仮面ライダー冠 インフィニット・ライジング   作:アドゥラ

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ネタに走り過ぎました。
英が生き生きしているなぁ……


第12部・堂々開催のカムバックマザー
EP94.モンドグロッソ開幕!


 みなさん、ついにやってきましたIS世界大会モンドグロッソ。

 記念すべき第一回大会に挑みます我らが日本代表織斑千冬。

 数年にわたる調整や訓練の末、三次移行を果たした暮桜と共に世界の強豪相手にぶつかることでしょう。

 それでは! ISファイト! レディー、ゴー!!

 

「ねえ、英おにいちゃんは何をしているの?」

「しっ! 見ちゃいけないよ」

 

 眼帯とマイクを持ったままやり切った男の顔をしている英に対し、束はドン引きしていた。

 それでも、英は満足げに立っているだけ。

 

「あれはしばらく帰ってこないなぁ……」

「……かっこいい」

「まってフロンちゃん。そっちに行っちゃダメ」

 

 モンドグロッソ、開幕である。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 日本、織斑家の朝は早い――と思いきやそうでもなかった。

 

「ほら早く起きろよ千冬姉!」

「あと五時間……」

「不戦勝になるだろ!? って言うか大会当日まで寝てんじゃねぇよ!?」

「眠い……一夏、一張羅とって来てくれ」

「一張羅ってこの前買ったスーツ?」

「いや、新作のマジカルちふゆんの方だ」

「――――19になってまで魔法少女を貫かないでくれ頼むから」

「何を言う! 19はまだ魔法少女だ!!」

「っていうか魔法少女じゃないだろ千冬姉は!?」

 

 一夏は思った。この姉、嫁の貰い手はあるのだろうかと……

 

「ほら、スーツ着てご飯食べてダッシュで行く!」

「うむむ……仕方がないな、おはようのチューを――あべしっ!?」

「バカ言ってないで早くする」

「……ハイ」

 

 今頃宇宙で艦長をやっている男の影響なのか、面白おかしい性格が表に出てしまった千冬。それに伴い一夏も小学生にしてはとてつもなくしっかりした少年に育ったのだった。

 一夏も会場へ応援に行く予定なのだが、すでに準備は済ませている。それに対して千冬は選手なのにいまだ自宅で寝ぼけているのだ。彼女の親友が見たら、どうしてこうなったと叫ばずにはいられないだろう。

 と、そこでチャイムの音が鳴り響く。

 

「はーい! どなたですかー……って英さんに束さん!?」

「おいーっす」

「応援に来たよー! 一緒に行こうぜいっくん!」

「……私もいる」

「ああ、フロンもいたんだ……」

「さあ、今こそ決着を――と思ったけどそれはまた今度に」

「あ、相変わらずだな……」

 

 一夏がフロンと出会ったのは、英に料理を見てもらったときである。なぜか料理のライバルとして見られている上に、出会うと必ず勝負を挑まれているのだが、今日は空気を読んで挑んでこないらしい。

 ちなみに、元々一夏の保護者役として真耶が来る予定だったのだが、護衛などのあれこれで英たちがかわりにやってきたのだ。真耶は会場で千冬のアシスタントなどをやるということで先に会場に行っている。そのことを一夏に伝えると、知らないと言うので――真耶がまたドジった――すぐに原因は分かったため特に何もなかった。

 

「さあ、会場でちーちゃんも待っているよ」

「……えっと、それなんですけど…………」

「どうした? 友達と一緒に行く約束でもしているのか?」

「それもあるんですけど、そうじゃないっていうか……その」

 

 歯切れの悪い一夏に疑問符を頭の上に浮かべる三人。そして、家の中からパジャマ姿の女性が現れたことで理解した。理解してしまった。

 

「ふぁぁぁ……久しぶりだな、おはよう」

「まだ行っていなかったのか!?」

「ど、どうしてこうなった!?」

 

 久しぶりのハリセンがうなり、千冬は強制的に覚醒させられた。

 シャキっとすればカッコいいのに、今はただの寝ぼけた犬である。一夏曰く真面目な狼のイメージの女性なのに、今はただの座敷犬。

 

「とっとと会場に行かんかい!! ほら、余ったローズアタッカー貸してやるから」

「すまん……免許は持っていないんだ」

「――ッ!」

「あいで!?」

「はぁ……これ大丈夫なのか?」

 

 その後、千冬が会場にいないことで何かあったのではと心配してきた楯無が運ぶことになって、ことなきを得た……笑顔でキレてしまい千冬は涙目であったが。

 一夏の友達を待って、会場に行こうということで英たちはなんだかどっと疲れてしまうのであった。いくつになっても、千冬はずぼらさん。

 

「……なんかものすごく疲れたんだけど」

「だねぇ」

「…………話には聞いていたけど、すごかった」

「本当ごめん。千冬姉が迷惑をかけて」

「いや、いいんだ……(ただ、なんだか一夏君に頼りまくってああなったような気もするわけで)」

 

 いったい何が原因なのか、それは誰にもわからない。

 その後再びなるチャイム。一夏が出迎えに行くと、可愛らしくも快活な女の子の声が聞こえてきた。そして、英と束の心の声は一つとなる。ああ、またか……と。

 

「ほら、鈴麦茶でも飲めよ」

「う、うん……」

「どうした?」

「いやその…………目の前に有名人がいて緊張しない方が無理って言うか…………(いや、それよりも何よあの金髪の子は!? またなの!? また旗立てたの!?)」

「あはは……いっくんは相変わらずなんだね」

「……私にはよくわからない」

「フロン、世の中には不用意に知ってはいけないことってのがあるんだ」

「なんだか俺、けなされてる?」

 

 鈴と呼ばれた少女の表情と視線からいつものパターンであることはすぐに分かった。

 まあいつまでもそうしているわけにはいかないんで、とりあえず自己紹介。

 

「初めまして、蜂矢英って言います。えっと……」

「あ、凰鈴音です…………って蜂矢英!? あのスレイプニルの!?」

「たぶんそうだけど……」

 

 普通に世界中でニュースになっていたからなぁ……前情報なしに起きたとんでもない出来事だったし。少女の驚きようを見て、英は今更その事実に気が付いた。

 束も自己紹介するが、すでに顔は知っていたため英ほど驚かれなかったことにちょっと不満げな顔であったという。

 

「さて、そろそろ会場に行くか……変装しないと」

「だねぇ――鬘と眼鏡の準備はできているよー」

「帽子とカラコンだけでいいか……」

「なんで一夏は有名人との知り合いが多いのよ!? 他にいないでしょうね!? ねぇ!?」

「えっと……あとは百花さんぐらいだと思うけど」

「百花さん? また女!?」

「なんか、神宮寺家がどうとか――あぶ!?」

「それ神宮寺グループのお嬢様じゃない!? どういう交友範囲よ!?」

「いや英さんの知り合いってだけだよ……というより束さんの恋敵?」

 

 ちなみに、変態だという事実は一般に知られていない。数日後、本人を目の当たりにして鈴は落ち込むことになる。変態でも、知らぬ人からは憧れのお嬢様なのだ。

 

「なんか、疲れる」

「ごめんなー、でもまあ序の口だと思うぞ……」

「ううなんか怖くなってきた……あ、服装大丈夫かチェックしたいんだけど」

「それなら千冬姉の部屋に姿鏡があるから見てこいよ」

「うん」

 

 そして、鈴は哀れにも魔の領域に足を踏み入れてしまった。一夏がヤバいと思ったときにはもう遅く、彼女はとんでもないものを目撃してしまったのである。

 

「うばぁ!?」

「見ちゃったかぁ……千冬姉渾身の力作」

「もしかして、また新しい魔法少女の衣装?」

「うん……今度のは黒ゴスロリだった」

「うわぁ」

「ちーちゃん、まだ治っていなかったんだ」

「むしろ一生治らないかも……どうしよう、千冬姉のためにお見合いとか探した方がいいのかな」

「……そこまで気にする必要はない」

 

 なぜか断言したフロン。三人にはその理由は分からなかったが、妙に説得力のある一言であった。

 

「一夏ぁ……なんなのよあれぇ」

「千冬姉の趣味」

「……もう千冬さんのこと正面から見れないんだけど」

 

 結局、恋する少女はお相手の前で疲れ果てた姿のまま会場までいかなくてはいけなかったという。

 途中、百花が束の恋敵云々という話を思い出して、引率者になってる二人の関係を察して、知ってしまって良かったのだろうかと悩む羽目になった。

 

 ◇◇◇◇◇

 

「大丈夫。私ならやれる。一撃で切って、それで終わりだ」

「先輩……気合入っていますね。でも今日は開会式とかだけなんで試合はありませんよ?」

「なに!?」

「あ、あはは……先輩、大丈夫ですか?」

「いかんな、一夏が応援に来ているからはしゃぎ過ぎたようだ」

「また魔法少女の衣装を持ち出すくらいですしね」

「何がいけないんだ? ISスーツを組み込んであるからそのまま使える優れものなのだぞ」

「無駄に凝ってますね!?」

 

 最近、この先輩の行く末が心配な真耶であった。

 

「ところで真耶はいいのか?」

「何がですか?」

「学校はどうしたんだ学校は」

「課外授業として認められています。それに、これでもちゃんと点数は取っていますから!」

 

 実は総合点では千冬より成績が良い。そのことに二人とも気が付いていないが。ちなみに、英は知っている。束は知らないが、なんとなくそうなんだろうなぁと思っている。二人曰く、千冬は人とずれているがわかりやすい女とのこと。

 

「さて、開会式か……どういうパフォーマンスがいいだろうか」

「普通で、普通でお願いします」

「任せろ――観客を沸かせてくる」

「だから自重してくださいよぉ!?」

 

 負けるな真耶! 諦めるな真耶! 日本が恥をかかないかどうかは君の手にかかっているのだから!!

 

「責任重大すぎますぅ!」

 

 その後、意気揚々と開会式に参加した千冬だったが――なんと開式の辞は高校の時の校長そっくりの男――後で聞いた話だと弟さん――であったのだ!!

 兄と同じくつまらない話が長々と続いたせいで選手一同、睡魔との戦いとなってしまった。

 

(なぜだ!? なぜこんな拷問を受けなければいけない!? 一夏、見ていてくれ。お姉ちゃんはこの地獄を乗り切って見せるからな!!)

 

 

 ちなみにその頃観客席では。

 

 

「最近のポケ○ンは種類が増えまくったよなぁ」

「英さん、可愛いのばかり集めてますね」

「大会とか目指していないし、趣味でやる範囲ならこういうところにこだわるもんだしね」

「はっはっは! みよこのコイ○ングレベル100を!」

「凄いけど意味がない! って言うか世界一の天才がすることなの!?」

「……あ、また色違いが出た」

 

 なぜか全員で携帯ゲームをやりだしていた。千冬のことは会場に現れた当初こそ、写真を撮ったりしていたかが流石に動きもなくつまらないだけの開式の辞で見てる人はほとんどいない。英たちだけでなく他の観客も思い思いのことをしている人が大半だった。

 露出度の多いISスーツなのに、そちらを見ずにいるというのがこの話のつまらなさを表しているだろう。

 

『えーそれでは、私からの話は以上です』

 

 やっと終わったかぁ、そんな声が会場のあちこちから聞こえるようだった。もちろん、みんな声には出さないが。

 

「なっがいなぁ……なんだよあの校長亜種」

「思い出すね……本当、あの苦痛は凄いよ。ほら、ISのメンタル調整をぶち抜いて選手たちがグロッキーになっている」

「うわぁ……もはや兵器だな」

「こんなグダグダな感じでいいのかしら」

「いいんじゃね? 作った人がこれだし」

「……」

 

 一夏の一言に、鈴は束を見る。なんかぽやーっとしている。というより、今は変装しているが奇抜なファッションセンスに、子供っぽい言動。うん、グダグダでもいいのか。

 

「失礼なことを言うのはこの口かなぁ」

「すびばせんすびばせん」

「……ぷぷぷ」

「あれ? 一夏に旗を立てられていない?」

「一夏君は相変わらず見たいである意味安心したよ……まあ、フロンはもっと渋い好みだからなぁ」

「……本郷さんカッコいい」

「この子本当に私の一つ下なの!?」

 

 少なくとも10歳児の好みではない。

 こんな調子で大丈夫なのだろうかと心配になってしまう。

 

「それじゃあ各国のISが出そろっているわけだけど、千冬以外で強敵と思うのはいるか?」

「うーん、スペックだけなら……暮桜が抜き出ているけど、他の国というと…………アメリカのレッドコメット、フランスのラファール、中国の麒麟、ロシアのウェドゥンズかな……ただ、シンクロ率とかでも条件は変わってきちゃうし、番狂わせは起きると思うよ。ちーちゃんだって油断したら危ないかも」

「そうだよなぁ……」

 

 と、そこで千冬が前に出て代表で選手宣誓するようだ。まあ、第一回だしある意味一番有名な人がするのがいいのか。もしくは、開催地が日本だからか?

 会場が静寂につつまれ、千冬はその口を開いた。

 

『宣誓! 私たちISファイターは! この手にヴァルキリーの栄誉を掴むため!』

『『『己の技量の全てを持って戦うことを、今ここに誓う!』』』

『よろしい! ここに第一回モンドグロッソの開催を宣言する!!』

 

 ……みんなが手を挙げて宣誓するのはいいんだが、IS纏っているとちょっとシュールだな。

 

「くぅ、腹筋に来るね」

「束、笑いすぎだ。いい宣誓だったじゃないか」

「……すばらしい」

「そう思うのは二人だけだよ! 見てよ会場の微妙な――」

 

 そこで、会場は大歓声に包まれた。静寂はこの歓声のための溜めだったのだ。

 

「え、束さんがおかしいの? ねえ」

「安心してください……私もついていけませんから」

 

 そんな一言を鈴は隣にいる歓声を上げている想い人を見ながら絞り出した。一人の天才と、一人の少女の距離はこうして縮まったという。

 何はともあれモンドグロッソ、開幕である。




主人公がボケに回ったので、我らがツッコミの鈴ちゃんに頑張ってもらいます。

ネタを仕込み過ぎたケド、大丈夫かな……
それでも僕はやりたい放題する。


冒頭と宣誓の下ネタからもう20年か……例のアニメで登場するっぽいから楽しみである。
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