あと、サブタイトルで誰が出てくるかモロバレな気もする。
落差がひどくてすいません。
EP56.4月の変態
なんで校長先生とか、そういう人の話は長いのだろうか? 中身があるのならまだいいが、中身のない話をする人が本当に多くて困る。
そんな、退屈だけど当たり前の日常に慣れてきた今日この頃……ISを用いた競技の世界大会、モンドグロッソの開催地が決まったという話を聞いた。まあ、初開催ということでISの生みの親である束の住む日本になったそうだ。
「……で、束はどうするんだよ」
「とりあえず、技術スタッフとしてアリーナとかの設営に借り出されたよこんちくしょう」
「ああ……断れないのか?」
「無理だねぇ……束さん的には無視してもいいんだけど、いざというときのことも考えてアリーナの設営だけには関わっておいた方がよさそうなんだよね」
「そっか……そういえば、IS学園の方はどうなったんだ?」
「そっちはモンドグロッソが終わった後に生徒の募集をして、その翌年からって話だよ」
「なるほどね……」
日本に過剰戦力集まるって感じだけど、いや……IS学園には必然的にISが多く配備される。それを狙う輩もいるわけで、モンドグロッソが日本になれば熟練のIS操縦者も集まるし……IS学園の工事はモンドグロッソ期間中に行うつもりか? そしたら、各国から生徒を入れるIS学園を守るのに操縦者たちを動かせる。自国の人間のためでもあるとか言って。
「色々考えられているなぁ」
「穴も多いけどね。とりあえず、インベス対策が問題なんだけど、専門家さんとしてはどう思う?」
「まあ、専用のシールドでも作っておくか。前に作った、ISのシールドをインベス相手に対応できるようにしたプログラムを応用して、アリーナのシールドに使うか」
「そうだね、後はなんかある?」
「うーん……銃弾を加工するか」
「銃弾?」
「ああ、量産出来て世界中で使えるような武器が必要ってこの前楯無さんに説明されたからな。あと、日本でも作れるものとかなんとか。まあ、武器を作るぐらいはできるらしいから、コストもかからないで、たくさん作れるものをって思って」
「それで銃弾?」
「今の銃の規格でも使える奴なら、そこまでコストは必要じゃない。対インベス特化にしておけば何とかなるだろ」
案としては、プログラムタイプか、炸裂して除草剤をばらまくタイプとか、体の内部でそれをやるとか。
「あとは、ドライバーとソニックアローの量産だよな……ソニックアローはいいんだけど、やっぱりドライバーに使うレアメタルの入手が難航しているとか」
「束さんも苦労したからね……」
「壊れた須郷のドライバーが手に入ってよかったけど……ものの見事に量産できなかったな」
「材料しか取れなかった」
本当、あそこまで壊れているとは思わなかった。内部が焼き切れていて完全に素材としてしか使えなかったのだ。
幸いドライマンゴーロックシードのエネルギーは二度と回復しないようになっていたから暴発とか無かったけど。あっちは解析できたけど……どうやらリミッターあたりを弄繰り回しているらしい。それに、一つ分かったこともある。
「向こうはインベスを操る技術を確立しているんだよな……」
「あれって、ロックシードでやっていたんだね」
「ああ……まあ条件がいくつか必要だったりするわけだけど…………これは色々マズイんだよね」
やりようによっては、一人で軍団を作れるわけだから。
「……本当、色々ピンチだよな…………解読も進まないし」
「っていうか、人を大勢集めてもパズルが解けないってどういうことだよ」
「そうなんだよなぁ……神話ってそういうもんなのかな」
ああ、どうしたものか……
「さっきからお前らは何を話しているんだ?」
「千冬には関係ないけど……なんで不機嫌?」
「お前ら、私語は慎め……校長が見ているぞ」
……顔文字でじっと見つめている感じの目でこっちをじっと、じっと、怖いですすいません。
「食欲失せた」
「束、後で説教だ」
千冬さん、まって最近の貴女の攻撃だと束がピンチになる。だからやめてあげてください。
◇◇◇◇◇
サクラの花舞い散る、なんだか時間が速く過ぎるているような気もするが、大きな出来事がないのは平和なものである。
とりあえず、新作ロックシードの設計を進めないと……果実のモデルは決まったのだが、なかなかうまくいかない。エネルギーグラフとにらめっこして、新しいロックシードのテストタイプを作ってその都度試すわけだが……体が痛い。
「……ああぁー、気晴らしに出かけるか」
「束さん、またあの食堂行きたい」
「そうだなぁって、ナチュラルに僕の家にいるな君も」
「もういつものことだよ」
「いや、それもそうだけど……はぁ」
とりあえず、束と共に五反田食堂に向かう。
そういえばあそこって一夏君たちと同い年の子がいたっけ……一夏君たちももう3年生かー
「月日が流れるのは早いよね」
「そうだねー……なんだろう、このドアを開けてはいけない気がしてきた」
束は玄関の前で立ち止まってしまった。なぜか、いつになくシリアスな顔で。
そんな馬鹿ななんて思って、ドアノブに手をかけたとき――言い知れぬ悪寒が僕の体を襲う。
「……するな、開けちゃいけない予感」
「でしょ?」
いつからか、僕と束は常人以上に勘が働くようになっていた。おそらくは、あの夢を見たあたりから。検査もしたけど、人間をやめているわけではないのだが……常人よりは頑丈で、スペックが高いらしい。十分人間の範疇なんだけど……逆に不安になった。
いや、今はそれよりもこのドアの向こうにいる奴だ。束が、タタラを使って外の様子を見るカメラを飛ばしてくれて、映像を待つことにする。そして、空中に投影されたディスプレイに現れたのは……
『英さん、見ているのは分かっていますのよー』
……神宮寺百花さん、その人でした。
「た、束さんものすごく嫌な予感します。逃げよう、なんか開けちゃだめだ」
「それには賛成だけど……まってて、蹴散らすから」
「いや、なんだかヤバいんだってっていうか不可視にしているカメラに向かってカメラ目線なことに気が付いてよお願いだから開けちゃダメだってああ開けちゃった……終わった」
ものすごい笑顔で、お嬢様はこちらをご覧になっています。
「お久しぶりです、英さん」
「アハハ……ヒサシブリデスネ」
「ああ、長い放置プレイもいいですが、やはりこうして直接触れ合うのが一番――アンッ」
「まって、触ってもいないのになんで艶めかしい声を上げるんですか!?」
「……視線が、気持ち良くて」
「ヤバい、度し難い変態だよこの子」
というか束が怖いよ……え、なんでドライバーを取り出そうとしているの? っていうかそれまだ未完成のゲネシスドライバーだよね? こんなことで使わないでお願いだからッ!
「どいて英そいつ殺せない!」
「やめておまえまで暴走しないでー!」
「大丈夫ですわ、英さん……恋敵にぶたれて、わたくしの体に走るであろう痛み、ああッ! 体だけでなく心までッ! さあ、いざッ!」
「あ、ごめん英、こいつぁ束さんでもどうしようもないぜッ」
「手のひらを返したかのように僕の後ろに隠れるのはやめてね? ご指名入っているよ?」
「やめてッこれ以上束さんの価値観を壊さないでッ」
「あら? 貴女も同好の士だと思っていたのですが……」
「流石にそこまで壊れていないやいッっていうかいい加減諦めてよ!」
「…………なるほど、もうそこまで――ああ、これがネトラ――」
「それ以上言うなッ」
ダメだこの人際限なく変態になっていく。
どうする? どうすればこの状況を切り抜けられる?
「さて、英さん、本日こちらに来たのはお願いがあってきました」
「いやいきなり真面目な口調になられても……」
束なんてかなり警戒しているんですけど……
「……まあ、断れるわけはないでしょうけど…………ねえ、仮面ライダー冠」
「ッ!? どこでそれを……」
「それはこの前ストー……神宮寺は政府ともつながりが深いですから」
「まって、今何を言いかけたんだッ!?」
「ヤバいよ英、こいつどんだけ変態なの!?」
「…………ののしられるのもいいですわね」
「「変態だーッ!?」」
「アアンッもっと、もっと言ってください!」
結局、その後落ち着くまでに30分かかってしまって、真面目な話に戻るのに苦労した。
……僕にも気配を察知させないって、この人の方が人外なんじゃないだろうか……束にビンタされたけどぴんぴんしているし、むしろ喜んでいた。
◇◇◇◇◇
「話と言うのは他でもありません。インベスについてです」
「まあ、そうだろうな……一応、僕はその手の専門家ってことになっているし」
「……仙道工房は幅広い事業を手掛けており、世界各地でどのような兵器が使われているか、各地のチンピラまでリサーチ対象として調べているのですが……」
「本当幅広いっすね……」
「最近、世界各地のテロが増えてきたことはご存じで?」
「一応……それが?」
「この写真を見てください」
「…………これって」
写真に映し出されたのは、普通の服を着ていてヘルメットやなんやらを被った男が数人映し出されている。手には鉄パイプをもっていて、どこかを襲撃しているのか? そして、その男に付き従っている怪物は……初級インベス。
「……最近、こういう人物にロックシードを売りつけている人物がいるそうです。これは、わたくし共お抱えの戦場カメラマンが撮影したものですわ」
「解像度は悪いけど……おそらくは中東。どの国かはわからないけどね。英、どう思う?」
「十中八九、亡国機業。っていうかインベスを操れるロックシードを作れるのは奴らだけだし……本格的に、表に出てきたな」
「亡国機業は数年前まで、裏社会に語り継がれる都市伝説のようなものとして知られていました。表に出ることは決してなく、その存在はまさに亡霊」
「ファントム・タスクの名の通りってわけか……それが今は表だって行動し始めている。大体、何年前から何ですか?」
「あら? 別にあらたまったしゃべり方はしなくてよろしいのよ? むしろ――」
「話進まないんで、後にしてください」
「――つれませんのねー。それもまたいいですけど。具体的に何年前からでしたか……おそらく、テロが多くなりだしたあたりですので……1、2年ほど前からというところでしょうか」
「やっぱり、そのあたりか……」
……おそらくインベスの自然発生が弱まったあたり。そのあたりで亡国機業と黄金の騎士が接触したと考えるべきか。ドライバーの製造法を知っているのはおそらく奴だけだし。
「……結局手掛かりとかもないんだよなぁ…………」
「…………」
「…………」
「……二人とも、おなかすいたなら先に食べていてもいいからね?」
「「いただきます」」
ちなみに、今までの会話全部五反田食堂の隅で行っていました。
店長さんあたりが怪訝な目で見ているけど、勘弁してください。というか、僕らの格好も濃いからそっちか? 僕はまだ普通な方だけど、オーバーオールって目立つのだろうか。束と百花さんは満場一致で目立つけど……束はいつものアリス衣装だし、百花さんは黒のゴスロリ。うん、目立つな。しかも両方美人だし。ただ、間に流れる空気は重い……あと、言動が残念過ぎて周りからの視線が痛いような、頑張れって言っているような、そんな気がする。百花さん、さっきから変態的なセリフ多いし。
ちなみに、何回か食堂に足を運んでいるので僕と束は顔を覚えられている。あと、名前も……そのため、束のサインが食堂に飾られている……いや、有名人だけどさぁ……そういうのとは違うんじゃ?
「……おいしいですわね」
「出会いは、唐突だったんだけどね」
「やめろ……あの人の話はするなやってくるぞ」
「……」
「なんで黙るんですか?」
「喪女の深淵に足を突っ込んだ人がやってくるからだよ」
「……束さんでも、あの負のオーラには勝てないからねー」
「なぜでしょう。そこまでぼろくそに言われているのに、その罵倒がうらやましい……さぁ、わたくしにも!」
「黙れ変態」
「アアンッ」
「……しまった」
なぜだろう、この敗北感は……
「はぁ……もういいや。百花さん、この写真っていつごろのことなんですか?」
「詳しい話はよくわかりませんの。カメラマンも、命からがらでしたし記憶が混乱していて……ただわかっているのは、各国では水面下でロックシードが流通しているということですわ」
「……ったく、どうしてこうやって混乱を招くのか…………そういえば、結局お願いってのは?」
「まだ言ってませんでしたわね……英さん、うちの精鋭に稽古をつけてくださいませんか?」
「…………はい?」
再び登場神宮寺百花。
最終形態かと思ったら、究極形態が存在するのは最近のライダーの基本ですね(暴論
大事なところを描写して、二年生編はサクサク進めていく予定です。
質問があったので、簡単に。
ドライフルーツ系はリミッターを解除して、すべてのエネルギーを一度のアームズに供給することで性能を底上げしたアームズ。
性能的には、全て倍以上。ただし、負担も……
カカオアームズはイチゴの変則互換。鎧はマツボックリに近く、包丁程度の長さの針のような武器をエネルギーの続く限り出せる。
他はマツボックリより少し強いぐらい。
また詳しい設定などをまとめたものは、余裕ができたときにでも活動報告の方などで公開します。