仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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そろそろ新しいステップに突入かな。



EP46.想いつながり

 楯無さんたちと別れた後僕と束はそのまま僕の家に直行し、夕食を食べることに。

 というか、束のやつ……今日は泊まるつもりなのか? 研究で徹夜したりとかで寝落ちすることは結構あったけど、最初から泊まる気なのは初めてではないだろうか?

 いや、あったような気もするんだけど……なんだか違和感があるというか何というか。

 

「で、束……今日はどうしたんだよ」

「あー、やっぱりわかる?」

「わかるに決まっているだろ……というか、なんつーか違和感だらけだぞ」

「……もう少し先に進んでもいいかなって」

「…………」

「分かっているんだよ。英が、私のためにあえて先に進まないようにしていることは。でもね、この天才の束さんが止まるわけないじゃん?」

「……ああ、そうだよなぁ…………うん。その通りだよ。でも、それだけならもっと露骨になるだろ」

「まぁね……英、一つだけ聞いていい?」

「なんだ?」

「――――あのインベスを倒したこと、悩んでいるでしょ?」

「……ああ、そりゃ僕が明確に人がインベス化したものを倒したわけだからな。悩まないわけがないだろ」

 

 どうやら、僕は思いっきり束に心配をかけていたらしい。そこまでわかりやすいだろうか?

 自分でも考えないようにしていたんだけどなぁ……

 

「最近は少し空回りしてたからねぇ……私以外に気づいた人がいたら大したものだと思うよ」

「こりゃ束には隠し事できないなぁ」

 

 将来がある意味怖い。いや、隠し事する気はないんだけど。でも、今回のことを隠していたのは事実だし、何も言えない。

 ……明確に人がインベス化した存在を倒したということは、僕は明確に人を殺したということだ。その事実自体に後悔はないし。アレはもう引き返せないところまで来ていた。しかも、インベスになることがどれだけ危険なのかを理解したうえで果実を食べたのだ。

 だからこそ、彼女を殺したこと自体に後悔はないし覚悟もできた。だけど……

 

「今回はさ、ああいうふうに向こうも――歪んではいたけど――覚悟の上だったから僕も倒せた。だけど、今後はそうもいかないだろ」

「……」

「怖いって言うのは違うけど、なんだか……大切何かをなくしそうな気がするんだ」

 

 それが、嫌だ。結局のところ僕も人間なんだ。

 自分が嫌だと思うことは嫌だし、やりたくないことだってある。辛いこと、逃げ出したくなるようなことだって……

 

「……だから、どうしたらいいのかわからなくなって…………」

「――大丈夫」

 

 そういうと、束は僕の手に自分の手を重ねてきた。

 ――暖かい。それしか思い浮かばないけど、それだけで十分だった。

 

「大丈夫だよ。英は間違えたりしないよ。それにこの束さん以上に大切なものなんてあるのかい?」

「――ああ、そうだよな」

 

 まったく、こういう時は女の人ってどうしてこう『強い』のかなぁ……

 おかげで元気があふれてくるじゃないか。

 

「ありがとうな、束」

「うん」

 

 そうだよ……僕はもう一人で戦っているわけじゃない。後ろで、隣で、前で……こんなに頼もしい、大切な人がいるじゃないか。

 だったら、大丈夫だろ?

 

「よしっ……じゃあさっそく作業に取り掛かるか」

「ええ~いまから~」

「思い立ったが吉日。時間がもったいないし、なんだか眠気まで吹っ飛んだからね」

「……それもそっか」

 

 そう言って、少しだけ束は微笑む。なんだかんだで、僕らはこうやっている方が性に合っている。

 甘い空気よりも、こうやって打ち込む方が好きなんだろう。目の前に問題があったら、後回しにはできないしね。

 

「まずは、ソニックアローの改修をするか」

「あれで十分じゃないの?」

「いいや。火力が足りないというか……矢を一本しか撃てないのはキツイ。複数本打てたり、色々と改造案はあるぞ……あとは、ドライバーなしでも使えるのを一個作ろうかと」

「え、改造は分かるけどそれはどうして?」

「あー……対IS用かな。あとこの前の戦いで痛感したんだ、僕が仮面ライダーだってバレると色々都合が悪い場合も起きるって。だから生身でも戦える手段が欲しいんだよ。あと、もう一つ……ISがインベスは無理だとしてもライダー相手なら戦える可能性を思いついたから、束に頼みたいんだけど……」

 

 束に、僕が考案したプログラムのことを話すと、いくつか計算式を呟いた後、空中に投影したモニターにプログラムを表示していく。

 

「たしかにいけるね。インベス相手でも数発程度の攻撃なら大丈夫だと思う。ライダー相手なら……エナジーロックシードじゃなければ優位に戦えると思うよ」

「なら、これを楯無さんを通じて流してもらうか」

「コアネットワークから流してもらった方が速いんじゃ……ああ、それは無理だったね」

「今のコアネットワークはうかつに使用できない。全ISとの通信とか危険度が高いからね。政府の思惑とか絡んでいても、人づてのほうがいい場合もあるってことだよ」

「はぁ……束さん的には早いところ黒幕を倒して、ISを解放したいよ」

「分かっているよ。束の大事な子供たちだもんな」

「…………英のことをパパって呼ばせようかなぁ」

「それは勘弁してくれ」

 

 さすがにそれは恥ずかしすぎるんだ。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 その日は、若干徹夜気味だったけど思ったより作業がはかどった。元々、開発していく中で仮組パーツはあったソニックアローはすぐに組み立てられて、新機能もある程度の調整ですぐに取り付けられた。ただ、強度に問題があるから実際に使用できるようになるまでデータを取る必要があるけど。

 対IS用に開発したソニックアローは、ISの技術を応用して右手に腕輪型に圧縮されている。使用時に展開される仕組みだ。

 色は黒に塗ってあり、ロックシード型のエネルギーパックを使用することができるうにしてある。ロックシードも使えるため、インベス相手にも戦えるが、さすがに本物よりは出力が落ちる。使い勝手が良かったら、対インベス兵装として量産する予定だ。カッティングブレードをオミットされたドライバーの方は量産できそうだし、二つ合わせて対インベス兵装として作る計画も考えている。

 

「束ーお前の方はどうだ?」

「あー……プログラムはすぐにできたよ。あと、これ」

 

 そう言って束が投げ渡したのは――サクランボモチーフのロックシード。

 

「エナジーロックシード二号機……完成したのか!?」

「元々、ちーちゃんの試合までには完成するって言ったでしょ? 英の考えてくれたプログラムが出力関係に応用できたからすぐにできちゃった」

「そっか……束もお疲れ様」

 

 感謝の気持ちを込めて、頭をなでる。束は口を緩めてされるがままだったけど、やがて静かな息遣いが聞こえてきた。まあ、徹夜だったし、眠るのも仕方がないことか。

 僕も眠くなってきたし……布団を持ってきて束にかけてやる。判断能力が少しづつ鈍ってきて、僕もそのまま眠ってしまった。

 起きた後、束とそろって赤面することになってしまったが。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 そして、時間は織斑の模擬戦当日まで進む。それまで、チェリーエナジーロックシードの調整や、ドライバーとソニックアローのオミット品量産計画を練ったりしていて、それなりに忙しい日々が続いていた。

 プログラムの方も楯無さんを通じて日本政府に渡され、各国に販売された。どの国もインベス対策は頭を悩ませているらしい。

 本日、束は暮桜の点検にいっているのでその間、僕は楯無さんと会話している。

 

「しかし、対インベスに効果のあるシールドをはるプログラムか……よくこんなものが作れたね」

「まあただの思い付きですけどね。ISに使われているエネルギーはあらゆるものに転用可能です。そこで、インベスの持つエネルギーに対して、有効なエネルギーの波を構築することでエネルギーを対消滅のような形で遮断するんです。ライダーの攻撃ならかなりの威力をカットできますし、インベスも初級相手なら勝てると思います。ただ、上級以上は……」

「そちらは、君の作ってくれたもので何とかするしかない……しかし、戦争をしない日本がこういう軍事技術まがいのもので利益を得るとはなぁ…………」

「なんか、すいません」

「いや、いいんだ。昔、君のお父さんに言われたことを思い出してね」

「父に? そういえばどういう関係なんですか?」

「君のお父さんとは、大学の先輩後輩の間柄だったんだ。昭雄が先輩で、私が後輩だ。当時から色々と苦労してねぇ……破天荒な奴だったよ」

「なんか、本当すいません」

「まあ、楽しかったけどね。で、当時アイツが卒業するころだったかな……こういう家系ってのに反発していた私は色々悩んでいたわけだ。今でこそ誇りはあるけどね。そんなときにアイツが言ったんだ。『戦いのない人生なんてありえない。ましてや、平和は維持するために多くの戦いを強いるものだ』ってな」

「……なんとなくわかります。誰かの平和を守るために、誰かが戦う。でも、それって当たり前のことじゃないんですかね」

「私もそう思うよ。でも、私は自分が戦う側に回ることに納得いかなかったんだろうね。その当時は。だけど、アイツと君のお母さんをみて考えが変わったんだ。破天荒だけど、誰かのために自分から戦う奴なんだって。そして、そういう奴は強い。それをカウラもわかってくれると良かったんだが……」

「カウラって、僕の伯父の?」

「ああ……君の母親の兄。カウラ・ゲインクロイム・戦極。戦極ドライバーの基本理念を作った男で、私の知る限りではただ一人、篠ノ之束博士以上の天才だよ」

「束以上……」

「アイツの残したものは数多い。だけど、なんというか……どこか人と違うというか、危ういやつだった」

「……」

 

 父さんと母さんが彼のことを僕に何も言わなかったのには何か理由はあると思っていたけど……なんだか、背筋がぞわぞわする。

 断片的に、その人の情報が入るたびに体の芯が凍るような悪寒が走るのだ。

 

「狂っているとまではいかないが、科学者のくせしてロマンチスト過ぎる部分があった。オカルトにも精通していたしな……それが悪いわけではないが、時折危険な実験もしていたようだ。まあ、人に迷惑をかけない範囲だけどね」

 

 そこで、話は終わってあとは今後のドライバーの量産や配備についての話になった。

 だけど僕の頭には、伯父のことが残り続けていた。

 

 

 そして束が僕を呼びに来た。というよりは、観客席に行って試合を見るために一緒に行くということなのだが。日本から色々とお偉いさんや、TV局や記者がきているけど……情報公開してもいいのか?

 

「問題ないんじゃないかな。今回はあくまで簡単な模擬戦。世界大会は数年先だし、それまでに二次移行を目指すわけだし今のデータなんてあてにならないよ」

「それもそうか……しかし、人多いなぁ…………あ、だから今日は目立たない格好なのね」

 

 本日の束はコートにストールを巻いた感じの格好である。普段の私服と比べたらかなり目立たないというか地味である。

 まあ意図的に着ているんだろうけど。

 

「英こそ、スーツ似あわないね」

「ほっとけ」

 

 あまり好きじゃないんだよ。堅苦しい服。

 とりあえず試合開始を待っていると、なんだか嫌な予感がした。インベスとかと違ったノリの。

 

「まぁまぁ、そこにいらっしゃいますのは英様ではございませんか!?」

「ああ、もうやだこの展開」

 

 厄介さんご登場。正直勘弁してほしい。

 

「塩まくぞ脳内ピンク女」

「あら? どこの地味子さんかと思ったら……髪色だけショッキングな地味子さんじゃないですか」

「――英、ソニックアロー貸して」

「落ち着け束……頼むから落ち着いてくれ」

「ふふん、このわたくしにおびえて声も出せませんか」

「――ッ」

「落ち着け、マジで落ち着いてくれ乱闘はマズイ!」

「でもまあ勝つのはこの仙道工房のIS、雷電ですから当り前ですわねッ!」

「アアン?」

「束、女の子がしていい顔してない。だからマジでやめて。記者とかに気づかれると危ない」

「それでは、わたくしは向こうに席があるので名残惜しいですが――英様、後ほどまたお会いしましょう。わたくしどものISの勝利でね」

 

 ――絶対に、わたくしたちが勝つのですから――

 

 去り際に呟かれた、その言葉が妙に耳に残った。

 そして、会場にISたちが入ってくる……波乱の模擬戦は始まった。

 さまざまな思惑を秘めて。

 




いつまでもISがヘルヘイムの力に不利なままではないのだよ。

ちなみにこの世界、インベスがいるので女尊男卑になってません。
まだIS登場から数年ってこともありますが、インベス相手には無力だったのがIS一強に待ったをかけています。

そういえば、IS原作に一夏の修羅場に巻き込まれるタイプのオリ主が多いのはなんでなんだろう……原作に巻き込まれた人いなかったのに。
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