仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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修学旅行編開始ですぜ。


第9部・修学旅行のフレンドリー
EP75.想いすれちがい


 修学旅行も近くなり、5月はあっという間に過ぎていく。そんな中、変質したブラッドオレンジロックシードを調べていく中でとんでもないことが判明した。

 エナジーロックシード以上のエネルギー量を持っているのだ。ただ、それを取り出すことはできないしものすごく硬いから加工もできないんだけど。

 

「……ハァ」

 

 束がいてくれたらなぁとは思うけど……謝ろうにも、なんて言えばいいのか…………顔すら合してくれないし。どうしたもんかなぁ……

 …………百花さんのところに行くとか言ってみるのは……危険すぎるな。絶対にしてはいけない。

 

「あー…………メール?」

 

 携帯端末にメールが来ている。束かなと思い、開いてみると……中沢君からか。いや、よく考えたら束は専用ボイスにしてあったから……結構まいっているのか。

 えっと……暇ならカラオケ行こうぜって…………暇だし、行ってみるか。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「いや、まさか本当に来るとは」

「なんだよその反応」

 

 色々煮詰まっているからストレス発散したいってのに……呼ばれたのに来てみたらそんなこと言われるとは思わなかったよ。

 

「だって篠ノ之さんがいるじゃん。断られるだろうなと思って……まあ最初から誘わないのもどうかと思ったし」

「いつも一緒ってわけじゃない……ハァ」

「どうしたんだ喧嘩でも――ごめん」

「分かってくれればいいです」

 

 ものすごく気の毒そうな顔しているけど……僕、そんなに落ち込んでいるか?

 

「ああ、この世の終わりの様な顔してる」

「マジでか」

 

 その後、続々と集まってきたメンツが同じこと聞いてきたから……思わず殴ってしまった。

 

「いてぇな!? 何しやがる!!」

「うるせぇよいい加減その質問飽きてきたんだよ中島ァ!! っていうか爆笑しながら聞くんじゃねぇ!!」

 

 ええい! マイク貸せ! ストレス発散に歌い切ってやる。

 絶叫ヴァージョンを入力っと……

 

「いやいきなり何してんの!?」

「良いから歌わせろッ」

「いやいやいやいや」

「そうですよ、勝手なことはしないで頂きたい」

「流石委員長! 蜂矢の暴走を止めてくれ!」

「――その歌は、一人では無理でしょう。セリフの方は任せてください」

「違う! そうじゃない!」

 

 そうだったな……ありがとう委員長。え? 自分もストレスたまったらこの歌うたうって? はは、仲間だな。

 

「いや良い話じゃないだろ……っていうか色々溜まっているんだなぁ」

「そうだな……」

 

 ああ、思い出すなぁ……あんなこと、こんなこと…………歌も後半に差し掛かり、途中のセリフのところで――

 

「……束ぇ…………」

「落ち込むなら歌うなよ!?」

「あー……声か」

「はいはい、次の歌次の歌」

「っていうか大丈夫なのか?」

「うう……」

 

 思わず蹲ってしまう。そしたらボトっと、懐から金属果実が転がり出てしまった。

 おっと危ない危ない。

 

「なんだそれ?」

「あー大切な物だ。なくしたらいけない」

「ふーん」

 

 さて、次は何を歌うか…………なるべく鬱にならないのにしよう。

 その後、なんだかんだで盛り上がって辛いことは少しだけ和らいだ。

 ……ちなみに、流されやすい男である飯島君が周囲の制止も聞かず、お経を歌い始めたときはビビった。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 私が英に怒ってしまったのには、いくつか理由があると思う。

 一つはまた無茶をやらかそうとしたことだろう。いや、それについては彼の性分だししかたのないことではあるんだけど……私が助けなければ死んでいたかもしれない。だからこそ、思わずキレてしまった。

 次に、箒ちゃん相手に簡単に戦う決断をしてしまったことか。私だったら……悩むんだろう。確かに、エネルギーを削り切るしかなかったのは分かるけど……

 

「ハァ」

「いい加減、仲直りしたらどうだ?」

「ちーちゃんには関係ないでしょ」

「……しかし、意外だな」

「何が?」

「お前がしっかり考えていることだ。昔だったら癇癪を起していただろ」

「――――ねえ、ちーちゃんってたまにものすごくバカになるよね」

「なに!? いやそんなわけないだろ!?」

「そうだよ……」

 

 癇癪を起しても、変わらないものもあるし、どうにもならないこともある。だから、考えるんだよ……っていうか、人の心に関してはちーちゃんと会ったころから、理解しきるのは無理って思っていたよ。

 まあちーちゃんも案外ポンコツだし……いや、それは私もか。

 

「束さんも、成長しなくちゃいけないってことだよ……だから、一言謝ればいいのは分かっているんだけどね…………どうしても、喧嘩腰になっちゃうって言うか」

「まあ、いつかは仲直りできるさ」

「そうだといいけど……恋敵がやってくる前に何とかしないと」

「神宮寺さんか?」

「うん……この話が知られたらっていうか、もう知っているかも」

 

 ストーカーだし。

 

「いや、今は大丈夫ではないか? あの人、IS競技のルールや組織設営で手こずっているぞ」

「……そこらへんの事情はちーちゃんの方が詳しいか」

 

 国家代表筆頭だし。給料も多く入っているから生活も楽になったって言ってたなぁ……

 いっくんにもあまり負担をかけたくないって言ってたけど……だったら家事、無理か。でもいっくんか……箒ちゃんがあそこまで固執していたとは思わなかったけど、私の目から見ても怖かった。

 あの時の箒ちゃんはまるで別人のようだった……そして、どこか――アメリカで英の身に起きた、あの人格変化に近いものを感じた。

 

「…………」

「どうした? いつになく難しい顔をして」

「ううん。何でもない。たぶん気のせいだから」

 

 いや、本当は分かっている。確証はないけど、心の奥底で私はそれを認めている。

 共通点の多さ。断片的な情報。それらから察するに――

 

「――わっ!」

「ひゃう!?」

「……どうしたのだ、菊池」

「アハハハ! 束が難しい顔していたのでサプライズデース!」

「……いいよねぇ、君はいつも幸せそうで」

「? そうでもないデース。私家貧乏デース」

「…………そうなの?」

「まあ、私が人一倍食べるからダケド」

「……」

 

 スパコーン!

 

「オウ!? こ、これがジャパンのツッコミ!?」

「……お前、それ蜂矢のだろ」

「――――うう」

「泣くなら使うな」

「? 喧嘩したのですカ? 一大事デース! 緊急招集をッ」

「やめんか」

「ところがどっこい! 集結済みさ!」

「――白樺、何故ここに?」

「なぜって……ここ私のバイト先よ? キッチンだけど」

 

 しまった。リサーチ不足だった……ハァ、この女にかかればあっという間に知られわたるんだよなぁ……

 

「いっそ一思いに、パイルバンカーを使うか」

「やめて!?」

 

 その後、なんだかんだでクラスの女子が集まって来て励まされた上に、仲直りのアドバイスまでされる始末。ああ、大天才の束さんがなんか……普通の女子みたいな…………

 ――だけど、心のどこかでこれでもいいかななんて思っている。

 

「ハァ……結局のところ、私が英から逃げなければいいだけだよね」

 

 さて、決心が鈍る前に会いに行こう――その時、電話が鳴り響く。

 

「も、もしかして英!?」

「あらあら、噂をすれば?」

「隅に置けないわね」

「さぁさぁ、最初が肝心よ!」

「う、うん……え、えっと」

 

 よ、よし…………まず第一声で……ピッと通話ボタンを押して、すーはーと深呼吸。よし。

 

「だ、大好きです!!」

『――――ッ』

 

 あたりから上がる歓声。キャーキャーという女子高生の叫びが鳴り響いた。

 

『――――ええ、私も』

「…………ん?」

「「「――は?」」」

 

 女の人の声? え、誰?

 

「アレ? どちら様?」

『あら? わたくしですわよ、束さん……いいえ、束』

「――――」

 

 英のストーカーだった。っていうか、え? 誤爆? 誤爆した?

 

「いや!? いまの違うから!? 英に言ったんだから!?」

『ええわかっています。わかっていますわよ』

「違うからね!? 誤解しないでぇぇぇぇぇ!!」

 

 その後、誤解を解くのに数時間かかりました。途中、お姉さまと呼んでもいいのよと言われたときには、死ぬかと思った……

 っていうか英の番号は専用ボイスだった……

 

 ◇◇◇◇◇

 

 時間も時間だしと、帰りながら電話に出続ける。あたりには誰もいないなぁ……

 

「で、本題はなんなんだよ」

『あら、そうでしたわね……随分と時間がかかってしまいました』

「まったく……で?」

『――申し訳ありませんが、二、三日こちらに来てくださるかしら?』

「いや、どういうわけだよ」

『IS委員会の発足など、色々ありまして……具体的な専門用語で貴女の解説が必要になったのです』

「……もうすぐ、修学旅行なんだけど」

『それまでには終わります。ですが、その……英さんと仲直りする時間はとれそうに…………申し訳ありません』

「――――いいよ、もう」

 

 タイミングを逃して、なんだか顔を合わせる気分じゃないし。

 それに、ちょっと嫌なことが頭から離れない……

 

「今すぐ行くから、ちょっと首洗って待ってろ」

『分かりました。全身くまなく洗って待っています』

「……ねえ、人の話聞いてた?」

『うふふ』

 

 プツっと通話が切れた……あの女、わざとか。

 

「ハァ……」

 

 あの思考の続きが浮かび上がる。基本的に私は、その思考を休めない。英と出会って、オンオフの切り替えができるようになったけど……基本はこっちだ。

 だから、嫌なことも止まらないけど……

 

「私と英は、共に向こうの世界の果実の亜種をつける木を守る一族だった。それが意味することは? 祖先があの果実を食べている可能性は? 遺伝子に元々眠っている可能性はないのか、ヘルヘイムの力が元来備わっている可能性は」

 

 英の腕輪が発動する条件もそこに由来しているハズ。具体的にどういうことなのかはわからないが……

 だとすれば、私たちは…………

 

「――やめておこう」

 

 アレコレ悩んでも仕方がない。

 それに……確定したわけじゃないし。

 

「まずは目先の問題を片付けないとね」

 

 ◇◇◇◇◇

 

 それから数日の時が過ぎて、その日がやってきた。

 結局僕らは仲直りできていない。

 

「どうしたもんかなぁ」

「いつまで仲直りしないんだよ」

「……向こうで頑張ります」

「…………ハァ」

「あらぁ? 夫婦喧嘩? ダメよー奥さんは大切にしなきゃ」

「結婚したからってでかい顔するんじゃねぇよ佐々木」

「い、いつになく辛辣ね」

「すいません、我毛先生」

「いいのよ中沢君。案外、いつもこんな感じだから」

「そ、そうなんですか……でも俺飛行機初めてなんで緊張しますね」

「そうね、耳が痛くなるわ」

「あと寝ると時差ボケするぞ」

「そうなの? でもミコノスまでどんくらいかかるんだろう」

 

 

 …………ヨーロッパか、前に言ったときは束と――

 

「――そういえば、前は観光どころじゃなかったな。行きの飛行機でハイジャックにあったし」

「いやいやいやいや、なにそのエピソード!?」

「あー旦那から聞いたわ。おバカなテロリストで、蜂矢君がぶっ倒したって」

「……え?」

「まあ弱かったですし。アメリカ行った時も戦いましたけど」

「はぁ!? っていうかお前って何者だよ……」

 

 ――何者だろう?

 仮面ライダーで、人外の身体能力と回復速度を持っていて、最近アームズを生み出した?

 あと一応科学者?

 

「自分でもわかんないのかよ」

「うーん……悩むな」

「そんなもんよ高校生」

「僕のは何か違うような……」

 

 あ、中沢君、日差しキツイから窓しめてくれ……痛い。

 しかしミコノスか……綺麗って聞いたけど、どんなところなんだろう。今度の修学旅行はトラブルが起きないといいなぁ……前はあんなことがあったし。

 一応楯無さんに無理言って色々持ってこれるようにしたけど、まだ腕輪が壊れているし、持ってこれたロックシードも数少ないんだよね……

 まあ金属果実も持ってきちゃったけど。結局、あれをどうにかすることはできなかった。

 

「しかし、うちの学校って結構お金ありますね」

「まあ色々と有名人を排出したりしているからねぇ……今年はあなたたちがいるし」

「そうだよなぁ……っていうか、先生はなんでここに?」

「今更!? 養護教諭は修学旅行に同行するものよ!!」

 

 あ、そうだった。中学の時もそうだったな。

 

「――先生ってトラブルの遭遇率高いですよね?」

「それは君もでしょ。トラブル発生装置クン」

「じゃあ二人いたら確率アップですね!」

「そうねー……ねえ、やめない?」

「ええ、やめましょう」

 

 なんか嫌な話になってきたな。

 

「それより……問題は、これよ。機内食、どっちにするか……ビーフか、フィッシュか」

「今回はチキンとフィッシュですね」

「――え、ビーフじゃないの!?」

「会社によりますし、フライトにもよりますって……」

 

 案外、固定されておらぬのよ……しかし、エコノミーだからなぁ……

 期待はしないようにしていたが、思ったよりおいしいのでびっくりした。

 その後はグダグダとモニターで映画を見続けていた……結局、みんな眠ったなぁ…………ふと、横の方を見ると逆の壁側に束が座っている。同じく、モニターを見ている。

 

「……」

 

 少し目が合ったが、会話もできずにお互いモニターに顔が向く。

 ハァ……

 




ようやくここまでこれた……
残りの高校編も少ないです。

とっとと原作部分に突入したいけど、そこまではまだかかるかなぁ……
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