仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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一筋縄じゃいかないそんな修学旅行。


EP76.嘘を混ぜて

 到着したのはいいが、なんだかみんなお疲れの様子である。っていうか、束と僕以外は寝ていたから時差ボケに悩まされているな……まあ、寝ない場合は徹夜みたいなもんだし、体力は削れているけど。

 

「……で、僕はなんでここにいるんでしょうか?」

「あはは、ごめんねー……蜂矢君保険委員だから、救急セットとかの点検しなくちゃいけないのよ」

 

 そういえばそうだった……他のクラスの保険委員と共にセットの点検を進めるけど…………みんなは自由行動中かぁ……また束とニアミスした。

 千冬がフォローしてくれていることを――いや、無理か。っていうかミコノスってたしか――千冬は腐り過ぎて貴腐人になっていないことを祈ろう。

 

「ふぅ、終わりました」

「じゃあ、先生は校長に書類とか提出してくるからみんなはビーチにね。今日は基本的にそこにみんないるから」

 

 そうなのか……良かったような、そうでないような…………結局、僕も何言えばいいのかわからないのか。

 ……外に出て海に…………海?

 

「――――寝るか」

「いきなりデスカ!?」

 

 名前は知らないけど、他のクラスの保険委員にツッコまれた。……うーん、言い返す気力もわかない。

 でも、日差しは苦手だし……とりあえず日焼け止めだけでも塗っておこう。

 そうして部屋に戻り、日焼け止めを塗り始める……と思ったが、同室の奴らがトランプやってた。

 

「なにしてんだお前ら」

「あー……いや飯島が外に出たくないって」

「だって、襲われそうで」

「馬鹿馬鹿しいと言ったんですがね……確かにそっちの方も大勢いたので」

「いやぁ念には念を入れてな」

 

 ちなみに上から僕、中沢、飯島、委員長、中島の順である。5人部屋の全員が外に出ないとか……っていうか、流石にそれはないだろ。

 しかし、暇だし混ぜてもらうか……飯島はそっちの趣味じゃなかったのか?

 

「違うよッ!?」

「もう俺らがツッコミを入れたぞ」

「天丼だよ天丼」

「うう…………」

「バカやったら一生ついて回るんだよ」

「そうですよ……こっちも、色々と大変です」

「委員長、親に怒られなかったのか?」

「…………むしろ、書類が目の前に出てきたことに恐怖を覚えました」

 

 人を一人、背負う書類ですねわかります。っていうかそこまで行ったのか……藤咲さんも存外積極的だなぁ…………

 元々暴走するタイプだったってことなんだろうけど……前よりは健全で良いかもしれない。

 

「いや、変態がヤンデレ属性になっただけじゃないか」

「別にいいんじゃね? 実害なければ」

「そういう蜂矢はどうなんだ? 篠ノ之さんとは」

「――――まだ、仲直りしていませんが何か?」

「スマン、俺が悪かった……だから、涙拭けよ」

「こ、心の汗だ!!」

 

 べ、別に泣いてないやい!!

 

「しかし……てっきりもう結婚しているものかと」

「まだ17だっつの……7月生まれだからあと一か月だけどね…………それに、お互い結婚はするつもりないよ」

「それまたどうして?」

「やらなくちゃいけないことがあるからなぁ……」

 

 窓から、空を見上げる……やらなくちゃいけないことが山積みで、進学する暇なんかない。

 もう、この平和な日常はあと一年もないんだろう……だから、こういうバカ騒ぎが楽しくて、おしくなる。

 

「とりあえず、ポーカーでもやるか? むしり取るぞ」

「いややめよう……なんかお前に勝てる気がしないんだけど」

「運良さそうだしなぁ……」

「たしかに、大怪我しても最大一か月ぐらいで全快するぐらいには運がいいぞ」

「おまっ、本当は改造人間とかじゃないだろな!?」

「――チガウヨ」

「怪しさ全開!?」

 

 まあバカ騒ぎもそこそこに、何やるか考えよう……

 

「ダウトはどうだ?」

「いいんじゃね?」

 

 そういうわけで、ダウトの開始である。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 ルールは簡単。1から順に一人ずつ一枚カードを伏せて場に出していく。この時、嘘のカードを出してもいいわけだが……周りにダウトと言われた場合表に返す。それが嘘のカードなら場に出たカード全部を手札に。本当のカードだったなら、ダウト宣言した人が場のカードを手札にするというもの。最初に上りが出た時点でその人が一位、残りのメンバーの手札枚数で順位を決める。

 

「ルールはシンプル。その他追加ルールは無し」

「時間かからないか?」

「五人で回すならそうでもないよ」

「ですね……重要なのは、表情の読みあい」

 

 ……それも重要だけどね。

 

「じゃあ俺から行くぜ」

 

 順番は、中島、委員長、僕、中沢、飯島の順である。

 最初のうちは誰もダウトを言わずに一巡し、再び中島の番が回ってくる。

 

「ダウト!」

「おばっ!?」

 

 中沢にダウト宣言をかけられ、見事に当てられた……これで、場の札を全部持っていくことに。哀れである。

 

「……ふむ」

 

 順番は次の人から、数字もリセットなし。

 ……このルールなら計算しきれるかな。手札から、先の展開をシミュレートする。

 

「――――ダウト」

「速すぎね?」

「本当の札なんですが……性急ですぞ」

 

 まだ出したばかりの委員長の札、一枚だけを貰う。うん、これでよし。ダウトはポーカーフェイスのゲームであると同時に、計算のゲーム。

 必要以上にダウト宣言は行わない。時には、わざと札を貰うことも大切なのだ。

 その後、何周かしたけど上がりはまだ出てこない。その間に僕は何回かダウト宣言を行い、手札を補充していった。

 

「……うん、場に出た札からするにそろそろ終わるな」

「いや何言って……残り三枚?」

「いやいや、流石にそろそろダウトだろ」

「残念本当の札です」

「あーっ!?」

 

 さて、そこで再び一周して僕の札が減る。ダウト宣言を行われたが、結局本当の札。

 再び周り、そして最後の札を置く時がやってきた。

 

「――これで、ラスト」

「「「「ダウト!!」」」」

「ところがぎっちょん!」

「「「「オウッ!?」」」」

 

 種明かしをすると簡単で、枚数が少ないうちに本当と思われるカードをわざとダウト宣言して貰っておき、自分が言うだろう数字を覚えておいて、最後の数回を本当の札を出せるようにしておいただけだ。

 まあルールによってもやり方が変わったりするんだけどね。

 

「さて、どうする? 続ける」

「いいやもう……勝てる気がしない」

「っていうか、この場で計算してやったのかよ」

「先読みってレベルじゃないよね……」

「いや、本当にすごい人なら場のカード全部暗記するぐらいのことはやるし、ポーカーフェイスをうまく使って、相手をコントロールしたりする人もいるから」

「ごめん、レベルが違いすぎる。ガチでやってんのかお前」

「…………いや、ガチでやる時は――もっと激しい」

「どういう面子なんだ」

 

 ◇◇◇◇◇

 

 そんなこんなで、晩飯で大広間に向かうことに。星がきれいだなぁと空を見上げるけど……結局、寂しいだけなんだろう。

 その後も普通に時間が過ぎるだけだった。食べて、寝て、朝日が昇って。

 

「……で、クラス別の行動になるわけか」

 

 遺跡巡りか……興味はあるけど、なんだかなぁ…………ふと、懐かしい熱を覚えた。

 

「――――ッ!?」

 

 左の腕輪が光っている。

 だけど、なぜ? クラックが開いた? それにしては静かすぎる――それに光が一筋、どこかを指している。

 

「……束――いい、とりあえず一人で行こう」

 

 こういう時は相談するべきだ。だけど、何といえばいいのかわからない。だったら、一人で行こう……後でまた怒られるだろうし、最悪嫌われるかも……

 呼ぼうよ思ったよ。でも、その時見えた束の姿が――女の子たちと楽しそうに会話する、その姿を奪いたくないなんて思ってしまって……だから、一人で行く。

 

「――――ごめん」

 

 それだけ言うと、僕は気配を殺して人ごみみまぎれながら光の筋の方へと走っていく。楯無さんに気配の殺し方を教わっていてよかった……

 さて、この先にあるものは何だろうか?

 だんだんと海が見えてくる。そして、そこにあるのは――やっぱり海だった。

 

「って、本当に海なのかよッ」

 

 これはどうしたものか……いや、人目はないし大丈夫か。戦極ドライバーを取り出して、腰に取り付ける。この前完成してよかった――これで、海も行動範囲内だ。

 

【ブルーベリー!】

 

 空にクラックが開き、青色の果実が現れる。新しく僕が作った水場での活動用アームズ。

 

「変身!」

 

 体にいつものように装着されるが、ライドウェアの感触が少し異なる。水中でも活動できるように、口元にはボンベのノズルの様なものが取り付けらてていく。

 鎧は他のアームズと比べて、薄い。アーマーも胸と肩に少しだけ。

 

【ブルーベリーアームズ! 豪快ビッグウェーブ!】

 

 特徴的なのはその武器……いや、武器と言うよりはボードだ。

 このブルベリボードは水上活動用の武装。まあ、簡単に言えば自走できるサーフボードである。

 

「よし、行くか」

 

 うみに飛び込み、光の方へと進んでいく。思ったより速度が出ているけど……大丈夫かな。

 試運転はしているけど……本格的な使用は初めてだし。戦闘になったらきついかもしれん。

 そんなこんなで、トップスピードまで出していくけど……あっちってクレタ島か? なんだか嫌な予感するけど……光の方を改めて見ると、だんだん下向いてね? いや向いてる。

 

「――潜るか」

 

 ボードを分離させて腕と背中に取り付ける。腕の部分はエッジモードとして武器に。背中のはタービンによる水中活動用の推進力に。

 水上と水中どちらも活動可能にしたのが、このアームズである。

 

「――――ッ」

 

 光は下の方を指している。なんだか岩場っぽいところだけど――あれは、遺跡?

 なんだか嫌な予感は止まらないけど……たぶん大丈夫だよな?

 そうこうしているうちに、遺跡のあたりにたどり着いた。今まで、どのくらい時間がたっただろうか。とりあえず遺跡の中に入ると――空気が満ちている?

 下から入って、上に上ったんだけど……水のない場所がある。いったいどうなっているのか……

 

「アームズは――地下だと変えられないけど、一応」

 

 試しにシルバーアームズを呼び出して交換する。問題なく呼び出せたけど、地上じゃないよな? どういうことだ?

 ……考えていても仕方がないか、光の方へ進もう。

 

「しかし、けっこう貴重な遺跡なのかね……壁画とかそれっぽい」

 

 ミノタウロスっぽい絵が描いてあるな。あと人間っぽい白い人たち。その先には、紅、蒼、碧に装飾された扉があった。

 ……腕輪が指していたし、そういう予感はあったんだけど……ヘルヘイム関連か?

 

「とりあえず、どうやって開けばいいのか――え」

 

 ゴゴゴと重々しい音と共に、扉はひとりでに開いていく。え、自動で開いた? どういう仕掛けだ? っていうか遺跡だよね?

 ……無理してでも束を呼べばよかったと後悔するが、仕方がない…………後戻りするのもあれだし、進むか。

 

「誰かいませんかー……って、いないよね」

 

 広間みたいな場所に出てきて、声を上げるけど誰もいない。

 それもそうだなとは思いつつ……広間の中央に近づく、そこには――黄金の球が地面に埋め込まれていた。

 

「――ッ!」

 

 思わず、蒼銀杖を突き立てる。されど、その一歩手前にヘビが現れて杖を弾いてしまった。

 

「――――誰だッ!!」

『――――誰だ、とはご挨拶だな――まあお前が俺を知らなくても無理はない』

 

 ヘビはその姿を変えていき、人の様な形へと変貌した。だけど、その顔は――鼻はつぶれて、目は赤黒く輝き、肌の色も青白く……まともな人間には見えない。

 ……その姿を見た瞬間、言いようのない悪寒が体を駆け巡る。

 

【ジンバーレモン! ハハーッ!】

 

『いきなりだなぁオイ』

「……お前の放っている空気、前に感じたことがあるんだよ――ヘルヘイム神話のヘビかと思ったけど、おそらくそいつはもういないし……それに、僕は一度お前と戦っている」

『ク、クッハハ!! さすがだぜ、それでこそ銀のリンゴの適合者だ』

「…………お前は一体」

『まあ、呼び名は何でもいい。ヘビでも、かつて裁定者だったモノでも、なんでもな……今となっちゃそんなものに意味はない。俺はただの先兵だ。そして、目覚めさせるものでもある!』

 

 ヘビは再び、その姿を変えて球に飛び込んでいく。そして、球が煌々と輝き――形を変えていく。

 炎が燃え上がり、黄金の光を放つ。

 人の形へと変わり、見覚えのある鎧をまとう。剣と盾を持つ騎士。

 

「――やっぱお前か」

『ああ、そうだ……久しいな。前は今ほど自由ではなかったが、此度はそうはいかない。お前に倣って名乗るとしよう――――仮面ライダーマルス、今は亡国機業の頭をやっている』

「そこら辺は予想していたけどな…………一研究員が成り上がったもんじゃないか」

『――――ッ!!』

 

 直後に、激突があった。

 彼が誰なのかとか正確には分からないし、知ったところで意味はない。

 死闘が幕を挙げる。

 




ってことで、再び登場マルス。
孤軍奮闘の英は果たしてどうなるのか。

ブルーベリーアームズの見た目は、仮面ライダーアクアっぽい感じで。
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