仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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意外と難産。そして、色々と瞑想?


EP33.夏になく

 気が付いたら始まっていたデートであるが、待ち合わせしてお互い顔を合わせたところで重大な問題に気が付いた。

 

「「……何をすればいいのかわからない」」

 

 二人して、デートが何をするものか全くわからなかったのである。

 気が付けば、ずっと戦いの日々……これはマズイのではないだろうか?

 束もずっと研究の日々。

 

「一般的な高校生からは程遠いからなぁ」

「そうだね……そうだ、こういう時こそ人に聞くんだよ!」

 

 と言うわけで、知り合いに聞いてみようということになったわけだけど……

 僕のアドレス。束、織斑、佐々木先生、他はもう二度と使用できない人たち。あ、一応真耶ちゃんもあった。

 束のアドレス。僕、織斑、家族……あとはIS関連の仕事用。

 

「……ねえ」

「言うな。それを言ったらおしまいだ」

「…………束さん、今まで友達はちーちゃんだけで良いと思っていた。でも、こういう場面に直面したら……なんか、こう、目から熱いものが」

「言うなってば! 僕だって同じなんだよッ」

 

 生まれてから15年と少し……もう16か。まさかここまで友達いないってことがキツイとは……

 束もこの虚しさを知ってしまったようである。

 

「やめよう。とにかく男女がなんかしてればそれがデートってどっかで聞いたことがある!」

「まあそれはそうなんだろうけど……そもそもなんでいきなりデートに誘ったんだよ?」

「うーん、けじめとか線引きとかいろいろ考えていたんだけどさ、それって我慢することじゃないよねって思って」

「そりゃそうだろ。まあとにかく今日はどこに行きたいんだ?」

「……あは」

「考えてなかったのかよ」

 

 ◇◇◇◇◇

 

 結局、あちこちブラブラとして、適当に買い物して、適当に見て回っているだけだった。

 服……そもそも束は自分で作る。僕はミリタリー系や作業着など頑丈なのをまとめ買いしている。

 じゃあ小物……そういうキャラじゃない。

 お菓子……盛り上がったけど、なんか違う。

 おもちゃ……箒ちゃんへのプレゼントで盛り上がる束。懐かしい獣型ロボットのトイがあって思わず買う僕。うん、もはや一緒に買い物に来ただけだぞこれ。

 食事……いつもの癖でファーストフード…………

 

「よく考えたら普通の青春捨ててるんだよなぁ」

「言わないでッ、束さんだってそれには目を瞑っていたのに!」

「中学二年っていう一番バカやる時期からこうなんだぞ。遊び方なんて知らないって」

「よく考えたちーちゃんとこういう風に出かけたことってあったかなぁ……ちーちゃん、後輩にモテていたから結構慣れているらしいけど」

「でもその後輩女だぞ」

「……なぜ知ってる」

「ロックシードの研究用に色々買いに来たときに、な……ここ結構何でもそろうし」

「たしかにね……束さんもIS作るのに色々と…………コアの材料とか」

「ショッピングモールで手に入るんだ、コアの原材料」

 

 そこらへん結構気になるけど……あえて聞かないでおこう。なんか、こう知らなければ良かったってなりそうで怖い。

 

「というかちーちゃんやっぱり女の子にモテるんだね」

「真耶ちゃんもそんな感じで見てたしなぁ……やっぱりそっちの――「ねぇ?」――何でしょうか、はい」

 

 ものすごく、凍えるような声が聞こえた。

 

「真耶ちゃんって、誰?」

「ええと、何と言いますか、佐々木先生の親戚で」

「もっと具体的に、どういう知り合い?」

 

 あの事件の時に知り合った、一つ年下の子でー、えっと将来はIS操縦者になりたいと……アドレス? ええ持っていますが……写真、この子…………ああうん、確かにそうですが、ええ……えっと、その…………ごめんなさい。

 理不尽に怒られたが、この場合男は謝るしかないのである。

 ……怒る束を見て可愛いとか思ってしまった僕はもう色々とダメかもしれない。

 

 浮ついた気分もそこそこに、日が沈んできて帰ろうと歩き出す。

 ……手ぐらいはつないでもいいのかもなんて、考えて。

 

「……こういう日が続くのもいいかもね」

「だな」

「だけど、やっぱりさ……何もしないで得られるものじゃないと思うんだ」

「……」

「だから束さんはがんばることにした。負けないで、くじけないで、走り切ってやるってね」

「……そうだな、僕もそう思うよ」

「…………うん、頑張ろうッ」

 

 そして、束は笑顔で走り去っていった。いつの間にか、僕の家と篠ノ之家との分かれ道だった。

 案外、こういう一日ってのが一番楽しいものなんだな……すっかり忘れていた。

 

「僕も気を張り詰め過ぎていたかな……危ない危ない。途中でバテる前に気づけて良かった」

 

 少し、頭を冷やしてから帰ろうかな。

 いつもの海へ来て、砂浜に腰掛ける。なんだか、リフレッシュできたような気もする。

 

「もうすぐ夜か……ん?」

 

 そろそろ帰ろうかなぁ、なんて思っていると近くに小さな女の子が座っていて、泣いているのが見えた。声を押し殺していたからわからなかったけど、一夏君たちと同じくらい……どうしたんだろうか?

 眼鏡をかけて、色素の薄い髪色をしている。なんだかおとなしそうな子だ。

 

「どうかしたの?」

「ふぇっ!?」

 

 いかんいかん、驚かせてしまっただろうか? というかいきなり、僕みたいな男が話しかけても驚かれるだけか。これはミスったかな?

 

「…………お兄ちゃん、誰?」

「誰と言われても……この近くに住んでいる、ヒーロー博士かな。仮面ライダーって知ってる?」

「うん……すごくカッコいい」

「そっか」

 

 自分でも無いわーとか思ったけど、意外と食いついてきた……男の子相手なら食いつきいいからってついつい使っちゃったけど、この子ってそういうの好きなのかな?

 ちなみに、クラックが出現していないか見回りをしていたりするときに結構迷子に遭遇することが多く、こういう対応は何度もしている。

 

「前に、近くで見たことあるけど……こんなにおっきいなイノシシさんをパイナップルで、こーんなに高く飛ばしてたの」

「そ、そっかぁ……フレッシュパインの時か」

「フレッシュ?」

「いや、こっちの話」

 

 あのインベスの時に商店街にいたのか……そりゃ食いつきいいはずだよ。間近で見てるんだもん。

 女の子はその後も、色々と仮面ライダーについて語ってきた……結構恥ずかしいなこれ。と言うより、目の前にいるのがその仮面ライダーなんだよなぁ……子供の夢は壊さないでおこう。

 

「……お兄ちゃん、きれいな青色だね」

「…………ありがとう。君の赤色もきれいだと思うよ」

「うんっ、お姉ちゃんと同じなんだ! ……でも」

 

 どうやら、泣いていたのは姉に関連しているらしい。褒められてうれしい理由が、姉と一緒だからってあたりこの子もシスコンか……なんかそういうのに縁があるな。

 

「喧嘩でもしたの?」

「……違うの、私お姉ちゃんにひどいこと言っちゃって…………」

「ひどいこと?」

「うん……お姉ちゃんが作ってくれたあみぐるみを、下手だって……」

「それはまた……ドギツイ一言を。というか、どれくらい下手なの?」

「……これ」

「…………うわぁ」

 

 ひどい。ひどすぎる。これはもはやキメラだ。と言うか基礎もできないのになんというチャンジャーなお人だろう……

 ちなみに、僕がこの子の姉は年子で一つだけ上だったというのを知るのはかなり先のことである。この時は、僕とそう年が変わらないと思っていた。近くの二人を参考にしたためである。

 

「うーん……これは練習してどうこうなるってレベルじゃないな……おとなしく他のプレゼント作れよ」

「……お姉ちゃんに嫌われちゃったのかな?」

「どうだろう……そうだ」

 

 とりあえず一夏君にあげようと思っていたレシピを取り出す。簡単なカップケーキだけど、子供でもおいしく作れるやつだ。

 

「これの通りに作ってお姉さんにあげてごらん。そしたら、すぐに仲直りできるよ」

「ホント?」

「ああ、もちろん。絶対に大丈夫だよ」

 

 女の子は少しだけ微笑んで、ありがとうとだけ言い残して去って行った。

 うまくいくといいけど……

 気が付けばあたりは暗くなっていて、空には星が浮かんでいた。

 

「こんな日が続けばいいんだけどなぁ……」

「そいつはねぇよ……ここで俺がお前をぶっ殺すんだからよぉ」

「……まったく、お呼びじゃないっての」

 

 どこかで聞いたことのある声。自分の弱さと向き合わないで、ただ理不尽な恨みだけで向かってくる男。

 須郷がそこに立っていた。

 

「何の用だ? 学校は退学したらしいけど……そこまでするのか?」

「お前にはわからねぇよ……男ってのはな、その強さで自分の居場所を作るんだ。てめぇみたいになよなよした奴に負けて、俺は居場所を失った。死ぬ気で強くなっても、ぬるま湯につかったお前に負けた……女の力を借りたお前にな……俺は許せない。お前も、あの女も、俺自身もだ!」

「なんつー自分勝手な……」

「何とでも言え。勝った方が正しいんだからな……だから俺は間違っている。だからこそ、お前を倒して、俺の方が正しいと証明する!」

「し、支離滅裂過ぎるッ」

 

 なんでこう、厄介なのに絡まれるかなぁ……しかも前に比べてもかなり筋肉とかが付いている。しかも、さらに昔の番長みたいな格好になってる。なんでかアイツだけ、周りの風景と比べて絵のタッチが別物みたいな雰囲気がある。

 

「いくぞぉおおおおお! 変、身!」

【フレッシュ! クルミアームズ! ミスターナックルマン!】

 

「なっ……ならこいつで! 変身!」

【シルバーアームズ! 白銀ニューステージ! ジンバーレモン! ハハーッ!】

 

 フレッシュアームズはまだ発動条件とかわかっていないのに、どうして……今は考えるのは後だ。まずはこいつをどうにかして倒さないと。

 

「オラぁああ!」

「うぐっ、ジンバーでも防御するのはきついか」

 

 左の籠手でナックルの拳を受け止め、右のソニックアローで弾き飛ばす。

 ソニックアローは近接の武器としても使えるので、距離に関係なく戦えるのが強みだ。

 それに、フレッシュと言ってもクルミアームズとは武装の違いはないみたいだな……

 

「悪羅悪羅ァ!」

「何というか、出会うごとにキャラ変わるなお前!」

 

 うまく受け流しているけど、正直キツイ……予想以上のパワーアップ。何がこいつをここまで駆り立てるのか。だけど、僕も負けるわけにはいかない。

 ソニックアローの弓を引きながら後ろへ下がる。狙いをつけて、タイミングを見計らわないと……

 

「食ら――「ハッ」――ったぁあああ!?」

 

 腹部、鎧の覆っていない部分へ一撃がヒット。時間もかけたくないとレモンエナジーロックシードをソニックアローへセットする。そして、ブレードを一回叩く。

 

【ロックオン! シルバースカッシュ!】

 

 弓を引き、エネルギーを充填させていく。黄色い矢の先端に青い炎が灯り、エネルギーが集束する。

 ナックルへ向けて、いくつものレモンの輪切りを模したエネルギープレートが展開されて、狙いを定めている。そして、矢の先端の光はリンゴのような形へと変わる。

 

「はあああああ……ヤァア!」

 

【レモンエナジー!】

 

 放たれた矢は、まっすぐに突き進み、ナックルへと直撃した。

 

「がああああああああああああああああ!?」

 

 彼はのたうち回り、変身を解除した。いや、勝手に解除させられたってのが正しいのか。

 どうやってフレッシュアームズを獲得したのかは知らないけど、このままにしておけないと彼を捕まえようとするが――そういえば、彼も一人ではないのか。

 ドリノコが飛んできて僕の足元に突き刺さる。普通のドリノコとは違い、薄く緑色に輝いている。

 

「あらあら、独断専行はするなって言ったのに……まあいいわ。噂のジンバーアームズを見れたし。新しいエナジーロックシードってやつね?」

「ブラーボ……後ろにいるのはグリドンってやつか? それに……同じ、ライダーがたくさん?」

「ええ、まだ試作だけど量産型戦極ドライバーがこれだけ完成したの。まだお披露目するつもりじゃなかったけど、この坊やが勝手に飛び出してね」

「ふーん……しかも、ドリアンまでフレッシュとか笑えないな……で、まだ続けるの?」

「いいえ。今日は引くわ。あなたもこれだけの人数を相手にしたくないでしょ?」

「まあできればね……でも、いざとなったら禁じ手も辞さないよ」

「あら怖い……それじゃあまた会いましょう」

「二度と来るな」

 

 奴らはチューリップを模したロックビークルを展開し、クラックに消えていった。

 あたりには、静けさだけが残り、僕も変身を解除した。

 

「……ふぅ、まったく嫌になる。思ったよりも、手こずりそうだなぁ」

 

 ドライバーの量産か……プラントを叩きたいところだけど、無理だよなぁ……

 フレッシュアームズを使ってくる上に、あの戦力。でかい組織ではあるのか。

 

「…………束とも相談するしかないか。本当、禁じ手だけは使いたくない」

 

 アレはレモンエナジーとの相性が悪いし、他のエナジーロックシードを早いところ開発した方が良いのかもしれないな。

 




名前出さなかったけど、再び登場のあの子。
彼女の話はまた大分先になります。

禁じ手は使うかどうか未定。
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