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ザザザっと音が激しく鳴り響く
傘に雨粒が弾かれている音だ。そんな音が心地好く聞こえてくる
普通の人は雨とは憂鬱になるものなんだろう
だが俺にとってはこの湿気、水滴、雨音が疲れを癒してくれる
しかしとある光景を見るといつものどんよりが背中から押しかけてきた
少女が傘もささずにブランコに座っていた。アレでは風邪をひく...だけでは済まない、気持ちも落ちるだろう。いや、何かあってああやって傘もささずにブランコに乗ってるのだろう
「なにしてんの?」
「...」
「答える答えないは自由だけど...はい」
え、と声が零れたのが聞こえた。彼女、椎名真昼は学校で天使とか言われてる女の子だ。文武両道、なんでもできるような少女
しかし天使ともてはやされても女の子は女の子
俺とてどんよりして近づき難い人間であっても男である事に変わりはない
折りたたみ傘を渡すとため息をついて指を指し、風邪ひく前にさして帰れと言い帰った。
なんて厄日だ
雨の中なのに厄日とは俺としては悲しい
関わるつもりなんて無かったのに
帰宅し、着替えてソファーに座る。なんであんな事したのだろうか
無視すればいい、いやそんな事すれば気分が悪い事になってただろう。今でも悪いのが
「はぁ...」
正直関わっても得はないし得をえようと思ってはいない。そんなことしても意味はないしこの先どうかなるとは思わない
お風呂...いやシャワーでいいか。湯船に浸かるほど気分はない
いつもないのだが
「ご飯は...いつも通り冷凍食品でいいかな」
唯一の楽しみと言えばこの食事である。太り気味ではないしどちらかと言うと痩せている方だ。だから沢山食べなければいけないのだが如何せんご飯は少し食べるともういいやとなってしまうため冷凍食品で済ませる
料理は人並みには出来るのだが気分が出ないためやはり作らない
「パスタ...」
食べ終えるとゴミ袋に入れて歯を磨いてもう寝る準備をする
疲れ気味なのか、それとも気分が出ないのがそうしてくれるのか寝るのが早い
まだ20時だ
それでも眠ってしまう。長時間寝るのでは?と聞かれると寝ているだろう
勉強する時はするから問題はない、今日はする必要もなく、宿題のようなものもなかったため大丈夫
翌日、冷凍食品を買い足すためコンビニ寄り帰りなため帰るのが夕方頃で遅くなってしまった。
そのため彼女...恋人の呼び方ではなく、人称の方の彼女だ。が立っていた
コチラに気づくとお辞儀をした
正直関わりはないと思っていたため目を丸くしてしまった
持っている物を見ると理解できた
「折りたたみ傘...返しに来たんだ」
「はい。借りたものは返すのが礼儀ですので」
礼儀正しい事ですね。人によっては盗む人もいるのに
それに彼女からしたら勝手にされた事で恐らくはっきり言って迷惑だっただろう
別に昨日は正義感とかそんなのがあってしたわけではない、無視すれば人として何かを失うと思ったから
それをしてしまえばきっと学校、辞めてただろうな...と考えながらも傘を受け取る
「ん、じゃあ」
そう、コレっきり。コレっきりだ
コレで俺たちはもうただの同じ高校に通う"隣人"同士になるだけ、だからと言ってなんだって話だ
別にどうでもいい事なんだが
「何かお礼をさせてください」
「...なんでそうなる?」
そう、理解できない。ここで縁を切っておけばめんどくさい事にはならないし普通の男子ならば気があるのではと勘違いするだろう
俺は何もかも諦めてるし生きていけるならまぁ...労働基準法ギリギリでも使ってもらって構わないぐらいに生活するつもりだ
「助けられたのならお礼をするのは当たり前です」
「確かにそうだけど...」
お礼と言われても逆に困る。何もしてもらう事はない
洗濯?自分でできる
掃除?いつもしてある
料理?やろうと思えばできるがご飯なら冷凍食品がある
「その手にあるのは...?」
「冷凍食品」
「お弁当の材料ですか?」
「いや、晩ご飯」
そう言った時、お隣さんである椎名真昼さんの目が光ったように見えた
むしろ、それだと言ったかんじであった
「では「断る」まだ言ってませんよ...」
呆れた顔をしている椎名さん。話してて疲れる
家に入るか...
「じゃあ」
鍵を取り出そうとポケットをまさぐり、鍵を出して開ける
先程から後ろの視線が痛い、何かは分かっている
動きが止まってしまい、考える
ここでお礼とやらをさせたらそれで関係は終わる
疲れてるのだからこれ以上は考えずにいきたい...
「分かった。お礼、させてやるからそれっきりな」
「はい」
廊下で話していると他の人に迷惑がかかるのでどちらかの家の中に入ることにしたのだが女子の部屋に入る訳にはいかない
かと言って男の家にあげるのはどうかと思う...どちらも詰んでる気がする
だがあーだこーだ言ってても仕方ないから俺の家で妥協する事に
「それで私は何をすれば良いでしょうか?」
部屋を見回している。さっきはどうせご飯作るとでも言うつもりだったのだろう
だけど俺の家に冷凍食品以外の食材なんてない
買う余裕はあるが作らないから意味が無い
「冷蔵庫の中、拝見しますね」
「それならこれ、入れといてください」
冷蔵庫の前を占拠されているため頼んで渡しておく
着替えのため自室に入り見せても恥ずかしくない格好になっておく
「なんですかこの空っぽの冷蔵庫は?」
「冷凍食品があるから空っぽではないかと「口答えしません」はい...」
「分かりました。私の家から食材を持ってくるので運ぶのを手伝ってください。調理はこちらでさせてもらいますね」
はぁ...と、言い。頼まれたものを持って行く。ちなみに中には入っていない。持ってくるのを待っており、それを自分の家の方へ持っていく
「調理器具はあるんですね」
「一人暮らしするのに自炊できないと生きてけないでしょ...」
「してない人が言うセリフですか?」
突き刺さる言葉である
任せて...いいのだろうか。いや、任せてはダメだろう
「何作るんだ?手伝うよ」
「いえ、今日は私に任せてください」
仕方ない、この天使様は強情のようで...ん?今日"は"?
「待て待て、今日はってどういう事?」
「言葉の通りです。貴方は放っておくと冷凍食品しか食べそうにないので作りに来ます。その代わり私も共に食べますね」
甘やかすつもりなのか知らないが流れに任せてご飯が出来るのを待つ。
椎名を見る必要は特にないので待つだけである
そして名前を呼ばれた。苗字だが
「甲斐さん。できました」
「運ぶよ」
テーブルに運び、並べる。見ると白米と味噌汁、肉じゃがにサラダ
肉じゃがを一口
「美味しい...」
「それは良かったです」
「なんか久しぶりに人の手料理食べたな...」
何やら椎名は驚いた顔をしている、それもそうか
好きでもない男に手料理振る舞ってしまい、しかも共に食べてるとなると気持ちいいものではないだろう
ため息をつきたいがつくわけにはいかない。美味しいご飯が
「何か苦手なものでも入ってましたか?」
「ん、なんで?」
「少し曇った顔をしていたので」
この人は仙人か何かか?人の心でも見抜けるのだろうか
「いや、椎名に好きでもない男に料理作らせてしまったなって」
「気にしないでください。私が好きでしている事ですし、放っておくとまた冷凍食品生活でしょうし。存分に甘やかされてください」
食べ終わり帰るのかと思ったが、1つ尋ねられた
「もし気を悪くしてしまったらすみませんが1つ聞かせてください。学校で話しかけないで...というより、何もかも諦めてるようなオーラを感じるのですが...」
「まぁ人生に希望見出してないし...というかそんなの分かるのか?」
「えぇ...まぁ他の人はどうか分かりませんが私は感じ取れましたよ」
「そうか、なら気をつけておく」
お互い食後のお茶を飲む
「そっちこそ天使様天使様って言われていい気分してないだろ」
止まれ、これ以上踏み込むな。踏み込めば引き返せなくなる
「そう...ですね。甲斐さんはどうして天使様と呼んだりしないんですか?」
やめろ、答えるな。もういい。答えるなら適当な話にしておけ。その答えは...どんよりとのしかかるんだぞ、これ以上は必要ない。けど
「だって椎名真昼は天使様じゃなくてただの女の子だろ。あと周りがそう言ってるだけで個人がどう思うかは自由だし」
「そう...ですか。そろそろお暇しますね、また明日来ます」
来るのか...疲れたしシャワー浴びて歯磨いて寝よう
まだ無糖
ネタ質問
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