仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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もう連載開始から二か月なのか……早いものだ。


EP61.9月の運動

 9月。それは運動会とかそんなイベントが始まる新学期的な月である。意味が分からない。それは僕も同じだ。

 

「というわけで我ら白組気張っていくぞぉぉぉぉぉぉ!」

「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」」」

 

 ……そんな、熱気のあふれる中僕と束は救護テントの下で静かに体育祭の光景を見ているのだった。

 

「相変わらずちーちゃんも熱いねぇ」

「遊園地に行けなくてストレス溜まっていたからなぁ……今日の体育祭で爆発したんだろ」

「あ、あはは……」

 

 思わず束も苦笑いしちゃっているじゃないか。

 生憎僕たちは汗を流して頑張るというキャラでもないので、今回は不参加なのだが。

 ちなみに去年の体育祭で本気出し過ぎたのが原因と思われる。

 

「というより、物言いが入ったからねー……お前らチート過ぎるって」

「言うな。千冬は団長ポジだから出ているけど、基本的に僕らの身体能力って高校生のモノじゃないし」

 

 度重なる戦闘とロックシードの使用により人外染みてきた僕。

 元々の身体スペックがおかしい束。

 鍛え抜かれた千冬。

 

「うん。おかしいな」

「まあちーちゃんのアレは努力の結果だしねぇ……まだ受け入れやすいんじゃない?」

「だろうなぁ……さて、放送席に行くぞ」

「なんで?」

「流石に何もしないのはマズイって工藤先生に言われてさ、放送席と救護班の兼業任された。束も一緒に」

「ええぇ」

「良いから行くぞ……なんか今日は面白いものが見れそうなんだ」

「?」

 

 放送席に座り、マイクを握る。放送委員会の面々に挨拶して実況の準備を進めていくんだが、いまだに束は事態を理解できていない。

 

「いや、どういうこと?」

「だから……放送委員も種目は参加だろ? だから僕らが通しで実況と解説な」

「……ふぁっ!?」

 

 それでは、本番開始5秒前……

 

「え、ちょ、ええ!?」

 

 スタートです。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 選手、入場。さて素晴らしい秋晴れですね解説の束さん。

 

「え、束さんが解説なの!?」

 

 それではまずは赤組の入場です。率いますは篝火ヒカルノさん。いやぁ白衣にスク水とはまたイロモノですか。あの人はいったい何を考えているんでしょうね?

 

「流石の束さんもあれにはびっくりだよ」

 

 うるさいと野次を飛ばしていますが気にしません。今日は好き勝手やります。

 

「なんかストレスでも溜まってるの?」

 

 …………さて、赤組はリーダーからして変態ですが周りのメンツも濃いですね。いうなればどこかの世紀末の方々です。いやぁモヒカンにはこだわりがあるんでしょう。

 

「なんでモヒカンなのさ!? っていうかアレ高校生!?」

 

 高校生ですよ。一応。それにしてもよくあの集団を従えられていますね、彼女。なんかもう一糸乱れぬ隊列じゃないですか。あ、他の女子は全員ブルマですね…………あれまだ滅んでいなかったんですね。

 

「らしいね。IS学園にも導入するって聞いたよ」

 

 ええぇーそれでいいんですかIS学園……まあ男の僕には関係のないことですね。女子の皆さんも今更高校を変えるってのも乗り気じゃないでしょうし、数年先の開校ですからね。

 さて、赤組注目の選手をご紹介いたしましょう。団長の篝火ヒカルノ選手、頭脳明晰で身体能力も高い。でも私服が残念通り越してただの変態なのはいつものこと。

 

『聞こえてんぞバカ司会者ぁああああ!!』

 

 そんな彼女ですが、最近の趣味はぬいぐるみ集めだとか。

 

『だ、だだ、だ、誰だリークした奴ッ』

 

 貴女の隣の席の若林さんです。何でも色々相談したそうですね? ミモミモがどうとか。

 

『や、ヤメロオオオオオオオオオオ!?』

「エグイよ!? いくらなんでもエグイよどうしたの!?」

 

 それでは続いてモヒカンリーダー、国松君。凄いですよ彼。なんとこの日のためだけに過酷なトレーニングをして……モヒカンで拍手できるようになったんです!

 

「心底どうでもいい! っていうか実演して見せるなッ! 気持ち悪いんだよ昔の整髪料のCMかッ」

 

 それでは他の主要メンバーは放送席前の掲示板に記載しているので、暇な方はご覧ください。では、続いて白組のご紹介です。

 ……なんだか、静かに入場しましたね。こう、一人一人が一騎当千のつわもの過ぎて音すら立たないというか。

 

「ちーちゃん、気合入っているね」

 

 ……団長を務めます織斑千冬さんですが、この前の始業式の際…………いえ、これは彼女の名誉のために黙っておきましょう。

 

「え!? 何? 何があったの?」

 

 …………織斑千冬さん、オフレコ? あ、オフレコですねわかりました。それではこの話題は私の心の中にしまっておきましょう。

 

「いや本当何があったの? そのせいであんなに気合が入っているの?」

 

 他の有力選手ですが、影か幻か田中太郎選手や、ドジっ子真耶たんなど有名どころが数多いですね。

 

『なんでその名前広がっているんですかぁああああああ!?』

「え? うちの学校だっけ?」

 

 新入生じゃないですか、入学式参加して……ませんでしたねそういえば。後で工藤先生が話があると言っていますけどどうします?

 

「ごめん、束さん用事ができたから……え、なんでマイク渡すの?」

「すまねぇちょっとトイレ行ってくるわ」

「……うぇえええええ!? 束さん一人で場を切り盛りでき…………放送委員がやればいいじゃん。なんで束さんがって何この台本!? え、もしかして最初から束さんがやらされる予定だったの!? ちょ、待て英! 先生待って、押さえつけないでアイツを捕まえないといけないんだぁああああああああ――ッ」

 

 ◇◇◇◇◇

 

「……ふぅ、このぐらい騒がしくしておけば後は大丈夫だろう。ごめんねー束。さすがに今回は巻き込むわけにはいかないんだよ……準備できましたか? 楯無さん」

「ああ……だけど本当にいいのかい? 後で怒られそうだけど」

「はっはっは……どうすればいいですか?」

「男はただひたすら……謝るしかない」

「そうですよねー」

 

 学校付近の茂みの中、僕と楯無さんはとある事情により内密に会う約束をしていた。学校の方を騒がしくしておいたのはその事情のためでもある。あれだけ騒がしければ……誰かが襲いに行って異変が起きたときすぐにばれるからね。

 

「しかし君もぶっ飛んだ作戦を考えるね」

「あっちが人質にでも取られたら厄介ですし……いざってときには頼れるやつらがいますから」

「そうか……それじゃあいくぞ」

「はい!」

 

 イチゴアームズをセットし、変身してから目的地へ向かう。

 ……小学校付近の亡国機業のアジトへ。

 それに気が付いたのは些細なことからだった。千冬が忙しくて代わりに一夏君の迎えに行った時のこと、たまたまトルーパーの姿を発見したのだ。それに、一瞬だったがドリアンの鎧も見えた。きな臭いと思い、様子をうかがってみると、奴らのアジトらしき建物を発見したということなのだが……最近はどこも運動会シーズン。一夏君たちの通う小学校も例外じゃないし……そのタイミングで亡国機業の誰かが入ったりしたら危険だ。大人が合法的に入れる日ってのが危険なんだ。狙いは小学校じゃない可能性もあったから、狙われる理由のある僕らの学校では大騒ぎにしてうかつなことをできないようにした。

 一夏君たちの小学校はもう少し先だから、今日のうちにアジトを叩く。

 

「……ついた、ここです」

「ああ……更識から別働隊を持ってきた。そっちは?」

「神宮寺に連絡を入れて……スタッフと部隊を回すそうです」

「どうする? ライダー相手は君頼りになってしまうが…………行けるかい?」

「大丈夫。ちょっとした運動ですよ」

 

 そのアジトは一見すると普通の一軒家に見える。ちょっと庭が生い茂った感じの普通の家。だけど……

 

「赤外線センサーに、庭に貼られた細いワイヤー……ビンゴかな」

「いくらなんでもわかりやすすぎるのでは?」

「ええ。だからこれはフェイク……この上を通っていきますよ」

 

 あいつらのパターンは読めてきた。トップなど一部は頭もキレる奴がいるのだが……他は割と考えが甘いやつらが多い。倉持技研での戦いから感じているのだが、力と思考レベルが釣り合っていないように見えるのだ。だからこそ、深読みし過ぎてこっちが自滅しかねないのだが。

 

「……突入!」

 

 その掛け声とともに、家の中に入り込む。すぐさま発砲音が聞こえてきたと思ったら、鎧に何発か銃弾が当たった感覚がした。もっとも、効果はないんだけど。

 

「マズイ! 冠がいるぞッ」

「トルーパー何をして――アガッ!?」

「英君! ここは私たちに任せて君はトルーパーを!」

「ハイッ!」

 

 二階に上がり気配を殺し、相手の出方をうかがいながら一体ずつドライバーに苦無をぶつけて破壊していく。相手もなかなかの強さ。時折インベスが混ざっているあたり見境ないけどッ!

 制圧にはそれほど時間はかからなかった。ドライバーは中に自爆装置でも組み込まれていたのか自壊してしまい回収はできなかったけど。

 

「……前のこともあって対策練ってきやがったな」

「仕方がないさ。こいつらを捕まえられただけでも収穫だよ」

 

 それだといいんだけど……何だか気になるんだよな。トルーパーだけしかいないってのも気になるし、ブラーボはいると思っていただけに拍子抜けしてしまった。

 こいつらドリアンのロックシードは持ってなかったし、どうも気になるんだよな……交代要員だったのか?

 

「それで、お前らは何が目的でこんなところにいるんだ?」

「お前らに話すことなどないッ」

「……連行しろ」

 

 楯無さんたちが彼ら、5名ほどを連行していく。そして僕は後から来た神宮寺家のスタッフと一緒にアジト内に何かないか探し、回収する作業に入った。

 

「……めぼしいのは…………このチューリップのロックビークルだけか」

 

 あいつらがクラックを行き来するときに使っていたようだし……解析できれば大助かりなんだけど、下手にいじるとなぁ……あ、もしかして……

 ドライバーにセットして、ブレードを叩く。そんなことしても意味はないかもしれないけど…………後で解析してみよう。もしも僕が考えていることが事実ならば、ロックシードだけは全て解析できる。

 そして他にめぼしいものはないため、僕はいったん帰ることにした。

 

「ご苦労様です。後は我々がやります」

「すいません……何かあったらまた連絡お願いします」

「はい!」

 

 ◇◇◇◇◇

 

 さて、学校に戻ってきたのはいいけど……なかなかに白熱していた。棒倒しの最中のようだが……なんで天辺に束と千冬が乗ってんだよ。え? 束はクラス的に白組だろ。

 

「先生、これどういう状況なんですか?」

「いやぁ……なかなかに白熱してるでしょ」

「そういうことじゃないですよ……棒倒しって男子の種目でしょ?」

「男女差別はいけないと思ってね」

「……あんたの仕業か」

 

 この先生もよくわからん人だな……

 

「百歩譲ってそれはいいですけど、なんであの二人なんですか? 下の方で真耶ちゃん泣いちゃってるし」

「ああ、それはね……私が篠ノ之さんに織斑さんの気合の入っている理由を教えちゃって……それを彼女しゃべっちゃったんだよね」

「ああなるほど……やっぱりアンタのせいじゃないかよ何がしたいんだ」

「何、か……そうだねしいて言えば…………ちょっとしたいたずらだよ。ちょっと嫌なことがあってね。ついつい」

「ついついって……あなたもそういう人間らしい感情あったんですね」

「うん。そりゃあそうでしょ。誰だって、人間だ……まあ、その定義は人によって変わるわけだけど」

 

 それだけ言うと、先生は口を閉じたまま開くことはなかった。なんだか、いつもと違って直情的と言うか……どんだけ嫌なことがあったんだろうか。

 

 棒倒しは、束がジャンピング土下座を決めた後千冬がアイアンクローで叩き落とすという前代未聞の超展開で幕を閉じた。

 ついでに、近隣から苦情が来てこの放送形式は二度とできなかったことをここに追記する。まあ、当然だよねー。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「本当英は何考えているんだよ。束さんを置いていくなんて」

「ごめんごめん。いざってときに学校の方はお前に任せておきたかったんだよ」

「まったく……ふーんだ」

「あ、あはは……本当勘弁してください」

「……わかったよ。でも、次束さんを置いていったら」

「お、置いていったら?」

「…………うふふ」

 

 ゾクゥッ……なにこれ、背筋がすっげぇ寒いんだけど。

 

「大丈夫大丈夫。置いていかなければいいんだから、ね」

「アハハハハ……ハハ」

 

 女の人って怖い。そんなことを思う少しむくなってくる9月のある日の出来事であった。

 ちなみに千冬のやる気と言うか、ストレスの原因は魔法少女のコスプレをしているところを一夏君に見られてガチで引かれたことである。

 あいつ、もう引き返せないな……色々な意味で。

 




ちょっとスランプ気味で、おかしな話になってしまいました。


裏話を活動報告に更新。
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