2017年3月25日
木々が薙ぎ倒され、ジャングルジムをはじめとした遊具やモニュメントの類が拉げ、破壊の限りを尽くされた目黒区のある公園。その周囲は立ち入り禁止の黄色いバリケードテープで囲われており、警察官が見張りに立つ後ろには多数の黒スーツを身に纏う役人か刑事と思しき人たちが現場検証を行っている。
その中に一人、異様な見た目、容姿をした者がいる。
長身、白髪、両目を包帯で覆った奇妙な出で立ちの男だ。
衣服もそこにいる他の人たちとは異なり、黒のハイネックジャケット。
黒ずくめである事に変わりはないが幾分カジュアルだ。
そこに眼鏡を掛けた小柄の男が小走りで駆け寄ってくる。
「五条さん、現場で確認できた『
五条と呼ばれた男は応えない。
沈黙したままある一点、丁度拉げたジャングルジムの手前辺りを見つめるのみだ。
「・・・あの、五条さん・・・・?」
「・・・・傑」
2017年4月1日
新学期。
始業式まで1週間を切った今日この頃。
朝、目が覚めて寝惚けまなこでリビングに行くと背中に刃物が刺さったかあさんが倒れていた。
・・・僕は顔を大いに顰めてからそっとドアを閉めて寝室に戻り、兄姉を揺り起こす。
二人にリビングに広がる光景、その〝仔細〟を伝える。
兄姉は大変ショックを受けた様子で俯き、肩を震わせている。
それからしばらくして、これからの事を三人で話す。
方針は思いのほかあっさり決まり、即時決行される運びとなった。
三人一緒にリビングに入る。
やはりというか、床には背中に刃物が刺さったかあさんが倒れている。
それを視界の端に映すも放置して僕はキッチンへ行って〝三人分〟の朝食を作り始める。
トースターに食パンを放り込み、ダイヤルを回す。
「アクア~、ルビ~、目玉焼きとスクランブルエッグどっちがいい?」
二人からは「「目玉焼きがいい」」と大変息の合った答えが返る。ぼそりとどこからか「スクランブルエッグ」とか聞こえた気もしたがこれは黙殺。
目玉焼きと一緒にカリカリになるまでベーコンを焼く。
棚から皿を三つ取り出してから目玉焼き、ベーコン、昨日の残りのポテトサラダを盛り付ける。
最後に焼きあがったトーストを皿に載せればご機嫌な朝食の完成だ。
出来上がった料理をダイニングテーブルに運び、三人仲良くいただきますをする。
二人とも美味しそうに食べてくれるので冥利に尽きるというもの。
どこからかぐうと腹の音が鳴った気がしたがきっと気のせいである。
朝食を食べ終わり、皿洗いを終えてリビングに戻ると姉が〝それ〟について話題に挙げる。
「そういえばそれ、どうする?」
「ずっとそのままだと邪魔だよなぁ」と兄。
「例の村に行くのが今日だから行き掛けに山か海に捨ててくるよ」と僕。
「みんなさすがにそれはひどくない!?」とそれががばりと起き上がり言う。
「ひどいのはおまえじゃい!!」
ちょうどいいところにあったそれの額を思い切りべちんと引っ叩く。
「ぁいったぁぁああっ!!?」
「わるい子!」「わるい子!!」とリビングに置いてあったハリセンでどつき回す兄姉。
やっていい事と悪い事があるだろうが、このバカ女!!!
それから僕はかあさんの朝食を手早く作って家を出た。
二度とやるなとこれでもかと釘を刺したが、怒られてるのになんでちょっと嬉しそうにしてるんだよ・・・
まぁいい。
そんな事よりも今日、これからの事に頭を巡らすべきか。
今日は例の村に行く約束の日。
エレベーターが来るまでの間、夏油と再会したあの後の事を思い返す。
―――以下回想
2017年3月26日
あの後、夏油は新宿FOLTまで付いて来た。
その場にいた人達にガンをくれるもんだから、ひろ姐の痴態を見てロックミュージシャンに良い印象を持ってないんだと周りを言いくるめる。
止むを得ず、ひろ姐へのヘイトを稼いでしまった。
すまねえ、身から出た錆と思って諦めてくれ。
よっちんはまだ来ていなかったが、これ以上長居すると絶対にボロが出るのでその場に居合わせた【
丁度、昼時という事もあったので僕らは昼食をとることにした。
夏油がいい店を知ってると言うので今日はそこにする事に。
同じ歌舞伎町にあるらしく、夏油の後ろをついて歩く。
びっしりと立ち並ぶ雑居ビルの切れ間、路地裏にその店の入り口はあった。
看板を見るにどうも手打ちの蕎麦屋のようだ。中に入る。
昼時なのに、こぢんまりとした店内は閑散としていた。
立地が悪いというのもあるがこれは少し不安になる。
店は老齢の店主一人で切り盛りしているようである。
僕らは席に腰掛ける。
「私は基本的に猿の調理したものは口にしない事にしているんだが、ここの店主は術師でね。重宝しているんだ」
湯呑を呷り、喉を潤して夏油はそう言う。
お品書きから目を離し店主を覗き見れば、なるほど確かに呪力の流れが術師のそれである。
「ここの蕎麦はどれも美味しいが私のおすすめはやはりざる蕎麦だね」
「へぇ」
ざるか、それも悪くない。
「ご注文は?」
店主が聞いてくる。
「私はざる蕎麦で。我愛熱斗、君は?」
「う~ん、僕はかけ蕎麦にしようかな。このコロッケ蕎麦でお願いします」
「・・・・我愛熱斗、私はざる蕎麦がおすすめと言ったよ?」
「・・・?僕は今、かけ蕎麦の気分なんだ」
唐突に夏油からの圧が増す。
「外で話そうか、我愛熱斗」
夏油の周りから呪霊が溢れ出る。
「いやいや、なんでだよ! 蕎麦くらい好きに食わしてくれよ」
もういいよ、ざる蕎麦で・・・
「店主、やっぱりざるにするよ」
「あいよ」
「ふふっ、この掛け合い。高専時代を思い出すね」
「いや、ホントなんの話だよ・・・」
僕ってば、そのうち時をかけて『さしす世代』の高専に拾われたりするの?(錯乱)
なんて益体のない話をしているうちにざる蕎麦が二つ出てくる。いただきます。
蕎麦を啜りながら興味本位で店主の来歴を聞いてみたら、思いもしない家名が出てきてびっくりした。
まさか、ここで四宮家が出てくるとは思わなんだ。
なんでも、四宮家専属の呪詛師だったようで高度経済成長期に〝他勢力〟との暗闘で色々と貢献したそうだ。
夏油が言うには『汎用呪術』、特に『結界術』のエキスパートでもあるとか。彼に教えを乞うてみるのもいいかもしれない。
今は呪詛師としての生業を息子に譲り、現役を引退。道楽でこの蕎麦屋を切り盛りしているらしい。
蕎麦は大変美味でした。また来よう。
食後、茶を啜りながら例の村とやらに行く具体的な日程について詰める。
僕としては、学校が始まる前の春休み中に済ませたかったのもあり丁度予定が空いていた4月1日~3日の2泊3日で行くことと相成った。
当日、朝9時に迎えをマンションのエントランスに寄越してくれるとのこと。
場所は行ってみてのお楽しみという事で教えてくれなかった。
その後は店を出てからその場で解散した。
帰りがけによっちんの顔だけ見にFOLTへ戻ろうかと思ったのだが、道中で巡回中の少年事件課の『女刑事』に職質をかけられ都庁近くのファミレスで長々説教染みた話を聞かされる羽目になったのはまた別の話。キッショ、なんで未成年って分かるんだよ。
やってきたエレベーターに乗り下に降りる。
エントランスを出たところで時計を確認すれば9時丁度を指していた。
エントランス前にはミニバンが一台止まっており、スライドドアを開いてミミナナが降りてきた。
相変わらず、半ケツが!デカい!!
二人は親の仇でも見るように僕を睨みつけてくる。
「そう見つめてくれるなよ。照れるじゃん」
「そういうんじゃない」と顔を歪める美々子。
「ホント腹立つ!なんで夏油様は・・・・」と菜々子が愚痴る。
「立ち話もなんだし続きは車の中でしようぜ」
開きっぱのミニバンに乗り込む。
「お前が仕切んな!」
うるさい茶髪だこと。
車は五反田入り口から首都高に入る。
車の運転をしてくれてるのは夏油が運営する宗教団体の信者なんだそうな。
「そういえば、お前ら名前なんてぇの?」
そういや聞いてなかったなと思い二人に聞いてみる。
「枷場美々子」と黒髪が答え、「菜々子」と茶髪が付け足す。
「ほ~ん、ミミナナね」
「ミミナナ言うな!」
「菜々子うるさい」
「美々子!?」
「クソガキ、前置きは無しだ。私たちのお尻を直せ」と美々子が凄む。
「そうだ!早く直せよ!!」
尻を・・・直す・・・・?
それを直すだなんてとんでもない!
ってのは冗談で、そもそもの話・・・
「いや、無理だけど」
「はぁぁぁぁああ!!?」
「言っとくけど、直さないんじゃない。直せないんだ」
僕の術式で増殖させたものは基本的にそのままだ。
指先ひとつで消すだとか、無かったことにはできない。
「術式反転でも使えたら別なんだろうけど、生憎と未習得だから」
「じゃあ、私たちはずっと・・・このまま・・・・?」
「いや、普通に運動して脂肪燃焼すりゃあいいじゃん」
「運動・・・?」
「そう、運動。走ってりゃそのうち痩せるんじゃね?知んねえけど」
あとは、基礎代謝量増幅してやるとか?
「お前ら、この前やり合った時もそうだったけど何もかも呪力に頼りすぎだし丁度いいじゃん。これを機会に体鍛えろよ」
術師も体が資本だぞ。
最後にものを言うのはやはり筋肉!
筋肉は裏切らない!関節は裏切るけど!!
そんな話をしながら車は八王子方面へと進んでいく。
おや?とそこはかとない不安を感じつつもいやいやまさかと思い直す。
車が目的地に到着したのは発車してからおよそ2時間後の事だった。
車を降りてからは道なき山の中を歩かされたが、11時半頃には目的地に着いた。
「やあ、待っていたよ我愛熱斗。よく来たね!」
夏油が村の入り口で歓迎してくれる。
お前さぁ、まさかとは思ったよ?
けど、ここはないよ。ここは・・・
「『筵山』と目と鼻の先じゃねえか!どういうつもりだよ!!」
そう、ここは奥多摩の奥地。雲取山の山道から外れた奥地にある開墾地。
『東京都立呪術高専』がある筵山麓も同じ奥多摩であり、ちょうど山ひとつ向こうに位置する。*1
「ははっ、君の懸念はもっともだけど心配は無用さ。ここには縛りを用いた強力な結界が展開されている」
なんでも、高専のすぐ傍に村を置くことによって村を隠す結界の効果を高めているそうだ。
他にも複数の縛りを設けて結界の強度を補強しているとか。招かれなければ入って来れないらしい。
この前の蕎麦屋の店主の知恵も借りたとかで滅多な事では破られないと夏油は豪語する。
ほんとかなぁ・・・(不安)
「まぁ、お前ほどの男がそこまで言うのなら・・・・」
頼むから、高専の襲撃があるにしても僕のいない時で頼むぞ。いや、ほんとに・・・
村を眺めれば茅葺屋根の平屋がひとつ、木造の小屋がいくつかといっちょ前に
「取り敢えずは家庭菜園の延長で畑を作ってみたんだ。あとはあの小屋で鶏も飼育しているよ」
思ったよりちゃんとしててビックリだ。
鼻で笑ってやろうと思っていたのに肩透かしを食らってしまった。
これ、僕が思ってたよりも早く準備が完了してしまうかもしれない・・・・
いやいやいや、村ひとつ切り盛り出来たところでまだまだ課題はあるはずだから。
大丈夫だ、問題ない。ないよね?
「へ、へぇ、なかなかどうして。様になってんじゃん・・・」
「だろ?あの畑には大根が、あっちのブロッコリーは種を蒔くには少し時期が遅いから苗を買ってきて植えたんだ」
侮りがたし夏油傑。
「このまま畑を見て回るのもいいが、やはりまずは私の家族たちを君に紹介したい。美々子、菜々子。悪いがみんなを集めてきてくれ」
夏油の指示に従って二人は駆けていく。
5分ほどだろうか。およそ20名ほどがこの場に集まった。
僕のよく知る【ミゲル】や【ラルゥ】の様な夏油一派のメンツもいれば見知らぬ人たちもいる。
彼らも呪力の流れから術師であると分かる。
ところでみんな服装がちゃんと農家っぽくてウケる。
ラルゥは半裸のまんまだけど。
「みんな、よく集まってくれたね。彼が以前から話していた星野我愛熱斗くんだ。我愛熱斗、彼らは私の家族で―――」
そうして、夏油によって一人ひとり紹介されていく。
どうにも僕の知らない彼らは術師ではあるが術式的に、或いは性格的に戦闘に不向きな人たちのようだ。
ところで、【
逆にミゲルやラルゥからは好奇の眼差しが。
まぁ、なんにしても熱い視線があちらこちらから飛んできていた。
互いの自己紹介を一通り済ませたあたりで正午のお昼時。
今日は夏油が山で摘んできた山菜を米と一緒に竈で炊きこんだご飯と奥多摩湖で今朝釣ってきたブラックバスの唐揚げだそうだ。
調理担当はラルゥなんだとか。その格好で揚げ物とか油が撥ねてあぶなそう。
天気が良かったので今日は外で敷物を敷いて食べるようだ。
まずは山菜の炊き込みご飯。
タラの芽やフキノトウ、ウドなどが入っている。かつお出汁が染みていて大変美味。
次にブラックバスの唐揚げ。
ブラックバスは臭みが強いイメージがあったがしっかりと下処理がされていてあっさりとした味わいだ。これも美味。
「ラルゥ、料理上手いんだな」と褒めたら、「あらやだ、褒めても何も出ないわよ♡」と僕の取り皿に唐揚げを山積みにされた。
昼食が終わると各々、持ち場に戻っていった。
夜は夏油手ずから牡丹鍋を振舞ってくれるそうで今から楽しみだ。
「あ、そうだ。ミミナナ、ちょっとこっち来て」
「ミミナナ言うなし。なに?」
「例のダイエットの下準備をしようと思って。お尻出して」
「お尻!?今度は何しようってのさ!!?」
「いいから。ほら、はよ!」
美々子と菜々子がしぶしぶお尻を僕の前に突き出す。
僕は彼女らのお尻のデカくない方に触れ、デカい方と同じだけ脂肪を増殖させる。
「バランス悪かったからな。これでよし!」
「よし!じゃねぇ!?なにしてくれてんの!!?なにしてくれてんの!!!?」と菜々子。
「殺す殺す殺す」とぶつくさ言う美々子。
「いや、あのまま運動したら体幹とか歪みそうだし。安心しろよ、僕が蒔いた種だしちゃんと最後まで責任持つよ」
「「クソガキ・・・」」
二人は感じ入ったように言う。
「君ら自己紹介したんだからクソガキはやめない?」
まあいいや。
「そんなわけだから夏油、こいつら連れてちょっと村の周り走ってくるわ」
「ああ、少し広めに囲っているけど村からあまり離れすぎると戻って来れなくなるから気を付けてね」
「了解、じゃあ行くぞミミナナ!言っとくけど呪力強化は無しな!!」
「ミミナナ言うな!」
それから日が暮れるまでぐるぐると野山を駆け回る僕たちなのであった。
4月2日
昨日はあれからくたくたになるまで走り、牡丹鍋をたらふく食べてぐっすり寝た。
失念していたが、当然と言うべきか入浴施設の類はないようだ。
井戸があったのでそこから水を汲んで湯を沸かし、濡らしたタオルで体を拭くしかなかった。
なんかうまい事温泉とか掘れたりしないだろうか?
これからちょくちょく通う身としては、やはり汗かいた後は風呂に入りたいのだ。
そのうち、どこかからドラム缶でも調達してきて五右衛門風呂でも作るかな。
朝食に出された握り飯を頬張りながらそんな事を考えていた。
朝食を食べ終え、僕は夏油のもとへ向かう。
昨日の夜、今日一日時間をもらう約束をしていたのだ。
結局このまえはいい様にボコられてしまった。
僕には圧倒的に経験値が不足している。
今日一日は夏油と組手三昧だ。
夏油の住む茅葺屋根の平屋。
ここだけ異様に作りがしっかりしている。
聞けばもともとここに打ち捨てられていた古民家を改修したものなんだとか。
他の小屋は自分たちで建てたものらしい。
「夏油、来たぞ」
「やぁ、我愛熱斗。少し待っていてくれ」
夏油は菅田と今日の各員の配置を話し合っている。
おそらくだが、急に夏油が抜ける事になったのでその調整をしているのだろう。
「ではそのように」
「ああ、悪いね真奈美」
「いえ・・・」
菅田は踵を返してこちらに歩いてくる。
すれ違いざまにやはりギロリと睨まれる。
「おー、こわ!」
「急な方針転換だったからね。彼女達には少し悪い事をしたと思ってるよ」
「必要な事だろ。お前だけが出来ても駄目なんだ。みんながやっていけるようにならなくちゃ」
「そう、だね。そうかもだ・・・・」
「育成フェーズだと思って気長にやれよ。そんでそのまま天寿を全うすればいい」
「ふふっ、それはどうだろうね?」
割とマジでこいつらこのままここで隠居しててくれねえかなぁ・・・・
それから夏油と広場で僕が襤褸雑巾になるまで組手をし、昼食にミミナナの握った不格好な握り飯を食べまた日暮れまで夏油とどつき合う。途中、ミゲルが来てニヤニヤしながら観戦していた。
ミミナナには今日も昼から元気に村の外周を走らせた。
あんま同じのばっかりでも飽きてくるだろうから次はなんか考えておこう。
亀仙流のあれとかいいかもな?次はマジックペン持って来なきゃ。
夕飯は祢木が釣ってきたイワナやヤマメなどのトラウト系の魚を焚火で焼いて食べた。
こういうアウトドア系は十数年ぶりだからテンション上がるなあ。
童心に帰るっていうか・・・いや、僕子供だったわ。
4月3日
筋肉痛でへばっているミミナナに術式を行使して体中の生体エネルギーを高めたり、基礎代謝が上がるようにと全身の筋繊維をちょっとずつ増殖させておいた。
「「最初からそうしろ!」」とミミナナに怒鳴られたけど、やっぱり実際に動いて体の動かし方を覚えるのは大事だ。
あとは傷ついた筋繊維を増殖させた方が効果が上がるし。
そんなこんなで最終日。
午前中、せっかくなんで畑を耕すのを手伝う事に。
亀仙流みたいに手を鍬に見立てて耕してたらミミナナにドン引かれた。
いやさ、こんな感じで手先に呪力纏って農作業してたら黒閃とか出るかもじゃん。
呪力込め過ぎると耕すというか荒らしちゃうから出力調整の練習にもなりそうだし。
「ミミナナ、お前らが耕すときはこれからこれね」
「爪が割れるわ!」
「いいからやれよ。夏油の役に立ちたいんだろ?」
「「うぐぐぐぐぐ」」
なにその唸り声。
まぁ、爪割れても夏油に反転術式で治してもらえばいいんだし。問題らしい問題もないだろ。
昼食を食べて昼下がり、いよいよ帰る時間がやってきた。
「我愛熱斗、君にこれを渡しておこう」
「なにこれ?割符?」
呪符のような文字や符号が刻まれた手のひら大の木札。
「それは通行手形だよ。それを君が持っていれば結界を潜ってこの村にいつでもやって来れる」
「へぇ、こんなの貰っちゃっていいの?僕が高専に渡しちゃうかもしれないよ?」
「問題ない。それは君とセットでなければ意味を成さない。それに君はそういう事しないだろ?」
「まぁ、貰えるんなら貰っとくよ。じゃあ、また今月中に顔を出すよ」
僕は村の出口に向かって歩き出す。
「我愛熱斗、運転手の彼には言い含めてあるから来たい時にはいつでも来てくれ。歓迎するよ」
後ろ手に手を振り、僕は一昨日来た道を戻っていく。
下山して車道に出ると既にミニバンが待機していた。
僕は忘れないうちに彼と連絡先を交換し車に乗り込む。
いやしかし、思った以上に楽しめてしまった。
高峯達、自分たちだけ島でああいうのやってるんだよなぁ。ずるいわ、僕もやりたい。
今度僕も行けないか相談してみよう。
車に揺られてうとうとしている内に気が付けばマンション前に着いていた。
運転手の呼びかけで起こされ、送迎のお礼を言い車を降りる。
三日ぶりの我が家。
今日の夕飯の当番はたしかかあさんだった筈だ。
おふくろの味ってやつを楽しむとしよう。
鍵を開け部屋に入る。
「ただいまぁ、あれ?誰もいないの?」
部屋の中の電気は消え薄暗い。
リビングに入って、部屋の電気をつける。
「スゥ…」
「せんせ…もっと……」
「…よせ…よすんださり……」
「……こりゃ、おふくろの味はまた今度だな」
3人にブランケットを掛け、冷蔵庫の中身を確認…その前に、手早くシャワーを浴びて体の汚れを落とす事としよう。
【五条悟】
親友の残穢を見て曇り顔なグッドルッキングガイ。
ようやく掴んだ親友の手がかりだったが、術師4名の残穢による追跡には失敗している。
【夏油傑】
今もどこかで親友が曇ってる最中、自分は別の親友(妄言)とセカンドアオハルしながらスローライフを満喫中のロクデナシ。
呪術高専東京校の目と鼻の先に隠れ村を作ってしまう。
雲取山の奥、打ち捨てられた山小屋を基点に開墾していった。
畑が上手くいったら、次は水田とか作ってみようかと画策している。
言うまでもなく、天元様にはバレバレだが彼女が高専側に告げ口する事はないので今のところは何の問題もない。
【枷場美々子】と【枷場菜々子】
クソガキのせいでパーフェクトケツデカに成り果ててしまった二人。
うろ覚えの亀仙流修行法を実践させられる。
次回来訪時は石探し修行で山々を互いに蹴落としながら駆けずり回る羽目になる。
【菅田真奈美】
慣れない畑仕事で手とか肌が荒れてそう。
夏油様をおかしくしたクソガキに殺意マシマシ。
なお、そのクソガキの術式エステに完オチするまであと・・・
【祢木利久】
夏油様をおかしくしたクソガキに殺意マシマシ。
よく奥多摩湖に釣りに出かけている。
なんか、あんまり強くないらしい。
【ラルゥ】
傑ちゃんにいい影響を与えたであろう我愛熱斗ちゃんには結構好意的。
先んじて農業研修などに参加していたので他のみんなよりも色々と経験豊富。
【ミゲル】
夏油、アレガお前ノ言ッテイタ祈本里香ニ代ワル計画ノ要カ。
【長谷川あくび】
SIDEROSのドラム担当。黒マスク。
クソガキが持ってきたヨヨコ用とは別のSIDEROSメンバー用の和菓子もヨヨコにやけ食いされる。そういうとこっすよヨヨコ先輩。
【内田幽々】
SIDEROSのベース担当。ゴスロリ。貧血気味。
五条袈裟の男に自分だけ笑顔を向けられ、この男のスタンスをなんとなく察する。
『蕎麦屋の店主』
夏油が贔屓にしている蕎麦屋の店主。
かつては四宮家専属の呪詛師として活動していたが息子に後を譲り引退。
主に身辺警護、守戦を得意としていた。1級相当。
生得術式とは別に汎用呪術にも造詣が深く、特に結界術のエキスパートと夏油に言わしめた。天元や羂索には及ぶべくもないが、実際かなりのもの。
『女刑事』
警視庁生活安全部少年事件課の巡査。
なんかおどおどしている。レズ。
別に最初から看破していたわけもなく、ほぼほぼクソガキの自爆。
手帳見せられて声かけられた段階で「え?なに?ホドーすんの?」とか聞いちゃっている。職務質問されたらどの道バレる事ではあるけれど。
『茅葺屋根の平屋』
雲取山奥地に打ち捨てられていた古民家。
建物の傷み具合から近代までは誰かが住んでいた形跡がある。
『通行手形』
その名の通り、村に入るために必要な手形。
我愛熱斗も薄々勘付いてるが、当然それだけの代物でもない。
【星野愛久愛海】
お昼寝中にとんでもない悪夢を見たような気がするが何も覚えていない。
【星野瑠美衣】
お昼寝中になにかいい夢を見たような気がするが何も覚えていない。
【星野アイ】
いつもキングサイズのベッドで家族四人川の字で寝ている。
エイプリルフールで不謹慎ネタをやって子供たちにしこたま怒られたバカ女。
怒られているのになんか嬉しそうにしてる。
お昼寝中に彼女はいったいどんな夢を見ていたのか。
【星野我愛熱斗】
起き掛けに母親の刺殺体とかいうショッキングなものを見せられてしまったクソガキ。
呪力の流れでなんともないと気付けたが、そうでなければ普通に騙されていた。
ミミナナ相手に武天老師気取りで割と無茶な修行を実践させる。
夏油のサンドバッグになりながら近接戦の経験値を蓄えた。
止せばいいのに結構余計な事を言って夏油一派の強化のその一助になってしまう。
七海「虎杖くん、見えますか?これが呪力の残穢です」
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いや、全然見えない
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凝!(範囲指定反転pc勢)
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オレでなきゃ見逃しちゃうね(メモ帳転写)
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本当だ混じってるよウケる(誤字報告)