仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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新章突入。っていうか、章ごとにわけるべきかな……でも明確に分かれているか微妙なところもあるし。




第8部・一期一会のダウナーハート
EP68.新しき日常


 桜の花びらが舞い、高校生活最後の年がやってきた。おそらくは、自分が子供だと言い訳できる最後の一年が。

 元々、そんな言い訳を使う気はさらさらないわけだけど、いざというときの手札としては使えるとは思っていたんだ。まあ、できれば使いたくないから最後の手段なわけだが……

 

「ハァ、予算がヤバいなぁ……」

「だね……あのマゾ女に借りを作るのは嫌だしなー」

「お前ら、新学期初日から暗すぎるだろ」

 

 千冬と束と共に登校するのもあと一年もないのは分かっています。始業式だってのも知っています。だけどね、だけどね……

 

「ちょっと色々とあって金が要るのさ」

「あはは……IS以上に大変だなって」

「お前ら何を作っているんだ…………私は嫌だからな、またあんなことするのは」

 

 あんなこと、つまりは白騎士事件なわけだが……まあそこまでではないか。

 

「流石の束さんもアレ以上の混乱を起こすことはしないよ……ただ、まあ…………ちょっと某所に喧嘩売る形にはなっちゃうかもね」

「オイ」

「でもでも、発案者はそこのバカなんです!」

「……英、お前…………」

「いや、なんで怖い目で見ているんだよ」

「いつかやると思っていた」

「それってどういう意味!?」

 

 心外である。というかそういう風に思われる心当たりなんて……なんて…………あれ? 結構あるぞ。

 

「もういいや、こうなったら世界各国巻き込んでやる」

「ほ、ほどほどにしておけよ」

 

 大丈夫大丈夫。無問題です。

 というか元々各国の動きが良くなればここまで苦労していないんだし……某国ではせっかく作った対インベス兵装を信じなくて半ば特攻の形で戦ったせいでものすごい被害が出ているんだぞ…………束が作った新型ISで運搬される形でその国まで飛んでいったのも今じゃ……いい思い出とは言えないか。

 ちなみに、その事件自体はすぐに片付いたし今更語るほどのことでもない。ただ、怪我人が多すぎて気分が悪くなっただけだ……一応、早期なら体を侵食している植物は除去できるようになったんだけど…………

 

「……まあ、一生寝たきりの人も多いわけで」

「おい、どうしたんだ不穏な単語を漏らして」

「何でもない……こっちの話だ」

「まあ私たちにも色々あるってことで……ちーちゃんはどうなの?」

「射撃部門に合わせて、訓練をしていることぐらいか……おそらくは他の誰かが射撃部門に参加するだろうが一応な」

「そういえば、お前普通に銃も使えたな……まあ真耶ちゃんほどの腕じゃないんだろうけど」

「そうだな、やはり本職の方が腕は上だな。だが、あの真耶でさえまだ中堅だぞ」

 

 それってヤバいな……真耶ちゃんの射撃の腕は見たことあるけど、かなりのものだぞ。

 真耶ちゃんはドジらなければ僕や束でも回避は難しいレベルの腕なのに……それ以上がいるのか。

 

「一応私は格闘部門と競争部門に参加だな」

「暮桜は装備を一つにした分、他のところに色々割けたしね」

「だなぁ……第二世代はまだ完成したって話は聞かないけど、一応気をつけろよ」

「大丈夫だ。単一能力がある時点で世代差は覆がえせるし、そこまで性能に差は出ないだろう」

 

 まあ束曰く、状況に合わせて換装できるのが第二世代って話だし……本人は失敗したかもと、理論を見直していたんだけどなぁ……

 

「さて、気を取り直していくか……束、主席として挨拶頑張れよ」

「……え」

 

 その後、駄々をこねる束を二人で連行しました。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 まあ挨拶と言っても簡単なものしかしないわけだけどね。

 

「最初に言ってよ……って言うか入学式でもやらされるの?」

「午後からの入学式には僕たち不参加だぞ……騒ぎになるからって」

「なぜ私まで問題児の扱いなのだ?」

 

 魔法少女だからじゃないのかなぁ……口が裂けても言えないけど。隣を見ると、束も同じことを考えたらしく、目が泳いでいる。

 

「なんだか、むかつく反応だな」

「そんなことはないんじゃないでしょうか」

「……まあいい」

 

 不本意そうだが、とりあえず席に座った千冬。そういえばまた担任は工藤先生だけど……先生の入れ替わり激しかったから、今年は結構多くの先生が来ている……ん?

 なんだか見知った顔がいるような……

 

「束、あれ……」

「……見なかったことにしよう」

「いや、でも」

「…………いいから、見なかったことにしよう。シュレディンガーの猫だよ。事実を確認しなければそれはいつまでも可能性が続くわけで」

 

 いやだけどさぁ……

 その後、先生たちの紹介が続いていき……問題の先生にたどり着いた。

 

「初めましてじゃない人もいるけど、初めまして。養護教諭の我毛恵です」

 

 うん。知ってた……ああ、前に蓮さんが言っていたのはこういうことか。

 

「ほら、佐々木じゃなくて我毛だよ違う人だよ」

「……先生結婚したから我毛になったんだよ諦めろ」

「…………ノー」

 

 頭を抱えても意味はないとです。ほら、こっちをみてにやけているし。ってにやけるなよ。

 っていうかなんで高校に来るんだよあんた中学の養護教諭だっただろ……

 なんだかまた慌ただしくなりそうだなぁ……

 

 ◇◇◇◇◇

 

 午後、先生から諸連絡とかもらって僕らは保健室に直行した。

 当然あの人に問い詰めるためである。

 

「で、なんでここにいるんですか?」

「まあ上の命令よー……去年は色々やらかしたらしいわね、織斑ちゃんが」

「……また魔法少女か」

「ちーちゃんのバカ」

「待て! 私か!? 私のせいなのか!?」

 

 ぐれてやるとばかりに千冬は剣道場へ泣きながら走って行った……スマン、あとで一夏君にメールしてフォローしてもらうから。

 だけど、本当のところはどういうことなんだろうか。

 

「で、本当の理由は何ですか? このタイミングであなたが来るってのもなんだか妙な感じがするんですけど」

「まあ、今年はあなたたちの修学旅行があるでしょ? だからダーリンから頼まれちゃって」

「……ダーリンって」

「束さんの体中に鳥肌! 鳥肌が!!」

「失礼ね……他の学校に移動するのが決まっていたのは本当よ。ここの高校に来たのは、色々とあったからなんだけどね……あなたたち修学旅行の行先は知っている?」

「たしかミコノス……あー海外か」

「これでも不測の事態とかトラブルとかの対処に定評があるのよ……私も見ていたしね」

「…………そうです、ね」

 

 束がようやくひねり出した一言。そう、先生もあの現場にいたのだ。一応緘口令があるとはいえ、知っている人は多い。

 昨今ではインベスの被害も表面化している。町の不良レベルの奴らにロックシードが出回っているケースも発見されているし……海外だと余計に何があるかわからないからなぁ…………日本だと、利権の関係で対インベス銃弾を警察にまで配布できているから、ある意味この国が一番インベスの被害が少ない。一番の出現率だったけどね。

 

「ヨーロッパか……っていうか国内で済ませられないんですか?」

「私もそう言ったんだけど……無理だったわ。あの野郎…………」

「なんだか、荒れてますね……」

「やっぱりあの工藤って野郎は敵よ。プレゼンっぽく安全性とか、信頼できる会社とか語りやがって……まあ、生徒や他の先生たちにそこまでの危機感が無いってのもあるわね。日本が安全過ぎたせいで」

「……そうですね」

「あなたたちが頑張っていたことが、裏目に出た形なのかしらねぇ」

「なんでですか?」

「束は……そうだよな、分かり難いか…………簡単に言えば、日本には仮面ライダーがいるから万が一インベスに襲われても大丈夫って意識が生まれちゃったんだよ……都市伝説を広めすぎたか」

「最初のうちは良かったけど、蜂矢君が未然に解決した事件が多いのがね……海外にそう都合よく守ってくれるヒーローはいないのに」

「…………」

 

 それは僕も考えていたことだ。今は日本内でもキツイってのに、世界に目を向けた場合の手が足りない。

 だからこそアレを束に相談したんだけど……ようやく、理解したな。

 

「あーもう! 結局そこにもどるんじゃないか!」

「どうしたのよ?」

「色々あるんですよ……先立つものとか」

「あ、あはは……なるほどねぇ…………でも篠ノ之ちゃんってISの特許は取ってないの?」

「――――ISコア作るのにとかで飛びました」

「うわぁ……えっと、それってお金かかるんだ」

「大分」

 

 束の目が死んでいる……そういえば政府からISコアも催促されていたなぁ…………コアの材料とか色々説明したら謝られていたけど。うん、公表できないし。

 結局、束が公表しないことにするからって形にして政府はだんまりを決めた。材料集めるだけで一苦労だし。

 

「きっかり500個作っていくつかは個人所有してやる」

「束、ほどほどにな……ハァ」

 

 色々とやらないといけないことが多いや。

 

「そろそろ入学式が始まる時間だし、今のうちに帰りなさいな。私も挨拶があるし」

「そうですね……騒ぎになる前に帰りますよ」

「束さん、パフェ食べるー」

「相変わらずラブいわねぇ……私もそろそろ子供作ろうかしら」

「待て、なんでそう思った。もってなんだよ……え? 見えるの? 子供いるように見えるの!?」

 

 色々と解せない。

 まあ言っていても仕方がないし、一夏君に千冬のフォローを頼むメールしておいてからパフェを食べに行く……

 

「……ん?」

 

 あれって……簪ちゃんと本音ちゃんかな?

 とりあえず声をかけて見ることにして、近づいていく……なんか探しているみたいだけど、どうしたんだろうか。

 

「どうしたんだ二人とも」

「……英、さん」

「あーおひさー」

「久しぶり。なんか探し物?」

「……うん、コレ」

 

 手渡してきたメモには…………スタンプラリーか。日曜朝の特撮のキャンペーンだな。

 ってことはコンビニめぐりか。

 

「これだったら、海岸近くのコンビニはどうだ?」

「……まだ行ってない。行ってくる」

「二人だけで大丈夫?」

「……平気、真のファンは自分の足で歩いてこそ」

 

 そういう割には友達と一緒だけど……一応、お嬢様だし、本音ちゃんはメイドっぽい立場らしいから良いのか? まあ気にしても仕方がないか。

 すぐに彼女たちは目的地へ向かってしまったので僕らもパフェへと歩いていく。

 

「パーフェー……甘いものが欲しいんだよー」

「たしかに頭使うこと多かったしなぁ……」

 

 うーん……甘いもの、甘いもの…………お、あそこなんていいんじゃないだろうか?

 そう思って入っていった喫茶店でパフェを頼む。頼むわけだけど……

 

「……なんだかどっかで見たことあるウェイトレスさんだけど」

「あー……ほら私ですよ、雷電の操縦者の」

「…………ああ神宮寺の」

「そういえば見たことあるね」

 

 あまり接点なかったからすぐには分からなかったけど、確かにそうだ。

 

「あはは、二人ともお久しぶりです。お嬢様がいつもご迷惑を」

「本当だよ、あのマゾヒストどうにかできないの?」

「……そんなこと言うと喜びますよ」

「――――え」

 

 ッ!? この背筋が微妙に冷える気配は!?

 そうだ、彼女が現れる可能性を考慮するのを忘れていたッ!

 

「――あは」

「なんか新しいパターン!」

「失礼、少し――」

 

 それだけ言うと百花さんはどこかへと消えて、しばらく出てくる気配がなかった。

 

「……あっちはお手洗いですね…………手遅れカナ」

「デスネ」

「いったいお手洗いで何してんだよ……」

「束は知らない方が良い。たぶん後悔するぞ」

 

 っていうか見境ないな。

 

「いえ、あそこまでの反応をするのはお二人相手だけですよ」

「――まて、束相手でも?」

「ええ……ライバル心がおかしな方向に行ったらしく、あわよくばお二人ともって」

「へ、変態だぁああああああああ!?」

「何でかな、束さん鳥肌が凄いんだけど」

「悪いことは言いません……あの人に隙を見せてはいけない」

 

 知っているよ。っていうか余計に借りを作れなくなった。

 

「ハァ……どうしたものかな」

「お悩みですか英さん」

「そして貴女も神出鬼没っていうか気配もなく隣に座らないでくださいよ」

「って言うかなんでここにいるんだよ」

「あら? ここ神宮寺家の系列ですわよ」

「ええ……本当手が広いですね」

「はい。今日は社員研修といいますか、実際に目で見てチェックをする日なのです」

「私は普段、ここで働いているんですよ……IS操縦者はまあ、適正が高くて訓練してたらいつの間にか…………」

「良い拾い物でしたわ……まあ親の借金が(以下略)という人ですけど」

「苦労したんですねぇ」

「本当にいるんだねぇ……そんなマッチ売り」

「やめてください! そんな生暖かい視線はやめてください!」

 

 さぁて……いじるのはここまでにして…………どうしたものかなぁ……

 

「ハァ、予算がなぁ」

「アレの予算ですか? 各国の研究所に少しずつ技術を流せば元どころか利益でるじゃないですか」

「……え?」

「そうなの!?」

「…………お二人ともマネジメントは専門外でしたわね……なので、心配はいりませんよ」

「よ、よかった……」

「本当、助かったよ」

「ええ……本当に、苦労しましたわ…………交渉とか、ね」

「「……」」

 

 ……知らぬまに借りができていたでござる。

 

「わたくし、お二人セットでほしくなってきましたの……うふ」

「「三十六計逃げるが勝ち!」」

「お待ちくださいませ!! 先っちょだけ、先っちょだけですから!! あと逃げるに如かずではないのですか!?」

 

 いや何が先っちょなの!? あとそういう誤用とか今はどうでもいい。ただ逃げるしかないのだ。なんだか捕まると危険な気がする。

 ちなみに、パフェとかのお代はしっかり置いておきました。

 




ある意味、最強なのは神宮寺百花と篠ノ之母。
再び登場佐々木先生。
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