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「……なるほど、君が…………というか、それを話してもいいのか?」
「ええ……そろそろ協力者は欲しいところでしたし、二人だとやっぱり限界もある。というか、情報も集まってなかったんで……公にはできないうえに、対抗策も少ないもんだいですから」
もう後戻りはできないし、するつもりはない。
資金は暮桜の開発で何とかなる。でもインベスに対して人類は無力過ぎるのだ。
「インベスについては実のところ、僕も詳しく知りません……それを調べに行くつもりでしたが…………あなたに正体を明かした理由はわかりますか?」
「私に明かせば、個人的に調べるよりも素早く行動できるからだろ?」
「ええ……束、話についてきている…………ああうん、わかってた」
「悪かったね。文系苦手で」
まだ苦手なのか……やっぱり、そう簡単には治らないと。
まあ簡単に言えば、組織によるしがらみよりも個人で活動することの出来る限界が問題になってきていたのだ。僕たちには資金と伝手がないから、手詰まりになったわけである。
「ああ……そういうことか」
「そう、相手が組織で動く以上二人じゃどうしても手が足りないし、情報も手に入らなくなっている。だったら、巻き込めるところは巻き込んだ方が被害も少ないし、いざというときに行動しやすいってわけだ」
「……それで、日本政府にとって利益がある話なのかな? 私は日本政府に属しているから利益がなければ君たちに協力はしないぞ? 今回の護衛は、来るべき国際大会での優勝を狙っているからだが……IS技術で世界一になれば色々と利益も多いからね」
「束さん的にはISを金儲けにってのはどうかなって思ってたけど……やっぱり先立つものは必要だからねぇ……最近思い知ったよ」
「まあ、何事もね。日本政府に利益はあるし、世界的にも利益はある。というより……失いたくないなら、行動するしかないんだよ」
「世界の滅亡でも予言するのかい?」
「まあ、似たような物かな……ヘルヘイムの森ってのは知ってる?」
「インベスが生息している場所としか聞いたことないが、どの国も見つけていないんだろ?」
「そりゃそうだよ。次元の向こう側にあるんだし」
「……なに?」
「地球上に重なるように存在する、もう一つの世界って感じかな……」
あとは簡単にインベスや、森の果実についての説明。食べるとどうなるかとかも言っておく。
ISでは勝つのは難しいことと、ロックシードについても。
「なるほど……だが、その戦極ドライバーを預けて量産すればいいのではないか?」
「無理だよ。束でも解析しきれていないうえに、こいつは僕専用になっているから解析しても量産できない。プロトタイプでもあれば別だったんだけど……それもないしね」
ゲネシスはまだ完成まで長いし、そっちも他の人に預けたところで完成しないだろう。束でさえ数年先を見越しているんだ。
亡国機業はどうやって量産したんだか……
「だから、実質戦えるのは僕だけってわけ。僕の行動が制限されると、対処はしきれなくなると思うよ……向こうはインベスを操れるみたいだし」
「……聞けば聞くほど、世界は滅亡寸前に思えるんだが?」
「もう手遅れに近いんだよ……まあ、どういうわけかまだ行動を起こしていないし、アイツらがなぜ束を狙っているのかも不明だしね」
「……で、私にどうしてほしいのだ?」
「暮桜完成後……そうだね、冬休みあたりがちょうどいいか。北欧に行くために飛行機を手配してほしい。あとはインベス対策の部隊を用意した方が良いと思う……」
「束さんとしては、そんなにうまくいくと思えないんだけどなぁ……」
「わかってるよ。何もしないよりはマシってだけだと思う。人類は思った以上に崖っぷちみたいだしね」
改めて考えると、かなりマズい状況なんだ。
急いで暮桜を完成さえて、次へ行動を移さないと……
◇◇◇◇◇
結局、その後は詳しい話は後日ということでまずは目先のことをどうにかすることになった。
暮桜の開発は思ったよりも早く進んで、一応機体は完成した。あとは織斑に乗ってもらってからだな。
「ふぅ……あーつかれたー」
「束、お疲れさま」
「結構肩こる……というか、競技用だとまた違った設計にしないといけないから、ISの生みの親と言えども手探りだよコレ」
「元々は宇宙開発用だしなぁ……畑違いだろうに」
「まあ宇宙開発用に関しては長い目でやっていくことにしたよ……先に地球内の問題を片付けないとね」
「ああ……とりあえず北欧でのことを確認しておこうか。もしかしたら旅費も何とかなるかもしれないから、予想以上に速く行けそうだし」
「来年あたりに行こうと思ってたのにね……まさか今年中に行けるとは思わなかったよ」
「僕もだよ。上手い具合にチャンスが巡って来てくれた。あとは、このチャンスを生かせるかどうか……必要なものをリストアップしておこう」
「まず、調査用工具とか持ち運びできるラボ……これは作業用ISを使えばいいかな?」
「そういえば僕も手伝わされたな、それ作るの……タタラだっけか?」
ISやドライバーを作るのに、効率を上げるために製作した作業用IS『タタラ』は、作るのに僕も手伝った。というか、僕がISに関して詳しくなっているのは、これ作るの手伝ったからなんだよね……
元々束が使っていた、バッグ代わりのISコアをベースに作ったらしいけど……そういえばちょくちょく使っていたねそれ、防御用とかに。
「あと必要なのは……キャンプ用品?」
「そうだな……食料はロックシードがあればいけるかな? ヘルヘイムの森に入れば果実はあるんだし」
「そこまでガチ探索するつもりなの!?」
「チャンスは有効に使わないと……僕たちの現状は思ったより悪いみたいだし、北欧に行けるのはこの一回だと思った方が良い。向こうに妨害される可能性だってあるわけだし」
「たしかに……ちーちゃんたちには?」
「言えるわけないだろ……お前の親には簡単に事情説明するけどな」
「……」
「束? どうかしたのか」
「ううん、何でもない……ちょっと、先のことも考えないとねって思っただけ」
「そうか……ため込まないで、少しは言葉にしとけよ」
「うん。わかってる」
結局のところ、僕たちができることは今のところ少ないのだ……
そして、その日は大きな出来事もなく過ぎていった。
織斑は思ったより片付けなければいけない課題が溜まっていたらしく、こちらへ来るのに結構時間がかかった。ようやく到着したころには……なんかやつれている。
「ふふふ、こういうのは束の役目だと思っていたのだがな」
「どういう意味さ」
「喧嘩すんなよ……織斑、さっそく一次移行のためにデータを取ってもらうけど大丈夫か?」
「大丈夫だ、問題ない」
「……一時間仮眠とるか。スタッフ総出でデバッグするからお前は寝てろ」
「なぜだ!?」
「ちーちゃん自分の言動ぐらい覚えていようよ」
今の織斑を乗せると色々とマズイ気がする。
結局、バグ自体は無かったから良かったけど効率を上げられるところは調整できて良かった。織斑も顔がスッキリして、万全の状態になった。
「スマンな、疲れていたらしい」
「まあ気にするなよ……それよりもデータを詳しく取らないといけないから、右手を動かしてくれ」
「ああ……お前も慣れたもんだな」
「まあね……精神と肉体への負荷は大丈夫。安定しているし、あとは戦闘データか……一次移行してから他企業のISとの模擬戦闘があるからそっちはその時だな」
「そんなこともするのか?」
「数日先の予定だから、それまでに操作を……ってお前なら大丈夫か」
「これでも生みの親の親友だからな。それに、一応は最初の操縦者だぞ」
「知ってるよ。束ー、エラーとかは大丈夫か?」
「平気だよーオールオッケー。あとはちーちゃんにフィッティングするだけ……まだ処理にムラがあるからしばらく時間かかると思うけどー」
「なるほどね」
倉持技研のスタッフも慌ただしくデータ取りしているし……実質、暮桜のチェックやらをやっているのは僕と束だけか……といっても、僕の方は装着時に精神と肉体へどの程度負荷がかかるかを調べるだけだったし、おおむね問題はないからなぁ……
「あ、武装展開だけはチェックしておかないとマズいんだった。織斑、頼む」
「ああ――どうだ?」
「近接ブレード、雪片は問題なく展開できている……うん、大丈夫。脳波と展開時の誤差もないし、あとは後日に戦闘時にデータを取るだけだな」
これなら思ったよりも早く作業終りそうだなぁ――なんて考えていたけど、そうは問屋が卸さないわけで。
予想はしていたけど、このタイミングで来るとは嫌らしいやつらだ。
警報が鳴り響く。一瞬、みんなの動きが止まるが半ば予想していたためすぐに研究員たちは行動を開始した。
「どうしたのだ?」
「織斑はまだ動けないから、ここにいてくれ。束、僕は外に行って何とかしてくる!」
「任せて! 何とかこっちから一次以降を早められないかやってみる!」
「なっ!? 蜂矢危険だぞ!」
「そんなことは百も承知!」
急いで外に出ると、ISが二機……インベスは10匹ほど、ほとんどが初級だけど空飛んでいるし厄介だな。あとは量産型のドライバーをつけているのが5人か……全員が、イチゴアームズを使用している。結構面倒な展開だぞこれ!?
『蜂矢君、聞こえるかい?』
「更識さん? どこから……って、服に小さいマイク……いつの間に」
『細かいことは後だ。敵は?』
「インベスが10匹にIS二機、あとはライダー5人ってところですかね……ん?」
ISを見ると、どこかで見たことのある顔――そうだ、前に修学旅行で戦った女。もしかしてアイツがカラット? どうりで聞いたことがあるような声だと思ったら……
「とりあえず、インベスから片付けます。アレを野放しにするのが一番危険ですから」
攻撃力とスピード重視で行くっきゃないな……幸い周りには人はいない。研究員たちが退避してくれて助かったよ。
いくぞ……変身!
【ミックス! ブラッドオレンジアームズ! 邪ノ道オンステージ! ジンバーホオズキ! ハハーッ!】
赤い鎧に、二振りの刀、今再びのジンバーホオズキアームズ、見参!
「今日は最初から飛ばしていく!」
足にエネルギーを充填させて、空中のインベスへと突撃する。さすがに、予想外だったのか相手側は一瞬動きが止まった。思惑通り……インベスも止まっている。
考えてはいた。インベスを操ることができるのなら、操っている側が混乱したりすればインベスの動きは鈍る。野良インベスと違って命令がなければ無防備だッ!
「デリャアア!」
空中にいた一体を撃破!
イチゴ苦無が襲ってくるけど、右手の鬼灯刀ではじき、着地する。左手の大橙丸をブーメランのように投げて、空中にいた二体を撃破!
だけど、その隙をついて来ようと弾丸がかすめる。そうだ、今回はISもいる……射撃精度は高いし、気を付けないと――ッ!?
「死ね死ね! ここで死にやがれぇ!」
「うかつに出るなカラットッ!」
「うるさい! こいつは私が殺すッ」
ヤバい。めちゃくちゃ怖い……だけど、相手はうまく連携できていない――なら!
戻ってきた大橙丸を再び投げる。目標は上級インベスであるシカインベス。こいつと、ヤギインベスがここにいる上級インベスだ。こいつらも厄介だし、急いで倒した方が良い――ブレードを一度倒し、スカッシュを発動させる。
「デリャアア!!」
「アガッ!?」
まずは量産型の一人を鬼灯刀の峰で叩き飛ばす。他の量産型の中へ飛ばすことで、動きを鈍らせる。弾丸がかすめていくが、暴走しているおかげで狙いは甘い。
スカッシュのエネルギーは右足に充填されている。突っ込んできたヤギインベスに、一撃。
「ガッ!?」
「あいにくと、今更インベスに負けるつもりはないんだよッ」
一気にエネルギーを解放させて爆散させた。
すぐさまインベスたちが襲ってくるが、今度は鬼灯刀を投げ飛ばして初級インベスをすべて刈り取る。
「なんだこの戦闘力は!? データを超えているぞ!?」
「ありえない――いくらエナジーロックシードを使用しているとはいえ、ここまでの性能を……」
「陣形を保て、インベスでは歯が立たない! 確実に攻撃を当てろ!」
マズイ――量産型は後ろに下がって遠距離戦に変化させたか……もう一度スカッシュを発動させてシカインベスを破壊する。これでインベスは片付いた。
だけど、イチゴ苦無がかなり痛い――どうやらジンバーホオズキは防御力がかなり低いらしい。急いでシルバーアームズへと換装して、攻撃を防ぐ。
少し、余裕ができたな……インベスは片付いたし通信は入れておくか。
「更識さん、インベスは片付きました」
『そうか……こちらも準備ができた』
「準備?」
その時だった、研究所から二機のISが飛び出したのは。そうだ、インベスがいなくなったことでISは自身の脅威が減ったのである。
ライダーの攻撃もスカッシュなどを喰らわない限り、そこまで大きなダメージにはならない。ならば、彼女たちも強力な戦力なのだ。
「こうして肩を並べて戦うのは久しぶりだな、束」
「小学校以来かなぁ……あの時はただの喧嘩だったけどね」
一次以降を果たした暮桜を身にまとった織斑千冬と、作業用のISながら、戦闘能力を有したISタタラを身にまとった篠ノ之束がそこにいた。
まったく、心強い援軍だよ。
ついに三人並んだ。
束さんの使っているISはオリ設定。といっても、工作機能を有した下位互換ラファールぐらいの性能ですが。
ジンバーホオズキの弱点は防御力の低さ。攻撃力だけならスイカアームズに匹敵するが、防御はイチゴアームズ以下です。英は痛いで済ませているけど、戦闘中だからってだけで実際はかなりダメージがあったり。