「痛ッ……クソッ」
時刻は深夜回ったか? 右の腕輪に時計機能も内蔵しているけど……ダメだ、壊れてる。幸い、ドライバーは壊れていないけど、ロックシードは3つだけ。シルバーとメロンエナジーとスイカ……スイカはあの似非戦隊との戦いでエネルギー切れ起こしているし、ないものと考えた方が良いか。
ったく、アメリカに来るのに持ち物の制限があったのが痛いな……ピーチエナジーは壊れちゃったし。
「ああもうッ!! とにかく脱出できそうな場所探すか、エネルギーの回復を待った方が良いか」
あたりは薄暗いし、足元には瓦礫が落ちているし……ハァ。
とにかく前に進んでみるか……何かあるかもしれないと、探索しようとする。しかし、躓かないようにするため時間はかかるし、何回か転んでしまった。
明かりがあれば助かるんだが……電気も復旧していないか。
「……あーシャッター降りてる…………下手に壊すと後が怖いし、迂回するか」
ようやく目も慣れてきたし、探索もはかどってきたけど……
しかし明かりのない地下街ってこうも手こずるんだな。ジョニーもかおりさんもいないし、連絡も取れないから孤軍奮闘だし、踏んだり蹴ったりだな。
「あー懐かしいな、一人で戦うのって」
なんだかんだで高校生になってからは束もいたし、色々と知り合いも増えたし。本当久しぶりに一人だ。
ちょっと座って今までのことを振り返ろうかなぁなんて思ったけど、今はそういう場合じゃない。
「……ディーラを早く捕まえないと」
そう、今僕がこんなところにいるのにはわけがあるということで。まあ簡単に言えば、ジョニーが出してくれた別働隊がディーラーのアジトを突き止めてくれて、一網打尽にしようとしたところ……まあインベスが大量に現れたわけだ。変身する暇がないほどにね。そのため、右の腕輪でソニックアローを展開してピーチエナジーを装填して戦っていたんだけど……殲滅もできたと思ったところにディーラーの野郎が手榴弾を投げつけてきやがったんだよ……まあ、それは処理できたんだけど、その際に地面がひび割れて……みんなは逃がしたんだけど、ディーラーと共にまず一回下の階層に落ちた。なんか地下街があったみたいで……民間人を逃がすのには成功したんだけど、ディーラーがまたバカやって爆発。で、停電が起きてまた下に落ちたわけだけど……その際にアローとピーチエナジーが壊れた。
「……さすがに助けには来れないだろうし、まずはディーラーを探すか」
あたりを見回すけど……やっぱ暗いよなぁ…………
しかし、こう暗いとなんだか精神にクるモノがある。
なんていうか不安にナルんだヨ。
「…………頭も痛イし」
はァ……さっさと見つけて上に行きたい。なんかたこ焼き食ベタい。
だけどこうも真ッ暗だトな。なんだか周りカら沢山の視線を感ジルし。
「――ッ!?」
とっさに飛ンデよけたけど、危なかった。銃声と銃弾が先ほど僕がいタ場所に届いた。いつもよリも冴えわタル直感が無かッタら大変だったな……
仕方がない! ロックしーどを作動させて変身しよウとするが? が?
「アレ?」
ロックしーどがキドウしない? いや、シルバーの音声はキコエタ。だけどクラックが開かナイ。
「…………フフフ、どうやら成功したようだな」
「ディーラー?」
「ああ、そうだ……俺の張った罠にようこそ。しかし、お前もバカだな……こんな暗い場所でそんな青いライト目立つぜ」
「――?」
何の話ダ?
「ご丁寧に二つ、目みたいにしやがって、それで怖がると思っているのか? しかし……旨く誘導されてくれてありがとうよ」
ガチャガチャと、音が鳴る……そシテ、あたりが真っ白ニなった。マズイと思い横に跳んダケド。それが功を制したのか、僕がたッテいた場所に音が鳴り響いてイる。
……ガトリんぐ? いや、これは――ちゅりーっぷホッパーかッ?
「そうカ、ロックビークルは使えるのか……ってことは広場にデモ誘導されたカ?」
「ご明察……?」
どウシた? なんで攻撃の手を緩メル?
「お前……なんだそれ」
「何の話ダ」
「な、なんなんだよッ!!」
――ッ!? よけきれナかったッ……左腕が痛イ…………血が流れテイるのがわかる。
「ウグッ……目が慣れてキタ…………?」
何だロウ、この感覚? おもむろに、ロックシードをセットする。シルバーロックシードが淡く光っテイるんだ……ディーラーは何かにおびえるかノように、銃弾を放つけど、興奮していて狙いが定まってイナい。いや、元々あいつ自身が生身ダ。反動を制御しきれないから威力も落としてあるし命中精度も悪インだ。
なら何とかナルかもしれない。イや、なんとかッシロッ!!
「変シンッ!!」
【シルバーアームズ! 白銀ニューステージ!】
左手を上に突き上げる。イタイ。だけど、逃げるわけにはイカナイ。そう、僕は、僕ハ、そうキメタダロ。頭をヨギル今までの戦イ。出会った人タチ。失ったモノ。助けられなカッタ人。
クラックが開かないノハ、ここが地下だカラ。同軸のヘルヘイムの森に繋いでも地面の中ニくらっくが開いてシマウから、アームズが呼び出せない。
……ソレがどうした? そのぐらい覆セ。無茶だとかソウいうの関係ない。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
左手に、光が生まれる。頭のズツウがひどくナル。でも、関係ない。ココで死ねるか? そんなわけないだろ。
だから、カラダジュウの傷みは無視し、ロ。
「な、なんでアームズが……ありえねぇ…………なんだよ、お前なんなんだよ!? 本当に人間なのか!? それは、それはボスの――アガッ!?」
ハァハァ……なんだ? いつの間にかシルバーアームズに…………それに、いつもより出力がタカイ?
いや、シルバーアームズは呼び出せ……違う。僕が構成したんだ。だけどドウヤッテ?
「今はイイ……お前を踏んじバってから考えル」
「く……くくく、そうかそうか……そうだよな、お前があの人と同じでもおかしくはないんだよ。だから、これも仕方がないことだよな!!」
轟ッ! と言うオトと共に地面が崩れる。イや、ここは地下だぞ? そこから現れたのは……巨大なモグラ? いやインベスか!
「……ふぅ」
「ははは、このモグラインベスは大きさこそ自家用車ほどだがその硬さはスイカアームズを超えている!! 気性が荒いし、一度呼び出せば暴れるだけの怪物だが……お前お倒せるならそれでも!!」
「自爆覚悟カ……そうか、だけど甘いよ…………!!」
「へ――?」
ディーラーを捕まえ、スカッシュを発動して地面を踏み込む。
そして、杖を突き立てて天井を突き破る。床が遠くなっていき……地面が近くナル。
「う、うわああああああああああああああ!?」
「脱出、完了」
そして、地面から結構離れタな……空を見ると、見知った顔が見える。その人ニ手荷物を投げつけてオコウ。邪魔だシ。
「ナイスきゃっち」
「投げんなよッ!! っていうか無事だったの!?」
「あまり無事ジャない」
「……?」
「どうシタ?」
「いや喋りかた変じゃない?」
「そうカ?」
「いやいや絶対変だって!」
かおりサンはどうしたのだろうカ?
しかし今は気にしてイル暇はナイな。外に出れたし、他のロックシードも使えるナ。
【メロンエナジー!】
「じゃあ、今からでかいインベスがクルから、一応周りの人逃がしてオイテ」
「本当どうしたの!?」
「よろしくネ」
それだけ言い残しテ、メロンエナジーをゲネシスコアにセットする……頭が痛いケド、そうも言っていられナイな。
ブレードを倒し、空から出てきた鎧と融合させる。
【ミックス! ジンバーメロン! ハハーッ!】
ズシリと、体が重くなっていった。後は……奴を感知しロ。
音が聞こえる。ピーチほどジャないけど……なんとなく、ドコにいるのかわかる。精神を集中させていくと痛みも引いていく。
…………いまだッ!
【シルバーオーレ! ジンバーメロンオーレ!】
振り下ろしたソニックアローにエネルギーがチャージされ、斧のようなオーラを纏う。そして、地面から飛び出してきたモグラに縦に赤いラインが入り、二つに割れた。
「――ッ!?」
「……ふぅ」
そして、モグラは赤い光と共に消え去った。
◇◇◇◇◇
「だからってここまで仰々しくする必要あるんですか?」
「一応精密検査しなきゃだめでしょ!!」
必要ないというのに、ジョニーとかおりさんにとっ捕まって病院に緊急搬送された英です。
銃弾は貫通しているのになぁ……
「いやそれおかしいから。っていうかなんで撃たれたのにもう治ってきているのよ……」
「……なんでですかね?」
「私が知るかぁああああああああああああ!!」
ごもっとも。
……実のところ、先ほどジョニーから僕が緊急入院した理由は聞いているんだけどね。
捕まえたディーラーの証言に一つ気になることがあったのだ。曰く、僕の目が青く光っていたと。だけど検査の結果に異状はなかったし……DNAも人間のもので間違いない。インベス化とかもしていないし。
だけど僕のしゃべり方がおかしくなっていたのは、雷電のログで確認したし、僕が自分の力でシルバーアームズを作ったのは見た。っていうか覚えているし……いや、今やっても無理だけど。
「…………結局、何だったんだろう?」
なんだか……ああいう暗いところにいたせいで、なんか精神的に悪影響でも出たのだろうか? いや、それだけで済ませるのは無理か。
さてと、怪我はしたししばらくは寝ていようか……嫌な予感するけど。
「かおりさん、嫌な予感が止まらないんですけど……なんか知りません?」
「……怪我したんだから、家族に知らせるのが普通よね?」
「――――いや僕家族いないし」
「でも恋人は?」
「…………さて退院します」
「ダメよ」
「いや逃がして!! マジでなんかヤバい予感するんだッ!!」
ジョニー!! ジョニーはいないのか!?
「――ッ! ――ッ!」
「ああジョニーが簀巻きに!?」
「……ごめんなさいね。この人も野放しにすると危険だし」
「いったいジョニーがなにしたって言うんだッ!!」
「これからするんでしょ」
「ごもっとも!」
で、でもまだ二人はエジプトだよね?
「忘れたの? ISがあることを……」
「あ……ヤバい、束にアレ渡したんだった」
「あれ?」
「……タタラを改修して作り上げた第二世代IS、ジャバウォック……その高速飛行パッケージ」
「…………自分で作ったの?」
「ええ……世界各地に飛んでいけるようにって……アメリカから日本まで最速で5時間かな」
「…………みて、太陽が輝いているわ」
「いや僕太陽苦手……うわあああああああああああああああ!? きたあああああああああ!?」
空に黒い点が現れたと思ったら、束と百花さんが飛んできたッ!? いや逃げないとなにされるかわからな――ッ!?
「な、なぜ捕まえるッ!!」
「…………悪いわね。今メールが来たの」
「電源切ってよ病院だよ!?」
「大丈夫大丈夫……あと、篠ノ之さんから伝言。電話切った罰と無茶した罰として、一瞬間メイドになってだって」
「――――」
「人ってここまで絶望できるのね」
「嫌だァアアアアアアアアアアア!!」
クソッ!! どうする? どうやって逃げる!? ドライバー……ダメだ!! かおりさんが預かったままだ!!
その時だった。ドン、と誰かに押されて病室から出ることに成功した。
「――ジョニー!?」
「逃げてください、ここはアッシが何とかしましょう」
「でも、それじゃあお前が――ッ」
「……いいんです、ここであなたを守れるなら、本望!!」
「ぐっ……必ず、生きて会おうッ!!」
「ハイ!!」
そして、僕は病院から飛び出した。
いま、自由へと――!!
「言うことはそれだけですか?」
「マジスンマセンでした!!」
玄関から出ればそりゃ見つかるよね。っていうか、非常口に行こうとしたら桃色のオーラが噴出していて近づけなかったんだけど? え、百花さんが先回りした?
「……あの、許してくれは?」
「しません。はい、メイド服」
「いやいやいやいやい!? なんで!?」
「可愛いは正義です。正義なんです」
「いやわけわからないから!? っていうかなんか口調がこわいよッ」
「……仕方がありません。恥ずかしいなら――――私が着替えさせてあげます」
「――――戦略的撤「確保ッ」ろんげ!?」
わき腹が、わき腹が痛い!! っていうかいつの間にか百花さんが!? いったいどこから!? 気配がなかったぞ!?
「ふっふっふ、わたくしにかかれば忍術の一つや二つ!!」
「いやどういうことだよ!?」
「今日ばかりは罵倒も心地よくありません! 美少女二人の入浴シーンを無視した挙句に、大怪我ですって!?」
「いや入浴シーンとか意味わかりませんから!! 何の話!?」
「いいんです。もう英には関係ありません。さあ、そこの物陰なら着替えられます。……百花さん手伝ってください」
「わかっております……うふふ、腕が鳴りますわぁ」
「…………い、嫌ぁアアアアアアアア!?」
その後のことは恥ずかしいので語りたくありません。
ちなみに……ジョニーはかおりさんに関節技で落とされていました。
不穏な影と、暴走する少女たち。
この作品ではヘルヘイムの森と地球の同軸上にクラックで通路が生まれるため、同軸が土の中だったりするとアームズが呼び出せません。ある程度は幅がありますが、無効化される範囲があります。