仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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ついに登場、新アームズ。


EP79.アンコール

「――――なんで、こいつがここにいるんだよッ!?」

「簡単なことだ。操ることは不可能でも、呼び出すだけならできる――――いたるところに、亡国機業のエージェントは潜入していると言ったはずだ」

「ッ――内部に、いたのか」

 

 もしくはどこかの国か……国連で話題にしたのはまずかったか……しかし、レヴィインベスはどうする? オーバーロードとかいうのになっちまった猛のこともあるし、同時には相手にできないぞ。

 しかも、アイツは水辺にいるし……その時、束が前に出て海の方へ駆け出していく。

 

「た、束!?」

「任せて。こんなこともあろうかと――水中戦用のアームズ作ってあるから!!」

「――――スマン!」

 

 おそらく、束でもアイツは足止めが限界……いや、足止めすらできるかどうか…………だけど、やるしかない。

 

【プルーンエナジー!】

 

 空中から降りてくる、果実は他のアームズと違い……鎧は胸部にのみ展開される。残りのパーツは下半身に伸びていき、まるで人魚の様な姿へと変化した。

 なるほど……初めから、水中に限定した使い方を考えたのか。

 

【プルーンエナジーアームズ!】

 

 ハープの様な音色と共に、展開が完了して、束は海へと飛び込んだ。

 ……早く、こっちの決着をつけて助けに行かないと…………といっても、こいつもとんでもなく強そうだけど。

 

「わざわざ人質をとったくせに、なんで一対一を望むかな」

「簡単なことだ。お前は俺の目標だった……単なる不良で、粋がっていた俺が初めて完璧に負けた相手がお前だ。だからこそ、俺はお前を目標にここまで強くなれた」

「買いかぶり過ぎだよ……それだけで、人がここまで強くなれると思えないけど」

「だが、実際に俺は果実に打ち勝ち、力を手に入れた――お前も本当は気が付いているんだろ?」

「ああ……精神力でヘルヘイムの果実の力をコントロールすることが可能だってのはな。だけど、詳しい条件とか、そういうのは分かんないし……僕は人間を捨てるつもりはない」

「すでに片鱗は見せているのに、とんだ甘ちゃんだな」

「――それでも、僕は人間だ」

 

 ただ、人より少し変わっているだけ。決定的なラインは越えない。僕は人のまま強くなる。

 

「だから……人を捨てたお前に負けるつもりはない」

「ふん……ゆくぞッ!!」

 

 ジンバーピーチに変身し、精神を聴覚と触覚に集中させる。

 猛は、その拳を前に突き付けるだけだが――感覚に従い、ソニックアローではじく。

 

「――ッ!? お、重すぎるだろ!!」

「空間圧縮弾を弾くとは……だが、これで!!」

 

 地面に振り下ろされる拳。それが――僕を地に伏せさせる。

 

「アガアアアアアアアアアアア!?」

 

 重力、操作!? しかもこの出力は――ジンバーピーチにより強化されたセンサーがマスク内のディスプレイに視覚情報として表示される。

 色付けされた空間のゆがみは、サイクロプスインベスの時よりも驚異的だ――単独でクラックを開けるレベルだぞ!? しかも、ロックシードのような限定的な物ではなく……空間そのものが、武器となって襲い掛かってくる!!

 

「――――オオオオオオオオオオオ!!」

 

 体をひねり、前に回転する。咄嗟によけたけれど、身体にはとてつもない痛みが走り出す。

 

【シルバースカッシュ! ジンバーピーチスカッシュ!】

 

 だけど、そんなこと言っていられない。束だって無茶しているんだ――だから、負けられない。遠くで、水飛沫が何度も上がっている。不安が湧き上がる。

 でも、僕がこいつに勝たないと――体をブレイクダンスのように動かして右足にエネルギーを充填させていく。

 

「デリャアアアアアアア!!」

「――フン!!」

 

 ぶつかり合う、拳と蹴り――でも、現実は非情だった。

 

「――――ア」

「ハアアア!!」

 

 エネルギーが逆流していく。体に痛みが走るなんてレベルじゃない。骨という骨が、きしむ。そして、砕けていく。

 ピーチエナジーは逆流したエネルギーに耐えきれなくなったのか――大きく瞬いて爆発した。

 

「――――アアアアアアアア!?」

 

 ゲネシスコアが、弾けとんだ――幸い、シルバーの方は予想以上に頑丈だったから無事だけど…………強制的に、アームズが解除される。

 立ち上がろうとする。だけど、身体が動かない――プレートを取り出し、再び取り付けてシルバーアームズを発動させる。杖を突き立てて支えにして立ち上がるけど、足に力が入らない。

 ははは……こりゃ、粉々だな。

 

「――」

「さあ、トドメを――む」

 

 水しぶきが大きくなった。そして――――

 

 ◇◇◇◇◇

 

 モチーフは人魚姫。私はレヴィインベスを食い止めるために、水中にもぐり、奴をひきつける。

 だけど……正直、スピードが段違い。

 

「ああもうッ!!」

「ギャアアアアアアアアアア!!」

「うるせぇ!!」

 

 ただの声が、砲撃の様な威力を持っているのだ。

 正直、やりにくいッたりゃありゃしない!!

 だけど、やらないと……英だって頑張っているんだから。せめて、みんなが逃げれる時間は稼がないと。本当……束さんも変わったもんだ。

 でも今はそれが嫌じゃない――世界が広がっていくみたいで、とても心地いいんだ。だから、奪わせない。

 

「――ッ!」

 

 水を手に圧縮し、剣のように形を変えて奴の巨体に突き立てる。しかし、ウロコが硬すぎる――まあ、予想はしていたけどね!!

 小回りの良さを生かして、攻撃をかわし続ける。時折、放たれる声撃が水を押しのけていく。周りの被害も気になるが――それは後で何とかしよう。

 パクリといかれないように口元には気を付けて、首筋のあたりを狙い続ける。こういう硬い相手には一か所に集中攻撃と相場が決まっているんだよ。

 ハンドルを二回押し込んで、エネルギーを足先――ヒレに集める。

 

【プルーンエナジースパーキング!】

 

「ハアアアアアアア!!」

 

 一気に加速して、上に飛び上る。そして、身体を回転させて水もまきこんで再び飛び込んでいく。足先を目標に向けて、蹴り入れる!!

 うまく目標に、入ったッ!!

 

「――――え?」

 

 だけど、話はそううまくいかなかった。

 私には――圧倒的に経験が不足している。

 ウロコが逆立っていく……そして、そこから粒子の様なものが散布されていき――爆発を起こした。

 

「――――ア」

 

 言葉はそれだけしか出なかった。そして、いつの間にか私の体は宙を舞っていた。――ドシャリと、どこか遠いところから音が聞こえた気がしたけど、私の体が地面に叩きつけられた音だった。

 失敗した――近くには、英が立ち上がろうとしているけど――あはは、あーあ……これ、ピンチってレベルじゃないよね。

 

「た、束……」

「……あはは、ごめん」

「――――いいんだ、こっちこそごめん」

 

 そのごめんには色々な意味が込められている。

 喧嘩したこと、無茶したこと、勝てなかったこと……他にもいっぱい。

 だけど……私たちはまだあきらめていない。

 まだやりたいことだってたくさんあるし、負けたくないし、まだ立ち上がれるんだから――だから、動いてよッ! まだ立ち上がれるでしょ、だからお願いだから――動いてよ私の足!!

 ペアーエナジーに交換して、剣を杖がわりに無理やりにでも立ち上がる。痛いけど、絶対に倒れてなんかやらない。

 

「――まだ、立ち上がるのか?」

「あたり、まえだろ」

「お前らみたいな奴に負けない――私の子供たちにしてくれやがったこと、絶対に許さない」

 

 カラットから取り返したISコアを調べていくうちにわかったことがある。彼らは、ロックシードを使用したウイルスを使用した。だからこそ、私からのコアネットワークによる緊急停止が使えなくなっていたし、他にもかなりの無茶を強いていた。

 それは許せないことだ。絶対に――だから立ち止まるなんてできない。

 

「そうか――なら、せめてもの情けだ。二人まとめてあの世に送ってやる!!」

 

 そして、力がその拳の中で――

 

 ◇◇◇◇◇

 

 彼が、その意識を取り戻したのは割と早い方だった。

 

「――うぐッ……生きてる? み、みんなは!?」

 

 中沢信二、彼は運よくすぐに立ち上がれる場所に吹き飛ばされたおかげで助かっていた。なにかがクッションになったようだが――

 

「って、織斑さん!?」

「ぶ、無事か中沢……」

「いや織斑さんこそ大丈夫なの!? ――も、もしかして俺をかばって!?」

「いいや……お前はたまたま、そこの車がクッションになっただけだ」

 

 見ると、オープンカーが倒れている……座席がクッションになったのか。

 だけど、他のみんなは? 彼はそう彼女に問いかける。

 

「センサーで確認した限りじゃ、みんな無事だ。気に入らないが……あの怪物は、みんながけがをしないように吹き飛ばしたらしい」

「そ、そうなんだ……で、でも織斑さんは大丈夫なのか?」

「――エネルギーの方をやられた……こうなると鉄の塊だな」

 

 暮桜は、沈黙している。そのままにもできないため、千冬は待機形態に戻す。

 

「二人は大丈夫なのだろうか……」

「――行ってみるしかないんじゃないかな」

「だが、危険だぞ?」

「……あーそれでもさ…………コレ、蜂矢に渡しそびれたし」

 

 それは、金属で出来た果実のような物体だった。

 蒼い色に紅い血管の様なラインが入っている。

 

「なんか大切にしていたし、アイツが切られたとき――これが命を救っていたんだ。ちょうど、こいつに剣がはじかれて」

「……そうだな。何かが変わるかもしれないが、危険なのことには変わりない」

「うっ……で、でも」

「だから! 私も行く」

「――へ?」

「これでも、アイツらの親友なんだ。いや、英はライバルか」

「――はは、男相手にライバルって……やっぱ織斑さんも変わっているよね」

「な、なんだと!?」

 

 少しだけ、中沢は微笑んで……前に向き直る。

 

「女の子を危ない目に合わせたくないけど……言っても聞かないよね」

「あたりまえだ……それに、前時代的じゃないのか?」

「そうでもないよ。男なら、織斑さんみたいな美人相手にそう思うさ」

「ふふふ、そうか……無駄口はここまでだ。いくぞ!」

「うん!!」

 

 二人は走り出す。そこにいる友達のために。

 そして――それは二人だけではなかった。

 

「ハァッ!!」

 

 落ちていたサッカーボールを蹴って、トドメを指そうとしていた猛にぶつけたのは――委員長の、藤堂太一だった。

 中島と、飯島は石を拾って投げつける。我毛恵と篝火ヒカルノが車のバッテリーを即席で改造した爆弾を使って、猛の目くらまし程度にしかならないが、隙を作る。その間に、白樺と藤咲が英と束を支えて距離をとる。

 

「――――貴様らッ!!」

「あんたみたいな怪物に、私たちの友達が負けるわけないのよ!!」

「そうだ、お前みたいな奴に――俺らのヒーローが負けるわけがない!!」

 

 いつの間にか、飛ばされていた全員がそこに立っていた。背中を支えるように、英たちを守るかのように。

 

「ほら、落し物だ……」

「これって……」

 

 そして、英の手にはあの金属果実が戻ってきた。だけど、不思議と――暖かい。気味の悪い見た目だと思っていたが、不思議と心地より暖かさがある。

 

「私たちはずっと見てきました……子供たちを助けてイタ。体を張って守ってくれてイタ。何年も私たちのために…………私たちの中に彼の戦う姿を見たことのない人なんてイマセン。だって、いつも頑張っていたんデスカラ。仮面ライダーってのは自分で名乗るものじゃないデス。……彼と言うヒーローを、私たちは仮面ライダー冠と呼ぶんです!!」

「――菊池、さん」

 

 英の胸に、とてつもない力があふれていく。ああ、そうだ――今までやっていたことは無駄じゃなかった。きっと、心のどこかで心配だったんだ。正体を明かしてしまったら、この日常が壊れるから。また、一人に戻るから――

 だけど、自分のやっていたことは無駄じゃなかった。背中が、暖かい。自分の後ろには守るべき人たちがいる。そして、彼らは自分を支えてくれる。それが自分に力をくれる!!

 

「うるさい……そんなことはどうでもいい。俺は、蜂矢より強いことを証明したいだけだ!!」

「――――だからなぁ……僕は一人で戦っているんじゃないんだ。僕が強いって言うのなら、後ろにたくさんの人がいるからだ。隣に、大切な人がいるからだ――そして、僕に繋いでくれた人たちがいるからだ」

 

 光が、あふれていく。金属の果実はひび割れるように――内側から光を放出する。

 

「黙れ……黙れ…………何が、一人で戦っているわけじゃないだ。戦いの中で生き、その強さを証明する。それが、俺の生きる道だ!!」

「なら勝手にしろ――それを人に押し付けるな!!」

「黙れぇええええええええええ!!」

 

 赤い、色の砲撃が迫る――だけど……もう迷わない。

 改めて、言葉にしよう。

 

「今までやっていたことは無駄じゃなかった。だって、僕の後ろにはこんなにたくさんの人たちがいてくれるんだから……そうだよ、無駄じゃないんだ、だから、どこまでも頑張れるし、前に進めるんだ。背中を押してくれる人たちがいるから、アンコールの声が聞こえるからまた立ち上がれるんだ!」

 

 足の痛み? そんなもの――どうにかしてしまえ。

 前に進める。足を踏み出す。

 そして果実が弾けて――一つのロックシードがその手にあった。

 

【ノロシ!】

 

「今こそ、反撃の狼煙を挙げるとき!!」

 

【ノロシアームズ! 反撃開始! アンコール! アンコール!!】

 

 鎧が装着される。そして――その鎧が猛の砲撃を完全に弾き飛ばす。

 

「――な、なんだと!?」

 

 蒼い色に、各部のパーツは紅い色を持つ。胸のあたりには冠のマークが現れている。鎧は腰にまで展開されており、手には巨大な銃が握られている。

 背中には筒のようなものが二つ、取り付けられていた。

 負ける気はしない。だって、みんなが後ろにいるんだから。

 




ノロシアームズの見た目は、カチドキのオレンジの部分が蒼で黒い部分が紅です。
旗は存在せず、二門の筒が存在します。ちなみに、デフォは下向き。
ロックシードはクリアブルーに、ボタンや上部のロック部分よ溝が淡い紅。形はカチドキと同様。

その他詳しい設定は追々。
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