なんかギャグノリの多い話になってもうた。
もしかしたら腱鞘炎になったかも……手が痛い。
12月29日、大掃除も終わらせて僕と束は空港にいた。
「新年は忙しいのに手伝えないって言ったら怒られちゃった……」
「篠ノ之神社はあそこらへんで一番大きいからなぁ」
しっかし、成田はごちゃごちゃしていて迷ったら大変だ……待ち時間も長いし。
今回は僕と束の二人だけで行くことになっている……正直、高校生二人で行けるのかよという感じだったのだが、そこは更識家を通じて政府に打診し、そこから空港に話が通っている。
席はビジネスクラスが何とか入手できた……さすがにファーストクラスをとれるわけはなかった。値段がヤバいらしいし。それでも一学生が払うにはキツイ値段である。
「……エコノミーは椅子が痛くて嫌だったから助かったけど…………」
「英は乗ったことあるの?」
「前にギアナ行った時にな。エコノミーじゃないけど、小さい頃にも飛行機乗ったことあるぞ。いや、どうだったかよく覚えていないけど」
ホントに長時間は痛いんだよ……マジでキツイ。
小さい時のは本当にどこまで行ったかは覚えていないけど。長かったような記憶はあるんだけどなぁ……
とりあえず搭乗時間がくるまで中の本屋で暇潰せるもの探すか……
「中はいろいろあるんだね」
「免税店とかな。あんまり興味ないけど……あ、ガイドブックは――いらないか、観光じゃないしある意味ビジネスだし」
「ねえ、税関でなんて言うの?」
「一応話は通っているよ、架空の企画のスタッフっていうことで」
「き、企画?」
「日本政府による、プロジェクトみたいな感じで名前は適当に……まあ公にできないこといっぱいだし、適当にビジネスで行きますって言っておけば大丈夫だよ」
「だ、だよね」
「まあそうそう変なことも起きないって」
とりあえず特撮作品の小説版をいくつか買っておく。暇潰せるし、面白いし……自分が特撮さながらのことやってるのに、こういうの買うのはなぜだろう。
まあいいや……調査が終わったら観光でもしようかなーなんて考えながら、搭乗時間が来るのを待っていました。
思えば、それがフラグだったのかもしれません。
「お前らはこの、『空色ピンクボム』の人質だ!」
「無駄な抵抗はやめなヒャッハー!」
「ブモブモッ!」
なんで、こんなバカな奴らがハイジャックするんだ……ッ
「英、どうする?」
「ヤメロ、話しかけるな……今までの運の悪さを呪っているんだから」
「確かに英ってすごい運悪いけど……」
もう右の腕輪を展開してブッ飛ばしてぇ……だけど流石にそれはまずいだろうし……
さて、真剣に考えよう。ここで問題起こすと後が大変だ。だからここは穏便に――「別嬪の姉ちゃんがいるじゃねえか、ちょっとこっちきて相手してくれピブルチャッ!?」――できないな、うん。
「ちょ、英!? 束さんは大丈夫だから!」
「テメェラ覚悟はできているんだろうな?」
「そこで怒ってくれるのは嬉しいけど、状況を考えてッ」
もう止まらないな、どこか冷静な部分がそう告げている。むしろとっととテロリストを一網打尽にした方がよさそうだ。
束もやれやれと言った感じで立ち上がり――両腕にISをアーマー部分だけ展開する。
「なっ!? なんでISなんか――さてはテロリストだな!」
「テメェラに言われたくないんだよぉ!!」
あ、束もキレた……まあいいや。速攻で片付ける。右手にアローを展開して、テロリストを一人ずつ蹴散らす。青い顔しても無駄である。現実は非非情だ。
「ば、バケモンだッ……う、うわあああああああ!?」
「「逃がすかぁあああああああッ」」
◇◇◇◇◇
「遅かったね、一体どうしたん……なんだか、疲れた様子だけど何かあったのかい?」
「いえ、ちょっとハイジャック犯と戦闘を少々」
「それ少々じゃないよな!?」
空港を出ると、先に来て仕事をしていた楯無さんに出迎えられた。
現地(スウェーデン)に予定通りの時刻で到着したのはいいけど……事情聴取とかで思いっきり時間とられた。被害もなく鎮圧できたから日本政府から便宜を図られたのが幸いして、捕まることはなかったんだけど……
「つ、疲れた……」
「一日目から内容が濃いよぉ…………半日近く空の上だしぃ」
「あ、あはは……篠ノ之博士は飛行機初めてだっけ?」
「もう空中移動要塞自作して空に住む」
「それは色々とまずいからやめてほしいな」
もうまずはホテルで一泊して疲れを取りたいんです。
愚痴りながら頼み、僕たちは近くのホテルに一泊することになった。
「どうやったらそんなトラブルに巻き込まれるのか……亡国機業の手のものか?」
「いえ、なんかおバカなテロリスト集団でした。世界の爆弾の爆風をピンク色に統一せよとか叫んでいて」
「もういいや、なんかおなか一杯」
「でしょうね。実際に見るとさらに疲れますよ」
つーか警備ザル過ぎる……いったい何をしていたんだ……
そしてホテルのチェックインを済ませ、着替えることもなく束と共にベッドにうつ伏せに飛び込む。
「……ダブルベッドだけど、いいの?」
「もうどうでもいいだろ、それ」
「それもそっか…………ねえ英、北欧に来た目的ってインベスとかヘルヘイムについて調べるためだよね?」
「まあな。まずはそこから知らないといけない気がしてさ。何事にも始まりってのはあるんだから、そこから突き詰めれば今起きている問題の対策もとれるんじゃないかなって」
「それは賛成だけどさ、具体的にはどうするの?」
「まずは地球側から遺跡とか探して、調べに行くよ。めぼしいところは楯無さんたちが選別しているから一から探す必要はないし」
「……それやるの面倒だったから、巻き込んだね?」
「結局のところ僕一人じゃ限界はあるからね……どうしても人の手は借りないといけないし、だったら巻き込めるところは巻き込むよ」
「……後悔してない?」
「むしろ一人で頑張り過ぎて、失敗するよりはいいと思う」
「そっか……地球側ってことは、ヘルヘイムの方にもいくの?」
「ああ、もちろん。どこかでベースキャンプを地球側に設置してそこを拠点に調べるつもりだよ。まだドライバーの量産ができていないから僕たちだけで行くことになるけど」
「そこは問題ないと思う……というか、初突入で調査とか厳しいから私たちだけでいいんじゃない?」
「それもそうか……まあ、今日はもう眠ろう、正直キツイ」
「束さんもーふぁぁおやすみ」
「おやすみ」
以上、うつ伏せのまま行われた会話である。
◇◇◇◇◇
彼らが眠った時と、時を同じくして。同じホテルにある人物が泊まっていた。
「まったく、冗談じゃねぇぜ」
須郷猛、彼もまたこの地へと足を踏み入れたのだった。
実のところ彼は亡国機業の構成員として名前と顔が知られている人物のため、国際指名手配されているのだが、組織側からの手引きで飛行機に乗り込み、この地へと飛び立ったのだ。その際に空港の警備が緩くなったことでみょうちくりんなテロリストが乗り込んでしまったのである。
「しっかしエコノミーってのはこうも体がガチガチになるもんなのか……しっかし、テロリスト相手に大立ち回りしたってのは誰だったんだろうな……畜生、起きていれば良かったぜ」
幸いと言っていいのか、彼と英たちの席は大分離れており、なおかつ彼は熟睡していたことでお互いに存在に気付かなかったのである。
さらに、英たちは事情聴取されたことで奇跡的に出会うこともなかった。さらに偶然が重なり、楯無がトイレに行っている間に彼がいた場所を通り過ぎて行ってしまったので、彼とも出会わなかった。
英とは逆に、幸運が味方した形である。
「しっかし、結構冷えるな……テレビも面白いチャンネルはないし…………海外ってのも憧れるだけ憧れて、来てみると案外こんなものか」
ため息をつきながら、ドリンクを一気に飲み干す。とりあえずコーラを飲んだが……日本と変わらない。
「……まあ味に困ることはないってことでいいか。変な物しかないよりはマシだろ」
そう納得して、猛は持ち込んだドライバーや資料を確認する。その中にはまだ、英も見たことのないロックシードがいくつもあり、資料にはこう書かれていた――オーバーロード計画、と。
「さてと……待ってろよ、蜂矢英…………次に会った時がお前の、最期だ」
こうして、ニアミスの夜は更けていく。
◇◇◇◇◇
コケコッコーと、鶏の鳴き声が聞こえてきた……マジで朝に鳴くんだな。
「……鶏の鳴き声で起こされるって、フィクションじゃないんだね」
「ああ……っていうか防音しっかりしろよ」
いや、日本の基準で考えちゃいけないか。うん。
とりあえず汗を流していなあったのでシャワーを軽く浴び、朝食を食べに行く。お互い、髪の毛濡れているけど……変な誤解をされそうである。
荷物を持って、すぐに出れるように行くけど部屋を出てから少しして――朝っぱらから若いカップルが……チッ――なんてセリフが聞こえたので、後ろを振り向いた。
「……?」
「どうしたの?」
「いや、どこかで聞いたことのあるような声が……」
「束さんも聞いたけど、日本語だったからじゃない?」
「ああそっか……ここ外国だから」
無意識に神経質に考えていただけだろう。そう思って、再び朝食を食べに歩き出す。
楯無さんも別の部屋に泊まっていたらしく、レストランで合流した。
「……なんで髪がぬれているんだい?」
「昨日シャワー浴びなかったので」
「疲れてそのまま眠りました」
「…………そこまでしっかり答えられると逆に怪しいよ……すでにファーストキスぐらいは済ませていそうだが、そこのところどうなんだい?」
「いきなり何出だすんだアンタはッ!?」
「初めての相手は、地面でした!」
「た、束さん!?」
「……英、忘れたとは言わせないよ」
「――あ」
そういえば、前にハリセンで……懐かしいなぁ……あはは、はは。本当すいません。後で埋め合わせしますから。
楯無さんはそんなやり取りに苦笑しながら、話を戻す。ちょっと理不尽に思ったけど。今は気にしない方が良いか。
「さて、準備はできているけど、手掛かりが見つかる可能性は?」
「五分五分ですかね。地球側では可能性が低いかもしれないですけど……向こう側ならあるいは」
座標自体は変わらないし、遺跡とかがある場所と同じ座標にあるヘルヘイムには何かあるかもしれないっていう予測を立てている。
束と共に見た、謎の夢……あれがどうしても気になるのだ。
人の様な知性を見せたインベス、彼らが実在したとして、どういう存在だったのか知るだけでも変わってくる。
「僕たちは知らないことが多すぎる。地球と干渉しなければしれで良かったのかもしれませんが、なんだか話はそう単純じゃないようにも思えますし」
「とにかく、年末年始なのに悪いですけど、束さんたちはどうしても進級前に調べたいんです」
「…………いいだろう、日本政府だけじゃなく、世界規模でインベスに対しての問題は深刻だからね。英君がサンプルとして提供してくれた除草剤の解析を進めて、植物の侵食を和らげられる段階まではこぎつけられたし、今のところ君たちと協力したほうがよさそうだからね」
「まあ、利益が出ないとやってられませんよね……ドライバーとアローの量産は?」
「レアメタルの使用量が多いからね……どうしたものか」
「なんでアイツらは量産しているのに、こっちは時間がかかるんだか……束さんご立腹」
「そりゃあ、向こうはヘルヘイムと自由に行き来しているんだし、本部もヘルヘイム側なんだろ? だったら鉱脈とか向こうにあるんじゃないかな」
「工場を作るほどの設備を向こうに作れるのかい?」
「いや、森の感じからして原材料だけ向こうから持ってきて、こっちで作っているんじゃないかと……」
「まあ完全に向こうに行っちゃうのも時間の問題かもねー」
束の言う通りだ。結局のところ時間が過ぎていくだけで解決しないってのが一番最悪なんだ。
だからこそ、この調査はこの一回で終わらせたいぐらいだ。
「……さて、現実逃避もやめましょうか…………なんですか? この朝食は」
「束さん、マジでご立腹」
「すまない……私も、泣きたいんだッ」
スウェーデンって朝食は力入れてなかった?
……なんでトースト一枚なんですか…………
「注文、間違えた」
「束、知り合いに偶然会った体で朝食頼み直すぞ」
「うん。わかってる」
「……ははは、ガイドブックぐらい持ってくるべきだった」
慢心、それは我が身を亡ぼすのである。どこからか、注文間違えたッ! というどこかで聞いたことのある声が聞こえてきたけど……日本人、結構来ているのか?
ちなみに、朝食はとてもおいしかったことをここに記す。
ついに始まった北欧編……いきなりカオス過ぎる上に、奴が現れるものの、ニアミスし続ける。
実は、予約投稿した後で英がギアナに行っているのに気づいて、慌てていろいろ修正している。
危うくなかったことにするところだった……たまに自分の作品読み返すことも大事ですね。結構小ネタとか忘れているわ。
邪武は最終話らしいですね。イナゴ怪人もまた出てくるそうだけど……
2-4突破って言えば、最近何やっているかわかってしまう人も多いと思う。