仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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副題:新たな受難


第5部・新規新鋭のチェリーブロッサム
EP37.新たな翼


 本日も快晴。僕にとっては大分キツイ天気ではあるけど。

 

「……あちぃ…………もう秋だってのに、なんでこんなに暑いかなぁ」

 

 今日は倉持技研に赴く日。束と共に織斑の専用機開発を行うために篠ノ之家まで迎えに来たのだけど……なんだか慌ただしい音が聞こえてくる。ドタバタという……さては寝坊したな。

 

「ご、ごめん準備できたッ」

「いいからパジャマ着替えろ……」

「ふぇ? ……ひゃわっ!?」

 

 慌てて逆戻りし、また出てくるのに結構時間が必要だった。慌てるから余計時間を食うのだ……

 まあ荷物の準備はしておこう。とりあえずロックビークルを展開して荷物を括り付ける。しばらく徹夜になりそうだなぁ……出席日数大丈夫か? いやまだそこまででもないか。よほどのことがない限りは大丈夫だな。

 ちなみに僕も束も先日免許は取ったから大っぴらに運転ができる……サクラハリケーンの番号登録が面倒だったが。具体的な方法は伏せておく。また一つ嫌な思い出が増えただけだから。

 

「お、お待たせ」

「まったく。大丈夫か?」

「えへへ……実は緊張してたり。ちーちゃんはもう行っているの?」

「今日は補修。ほれ、宿題忘れたのと、二学期最初の数日休んだだろ……まあ、製作には関わらないし元々行く予定じゃないって」

「あーそれもそっか……仕方がない。じゃあいこっか」

 

 僕はサクラハリケーンに、束はバラのロックシードを展開したビークル、ローズアタッカーに乗り込む。両方とも荷造りは終わっている。というか何日ぐらいかかるのだろうか?

 いくら束がいるとはいえ、ISを一機作るのって相当時間がかかると思うのだが。

 

「束、時間的にはどのくらいかかりそうだ?」

「うーん、まだ何とも……最低でも今日は徹夜かなぁ」

「…………だよな。まあ行くぞ」

「うん」

 

 そして二人で倉持技研へと向かう。

 道中はコンビニに立ち寄ったり、道を確かめながらなので少しばかり時間がかかったが、予定より遅れずに済んで良かった良かった。

 ちなみに、迎えが来るわけじゃなく、自分で行くことになったのはある意味護身を兼ねている。まあ誘拐が怖いからね……自分で行く方が安全って場合もあるのだ。自分で戦力を用意できる分には。

 というわけで山奥にあるその場所についたけど……見た目は普通だな。しいて言うのなら真っ白。でもまあ珍しいってわけじゃないか。

 

「……ここで良いのか?」

「うん……たぶん」

「なんだよたぶんって」

「いやぁ……普通すぎて」

「ああ」

 

 それは思ったけど、立ち止まっていたら仕方がない。

 僕らは中に入ることにした。受付で束が自分の名前と事前に貰ったIDカードを提示する。僕も束の助手名義で一応貰っているから提示しておいた。

 案外すんなりと通され、目的の部屋へ向かう。あたりを見てみるけど、色々と部署があるみたいだ。居住区もあるっぽいし……うん? なんかどっかで見たことがある顔が見えたような……

 

「どうしたの?」

「いや、どっかで見たことがある顔が……ああ、同じクラスの篝火だ。なんでこんなところにいるんだ?」

「クラスメイトの情報は一通り見たけど、家の関係だったと思うよ。束さんも詳しくは知るつもりなかったからそこまでしか知らないけど」

「ふーん……」

 

 ただ、一瞬こっちを見てあわてて隠れたような気もするんだけど……一瞬、ブラーボの正体が彼女かと思ってしまったが、アイツはオカマだしそれは無いか。グリドン? あれも男の声だしなぁ……

 ナックルは須郷だし、他の量産型は同じ組織の人間……というかアイツら何者なんだろう……やっぱその方面に詳しい伝手があればなぁ……

 

「ついたよー」

「っと、ここか……束はもう顔合わせしているのか?」

「ううん。連絡貰って、ちーちゃんの専用機作るから手伝ってくれないかって言われただけ。私は干渉するつもりはなかったんだけど、ちーちゃんのIS適正が高すぎて私が手を加えないとキツイみたいなんだよね」

「アイツもチートだからなぁ……」

 

 織斑は身体面ではかなりの高スペックなんだよね。僕が勝てるのは単に実戦経験の差であって、身体スペックは織斑の方が上だし。あまり相手し過ぎるといつか抜かれるよなぁ……

 とりあえず束が扉を開けて、僕も後に続く。ここでの立場は束の助手だし、あまり前に出ないようにしないと。

 中には数人の技術者と思しき人たちがいる。プログラミング担当とか組立担当とか色々いるみたいで、老若男女さまざまだ。

 

「お待ちしていました、篠ノ之博士。お隣の方がおっしゃられていた助手の方ですね?」

「ええ。それで早速ですが機体の方は?」

「一応こちらが設計図となっています」

 

 すでにある程度話は通っているらしく、思っているようにスムーズに進む。

 僕も設計図を見てみるけど……うーん、なんというか技術の粋を集めただけというか何というか……

 

「英、どう思う?」

「どうって……もっとスピードあげても大丈夫だろ。これじゃあ織斑は逆に動きが鈍くなるぞ」

「だよねぇ…………まだワンオフ機のノウハウは無いも同然だしこうなっちゃうよね」

 

 周りを見渡すと、皆さん同じような意見なのかだんまりである。というか気が付いていたのなら直せよ。

 

「実はこの専用機開発は、今後国から予算を与えられるときにどこの企業が優先的に配分されるかも決められるのですが……みんなが張り切り過ぎて、そのぉ……まとめようとしたら逆に、こういうことに」

「ああ……チームワークがダメだったか」

「束さんもそれは自信ないな」

「うん今言うことじゃないからね」

 

 こりゃダメかもわからんね。というか大丈夫かこの開発……暮桜、織斑の専用機か…………今の段階だと、バルカンとか遠距離装備も一応考えてあるっぽい。近接特化にしつつ、バランスを重視した感じ。量産機ならいいけど、もうアイツのことだし一本特化でいいじゃん。

 

「これ装甲固くしてブースター強化して現行のISの最高加速レベルたたき出して、武器も近接特化にした方がいいんじゃないかなぁ。むしろ刀だけとか」

「……」

「……」

「……」

「……え、あれ?」

 

 なんでみなさん黙るんですか? というかなんかものすごい勢いでみんなして書き始めているんだけど、計算? 計算式? というか色々怖いよ……って束まで……あかん、この人ら根っからの技術屋だ。

 とりあえず、僕は操縦者とのメンタル接続部分でしか役立てないし……しばらくメシスタント(食事作るアシスタントのこと)になろう。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「見てみて……完成したよ」

「ああうん。5時間で書き上げるとは僕も予想外だった。というかみなさん疲労困憊……とりあえず親子丼作ったんで良かったら……ああもう群がって散らかさないでください。というかいい大人が……あなたも女性なら気を使って――」

「うるさいっ! こちとらまともな食事は三日ぶりなのよッ」

「いや死ぬってソレ」

「束さんも英気を養うんだよ」

「うん、口の周り拭いてからしゃべろうね」

 

 いかん。これは僕がこの人らの暴走を止める役割だ。正直荷が重い。というかこれは大丈夫なのか? みんな目が据わっているけど……そこで、なんだか嫌ぁな雰囲気がやってくるのに気が付いた。

 なぜかみなさん身構えていますが……なんだ?

 と、いきなり轟音と共に扉が開かれた。え、マジでなんだ!? そこに立っているのは何というか……いかにもなお嬢様っぽい人。誰?

 

「オーッホッホッホッホ! あらあらみすぼらしい倉持が、助っ人を頼んだと聞いたからやって来てみれば、貴女でしたの篠ノ之博士」

「うげぇ」

 

 ……嫌いな相手には無表情ってパターンを見たことあるけど、束がここまで嫌なものを見る目で人を見ているのを見たのは初めてだ。というかこれってかなり嫌いな相手を前にしたときの顔だよね?

 なんか乙女がしてはいけない顔をしている。いうなれば虫唾がダッシュしている顔。

 

「まあこんな研究所に、貴女の様なお下劣な博士が手を組んだところで所詮我らが仙道工房には勝てませんけど。オーッホッホッホッホ!」

 

 束、こいつってこういうキャラの人?

 うん、ISの発表したころから絡んでくるから……正直、ものすごく苦手。

 気持ちは分かるけど……

 という風に、小声で聞こえないように僕たちは会話している。この女性、神宮寺百花さんは倉持技研のライバル企業である仙道工房のご令嬢らしい。若くして才能あふれる人で、企業内でも頭角をあらわしてきているのだとか。だけどこの性格がすべてを台無しにするそうだ。

 なんて残念で面倒な人だ……というか警備ザルだな? いや、後ろからガードマンらしき人が入ろうとしてくるけど、神宮寺さんは蹴り倒している。無理やり、入って、ダメだツボに入った。笑い死ぬ。

 

「……そこのあなた、なにを笑っていますの…………」

「いえ、なんでもないです」

 

 キリッという擬音が付くくらいに、顔を直す。というか面倒に巻き込まれたくない。

 だけども神様はもしかして僕のことが嫌いなんだろうか?

 

「……ポッ」

「え」

 

 いきなり神宮寺さんは顔を赤らめたかと思うと、なんだかもじもじとし始めた。

 え、え……ええ?

 

「あなた、お名前は?」

「……蜂矢、英」

「英、様」

 

 さ、様ッ!? 横を見ると、束もものすごい顔で驚いている。というかこの場の全員がものすごく驚いていた。後で聞いた話だけど、神宮寺さんはいつも人を馬鹿にした嫌味な性格で、顔を赤らめるなんて見たことがないらしい。

 

「ああ、あなたはなぜ英様なの?」

「親が付けたからではないでしょうか……」

 

 僕の頭の奥でサイレンが鳴り響いている。ここにいては危険だ。今すぐ逃げろと。

 だけど唯一の出入り口には彼女が立っている。そして、僕の横にいるお姫様からもの須郷……じゃなかったもの凄い不機嫌オーラが噴き出ている。まるで、本気になった柳韻さんみたい、いやむしろそれより怖い。

 

「ああ、何故あなたとわたくしは敵同士なの!?」

「僕が束の助手だからじゃないでしょうかー」

「ならば、ならばっ! 篠ノ之束!」

「え、私?」

「わたくしと勝負して、勝った方が英様を婿にできる。よろしいですわねッ!」

「……ハンッお前みたいな高慢ちきにこの束さんが負けるわけないだろ。勝負するだけ無駄だよ」

「怖いんですわね。だからそうやって勝負を受けようととしない」

「なんだって?」

「そんな逃げ腰の弱虫が英様のお嫁さんに相応しくありません。おとなしく尻尾巻いて逃げなさいな。しっし」

「……上等だよ。ここまでバカにされたのは初めてだ。いいよ、全力でぶっ潰す」

「ならばよし。勝敗は……当然、お互いの開発した専用機が代表の専用機に選ばれるかどうか。自分がISの開発者だからって有利であるとは思わないことね?」

「そっちこそ、偉いだけのバカにお金払って八百長して反則負けにならないようするんだね」

「……」

「……」

「うふ、うふふふふふふ」

「アハ、アハハハハハハ」

 

 ねえ怖いんだけど。この女の子たち怖いんだけどッ。

 ねえみなさん、なんで逃げるの? なんでみんなして避難するの? ねえ、ねえ!?

 

 結局、神宮寺さんが帰った後も束は不機嫌でなだめるのに苦労した。あと、みなさんから生暖かい目で見られていたのが一番つらかった。

 もうこれ、収拾つかないんじゃないかなぁ……

 こうして織斑の専用機、暮桜の開発が始まったのである。色々前途多難だけどね。問題は山積みだし……変な人に一目ぼれ? はされるし……ハァ。

 




と言うわけで、オリキャラですが英にはさらに苦労してもらいます。
だってガチで束を嫉妬させたかったんだよ。

ちなみに、束だからってIS開発で万能ってわけでもないです。
むしろ原作でパッケージは失敗だった的な発言があったような気がするので、今作では迷走したりもします。その度に英が軌道修正する担当に……

ここから暮桜誕生秘話編へ突入。
ギャグ展開が増える……のか?

ストックがなくなって来て更新キツイ……
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