仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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ようやく色々と次に進み始める。
長いなぁ……ホント。


EP39.マイネームイズ

 あの迎撃戦から一夜明けて、すでに太陽は真上。少し仮眠をとった後束たちのところに向かったけど……まだ鬼気迫る感じで製作を続けているな。

 部品はできているものを使うし、すぐに製作できるような機械もそろっている。というか設備充実しているな……やっぱりこういう企業じゃないとできないことっておおいよなぁ……

 昨日の件はみんなに気づかれていない。どうやら外部からハッキングを喰らっていたらしい。しかし、暮桜のデータは無事なのが幸いかな……内部のネットワークと警備システムは少し系統の違いがあるらしく、開発している機体のデータは外部からは見れないそうだ。

 

「…………また来るだろうし、束にも言っておいた方が良いか」

 

 今は話しかけようにも鬼気迫る感じだし、なんか食べ物でも作ってこよう。疲れに効くショウガ焼きとか。

 とりあえずキッチンの方へ――と、そこで見たことのある顔が見えた。

 

「こんにちは、篝火さん」

「……こんにちは」

 

 同じクラスの篝火ヒカルノ。関係者らしいけど、学校はどうしたのだろうか? 人のこと言えないけど。

 

「あんた、篠ノ之博士の助手なんだってね」

「まあ一応」

 

 そういう話にはなっているけど……実際はどうなんだ? たまにIS関係も手伝うけど……どっちかと言うと仲間?

 

「なんか親しい感じだけど……恋人?」

「そういうわけじゃないんだけどなぁ」

 

 花村さんのこともあるし、明確にそういう関係になれないってのもある。お互い、片付けるべきことを先に片付けたいのだ。

 まあ、我慢するつもりもないから行動は起こしているんだろうけど……

 

「……」

「っていうか、なんで睨みつけるんだよ」

「別に……やっぱりアンタも違う世界の住人なのかって思っただけ。篠ノ之博士も、織斑もね」

「……」

 

 なんだろうな、この感覚は。僻み? 妬み? いや……諦めかな。

 あまり会話したことがない人だけど、どこか達観している雰囲気は感じていた。なんというか危ういのだ。何かを我慢している。人と自分を比べて、自分の劣っている面だけを見ているような、そんな感じ。

 自身さえつければ化けるだろうに……束に近いベクトルの才能を持っているけど、なんだか微妙に方向性が違うような……束が一点モノのハイスペック品を作る天才なら、彼女は量産品だが、確かな性能と使いやすさを追求したものを作れるというか……

 倉持技研の工作機械などの設計などに彼女の名前が載っていたのだ。どれも、量産するための機械などサポートには大助かりするものである。だけど、元々あったものを多く生み出すタイプのモノばかりで、ゼロからってのは無かったな……

 

「もしかしてゼロから何か作りたいのか?」

「ッ」

 

 図星か……束を見ていて麻痺してたけど、一学生である彼女の作ったものがここで使われている時点で凄いことなのだ。だけども上には上がいる。だから卑屈になっちゃっているんだろうなぁ……なんで最近はこう面倒に巻き込まれるのか。女難の相でもでてるの?

 

「人には向き不向きがある。篝火さんだって十分過ぎるほどに――」

「うるさいッ! どうせわかりはしないんだ。何でも持っている天才なんかにはッ」

 

 それだけ言い残すと、篝火さんは走って行ってしまった。

 なんでも持っているね……そんな人、有史以来誰一人いやしないよ。いや、神様にも何でも持っているってのはいないからそういう存在自体いやしないか。全知全能の神様にだってできないことはあるもんだ……

 

「……それよりも気になることがあるんだけど…………言えなかったなぁ」

 

 なんで室内でスク水着ているんだよ……しかも旧。案外束と息が合うんじゃないか? 私服の趣味で。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「相変わらず料理上手だよね」

「まあ長いからなぁ……母さんが病弱だったし、父さんも家にいなかったから僕が作ってたから」

 

 継続は力である。まあ、織斑みたいにポイズンするのもいるわけだけど。

 なんであんなに失敗するんだろう……一夏君は呑みこみ速いけど。

 今は小休憩として、みんな食事中である。というか隈が凄かった……みなさん大丈夫なのだろうか?

 

「それよりも、本当に昨日襲撃があったの?」

「ああ……ISが三機。さっき所長さんにも言っておいたけど、さすがに予想外だったみたいだな」

「というか、怪しまれなかった?」

「大丈夫大丈夫。束から対IS用の迎撃兵器貰っているって言っておいた」

「オイ」

「つーか一応ボディーガードも兼ねているからな……織斑に実戦形式の試合で勝っているって話したら割とすんなりいったぞ」

「あー最近のちーちゃんは化け物染みているから…………」

「お前が言うなよ。お前も廃スペックだろ」

「うるさいな……あ、そういえばちーちゃん明日来るから、英も装着時のバイタルチェックとか手伝ってよ」

「あいよ……今日は襲撃かけられたくはないな……スイカロックシードはチャージ中だし」

「一度使うとねぇ……束さんの遠隔操作用のやつ使う?」

「いやいいよ。それは最終手段にとっておいてくれ。空中戦だったからスイカアームズを使ったけど、ジンバーでも対処できそうだし」

 

 ただ一つ気になるのは……あのカラットという女の声、どこかで聞いたことがあるような気がすることだ。うーん……顔が見えなかったのがなぁ。

 ああ、そういえば一つ束に言うことがあったんだ。

 

「所長さんが言っていたんだが、なんだか相手の組織に心当たりのある人たちが応援にくるとか」

「応援?」

「なんでも、政府お抱えの忍者ソルジャーだとかなんとか」

「う、うさんくせぇ」

 

 束は怪訝な目をしているけど……僕も同じ気持ちだ。なんだよ忍者ソルジャーって。

 次の襲撃ではISだけじゃなくてライダーも出てくるかもしれないってのがなぁ……

 とか考えていると、研究員の一人が走ってきた。

 

「し、篠ノ之博士無事ですか!?」

「どうしたんですか?」

「良かった……それが、外部からハッキングを受けていまして襲撃があったのではないかと」

 

 ハッキングッ!? とりあえず、なんとかしないといけないか。

 

「やられていることはクラッキングですか? それとものぞかれているだけ?」

「今のところは侵入を防ごうとしている段階ですので……」

「英は外見てきて。私はここから防ぐ」

「分かった。外部からの応援ってのは?」

「まだ到着しておらず……」

「わかりました。とりあえず、外周だけ見て回ってきます」

 

 そして、再び訪れた襲撃に対して僕たちは行動を開始した。

 今度こそとっ捕まえてやるッ――

 

 ◇◇◇◇◇

 

 ――なんてカッコつけたんだけどなぁ……

 

「はぁ……束さんも拍子抜けだよ」

「発信元を特定されそうになったら急に切断してきたって……外も人っ子一人いないし」

 

 なんというか用意周到さがない。というか、気づけよ……誰にも気づかれることなくハッキングを仕掛けられた連中が、こんなに簡単に見つかって、防御できるわけないって。

 別件なのかもしれない……ああ、面倒事が増えていく。

 

「……ハァ」

「束さんだって溜息つきたいよ。またすぐに作業だよぉ……」

「織斑が来るまでの我慢だ。束の仕事は第一次移行までだろ」

「うん……そこからの仕事はちーちゃんの訓練だし、整備はここの人がやるからね」

「僕も織斑のバイタルチェックとかがメインだし……実際に織斑が来るまでやることはサポートしかないんだよなぁ……」

 

 IS関連の技術者って少ないから、僕みたいなのも借り出されるんだよね……専門家なんて実質束しかいないわけだ。僕は束から直接教わっているから、そこらの研究者よりも詳しいけど。

 むしろ篝火みたいに若い方が呑みこみ速いのかな?

 

「篠ノ之博士、応援の方が来ましたのでこちらへどうぞ」

「やっとかぁ……」

 

 とりあえずこれで防御はどうにかなるか? と言うか相手の組織の情報が得られるかもってのが期待できる。今までよくわからなかったし、これが手掛かりになるといいんだけど……

 僕と束は案内された部屋へ入る。そこには、初老とまではいかないけど、厳つい感じの男性がいた。

 

「初めまして、篠ノ之博士。私は政府直轄の対暗部組織更識家の当主、更識楯無だ」

 

 ……なんだろう? どこかで見たような、そうじゃないような…………

 

「初めまして、篠ノ之束です。で、こっちが助手兼護衛の」

「蜂矢英です。主に、操縦者のバイタル面でのサポートなど、生物的な部分に関わるところを手伝っています」

「……」

 

 なんだかじっと見られているけど、なんだか居心地が悪い……値踏みするような、というか量られているというか……

 

「君、実戦経験……それも命がけのモノを潜り抜けているね?」

「ッ!?」

「そう身構えなくていい。篠ノ之博士の護衛ともなればそのレベルの者でもおかしくはない。こういう仕事柄、見るだけでわかるという程度だ」

「……そうですか」

 

 なんというかヤバい感覚がした。力量を見られただけで見抜かれるってのは、ここまで恐怖するものなのか……冷汗が止まらない。

 とりあえず、束と共に椅子に座るわけだけど……落ち着かないなぁ……束も手に力が入っているし、ヤバさを肌で感じ取っているみたいだ。

 

「それで、君が奴らと戦ったと聞いたが……IS三機も一人で撃退したのか?」

「はい……弱点は知っていますので」

「弱点ね……それを教えることは?」

「あまり口外できないものですので、それは……」

「そうか…………」

 

 こういう腹の探り合いみたいなのは苦手なんだけど……束も口が開けなくなっているし、助けてほしいけど……無理だろうなぁ……束は意識を集中することで手いっぱいらしい。束でもそこまでとか……この人どんだけだよ。

 

「それで、相手組織についての心当たりは?」

「……君たちは亡国機業という名前について心当たりは?」

「いいえ……」

「私は、名前だけ……詳しいことは知りませんが」

「流石の篠ノ之博士も知らないか。いや、当然だな。アイツらはどの国も知っているが、公にはできないうえに、全貌を知っているものはいない」

「いったいどういう組織なんですか?」

「……組織の本拠地、活動内容は不明。だが、わかっている範囲で答えるなら、いわゆる死の商人と言えばわかるかな?」

「はい……武器や兵器を売ることで利益を得る組織。戦争が起こることでその利益が増すため、武器を敵対する国同士に売ったりして長引かせたりとか……」

「ああ……まあ亡国機業はそれとテロ組織が一つになったものと考えてくれていい」

 

 なんというか、ただでさえ危険なものに最悪なのをプラスしたような……絵にかいたような悪の組織ってことか?

 

「篠ノ之博士ならわかると思うが、貴女がISを世界に分配したのも似たようなものだな。もっとも、パワーバランスを考えて分配したようだが?」

「そ、それは……」

 

 そう、束がISコアを各国に分配。数も制限したのには、戦争を起こさないためってのがある。数が十分じゃない上に開発もまだ進まないからこそ長い時間戦争を起こさなくて済むわけだ。

 といっても、インベスの存在がそのバランスに狂いを産んだわけだが……

 

「先のことを見据えてってところは評価しよう。何事にもトラブルはあるものだけどね」

「……あなたはインベスについて何か知っていますか?」

 

 まあ上から見下されるってのは気に入らないし、少しばかり反撃はしたくなるってのが男かな。

 束が落ち込んだのも少しばかりむかつくわけで。

 

「……いいや。君は詳しいのかな? 蜂矢英君」

「…………突然変異した地球上の生物。蜂矢昭雄、カウラ・ゲインクロイム・戦極……あなたならこの名前に聞き覚えがあると思いますけど?」

「……なるほど、昭雄の息子だったのか…………君が異様にインベスに詳しいことは調査済みだったが、なるほど……その油断ならないところと言い、私たちでも知りえていない手札を抱えていることといい……的確にカードをぶつけてくるところもそっくりだな。だけど、うっかり癖もそっくりだぞ。それでは君が、重要な情報を持っていると悟らせるだけだ」

「ええ、それが狙いですけど? むしろ気が付かないならあほですね」

「なに?」

 

 切るべきカードをとっていて良かった。この人は、あの組織――亡国機業について詳しそうだ。というかようやくめぐってきた。敵をとっ捕まえて聞き出すより、協力関係を築ける場所に築いた方がより効率がいい。僕たち二人だけじゃどうせ手詰まりになる。なら、巻き込めるところは巻き込んだ方がいいかな。

 束もびっくりした顔で僕を見ているけど、あとで謝るしかないかなぁ……

 

「英、言ってもいいのッ!?」

「……元々、混乱とか警察に捕まって行動できなくなるってのが怖くて隠してきたんだ。なら、この人にばらした方が色々と都合が良いよ。今後のことを考えるとね」

「…………ああ、こうやって場の流れが持っていかれるところ、まさしく昭雄の子供だよ君は」

 

 すみませんね……いい加減待つことも飽きたし、高校生だけで北欧に行くことも難しいんだ…………僕たちに足りないカードはどんどん集めないといけない。

 ……インベスを操れるやつがいるのなら、時間をかけすぎるとヤバそうだし。

 こんなところで父さんにつながっているとは思っていなかったけど……まあこれも運命ってやつなのかな。

 

「改めて自己紹介を。僕の名前は蜂矢英……またの名を仮面ライダー冠です」

 




更識楯無(十六代目)の登場です。
原作には出ていなかったけど、後々原作で出てきたらまずいな……母親が当主だったとか言われたらどうすることもできなくなります。

まあ、ここでは普通に男性。もちろんあの人たちの父親です。
なんだか主人公が黒いな……というより目覚めたような気もする。

デュークに新アームズが登場する噂。MOVIE大戦での登場らしいですが……あ、そういえば大戦に戻ったみたいですね。
なんだかリンゴっぽい鎧なのがなぁ……
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