仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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EP09.序曲

 第二研究所、とは名ばかりで危険な失敗作やマウス実験で誕生したインベスを破棄、もしくは凍結封印するために作られた施設らしい。

 危険物ばかりだが、今はある一つのものを除いてすべて失われたそうだ。

 

「一つのもの? 他にもいろいろあったのに全部破棄したの?」

「いえ……食べられたのです。ただ一体の、インベスに」

「……食べ、られた?」

「元々インベスとは、ごくまれに不安定になるクラックに迷い込んだ動物が森の果実を食することで誕生するミュータントです。金のリンゴロックシードの暴走以前はクラックが開いたとしても、こちらに侵攻してくることはなかったのですが、まるでインベーダーのような外見で名づけたものが、本当に侵攻してくるなんて皮肉もいいところですね」

「まってよ……侵攻してこなかった?」

「ええ、どういうわけなのか、最初は安定していたのですよ。だからこそエネルギー源として目を付けたわけですが……それに、こちらに生えていた亜種も毒性が高いだけで、摂取してもインベスにならないものでしたので、こちらに自生しても平気だと思っていたのです」

 

 自生していた亜種……もしかして、父さんに貰ったあの小さい木だろうか? 確かに、毒が強いだけとは聞いていたけど、またそんな大事なものを僕に預けて……いまさらか。

 それにしても、あの果実がこちらへ自生してもインベス化する実をつけることを知っているとは……

 

「なんで、インベス化する実をつける植物がこっちでも自生するって知っているんですか?」

「一度、研究所近くに行ってみたことがあるんです。ドライバーをつけているので平気でしたが、群生していました。一度すべてロックシードに変換してあとは焼却していますのでもう繁殖しません……幸い、軍などの調査隊に見つからずに済んでよかったです」

「いや、なんで区別がついたんだって話を……」

「あれ? 知りませんか? 色が違うので見分けがつくのですけど」

「……そういえば、そうだったな」

 

 すっかり忘れていた。色々と多くのことを聞かされて混乱しているのかな?

 とにかく、まだ本題は終わっていない。

 

「それで、第二研究所に向かうってことは……そのインベスを倒してほしい。そういうことでいいの?」

「はい……もはや、アレは戦極ドライバーを使用して倒さなければいけません。現代兵器でも勝てなくはないですが、あのレベルになると果実の力で相殺しないとダメージが通りません」

「……果実の力?」

「もともと、エネルギー源として注目していただけあって、強力なエネルギーによる防護壁のようなものがあるのです。強力になればなるほど、その力は増していき……通常兵器のダメージは入りません」

「なんというか、厄介にもほどがある……というか、そこまで強いのなら勝てる自信がないんだけど」

「大丈夫です。今までの噂からするに何度も戦闘経験があることと思います。そして、蜂矢博士が作られたブラッドオレンジロックシードなら、なんとかなるはずです」

「……あれか」

 

 まだ、実戦で使ってはいなかったが……たしかに強力なパワーを持っている。ただ、体力をごっそり持っていかれるんだよなぁ

 

「まずは、第一研究所跡地へ向かいます。そこで回収できるものは回収して、第二研究所へ向かいましょう」

 

 ◇◇◇◇◇

 

 飛行機の乗り継ぎの時間では、空港内のホテルに泊まらなければいけなくて、ちょっとドギマギしていたのだが、あいにくと僕にそんな甘い話は無いのである。

 見た目美人だが、どこか浮世離れしているというか、ズレている九頭竜さんは何を思ったのか僕と同室。いえ、節約はいいことなんですが、ちょっとは気を使ってくださいと思っていたのは数分。すぐにノートPCを取り出して、変なケーブルを接続していく。

 

「えっと、それは?」

「戦極ドライバーの簡易調整のための機材です。あまりスペックは高くないですし、できることはあまりないですが、メンテナンスを行います」

「……まあ、大事だよねメンテナンス」

 

 自分でもできるようにと、色々教わりながらメンテナンスをしていく。思ったよりもわかりやすいのですぐに覚えられたのだが……やはり、一つというか、二つ三つ気になることがある。

 データ上は存在するのに、使えないことになっているスイカロックシードだ。なんか、他にもUNKNOWNとか書かれているのがいくつかあるような……

 

「あの、これって?」

「おそらく、未完成ゆえのロックでしょう。他のアンノウンについては、蜂矢博士があなたに贈られたドライバーにのみ搭載したプログラムなんでしょうが……どうやら、経験値がたりないようですね」

「け、経験値?」

「戦闘を数多くこなすことで、ドライバーには使用者の癖や特徴などが記録されていきます。それにより効率よく力を引き出すことができるのです。その関係上、最初の使用者しか使えないようになるのですが。その証が、横のフェイスプレートです」

「ああ、これって僕専用になったってことなのか……顔はランダムなの?」

「使用者の特性に合わせているらしいです。あと、最初のアームズによっても決まるとか」

「そういえば父さん、いつもそこらへん適当なんだよなぁ」

 

 なんか、変な癖が多かった人だ。頭はいいのに、どこかぬけていたり。遊び心を加えるとか言って変な機能を搭載してみたり。アームズの時の歌は父さんの趣味だろうか? いや、全部が全部とは思えない。戦極博士も自分の名前をドライバーにつけるくらいだし、同好の士かもしれない。

 そういえば、犬みたいに大事なものを埋めておくなんて癖もあったなぁ……タイムカプセルみたいに庭にアルバムを埋めているときはビビった。

 

「……まてよ?」

 

 もしかしたら、もしかするかも……父さんの癖は基本的に家族しか知らない。というか埋めておく癖なんて誰かにバレたら母さんが怖いことになるから、父さんも細心の注意をする……いや埋めるなって話だけど。

 だけど、確かめる価値はあるはずだ。

 

 

 そのあとは、しばらくメンテナンスを続けていた。眠るころには疲れていて女の人と同室とか考える余裕はないくらい眠かったのは救いなのだろうか?

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 

 ようやくついた。ここまで来るのに長かった……さすがに酸素が薄いし、体力がごっそり持ってかれるような距離を歩かなければならないのかと思ったが、僕と九頭竜さんはヒマワリロックシードを装着し、サクラハリケーンと九頭竜さんの持っていたローズアタッカーを展開して走行している。

 このような高地でのバイク走行は危険なのだが、ヒマワリロックシードからのエネルギー供給により、肉体が保護されるらしい。

 と、目の前になにかの建物らしきものが見えた。黒くなっていて、破片が飛び散っているが……なるほど、思っていたよりも被害は大きかったらしい。

 

「つきました、ここです」

「第一研究所……ここで、父さんが」

 

 サクラハリケーンをしまい、中に入る……もっとも、中も外も関係なくなっているが。

 機材とかはほとんど燃え尽きていて、何も残っていない。植物の燃えカスのようなものもあるが……森の植物がここまで生えていたということだろうか? そして、奥には切り株のようなものがある。

 

「あの切り株は、黄金の果実をつけていた木の、残骸です。黄金の果実に最後のエネルギーを送ってあの木は力を失ってしまいましたが、物質から向こうの世界を知るために研究していました」

「さすがに、ほとんど何も残っていないなぁ」

「私は研究所内を調べます。あなたはお父様が何かを隠していそうな場所をお願いします」

「わかりました」

 

 そういって、外に出てあたりを見回す。さすがに、地面が焼け焦げていてわかりにくい……だけど目印みたいなのは残しているハズなのだ。自分でもわからなくなったら大変だし。

 目印にするとしたら岩だろうか……見分けがつきやすく、怪しまれないような岩……あたりにはゴロゴロと岩が転がっているから、どれも同じように見えるが……

 考えろ、まず岩をその場所に置いておくのに自然な理由。わからん。とりあえず近くにあった座りやすそうな岩に座る。なんかもう、おあつらえ向きに座ってくださいと言わんばかりに置かれている。地面からの高さもちょうどよく、じつに座りやすい。

 

「うん、これだろ。明らかにこれだ」

 

 さすがにここまで座りやすい岩があるわけがない。ちなみに、父さんと僕の身長はあまり変わらない。

 すぐに岩をどかして、地面を掘り起こしてみると……ビンゴだ。

 

「缶ケース? 中に何が入っているのかな……ロックシードだ」

 

 なんか、本体部分は青い色にも見えるがくすんでいてよくわからない。それに果実の部分も黒ずんでいて何の果実なんだか……形は見たことないが、桃? いや上下逆でハート形にも見えるような?

 

「なにか見つかりましたか?」

「あ、九頭竜さん……それが、これだけですね」

「……ロックシード、でしょうか? 私も見たことない形のものです。それに、通常のものとも、ビークルのものとも本体部分の形状が違うようですね」

「とりあえず、使ってみようかな……なんか、ブレードで切れない」

「どうやら機能停止しているようですね。エネルギーがゼロですし、解析してみないことにはなんとも――ッ」

「どうかしました?」

「いえ、まだ確証はありませんし、あとで解析してみないことには何とも言えません」

「そうですか……それで九頭竜さんの方はどうでしたか?」

「まだ使えそうなパーツがあったので、組み立てて簡易的なキットをいくつか用意できました。ドライバーの修理や調整はできそうですので、あとでマニュアルと一緒にお渡しします」

「うへぇ……まだ、覚えることが多いのか」

 

 なんというか、全部自分でやれって厳しい人なのかなぁ?

 ただ、高圧的じゃないからなんか違うような気もするんだけど。

 

「それでは向かいましょう。第二研究所へ」

「そうですね……そういえば、凍結封印したままじゃだめなんですか?」

「元々が、強力なエネルギーを持っている存在です。徐々に凍結を解除してしまうので凍らせ続けるしかないんですよ」

「……なるほど、さすがにエネルギーが足りないと」

「ええ、ロックシードをありったけつないでエネルギーを確保していますが、そのうちそれも尽きます」

「で、そうなる前に倒す。そういうわけですね」

「はい。こちらです。覚悟は、しておいてくださいね」

「……」

 

 ドライバーにすぐさまセットできるように、ブラッドオレンジロックシードを準備しておく。どんな相手が来ても大丈夫、そう思っていたのだが……

 

 

 

「さすがに、これは予想外なんだけど」

 

 

 目の前に氷漬けになっていたのは、今まで戦ったインベスの比じゃない。巨大な、インベスがいた。角の特徴は最初に戦ったインベスにそっくりで、類似点も多いが……

 これはいくらなんでも予想外だった。いくらなんでもデカすぎるだろう……スイカロックシードを完成させていてほしかった。マジで。

 




色々引っ張り過ぎかなぁ……結局今回もまだ戦わない。
途中出てきたロックシードの正体は後で。

次回ついに、邪ノ道オンステージ!
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