも、連絡が付かない遺族もいるらしい。しかし、だれも心当たりがないので何も言えなかったが……研究チームのリーダーに心当たりがあった。

 カウラ・ゲインクロイム・戦極。おそらくは、戦極ドライバーは彼の名前から取ったのだろう。しかし、僕の心当たりはそこではなかった。

 ゲインクロイム……母さんも同じ名前を持っていたのだ。

 とりあえず、そのことだけ伝えると……それについては調べがついていたらしい。どうやら、戦極博士は母の兄で、僕の伯父にあたる人物らしい。もっとも、母方の家族ももういないのではあるが。

 父からも聞かされていなかったが、どういうことなのだろうか? しかしそれ以上に僕が言えることがなく電話を切った。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 昼間寝てしまったからか、寝付けない。仕方がなく、説明書を読んでみる。

 

「……」

 

 内容はあまり頭に入ってこない。結局の所、父親が死んで悲しくないわけがないのだ。それだけに、なぜ自分にドライバーやロックシードを送ったのかが気になる。

 

「そうだ、タイミングがよすぎる」

 

 爆発事故に巻き込まれていたら研究成果は失われていた。だから送ってきたのか? でもなんで使い方を教えたんだ……父さんは何を考えていたのか、今知るすべはない。

 だからこそ、調べなくてはいけない。父さんが何を考えていたのか。何の目的で戦極ドライバーとロックシードを僕に託したのか。それに、この腕輪のことも古いものぐらいしか考えていなかったが、あの怪物の出現に合わせて光っていたことと考えて無関係ではないはずだ。

 

「……やっぱり、手掛かりはこれだよな」

 

 説明書、英語を翻訳しないといけないけど、一部日本語で書かれているところもある。特に、戦極ドライバーの基本的な機能や使い方は書かれている。

 一通り読んだ限りわかったのは、パワードスーツのようなものであること。体に装着されたスーツはライドウェアと言い、身体能力を引き上げる力がある。また、各部パーツにはそれぞれ肉体強化などが可能であること、ロックシードのエネルギーから形成した鎧をまとうことで完成されるとも。

 ロックシードは特殊な果実から生成されること、その果実は……

 

「これって、父さんの持ってきてくれた木になっていた実だよな?」

 

 木は複数種類あるようだが、なぜか同じような形の実をつけている。とりあえず、持っている木は一つだけだからいいけど……どうやら、戦極ドライバーをつけた状態で実をとると自動的にロックシードに変換するようだ。ドライバーに記憶されているロックシードから自動的に選別して変化させるようなのだが……父さんから送られたロックシードはどうやら特殊なものらしい。サクラはロックビークルと言い、レアではあるが量産可能。しかし他の二つは一点もののようだ。

 なんでそんものを送ってきたのかとも思うが、気にしても仕方がない。ロックシードにはランクがあり、最低ランクでは栄養にしかならないが、よりランクが高いほど高い能力を発揮する鎧と武器を生成できるらしい。って、栄養?

 

「え、最低ランクのロックシードでも食事を必要としないエネルギー源として利用できるって……マジで?」

 

 どうやら、パワードスーツよりは次世代エネルギー源としての研究で生まれたものらしい。しかし、ブラッドオレンジロックシードは逆にエネルギーを吸われたような……

 他にも、色々わかったことはあるが……あまり役に立つような情報はなかった。やはり、翻訳を頑張るしかないようである。

 父さんの走り書きが残されていたため銀のリンゴの武器が蒼銀杖であること、ブラッドオレンジは父さんがオレンジロックシードを強化改造して作られた強化型のため他のロックシードと違い、使用者の体力を過度に消耗することが分かった。ああ、だから昨日はあんなに疲れたのか……本当、何を考えていたのか。しかし、他のロックシード以上の性能が出るらしい。一応、最後の手段程度に覚えておこう。

 

「ってあの怪物のこととか何も書いてないし……無関係? でもあの空間の裂け目は鎧が出てくるときと同じようなものだった……本当、何考えていたんだろう?」

 

 もう一つ分かったのは、あの空間の裂け目はクラックと呼ばれているらしいが、詳細は日本語で書いていなかった。ただ、クラックから鎧が出てくるぐらいにしか書いていないのだ。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 頭を働かせたからか、その日は普通に眠り翌日はしっかりといつも通りの時間(5時)に目が覚めた。

 今日の支度を済ませる。ずる休みしてしまったからか、ちょっと学校に行き難い……そんなことを考えていると、再び左手が熱くなった。

 

「……はぁフラグだったか」

 

 光は弱い。だけども感覚的に僕に伝えてくる。クラックが開くまで時間がない。放っておけば被害はひどいことになるだろう。一中学生の時間と、人命。天秤にかけるまでもないだろう。

 

「でも時間がないし、どうやって……いや、方法はある」

 

 部屋に戻り、ドライバーとロックシード……今回はサクラも持っていく。と、そこで鉢植えを見た。水は帰ってきてからでも十分だと思うが、説明書の一文が頭によぎった――そして、ドライバーをつけて果実をもぐ。

 果実が光り輝いたと思った次の瞬間、もはやこの程度では驚くこともないが機械的な質感……ロックシードへと変化していた。その果実はイチゴ、説明書にもあったランクの高いロックシードの一つ。僕の持っている戦極ドライバーでは果実の純度などに作用され15種類のロックシードに変化する。今回はランクの高いイチゴ……とりあえず、持っていくか。

 外に出て銀のリンゴロックシードを開錠する。

 

【シルバー! ロックオン!】

 

「変身!」

 

【ソイヤッ! シルバーアームズ! 白銀ニューステージ!】

 

 次にロックビークルを取り出す。相変わらず、物理現象が仕事していないような変形だが、今は気にしている時間はない。

 しかし、使わないロックシードが邪魔なような……いや、右側にロックシードをつけられるホルダーがあった。そこにブラッドオレンジとイチゴ双方を取り付け、ビークルにまたがる。幸い、ロックビークルにはある程度操縦者を補助する機能があり、変身時はさらにサポート能力が高まる。

 

「いくぞッ!」

 

 ◇◇◇◇◇

 

 英が飛び出したとき、生徒たちの登校が始まっている時間だった。当然、部活の朝練で早かった彼女も目撃していた……その桜吹雪を。

 

「あれは……昨日聞いた奴か?」

 

 

 一方、研究で徹夜していた彼女も栄養ドリンクを買いにコンビニに来ていた。いつも使っているコンビニの近くで起きた事件のせいで少し遠出しなければならなかったことは彼女の機嫌を悪くしていた。

 

「まったく、この束さんを侮辱するとか嫌な世界だよ……ん?」

 

 見えたのは白い閃光。まるで桜吹雪、バイクにまたがった冠をつけた鎧武者は束を気にすることもなく走り去っていく。

 

「……?」

 

 まだこの時はすれ違っただけに過ぎない。この時はまだ。

 




名前を出してませんけど、最後のは誰かわかりますよね?
戦闘は次回。

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