仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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実はこれ、一度ミスって投稿したことがあるけど……見た人っているのかな? 一分以内に消しておいたけど。


EP38.夜空に舞う

束がものすごい不機嫌だったけど、作業自体は恐ろしいスピードで進んでいく。僕は体力にものを言わせて部品を運んだり、時々束のプログラミングのサポートをしているだけであまり役に立った印象はないんだけど……

 メシスタントばかりやっていた印象もあるなぁ……あとは暴走した人を気絶――眠らせてあげたり。

 

「うふふふ……ここをこうすると、ああなって、こうなって」

「もう寝ろよ」

 

 気がついたら、一人、二人、眠気に負けて倒れていき、そして最後には束だけが作業していた。

 その束も大分アウトな顔をしていたので、横にしておく。というか、大丈夫なのか?

 ……はぁ、一応僕は束の護衛も兼ねているから外の見回りに行ってくるか。そろそろ冷えてくる季節なので上着を着て外に出る。あたりは真っ暗で、空には星が輝いていた。

 

「……あー、星がきれいだなぁ…………」

 

 数日もすれば織斑が来て、実際に装着することになるだろう。それまでに完成するといいんだけど……というか本当に武器が近接ブレードの雪片だけになるとは思わなかった。

 そういえば束がISを開発した理由って聞いたことなかった。そんなことをふと思い出す。

 まあ、今更聞いたところで意味はないか。ISを作っているときの束は楽しそうだったし、聞くまでもないか。なんだかんだで言葉にしなくても大丈夫なくらいの絆は作れたんだと思う。

 

「だからこそ、守らないといけないよね」

 

 近くの自販機で缶コーヒーを買って、倉持技研の屋上へ向かう。いやぁ、思ったより冷えるね。

 さすが山奥。星が広がっている。結構明るいもんなんだと素直に驚いた。倉持技研に窓が少ないってのもあるかな。明かりが漏れていない。

 ……だからこそ、早くに気が付いた。あとはまあ、最近人外染みてきた僕の身体能力があってこそなんだろう。視力とか詳しく測定するのがバカらしいかも。

 

「変身」

 

【スイカ!】

 

 まあ今は感謝しておこう。原因は分からないけど、こんな馬鹿げた力があるおかげで、アイツを守れる。

 今日はいきなり飛ばしていこう。腕輪がまた熱くなっている。なんだか、以前よりも使い方がなんとなくわかってきた。この感覚は、外敵。

 

【スイカアームズ! 大玉ビッグバン!】

 

 こんな星空に襲ってくる、無粋な奴はとっとと片付けてやる。

 さあ、ここは既に僕のライブだ!

 

 ◇◇◇◇◇

 

 英――仮面ライダー冠はジャイロモードへスイカアームズを変形させて夜空へ飛び上がった。

 周囲には倉持技研を取り囲むかのように飛んでいる飛行物体――ISが三機。色はよくわからないが、おそらく暗い色。

 

「……ジャイロモードのスイカアームズ…………仮面ライダー冠か」

「フォーメーションデルタ、確実に落とすわよ」

 

 ISから聞こえてくるのは当然女性の声。プライベートチャンネルを使用しているのだろうけど、僕には普通に聞こえる。束が前にドライバーにプログラミングしてくれた、周囲のISの音声を拾ってくれるシステムのおかげである。これで、相手の情報を少しでも入手できれば……

 まずはけん制として、バルカンで攻撃を仕掛ける。けどけん制にしかならないよね……あまり効いたようすは無いし、三機が僕を取り囲むようにぐるぐるとまわっている。厄介すぎる……時間を稼ぎ過ぎてこっちが不利にならないようにタイミングをみないと。

 

「まったく、冗談じゃないぜ……冠って男なんだろ? なんで男相手に慎重にならないといけないんだよ」

「発言には気をつけなさい。貴女はISを使っているから男に勝てるだけなのよ」

「……そうだ。うかつなことをすればISを取り上げられる可能性もある」

「わかったよ……だけど向こうもこっちもちまちま攻撃するだけじゃないか」

「これでいいのよ。向こう側にはこちらの声が聞こえないのが一番の強み。どんなチームプレイも即席で出来るのよ。うまく誘導して、素早く倒してね。その隙に私とシャーベットが篠ノ之博士を捕まえるわ」

「……パープル一人で足止めは厳しい。私も残る」

「大丈夫よ。先にダメージは与えるから追ってこれやしないわよ。このカラットの作戦に間違いはないわ」

 

 その作戦筒抜けだけどね。リーダーと思わしき人物がカラット。作戦に穴があるように思えるけど、本当にリーダーか?

 男勝りなのがパープルかな? で、寡黙なのがシャーベットだと思うけど……彼女には注意した方がいいかも。なんだか、ずっとこちらの様子を細かく見ている気がする……なんというかバルカンのダメージと避けるときのエネルギー消耗の差を見極めたうえでかわしている。防御した方が良いときは防御。かわす方が良いときはかわしている……パープルは天性の勘ってやつなのか少し荒いけど巧い。カラットは良くも悪くもマニュアル通り。なんていうか型にはまり過ぎている……一番弱いのあいつなんじゃ……

 一番感情をあらわにしそうなパープルを足止めに使うのは、作戦スピードを重視したのかな……とりあえず、この場合は一番チームワークに支障をきたす場合を狙うか。やっぱ、ブレイン役を狙うのが定石かね。

 僕はうまく距離を詰めながらタイミングを見計らう。チャンスは一度、会話はもうない。相手もチャンスを待っているんだ……パープルと思しき機体が僕に迫ってくる。そして、あとの二人が後方へ下がる。僕は――――この瞬間を待っていたんだッ!

 

【ヨロイモード】

 

 空中でヨロイモードへ変形し、不規則に動いたことでパープルの攻撃をかわす。一瞬のことで何が起こったのか理解できなかっただろう。現に、硬直している。まだ操縦者の精神面保護は万全じゃないと見た。

 ならば、あとの二人は? 警戒しただけあって、シャーベットと呼ばれていた女性はすぐに迎撃態勢に移っている。だけど遅い。スイカ双刃刀を投げて、けん制する。これにより、何が起こったのか理解できないカラットは無防備!

 

「ぜりゃあああ!」

 

 拳に集まったエネルギーがスイカの様な形になる。まずは一人!

 

【スイカスカッシュ!】

 

 拳のスイカが、一気に凝縮されて小さくなる。その瞬間、カラットにヒットした。そして、スイカのエネルギー体が爆発する。

 

「キャアアアア!?」

 

 まずは一人。うまくスカッシュなどを当てれば一撃でISにかなりのダメージを与えられることは分かっている。

 次は、キレて向かってきたパープルとシャーベットかな?

 

「パープル落ち着け! 相手の思うつぼだ!」

「ウルセェ! あいつこの私を無視しやがった! 許せねぇ!」

 

 再びジャイロモードへ変形。落下し続けていたから、素早くリカバリーする。

 浮上しながら、攻撃をかわす。逆上してやりやすい……あとは距離をとって、ブレードを二回たたく。

 

【スイカオーレ!】

 

 バルカンにエネルギーがチャージされていく。シャーベットはパープルに注意しろと叫んでいるが、もう遅い。彼女はカラットの救護に向かっていたのでパープルを守るものはいない。

 チャージされたエネルギーは解放され、無防備なパープルへと向かう。攻撃しようと突撃していた彼女に身を守るものはなかったのだ。

 ロックシードもヘルヘイムの果実の力に変わりない。ISのエネルギーは乱され、絶対防御もエラーを起こす。そのため、想定以上の攻撃力をうまく防御できなかったISは……

 

「がああああああ!?」

 

 墜落するしかなかった。

 

「パープル、一時撤退だ!」

「う、うる……あがっ」

「相手の方が上手だ……篠ノ之博士の協力もあったわけか…………これはISでは無理か……それに聞こえているな?」

「……だったらどうするよ? 続けるなら、今度は本気で行くぞ」

 

 ジンバーレモンなら遠距離戦でも戦えるし、まだまだこっちは戦えるんだが……

 

「……二人とも、撤退だ。今ならまだそれだけの余力はある」

「畜生……絶対にぶっ倒してやる」

「ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない絶対に許さないッ」

「…………撤退するなら早くしてくれ。そいつとはできれば戦いたくない」

「むしろこっちが冷静になったぜ」

「……撤退するぞ」

「絶対にゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない――――」

 

 カラットの声が、聞こえなくなるまで緊張を解くことはできなかった。というか解けなかった。

 ……なんでこう立て続けに厄介な女性に絡まれるんだ? というか神宮寺のご令嬢も関係あるのか? それとも謎の組織なのか……いや、僕の正体を知っている風だったから後者っぽいけど……両方がつながっている可能性もあるか。

 なんにしても……一番直情なのがリーダーだったんか…………敵ながら大丈夫なのか心配になる。一番人格に難があるぞ。

 でも……あのカラットとかいうのどっかで見たことがあるような……

 

 ◇◇◇◇◇

 

 カラットは、元々とある企業の所属だったIS操縦者だ。しかし、とある事件でその資格をはく奪されそうになった。

 その時に彼女はISを奪い、逃走。その後は亡国機業に拾われた。

 

「ゆるさない、絶対に許さない……あの男、あの仮面ライダー冠だけは絶対に許さない。この私に再び恥辱を与えた、アイツだけは絶対に」

「……はぁ。アレを見ているとこっちが冷静になるな」

「…………パープル、お前のISのダメージは深刻なようだ。しばらくの間、トルーパー部隊に転属だ」

「マジか……いや、むしろ冠の野郎とぶつかる機会が増えるかもしれねぇな」

「……まずは訓練に励め。私たちは再度の襲撃計画を練り直す」

「わかった……カラットは大丈夫なのか?」

「……首領には何か考えがあるのかもしれない」

「ふーん、私も最近入ったばっかりだから首領のことよく知らないけど、どういう人なんだ?」

「……人と言っていいのかわからない。でも、恐ろしい上に狡猾。あまり下手なことはしない方が良い」

「…………お前がそうまでいうのならそうするぜ」

 

 そう言って、パープルは部屋を出ていく。一瞬、彼女の顔がライトに照らされて浅黒い顔がはっきりと見えた。ここは、彼女たち亡国機業のアジトの一つ。簡単だが、ISの整備も可能である。そのため、彼女たちのISはメンテナンス中だ。

 シャーベットは携帯端末を取り出すと、通信を始めた。会話は小声で行われており、内容も簡潔だった。今回の被害と、追加の人員についての要望。あとは、カラットの現状。

 

「……そう、ですか」

 

 ある意味で予想通りながら、どこか苦痛に満ちた表情をするシャーベット。長いつややかなブロンドの髪をかきむしり、少しいらだちを発散させる。

 そして、東洋人――日本人――の顔立ちをしているカラットへ顔を向ける。

 

「カラット、貴女に指示が出た。後方に待機、予備部隊として控えてもらうそうだ」

「なんですって? そんな馬鹿な話があるの!? やっと、やっとアイツに……クソッ!」

「そうやって一度計画が狂うと暴走するのはお前の悪い癖だ……頭を冷やしてくれ」

「冷やすも何も、冷えているわよ……アイツに復讐したい気持ちでねぇ」

「……それは煮えくり返っているというんだ…………」

 

 だけども彼女の声は、カラットには届かない。

 彼女も多くの挫折や苦悩を味わった。最初は、パープルと同じく男性を見下すこともあったが、それはもう乗り越えた――――のではなく、実際は元々他者を見下す性質なのである。方向性が男から自分以外へ変わっただけで、むしろ悪化している。

 彼女は自分が他社より優位になっていないと気が済まない小心者。しかし、無駄なプライドが見て見ぬふりをする。そのため、誰よりも力に固執する。

 

「ゆるさない……それは、それだけはゆるされない…………力、そう力だ……」

 

 それはある意味では必然だったのかもしれない。彼女は、手を出してはいけないものに手を出そうとしていた。

 




というわけで、さらなる戦いの火ぶたは切って落とされたのです。

書いていてカラットさんの言動が怖いなと思ったり……

ドライブの脚本はダブルの時のお方らしい。個人的にはダブル好きだったから期待できるかも。
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