仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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白騎士事件がIS発表の一か月後だと知ってちょっと構成を考えさせられたけど、なんとかなったかなぁ


EP07.世界が変わる時

梅雨も明けて日差しが強い。篠ノ之がインフィニット・ストラトスを発表してから一か月ほどがたった。ニュースをちょくちょく見ているが、めぼしい情報もなく、あまり注目されていないようだった。見た目はいいから若き美少女博士とか、そんな感じの話題しか出てこない。

 ロックシードも研究が進まず、クラックが開いても白いザコしか出てこない日々が続いている。パインロックシードは意外と使い勝手が良かったからいいけど。

 あたらしいロックシードは結局再びドングリが一個とイチゴがだぶった。ちょっと悲しい。

 

 そんなある日のことだった。新しい情報が手に入った。ただし、篠ノ之関連だが。

 結論から言うと、篠ノ之が作った宇宙開発用パワードスーツ――インフィニット・ストラトスは一蹴されたらしい。

 結局のところ、その発明は常人の理解を大きく超えてしまったのだろう。昔から、天才たちの研究というものはその死後、時代が彼らに追いついたことでようやく理解される物だった。間違いなく篠ノ之は天才だ。奇怪ではあるが、僕はその一端を目にしていた。だからこそ、わかる。篠ノ之の発明は時代を行き過ぎていて、理解などできなかったんだ。

 もっとも、理解のできないものを無いものとして扱うのは人間の悪癖だろうが。過去、地動説が信じられなかったように人というのは今ある理論で証明できないものを見てしまうと、今の理論が間違っていると考えるのではなく、新しい理論を間違っていると決めつけるものなのだ。

 そして、僕がなぜ一蹴されたことを知っているかというと――

 

「で、その話を僕にしてどうしてほしいんだ? 織斑」

 

 まあ、いきなり織斑が相談してきたからだけど。いきなり呼び出されて、近くのファーストフード店でコーヒーをおごられたときは、頬をつねってしまった。

 

「……今の束は何をしでかすのかわからなくてな、本当に当たって砕けてしまいそうでどうしたらいいのかわからないんだ」

「まぁ、アイツがそんなタマじゃないのはお前が一番分かっているだろ……で、僕が聞きたいのはどうしてほしいかってことなんだけどね」

「ああ、束と話をしてほしい、それだけだ」

「それだけって、それが一番無茶じゃないか」

「私ではダメなんだ。私が話しても、束は前に進むだけだ。後ろを振り向くことも大切だということには気が付かない」

「たしかに時には過去を思い出したりすることも大切だけど、今の篠ノ之は止まるどころか、燃え上がっているよ。アレは、無理を通してでも道理をひっくり返すってぐらいの気概だった。授業には来ているけど、ずっと怪しいノートを書き続けているんだぞ? なんかブツブツ言っていて怖いって先生たちまでおびえているし」

「……確かに、アレは私から見ても怖かったが」

「だろ? むしろお前はやり過ぎないようについていてやるべきだと思うぞ。お前にとっても、何か共通の目的があるんだろ?」

「……」

「このままいけば、なにかヤバいことをやらかすのは分かっている。でも、織斑が本気で止めないってことはなにかお前もやりたいこと、やらなくちゃいけないことがあるってことだ。なら自分がやりたいことをやれ。僕もやりたいことがあるからね……」

「そうだな、すまなかった。少し、迷っていたようだ」

 

 そう言って、織斑は席を立って外へ出ていく。その様子をぼーっと眺めながら、僕はコーヒーをちびちび飲んでいた。正直、紅茶の方が好きだったのだが……言わないでおこう。

 コーヒーを飲み終わり、店外にでようと思ったとき、再びあの感覚が左手に訪れた。

 強いわけではないが、確実にわかる。クラックだ。

 

「……ちょっと遠そうだけど、急ぐか」

 

 人目につかない場所に移動し、サクラハリケーンを取り出してドライバーを装着する。速度重視なら、イチゴロックシードの出番だ。今回はいきなりイチゴを取り付けてイチゴアームズへ変身してサクラハリケーンに乗る。

 

「さてと、ヤバいの出てくる前に行くぞ!」

 

 スピードを出していると、なにか町中があわただしいことに気が付いた。最初、ちょっとスピード出し過ぎたとか、さすがに目立つかなと思ったのだが……どうも何かのニュースに驚いているらしい。そのおかげで僕に気が付く人があまりいないのには助かった。気が付いている人がいても、それよりもニュースに注目しているようだ。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 海の近く、海岸にそいつはいた。クラックがまだ開いているが、果実のツルが少し向こう側から伸びてきているのが見える程度……問題は、あの怪物だろうか。

 外観としては、鮮やかな青色が目立つ。頭には二本の触角がついていて、なんだか昆虫のようだ。体にも黒い斑点が多いことからカミキリムシのようにも見える。ただ、外骨格はなんだか服のようで柔らかな印象を受けた。

 

「……怪物にも、クラックにも反応しているわけじゃない?」

 

 腕輪は、クラックの奥を指しているような印象がある。怪物にも微弱ながら反応しているような気はするのだが……なぜだろう、森の奥にある何かを指している。そんな気がする。

 そういえば、リスが怪物化したときには反応を示さなかったな。

 

「だけど、まずはアイツを倒さないとね」

 

 そして僕は怪物――カミキリインベス――へととびかかった。さすがに、油断し過ぎた。ここまで来るともうバカなんじゃないかと思う。

 

「硬ッ!?」

「ガアアア!」

「――ッ!?」

 

 まるで鞭のように触覚を操り、僕に向けてたたきつけてきた。さすがに防御力は低いイチゴアームズ、思ったよりも弾き飛ばされて手に持っていた無双セイバーを落としてしまう……遠距離からの強力な攻撃手段、見た目以上に強固な防御を粉砕できるような、そんな武器が欲しい。

 ――まあ、持っているんだけどね。思ったよりも、今回は運があるようで良かった。

 

「いくぞ! アームズチェンジだ!」

【パイン! ソイヤッ! パインアームズ! 粉砕デストロイ!】

 

 イチゴの鎧が消えて、空から降りてくるのは鈍く輝くパインの鎧。いつものように果汁が弾けるとともに展開されたそれは、他のアームズよりも屈強で強固。手に持った武器、パインアイアンは見ての通りの鎖鉄球型の威力を追求した武器だ。

 アームズチェンジの際にできた隙を狙って怪物は触覚を伸ばし、僕に向けて突き刺そうとするが、パインアームズにそれは効かない。

 

「ガァ!?」

「無駄だよ、このアームズは防御力も高い。イチゴアームズは軽すぎたから吹っ飛んだけど、これならそうはいかない……次は、こっちの番だ」

 

 鉄球を力強く、何度も回転させる。この武器は遠心力がそのまま威力となる。それに、怪物は何度も触覚をたたきつけるが、それも無駄。回転させることで得た遠心力は相手の攻撃をはじくための力にもなる。

 少しずつ、少しづつ距離を詰める。さすがに分が悪いと思ったのか、怪物は後ろへ下がろうとするがもう遅い。僕はパインアイアンを相手へと投げつけた。

 

「――ガァッ!?」

「しなやかで強固、見た目で油断すると危険だったのは認めるけど、対策さえできればなんとかなる!」

 

 怪物も抵抗して何度も触覚をぶつけてくるが、こちらもパインアイアンではじき返す。そして、隙ができたところで腹に一発叩き込んだ。

 さすがに、今度は耐えきった怪物はとびかかって殴りつけるも、ダメージが入ったからかパインアームズの鎧には通りきらなかった。少し、痛みはあったがこちらからも力を込めた拳をお見舞いする。なるほど、柔らかいように見えるだけで、結構な強度がある。しなやかで威力を吸収しつつ、その強度は鉄以上。

 ならばと、再びパインアイアンをたたきつけて怪物をブッ飛ばして地面にキスさせる。

 

「そこまで硬いのなら、吸収しきれない衝撃でぶっ壊す!」

 

 ブレードを三回動かして、【パインスパーキング!】の音声と共に巨大化していくパインアイアン。それをハンマー投げのように回転させて腰を踏ん張り、縦方向へ振り下ろす。鉄球の落下地点には怪物。そして、巨大なパイナップルが怪物の上へと降り注いだ。

 轟音と共に、怪物はパインの下敷きとなって爆散した。変身を解除すると、さすがにやり過ぎたのかちょっとしたクレーターになっていた。なんか、砂がガラス質になっているような気も……

 

「マジでやり過ぎたなぁ……どうしよう?」

 

 この騒ぎを聞きつけて誰か来たらヤバいなぁと思いつつ、あたりを見回すが……人の気配がない。何故だろう? なんか、町の方も人の気配がないような気がする。

 クラックも閉じてしまったし、とりあえず家に戻るかーと思って歩き出すと、なにか変な音が空から聞こえてきた。

 また飛行する怪物かなと思ったら、違った。いや、ある意味ではもっと恐ろしいものだった。

 

「――みさ、いる?」

 

 そう、ミサイルだ。たくさんのミサイルが飛んできた。周囲を見渡すと、360度、どこを見ても赤いような、白いような光が見える。まるで世界のすべてからこの国を狙うかのように飛んでくるミサイル。

 そして、そんなミサイルの大群に突っ込んでいく白い影が見えた。感覚能力にも優れたイチゴアームズへと変身し、強化された視力で確認する。そして見た。白い影の正体を。

 

「……白い騎士だ」

 

 翼もない、かろうじて女性だと分かるシルエットだが、白い鎧をつけて巨大な剣を持った姿はまさに白い騎士。いや、よく見ると光り輝く翼が生えているようにも見える。

 ミサイルを切り刻み、驚くべき速度で飛行を続ける。普通なら、Gでつぶれそうなものなのにまるで泳ぐかのように空を移動する。

 遠くの空へは、どこから取り出したのか、巨大なビーム砲を使ってミサイルを撃墜していく。幻想的でもあるが、それは明らかに人の手によって作り出されたものだ。

 ミサイルが飛んでこなくなり、白い騎士がどこかへ飛び去ったのを見て……僕はあの騎士の鎧が、篠ノ之の作り出したインフィニット・ストラトスだということに気が付いた。

 前に画像で見たのと同様の特徴、そして豪語するだけの性能。

 あれだけのミサイルを単騎で落とすとは……

 

 ◇◇◇◇◇

 

 家に戻ってみるとニュースは先ほどの話題で持ち切りだった。人の気配がなかったのは、ミサイルが飛んできているから避難していたらしい。もっとも、それも意味がなかったが。

 そして、被害はゼロという驚異的な数字を見て、僕はこれが八百長だと気が付いた。大多数の人々はこれを奇跡と呼ぶ。それでも、気が付く人は多いだろう。これが、篠ノ之束がインフィニット・ストラトスを世界に認めさせるためにしでかしたことだということも。

 要は世間に認めさせれば篠ノ之の勝ちなのだ。気が付くことのできた偉い人や高名な学者が否定しても、大衆が支持すればそれだけで世界は動いてしまう。

 今日この日をもって、世界は変わる。現行の兵器ではアレに太刀打ちできないだろう。膨大な数のミサイルを被害ゼロで落とす戦闘力、機動性、さらにビーム砲なんてSFじみた兵器。篠ノ之束の科学力は世界一だと証明された。

 

「本当にやり過ぎるとはなぁ……いったい何がしたいんだか」

 

 もっとも、僕の歩む道と交わるとは思えないから、この時はあまり考えていなかった……この時は。

 

 

 それは起こるべくして起こったことだろう。いつまでも、あの怪物たちが一般の人々に認識されないわけがない。インフィニット・ストラトスなんて女性にしか動かせないという欠陥を抱えていようとも強力な力を持った人間が、あの怪物と戦おうとしないわけがないんだ。

 だから、これは篠ノ之が選んだ道においては起こるべくして起こってしまったことなのだろう。

 

 

 世界を変えたということは、多くの人々の命の動きを変えてしまうことなのだから。

 

 




戦闘描写下手ですいません。
そろそろ物語的にも転機が訪れるあたりかなぁっと考え中。

アームズの性能は捏造入ってます。
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