仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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キャラがたくさん、出ているんです。


EP45.狭い世間の中で

 結局のところ、進展はないと言っていい状況だった。

 あれからしばらく経ったけど亡国機業も現れることはなく、大きな事件とかもない。

 たまーにあのお嬢様が襲撃してくることぐらいだろうか……その度に束が不機嫌になるので、正直やめてほしいわけだけど。

 

「で、今日はいったい何の用ですか楯無さん」

「まあ座ってくれ。ここのコーヒーゼリーはおいしいぞ」

「そうじゃなくて……」

 

 僕はなぜか、更識楯無さんに喫茶店に呼び出されている。というか、一体何の話だろうか……インベスや、クラックについてなどは話したと思うのだが。

 ヘルヘイムの森には入ると大変なことになるから、ロックビークルの類は渡していない。何も渡さないのもあれなので、ヒマワリロックシードをいくつか渡してあるけど……数だけは無駄に余っているからなぁ。束もヒマワリロックシードを使えば、一応はインベスを相手にできることを証明したし。ただ、あれがそのまま対IS用に使えるからあまり公にはできないけど。

 

「君を呼び出した理由だろ? 倉持技研にハッキングを仕掛かけてきた人物、あるいは組織がいたのは覚えているかい?」

「ああ、ありましたねそんなことも……インベスの騒ぎですっかり忘れてたわ」

「あれの出所が分かったよ」

「本当ですか?」

「ああ……神宮寺のお嬢様だった」

「あちゃぁ……そっちかぁ」

「私たちもてっきり、亡国機業の仕業だと思っていたんだけどね……君たちの妨害目的で彼女が個人的に仕掛けてきたようだ。だけど、そのせいで後日の襲撃が起こったともいえるね」

「?」

「彼女の侵入に合わせて、倉持技研ハッキングした別の誰かがいるようだ」

「……なるほど、あのお嬢様はおとりに使われたわけか」

「ああ……おかげで、今頃になって痕跡を発見するだけ。まったくしてやられたよ……といっても、こちらも調べはついているんだがね」

「あ、そうなんですか」

「亡国機業に依頼をした海外の企業だったよ……おそらくは、日本の最新機のデータ欲しさだと思うが…………あんな機体のデータを盗んだところで意味はないだろうけど」

「織斑にしか乗れない時点で欠陥機もいいところですからね……アイデア出したの自分すけど」

 

 ほんの出来心だったんや。まさか本気であんな際立った機体作るとは思わなかったんや。

 まあ、いくら言い訳したところで事実は事実なんだけど。

 

「って、それだけじゃないですよね? 今日呼んだのは」

「…………実は、君にこれを見てもらいたくてね」

 

 そう言って、差し出されたのはいくつかの資料。英語で書かれているようだけど……まあ今じゃこのぐらい問題ないか。写真もついている――ッ!?

 

「……なんですか、これ?」

「私たちは、こいつを便宜上リヴァイアサンと呼称している」

 

 資料にはバミューダ近海の調査報告で、ISコアを使用して製作された特殊潜水艦(潜水艦の形をしたISと言った方が正しく、乗組員もいるが重要な部分は内部のISユニットである)を用いた海底調査だった……時空のゆがみとか、手掛かりが見つかればぐらいの気持ちで政府に報告したんだけど…………どうやら、思った以上にとんでもないものが見つかってしまったらしい。

 そこには、バミューダ海域の海底の写真が記載されており――巨大なインベスが、海底でとぐろを巻いている様子が写っていた。

 

「……いったい、何をすればここまでデカくなることやら」

「どうだい? こいつに勝てるかい?」

「…………厳しいですね。この前のデカブツにでさえ苦戦しましたし、ここまでの奴は僕も始めて見ました。これ、大体どれくらいの大きさなんですか?」

「推定、50から100メートルぐらいだ」

「無理。シロナガスクジラよりでかいってだけで恐ろしいわッ」

 

 いくらなんでも無茶過ぎる。

 なんだよそのラスボス級の化け物。

 

「そこを何とかならないだろうか……」

「無理なものは無理。というか刺激してないでしょうね?」

「操縦者の子がパニックになったが、乗組員たちが頑張ってくれたおかげでなんとか」

「良かったぁ……こいつが暴れだしたら災害が起きますし、僕の最大火力でも厳しいですって……今は監視を続けて、刺激を与えないようにした方が良いですよ」

 

 できれば、死んでいてすでに亡骸なのを期待するけど……無理だろうなぁ。

 

「っていうか、こういうのが世界各地にいたりしないよね」

「――今すぐ調べよう」

「待って、受け止められない」

 

 黄金の騎士の前に、倒さなきゃいけないのがどんどん増えていきます。

 もしかして、各地の神話の化け物とか――よそう。精神衛生が悪くなる。

 家に帰った後、報告もかねてとりあえず束に報告したら、顔を真っ青にしてよろめいたので慌てて支えた。

 

「な、なんでまた厄介なものが……」

「なー」

「なー、じゃないよッ! どうするの!?」

「マジでどうしようか……この分だと、他にもたくさんいるぞ」

「――ッ」

 

 声にならない悲鳴を上げる束。うん、僕も悲鳴を上げたい。

 まさかここまで厄介なことになるとは思っていなかった。なんていうか、色々とマズイことになっている。

 

「……で、どうするんだよ」

「とりあえず、動きがあるまでは放っておくしかないな。下手に手を出すと危険だし」

「わかった。今のところはやることは変わらないんだね」

「ああ……暮桜のほうはどうなっているんだ?」

「ちょっと面白いことが分かったぐらいかな」

「面白いこと?」

「うん。ちーちゃんがシャーベットとかいう女と戦ったときの加速だけどね、自分の放出したエネルギーを自分のスラスターで取り込んで再び放出して使っているんだよ」

「……ああ、このログか」

 

 映像ファイルを呼び出して、検証を進める。なるほど、この時に不具合が出たのはドライアイスも一緒に吸ったからか……吸う、吸う……んー……ダメだ、アイデアは思いつかない。

 とりあえず織斑の脳波グラフをチェックするか……問題はないけど、攻撃の瞬間だけ変化が著しいんだよなぁ……武人系だからだろうけど。

 

「……問題なし。あとは機体側の仕事だな」

「分かった。束さんもできることはやった感じだし、こっちに集中できるよ」

 

 そう言って束が取り出したのは、見たことのないエナジーロックシードだった。

 

「新しいのできたのか!?」

「まだ調整は済んでいないけどね。ちーちゃんの試合までには完成すると思うよ」

「思った以上に速くできたな……」

「まあ、英の戦闘データもチェックしているからね。おかげでナンバー04までの構想は終わっているよ」

「……ありがとうな、束」

「ふふん、この天才の束さんに感謝するんだね!」

 

 そう言って、束ははにかむのだった。恥ずかしがらなくなったけど、こっちが照れるな。

 しかし、今度のはサクランボか……チェリーエナジーロックシード。どんな性能なのだろうか?

 

「ナンバー04まではソニックアローを搭載することにしたよ」

「あれ? そうなの」

「うん。全距離万能型だからね。04にはおまけもつけておく予定だよ」

「おまけ?」

「この前のエクステンドのデータもばっちり収拾済みだよ。あと、アレは二度と使わないでね。バグを取り除くの大変だったんだからッ!」

「す、スマン……」

「まったくもう……あ、束さんクレープが食べたいなー」

「……わかりました。奢らせていただきます」

「よろしい」

 

 まあ安いものだよな。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 さっそくクレープを食べに来たけど、また厄介な人に捕まってしまった。

 誰かって? また合コンに失敗したあの人だよ。

 

「うう……男なんて、男なんて」

「め、恵さん元気出してください」

「佐々木先生、真耶ちゃんも困っているんですからいい加減にしてくださいよ」

「……はぁ」

 

 上から順に、佐々木先生、代表候補生のためしばらくこちらに住んでいる真耶ちゃん、僕、束である。

 というかまた合コンに負けたのかこの人は……

 

「負けたのは合コンにじゃない!」

「じゃあ運命?」

「――ガハッ!?」

「恵さん!?」

 

 束の一言がクリティカルヒット。言い過ぎだって……

 

「あ、あはは……すいません」

「いいって。慣れてる」

「束さんはもうこりごりだけどね」

「あ、あははははは……あのぅ、もしかして篠ノ之束博士ですか?」

「そ、そうだけど……」

「ああ、あのあの、握手してください!」

「え、あ、うん」

 

 束はここまでストレートにそんなこと言われたことってなかったから困惑している。

 真耶ちゃんはIS操縦者になりたいって、頑張っていたし束はあこがれの人なんだろう。こういう風に戸惑っている束も珍しい。

 

「感激です!」

「そ、そうなんだ……」

 

 だけど、束……人の胸を見てしゃべるのはやめなさい。フィルターかかっているから真耶ちゃんは気が付いていないけど、君ガン見しているからね。

 いや確かに大きいけど、束もデカい部類だからね? だから、そんなものすごい顔はやめて。

 

「……あれ? 蜂矢君じゃないか」

「今度はだれ――ああ、先生か」

 

 我らが担任の、工藤先生である。どうしたのだろうか?

 

「なんだか楽しそうだねぇ」

「ええ、まあ……騒がしいけど、こういうのって案外楽しいもんですね」

「うんうん。学校の雰囲気も最近は明るくなってきたし、いいことだ。それじゃあ、私はいくところがあるからこの辺で」

 

 それだけ言い残すと、工藤先生は去って行った。

 まあ休日だし、色々な人に会うか――ふと、視線を感じると佐々木先生が怪訝な視線をしていた。

 

「どうしたんですか、先生?」

「自慢じゃないけど私ね、悪い男に引っかかったことだけは一度もないのよ」

「マジで自慢じゃないですね……そういえば、失恋とか合コンの失敗は聞いたけど詐欺とかは聞きませんね」

「……あの男、気をつけなさい。女の勘だけど、危険よ」

「え、でも生徒に平等に接するいい先生ですよ」

「…………ますます怪しいわね。どの程度平等なの?」

「そりゃあ、完全に平等――え」

「気づいた? いくら聖人君子みたいな人だろうと、人をゴミとしか思わない外道だろうと、優劣ってのはつけるものよ。教師だって人間だしね」

「……」

 

 違和感は感じていた。だけど、あまり気にするべきではないと思っていたからスルーしていたけど……

 

「まあどの程度危険かってのは分からないけど……アレはあまりお近づきになりたくないタイプね…………まあ、女の勘だし適当に聞き流しなさいな」

「うん……そうするけど」

 

 妙に、先生の言ったことが耳に残った。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 先生たちに別れを告げて、久しぶりにいつもの海岸にやってきた。

 日も傾いて来ているし、そろそろ夕飯を作らないといけないな……一人暮らしだけど。

 

「……束さん久しぶりに英の作るご飯が食べたいなー」

「はいはい。じゃあ家に連絡は入れろよ」

「大丈夫ー家出る前に言っておいたから。ぶいぶい!」

「それ最初からそのつもりだったんじゃねぇか!」

「あいたっ」

 

 思わず、久しぶりのハリセンをしてしまった。おお、懐かしい感触。

 

「もういきなりはたかないでよ」

「悪い悪い……ん?」

 

 何だか視線を感じるなぁ……なんて思って振り向いたら、いつかの眼鏡っ子が座っていた。

 

「……」

「えっと、どうしたの?」

「……ヒーロー博士」

「ぶほっ!?」

 

 おい束、なんでいきなり笑うんだよ。腹を抱えて笑うな。マジで傷つくぞ。泣くぞ、いいのか? いんだな?

 

「……あまりそれは言わないでほしいな……なんて」

「どうして? ヒーロー博士なんでしょ」

「やめて、束さんのライフはもう――ぷふっ」

「束、後で覚えておけよ……えっと、ほらヒーロー博士は悪の組織に狙われるといけないから」

「――――」

「束、ホントマジやめてくれ」

 

 地面に倒れて転げまわるな。汚れるぞ――!? こいつ、ISの機能を使って汚れないようにしてやがるッ

 どこまで用意周到なんだよ……

 

「そっか、そうだよね!」

「あれ納得するの!?」

「お前みたいにけがれていないからだろ」

「ひどいッ」

「……お姉ちゃんに聞いたことあるよ、お兄ちゃん達みたいな人を、バカップルって言うんだよね」

「「いや、カップルではないから」」

 

 あくまでカップルではないのだ。あくまで。

 

「……?」

「ああ、うん君にはまだ早いかな……なんでこんなところにいるの?」

「…………お父さんが仕事だって言って喫茶店に入っていくのを見たから、浮気調査にきたの」

「――最近の子供は、まったく」

「いやそういう問題?」

 

 この前は純粋にヒーローを信じていた子供だと思っていたのに、なんだろうこのやるせない気分は。

 

「だって、この前みたヒーローはしてたよ?」

「ああうん安心した。そういえば最近やっているね、探偵の設定の特撮」

「ああ、アレか」

 

 この子特撮とか好きそうだし、それもそうか……テレビのマネかぁ…………でも、家族が心配しているだろうし連絡をつけないと……

 

「そしたら、お兄ちゃんと一緒にコーヒーゼリー食べてるのが見えたの……だから、お兄ちゃんが浮気相手なんじゃないかって探してたの」

「――英?」

「まて束、誤解だ。腐らないでくれ頼むから。そしてこの子楯無さんの娘なの!?」

 

 先祖は忍者だって言ってたし、ある意味将来有望な子供だった。

 楯無さんに連絡したらすっ飛んできてくれて、すぐに解決してよかった。

 初めて聞いたけど、女の子は簪ちゃんと言うらしい。結局、ヒーロー博士の称号は楯無さんにまで知られて、束と一緒になって笑いだしやがった。

 マジで後で覚えてろよ……




反響良かったんで、簪ちゃん再登場。

本人は気が付いていませんが、束さんに大ダメージを与えるという快挙を成し遂げました。

そして、いくつか出てきたワードやら伏線とか……超巨大インベスについては最初から出したいなーとは思っていました。
あとはチェリーエナジーフラグ。

右手が痛い……タイピングがキツイです
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