あくまで、グロ描写は。
あと、昨日のうちにあらすじをちょい変更しました。
EP87.叫び
予定通りのルートを通り宇宙へと進む。各国の宇宙研究機関などとの取引やら飛行機のルートとかも考えなきゃいけなかったから色々面倒だったけど。
重力に逆らっていくってのは結構面倒なもので、ゆっくりとした動きで空へと向かっている。
「レーダー、異常は?」
「今のところ問題ありません。このままいけば予定通り宇宙へ行けます」
「地上は今頃ニュースになっているでしょうけどね……こっちまでクレーム入ったらどうします?」
「スルーで」
そこらへんのことは、システム担当の谷川と通信担当の瀬田に任せるから。
スレイプニルにはISコアを使用している関係上、幾人か女性が必要ではあったが――オペレーターのミシェルと谷川さんだけで何とかなってよかった。
というか、ISの操縦には女性でなければいけないわけだが、束曰くやろうと思えば無人機を作れるらしい。ただISの成長や絶対防御など、いくつかの機能が使えないという欠点もある。
そこで、数人の操縦者がコアにアクセスすることである程度のシールドなどを確保しているのだ。
「水やり終ったよー」
「ありがとうなフロン」
機内中央には、世界樹の苗木を植えてある。憩いのスペースっぽくしたが……まあ、果実の採取も必要なわけで。実験施設でもあるからなぁ……
束は現在ゲネシスドライバー試作二号機の調整中。信二もテスト中か……束以外でも装着できるように負担の軽減を目指しているけど、かなりつらいって言っていたな。
「ジョニー、国連からはなんて?」
「HAHAHA! 相変わらずさ! もっと穏便にやれとの苦情でござる」
「先に連絡したし許可も取っただろ……ハァ」
「しかし、ここまでする必要あるんですかね……わざわざ宇宙に行くなんて」
「必要だと思ったからだよ。亡国機業だっていずれは目指すと思っていたしね」
「そりゃまたどうして?」
「宇宙を拠点にできれば、世界各地へ直行で降りれる。そうすればアイツらの勢力図は拡大するし、世界中を監視できるからな」
「そういうことです。先手を取られないためにも、こちらが先に行かなければならないわけですヨ」
「なるほど……ところで、蜂矢艦長…………なんで着替えているんですか? 飛行帽までかぶって」
「一応準備しておかないと。今のところ戦えるのは僕だけだし」
「レーダーには異常ありませんけど……」
「いいや、絶対に向こうは仕掛けてくるよ。IS単体では宇宙まで行くのは困難だったわけだし、アイツらもそれがわかっていたから束を狙っていた節がある……アイツらだって宇宙にいくことが重要だってのは分かっているんだ。なら――妨害してこないわけがない」
幾人かは戦闘できるものもいるが、激しい空中戦ともなると、かおりさんや百花さんがISで対応できるが――大気圏突破のためにはより多くの操縦者がいないと厳しい。束がこちらに対応するというのも考えたが、スレイプニルの護衛が必要だ。
「ってことで、ノロシアームズでの飛行が可能になった僕が行くしかないわけ」
「わかりました。レーダーに集中します」
「一応情報収集も続けますが――かなり高度が出てきましたね……もっと早く行けないんですか?」
「あまり無茶するのも危険だし、なるべくなら安全に行きたい」
一応、地上とアクセスできるポイントを作ったからテレビとかは見れるけど……ありゃぁ、大分騒がれているな。一応秘密裏の計画だしなぁ……
とりあえず、楯無さんたちを通じて表向きの計画を発表してはいるけど。
「名目上は宇宙開発なんですね」
「スペースデブリの処分や、宇宙ステーションに物資を運んだりとか多目的に使える次世代型宇宙船のテストってことになっている。まあそっちの仕事も一応やるけど……メインは対インベス機関なわけだ。まだ無人機の調整が済んでいないけど、完成したら地上とここを行き来できるようになる」
小型無人ISグラニ、まあ地上とスレイプニルを行き来するだけの機体だが。ISには自立意識の様なものがある。そして、亡国機業の手によってISに植えられたウイルス……それに対して、植えられなかったコアたちはまあ言うなれば――怒っている。
そのため、ある程度自己判断の能力が高まった結果、このような用途が可能になった。
「なんていうか、皮肉だよなぁ……」
「どうされました?」
「いや、こっちの話」
あいつらがしでかしたことが、回り巡ってこうなったわけだから……
と、そこで予想していたことが現実となった。
「レーダーに反応アリ! これは――IS?」
「モニターに出力します!」
「……なんだ、これ?」
それは人の形をしていなかった。銀色の巨体、間接らしき個所からは肉の様な質感が見えるが……ケーブルが張り巡らされている。
獣のような四肢をもち、背中からは巨大な翼が生えている。大きさとしては、イノシシインベスより一回り大きいぐらいか? 顔は獰猛な鳥……そう、まるで機械で出来たグリフォンだ。
「ISのコア反応があります――データ出力します!」
「グリフォノイド……それがあの機体の名前か」
しかしあそこまで人体構造と異なった動きをしているところを見ると――無人機か?
「生体反応は?」
「……あります」
「なんだって!?」
体の細さや、機械のパーツから見て生体反応を感知できるとは思えないが……インベスの反応がないし、どういうことだ?
「とにかく、急いで迎撃しないと」
「僕が行ってくる。束にも連絡入れておいてくれ!」
そして僕は駆け出した。目的地は――外への出口!
【ノロシアームズ! 反撃開始! アンコール! アンコール!!】
急いでカタパルトまで行き、ノロシアームズを装着した。うん、身体に問題はないな。
ハッチが開いて……そういえば、ちゃんとした空中戦はこれが初めてか。ちょっとばかり不安だけど、妨害が激しくなる前に行かないと。
「行くぞ!!」
空へと飛び出し――ブースターで一気に目標へ突撃する。
『GAAAA!!』
「生体反応があったとしてもッ!!」
容赦はしないッ!!
蹴りを翼にぶつけて、動きを阻害する。改めて近くで見ると――関節などインベスの皮膚にも見える何かがあるが……なんだろう、この嫌な感じは。
ブースターの角度を調整しながら距離を取る。どんな攻撃が来るかわからないため先ほどの奇襲はともかく、うかつに近寄れない。
「こういう時は、遠距離からってね!!」
ハーモニクスカノンのツマミをひねり、弦をかき鳴らす。グリフォノイドはこちらをじっとうかがっているだけだが……油断はできない。
『GAAAA!!』
「口にバルカン!? ――ッ!!」
一気に上に飛び上る。あっちが連射なら、こっちも連射だ!
【シャープチャージ!】
銃口から放たれるのは、小さな炎の弾丸。青色のそれは無数。
内部では口径が狭まっており、連射型へと切り替わっている。
お互いが高速飛行しながら相手を狙い続けるが――らちが明かない。
距離を取りながら、複雑な軌道を描いて互いの弾丸を撃ち続けるわけだが……お互い牽制程度にしか思っていないか。
「ならっ!!」
イチゴロックシードを取り出して、ハーモニクスカノンに取り付ける。再び、弦をかき鳴らしてエネルギーをチャージしていく。
欠点は色々とあるけど……短期決戦で行かないとなッ!!
【シャープ! イチゴチャージ!!】
光り輝くイチゴロックシード。エネルギーが急速にハーモニクスカノンに取り込まれているのである。欠点として、一度使用すると黒ずんでしばらくそのロックシードは使用不可になることだが。
携帯できるロックシードの数に限りがあるし、使用するロックシードによって効果が変わるが……使い慣れたこいつなら、どういう攻撃になるかばっちりわかっている。
「ハァアアアアア!!」
銃口から放たれたのは、無数の苦無。直線状に放たれたそれは寸分たがわずグリフォノイドに激突し――弾かれた。
「なっ!?」
その巨体にバリアーが張られる。そして弾かれた苦無たちが空中で爆発していく。どうやら思った以上に苦戦しそうである……
奥の手を使おうにも、動きがすばやいしどうしたものか……
『GUOAAAA!!』
「考えている暇は無しかッ!」
錐もみ回転をしてしまうが、なんとか突進を回避できた。しかし、スレイプニルとの距離が離れすぎてもどれないのもあれだ。こうなったら――一撃で決める。
そのためにはまず、奴の動きを少しで良いから止めなくちゃいけない……大丈夫、やれるさ。
ツマミをフラットに回し、腰からマツボックリロックシードを取り出してハーモニクスカノンにセット。行くぞ!!
【マツボックリ! フラットチャージ!】
銃口から放たれるのは、黒い煙。それがグリフォノイドを取り囲み、動きを阻害する。
この煙は機械類にノイズを走らせる効果がある。それはISであろうと例外にはならない。ライダー相手にも通用するのは確認済みだ。
素早く距離を取り、ロックシードをを外す。そして、無双セイバーとハーモニクスカノンを接続! ノロシロックシードを取り付けて、グリフォノイドを眼前にとらえる。
【イチジュウヒャクセンマンオクチョウ! ナユタ!!】
「ハアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
ブースターも一気に噴射させ、エネルギーを最大まで解放した剣で横なぎに叩き斬る。どんな強固なバリアーでも引き裂き、肉を切きり、骨を断つ。
ケーブルだけでなく、肉が引き裂かれるような音が聞こえる――絶対防御があるから、操縦者に届く前になにか違和感の様なものがあるかと思い、一気に切り裂いたが……やり過ぎたか? いや、血は流れていない。
「――――!?」
爆発する前にISコアと操縦者と確保しようと近づいて――――こんなことがあっていいのかと、僕は驚愕した。
とりあえずそれらを急いで確保してスレイプニルへと飛んでゆく。ああ、こんなことがあっていいのだろうか……こんなことが。
◇◇◇◇◇
「英!」
「……」
スレイプニルのハッチには束がいた。おそらく、万が一の時に僕を回収できるように立っていたんだろうけど……正直、今はそんなことが頭に入らないほど――苛立っていた。
変身を解除――口の中の酸っぱさは気にしていられない――し、急いで研究ルームまで走っていく。何事かとみんなが駆け寄ってくるが……僕の手の中にあるものを見て、みんな言葉を失う。
「それ……なんですか」
「みりゃ分かるだろ――赤ん坊だよ」
カプセルの中に入っていたのは、小さな赤子。いや、まだ生まれる前の胎児の様な感じだ。大きさはそれなりにあるがまだ生まれるには少しばかり早く見える。
唖然とし、誰もが言葉を失っている。当然だ。奴らが一体何をしたのか、わからない奴はいない。幸い、フロンはキッチンにいるらしく、ここにはいない。彼女に見せるには残酷すぎる。
「ISを動かすのに、この子を使ったんだよアイツらは。普通に人が乗ったらあんな動きはできないしな。それにチラッと見た限りだったが……内部にインベスの死骸らしきもので作った骨や関節が見えた」
「それって……」
「オーバーロードを生み出すのに、失敗しなかったわけがない。たぶん死んだ個体を使って――」
「やめてください! 聞きたくありません……」
「……すまん、瀬田、谷川を連れて戻ってくれ。百花さんとかおりさんが操縦してくれているとはいえ、負担は大きいでしょうから」
「分かりました……ほら、行こう」
「……」
二人は部屋から出ていき、ここに残ったのは僕と束、信二とジョニーにミシェルだ。
とりあえず、メディカルキットを使ってこの子を何とかしないと……
「非人道的にもほどがある! いったい何を考えているんだよッ」
「……まったく、束さんもここまでされたら黙っていられないよ…………アイツら、絶対に潰す」
「俺、まだよくわからないけど……こんなことをする奴らを止めないといけないってのは分かったよ」
「ハイ、情報以上にイカレテル。赤ん坊を兵器にする、ハハハ……畜生が」
「アドヴァンスドなど、人造人間の話は聞いていたことがあるが……赤子のまま、使うなど初めて聞いた……ああ、はらわたが煮えくり返る」
その後、なんとか処置は完了したが……脳に特殊な処置を施されており、この子が人として生活できるかはまだわからなかった。
……こんなことをさせないためにも、僕たちは前に進まなければいけない……やることが増えたな。
宇宙に出るまで言葉数は少なく、嫌な沈黙が支配していた。そして、僕たちはついにたどり着いた。妨害はグリフォノイド以外にはなく、奴らの飛行戦力は少ないのではないかという憶測がたったが、少なくともグリフォノイドの様なものが存在するという事実は重くのしかかっていた。
「……気持ちを切り替えていこう、ようやく宇宙空間にたどり着いたんだ」
「衛星軌道に乗りました……操縦の必要はしばらくありません」
「地球との通信は可能、システム問題なし。機体も大丈夫です」
「装甲も問題はないようだ……それじゃあ、お待ちかねのイベントだ」
僕たちは、内部の実験施設に集まった。そこには巨大なレンズの様なものが鎮座しており、地球に向いている。もっとも、周りが壁だから意味は無いように見えるが。
「宇宙空間でクラックを開くと、空気が流れちまうからなぁ」
「真空対策ってことでね」
「クラックモニター問題ありませんわ。いつでも起動可能です」
「さて、ヘルヘイムの森のある地球がどんな光景なのか……これでようやく拝めるわけだ」
レンズ内部は空洞になっており、そこにクラックを開くことでヘルヘイム側の地球を見ることができるのだ。クラックの向こう側には何もないし、壁とか関係ないってことだ。
そして、ついにその姿を僕たちは見た――
「――え」
大陸の形などはほとんど地球と一緒。細かな違いはあるが、そこまで違いはない…………そう、太平洋に大陸が存在していることを除けば。
人がISを動かすわけですが、IS側から人を取り込んでしまうという考えは原作にもあります。
私は、それを踏まえて……悪化させてしまいました。
発想自体は前々からあったのですが、色々と問題あるなとは思っていたのですが、これから先この程度はやらかすということで。
そしてついに舞台は新しいステージにたどり着きました。