仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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ある意味今回の話でプロローグが終了。
今回のボツサブタイトルは「世を忍んで」



EP04.その名前は

 間に合った、道路交通法とか色々気になるがそれはすべて後回しにするしかない。空中を見ると、赤い色の人型の怪物――コウモリインベス――がクラックから飛び出しているのが見えた。クラックはすぐに閉まるものの、怪物は飛行を続けており、怪物の下には大勢の人がいる。

 

「なんとかしてあの怪物を止めたいけど……」

 

 手持ちのロックシードには遠距離攻撃できる武装がない。腰の剣――無双セイバーなら銃撃戦もできるが、射程距離はそれほど長くないし、威力も低い。なにより命中精度もそこまで高いわけじゃない。威力ならロックシードをセットしてあげられるが、近くまで行かないと半減しそうだ。

 

「どうする……なにか打開策はないのか?」

 

 ブラッドオレンジはだめだ。アレは完全に近接戦闘に特化している。ならば、先ほど手に入れたイチゴロックシードに賭けるしかない!

 右側のホルダーからイチゴロックシードを取り出し、開錠。

 

【イチゴ!】

 

 いつもの音声と共に上にクラックが開く。そして銀のリンゴと入れ替え、セットする。ロックオンと流れ、今まで身にまとっていたシルバーアームズが解除される。さぁ、いくぞ。

 

「チェンジ!」

 

【ソイヤッ! イチゴアームズ! シュシュっとスパーク!】

 

 パワーはシルバーよりも感じない。しかし、スピードだけならこのアームズの方が上だ。父の作ったサクラハリケーンは使用アームズに応じて性能が変わるという特徴を持っている。スピードが上がった今なら追い付くこともできる!

 

「いくぞぉ!」

 

 イチゴアームズの武器は……苦無か、ある程度接近してからなら投げればイケるか? いや、違う。

 

「届かせるんだ、何が何だかわからないままだけど、誰かの涙を流さないのならそれでいいんだ」

 

 まだ僕のことは周りの住人にとって変わったバイク乗りぐらいにしか思われていないか、何かの撮影程度の認識だろう。だから、被害が出る前にあの怪物を落とす。

 まだ、まだ……いつアイツが急降下するかわからない。チャンスは一度と考えた方が良い。

 ―――――――いまだ!

 

「ハアッ!」

「――ッ」

 

 よし、成功だ!

 そして落ちてくる怪物。よく見ると翼は腕に隠せるほど小さく、全身は赤いが昨日の青い色の怪物と比べて筋力が高い印象は受けない。しかし、スピードは奴異常だ。

 サクラハリケーンをロックシードに戻し、ホルダーに戻す。動きがすばやい相手ならイチゴアームズのままがいいかと思い、両手に苦無を出す。

 

「う、うわぁあああああああああ!? か、怪物だぁああああああ!?」

「キャア嗚呼アアアア」

「グルッ」

「しまッ!?」

 

 とっさに逃げる人をかばった。思ったよりもダメージがある。翼が剣のようになり、斬撃を放ったのだ。

 ただではやられないとばかりに、英も苦無を腹に叩き込む。しかし、威力が低いからかその一撃は相手を少しひるませる程度だった。それでも、まずは一般人が逃げる時間を稼がねばならない。

 

「威力が低いなら、これで!」

「――――アア!」

「ヤァア!」

 

 英の無双セイバーと怪物の翼が打ち合う。お互い、スピードタイプの戦士。力よりも速度を上げて一撃の威力を高める。

 英が横なぎに振るえば怪物は紙一重で一歩下がり、自分の翼を縦に振るう、しかし英も体をひねり苦無を足もとへ投げる。それを怪物は蹴り上げてはじく。

 

「このままじゃ平行線……いや、ジリ貧だな(ならどうする? ……一か八か)」

 

 再び無双セイバーで切り付けるも、完全に軌道を読まれており怪物は楽々と躱した。だが、英はさらに腰を回転させて再び切り付けようとした。しかし、その軌道も読んだ怪物はそれよりも早く、英が刃を届かせる前に翼をぶつけようとして――

 

「ガァ!」

「今だ!」

 

 ――弾き飛ばされた。ダンッダンッ、という明らかに斬撃とは異なる音。まるで銃のようなそれは怪物を一瞬混乱させるには十分だった。

 話は簡単。回転したときに銃弾を装填した無双セイバーで切り付けるふりをして、弾丸を撃っただけ。それならば切り付けるよりワンテンポ、いやもっと早い段階で攻撃が届く。近距離からの銃弾はパワーに劣るイチゴアームズでもかなりの威力をだし、怪物を吹き飛ばしたのだ。

 そして、怪物が倒れている隙に英はロックシードを取り外し無双セイバーに取り付ける。

 

「これで、ラストだ!」

【イチゴチャージ!】

 

 剣先に集まる赤いエネルギー。剣の一振りと共にそれは、無数の苦無となって怪物へ降り注ぐ。

 

「ガ、ガァアアアアアアア!?」

 

 そして、苦無が次々と爆発し、怪物は跡形もなく消え去った。

 あたりには焦げ跡があるが、昨日よりも被害は少なく抑えられた。まずは一件落着といったところだろう。

 

「……ふぅ」

 

 あたりに人の話し声が聞こえてきた。どうやら音がしなくなったことで決着がついたと思ったらしい。不用心だとは思いつつ、少し厄介になったと思った。ここで変身解除するわけにはいかないし……逃げるか。

 すぐにサクラハリケーンを展開し、またがる。フルスロットルで駆け抜けて風になった。

 

 あたりにパトカーのサイレンが流れてきたので本当に紙一重だったのだろう。

 とりあえず何も被害が無くて良かった。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 結局家まで戻るのに何度も迂回しなければいけないのはつらかった。時刻はすでに遅刻寸前。家から学校が近いのが唯一の救いだが、これは今日の授業、寝たきりかもしれんね。

 さすがに一日二度も怪物が現れることはないだろうと思い、ドライバーを置いていこうとするが……いや、またフラグかもしれないし持っていこう。一応、念のため。あと、栄養ドリンクは飲んでおこうと思う。

 

 なんとか遅刻は免れたものの、授業中は眠くて仕方がなかった。

 そして昼休み、保健室に直行して休ませてもらうことにする。

 

「あのぉ……蜂矢君、いきなりベッド占領されると先生困るんだけど」

「いつも篠ノ之に対処してるじゃないですか、今日ぐらい貸してください。一仕事して疲れているんです」

「うう、これが反抗期なのね」

「誰が反抗期ですか誰が………………(第一、反抗する親もいませんよ)」

「ん? なんか言った?」

「……いえ、何も」

 

 眠気が出てきて、少しは休まる。そう思った、その瞬間だった。いつだって災いは突然やってくるのだ。

 どうしようもないくらいに、相性の悪いアイツが。

 

「今日こそあの青色に天誅を! そしてちーちゃんは永遠に私だけのも――ピャッ!?」

「うるさいだまれ、そしてお前は百合か? 百合なのか?」

 

 いつものごとく、篠ノ之束である。保健室はみんなのものだ、占領はさせない。一応、僕も占領しているような気もするが、大丈夫。昼休み終わったら戻る。

 しかし、この女はダメだ。どうやってか物理的、電子的にこの部屋に介入できない状態にして占領するのである。これが技術の無駄遣いというやつだろう。

 なぜかいつも左手で殴ると介入可能になるが。ああ、腕輪か、仕事してたのか腕輪。

 

「いつもいつも束さんの邪魔をして、この束さんの邪魔をするということはだね、どれだけ愚かなことなのか――」

「うるさい」

「――ピャッ!? ってなんでいつもハリセン!? どこから出したのそのハリセン!」

「静かにしろ。疲れてんだよ、眠いんだよ。授業でろ」

「ああもう! ISのシステムを応用した防壁も軽々突破されるし、ホント目障りなんだよ!」

「……」

 

 どうしてくれよう、この女。とりあえず、最終兵器を呼ぶか。昼休みは家計簿とにらめっこしているであろう彼女に心の中で謝りながら携帯のアドレス帳を開く。

 

「どうしたの? まさか目障りって言葉だけで傷ついちゃった? そんな奴はちーちゃんに相応しくないんだよ。やったね! これで心置きなく永遠に眠って――「だれが永遠に眠るんだ?」――くれなくても大丈夫! 束さんはクールにさるぜ!」

「そうだな束、すこし私と稽古をしよう」

「やめて! ちーちゃんのスパルタだけは勘弁!」

「安心しろ……お前にやってもらうのは巻き藁だ。突っ立っているだけだぞ、簡単だろ?」

「予想以上に鬼畜ッ」

 

 なんだかんだで、家事とかの相談が来るので連絡帳に登録しておいてよかったなぁ織斑の番号。織斑はものすごい笑顔で篠ノ之を引きずっていった……笑顔って、もともと威嚇の表情って聞いたことがあるような気がするけど、アレはそれ以上だった。マジで怖い。

 その後、篠ノ之っぽい叫び声が聞こえた気がするけど僕は何も知らない。面倒になったとか、さすがにむかついたとか断じてない。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「うう、いたいよちーちゃん」

「まったくお前は……蜂矢が寝ているから邪魔しに行くなと言っただろうが……どうせ、蜂矢の腕輪を調べようとしたんだろう?」

「もう、せっかく何かわかると思ったのに……許せないんだよ、この束さんの防壁を破ったり、束さんをハリセン一発で叩き落としたり、許されることだと思っているのかな?」

「その言葉、そのまま返したい奴がどれだけいることか……それに、あれは蜂矢の母親の形見のようなものだ。絶対に手をだしたりするなよ……もし、手を出したその時は」

「その時は?」

「……篠ノ之さんと呼ぶことにする」

「…………ぜ、絶対に手出しません調べませんですハイ!」

 

 千冬は思った。そこまで効果があるのか……奥の手にしておこう。それとひとつ訂正しなければならないこともあった。

 

「あと、ハリセンは普通にアイツの実力だぞ。手首のスナップは私でも見きれないんだ」

「そ、そんなー!?」

 

 ◇◇◇◇◇

 

 結局、その日はもう何も起こらずに無事に家にまでたどり着けた。翻訳は疲れて手を出したくなかったけど。水やりを済ませてその日はもう眠るしかなかった。

 いや、何が起こるかわからないから一応銀のリンゴだけでも常に持ち運びできる専用のホルスター作っておくか。ドライバーとこれがあれば意外と何とかなるかも。ホルダーもあるし、替えのロックシードもいくつか持ち運べるようにしておこう。毎日ペースで来られたら体が持たないが、見て見ぬふりできない性格な僕はとりあえずホルスターを作るために布と裁縫道具を取り出した。明日が休みで助かったと思う。

 それにしても、今日は大勢の人に戦ったところを見られた多かもしれない。もしかしたらテロの犯人とか思われたりしていないか心配である。

 これからは騒ぎになりにくいような戦い方も考えないといけないなぁ。

 

 

 案外、人というものは悪い印象だけで物事を見ないものである。英が心配したように、新手のテロではと思う声もあったが、先日の幼稚園児たちを助けようとしたことと、今日も身を挺して一般人をかばったことから彼の印象はあまり悪くはなっていなかった。それでも、謎のバイクでの疾走。ナンバープレートが取り付けられていなかったこと、事件の重要参考人などの理由から、警察からは探されてはいるのだが。

 そして、英の知らないところで噂は大きくなり、広まっている。鎧をまとい、白いバイクにまたがり町を疾走し怪物を倒す謎のライダー。冠を頭にのせて、まるで仮面のようなマスクを着けていたことからこう呼ばれている。

 

 

 ――仮面ライダー冠――

 




ある意味、ここでオープニングが流れる。

別にこのサクラハリケーンを使用してもヘルヘイムにいけません。その機能がない代わりに、変身時の特性に合わせた性能の変化です。
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