ふと思いついた案があったので、忙しい中で執筆してみた次第です。オリジナル設定であるとか、原作との乖離が御座いますが、ご理解いただけると幸いです。
前書きにつきましては、必要な回のみ掲載します。
「貴女の行動にしっかりとした考えがあるのは、分かっています。……ですが、それが原因でトリニティ全体の雰囲気が悪くなるのは見過ごせません。」
ふと、あの時の言葉を思い出す。今でも鮮明に覚えている。学生の身で
足を止める。
久しぶりに、景色を見る。
……よく、分からない。雑多だとしか、感じない。
随分前に、私の視界に色が消えた。いつだったかまで鮮明に思い出す事は、叶わない。気にしてもいないが。
また、歩き出す。宛もなく、ただひたすらに。そこらから喧嘩を売ってくる不良達を、目で捉えずに返り討ちにする。虫の駆除をしてるような気分だ。相も変わらず、単調な動き。
……私も人なので、名前はある。あるのだが。
「……こんなモノ、要らないのに。」
千切ってやろうとすら思える、背中の翼。とても、忌々しいソレは、当然のように存在し続ける。私が、元トリニティ出身であった事を証明せんとばかりに。
少し、頭痛がする。軽くズキンと痛むが、すぐに収まる。まち針で頭をつつかれた様な、そんな痛みが。
上を見る。ヘイロー、と呼ばれるモノが見える。このキヴォトスに存在する人ならば皆が持ち備えている、触れないその人の心臓の写し身の様なもの。その人の精神状態を表す、ナニカ。未だに研究が続いてるのだとか、そうでないとか。
「……捨てていこう。」
そうして、私は邪魔なモノをその辺に放った。同時に、さっきまで考えていたどうでもいい事も一緒に。
──────
「……銃声?」
爆音が、少し遠くで響く。音の鳴る方を見ると、誰かが戦っていた。……ヘイローが無い人がいる。あれが、"先生"とかいう人か。
何処かを歩いていた時に、ふと聞こえた雑音の中に、そんな文字の羅列があった気がする。……いつの事だったか。
私は、それらを無視した。流れ弾はどうとでもなるし、加勢する理由も必要性も無い。加勢したいと思える程の正義感も、とうの昔に冷めきった。
「…………正義、か。」
詰まるように言った言葉。その言葉は、かつての事を思い出すのに、嫌という程適切な言葉だった。早く、忘れてしまいたいのに。
「相変わらず、元気がないようで。」
「……あっちに、貴方がご執心な人がいるけど。」
私に声をかけた変人は、世間では黒服と呼ばれるヒト(人かどうかも怪しい)。先生同様、"外の世界(先生とは違うとか)"から来たヒトらしい。初対面で私が容赦なく迎撃してから、こうして時折現れる。今の所、何もされていない。
不思議なのが、この状況で何故私の方に来たのか。黒服は、先生に執心気味であるらしく、その先生を差し置いて私の方に来ているのだ。疑問の一つ、抱いてもおかしくない。
「確かに、先生には執心しています。ですが、貴方にも興味がありましてね。」
「……どうせ、実験動物に向けるソレと変わらないでしょう。」
仲間にして駒としてこき使うか、強化生物にでもする気だろう。マッドサイエンティストの向ける視線と、さほど違いは無いように思える。
「黒服と話すと、ろくな事にならない」とは聞いた事があるが、私はそう思わない。黒服は、非常に頭がイイ。語彙や表現も豊富で、知識人と会話しているようで、割と良い。
ただ、行動を共にしたいとは微塵も思わないが。
「私、もう行くから。」
「行く宛ても無いのに、ですか?」
「止まっていたくない。それだけ。」
それだけ言うと、私はまた歩き出した。歩いて少し経つと、視線が無くなった。恐らく、先生を観察しに行ったか、拠点にでも帰ったのだろう。どうでもいいが。
……あっちの方に、行ってみよう。
──────
「ナ、ナギサちゃん!」
「何ですか、ミカさん。走りながら来るなんて。」
優雅に紅茶を飲んでいた私の元に現れたのは、聖園 ミカ。私の友人の一人でありながら、先日ある一件のせいでティーパーティーを追放された(したのは私ですが)人。
また何かしでかしたのか。或いは、これから私に何かするつもりなのか。どちらにせよ、しょうもない事であった時用に、ロールケーキを突っ込む準備をしなければ。
─翼が!リンネ先輩の翼が落ちてたって!!
その言葉を聞いた瞬間、私の手から力が抜けた。パリンという音が聞こえた気がする。
リンネ先輩が……まだ生きて?
「…っ!その話は本当ですか!?」
「うんっ!廊下を歩いてた子が、『真っ黒で長い翼が千切れて落ちてたらしいよ』って言ってたのが聞こえたの!」
噂話からである以上、信憑性は定かでは無い。寧ろ、このキヴォトスでは度々不可思議な現象が起こる為、今回もその一つである可能性だって否めない。
でも、私はそうであって欲しくないと思ってしまった。理性より先に、本能が動いていた。
「すぐに正義実現委員会に連絡しなさい!捜査に協力して貰えそうなら、シスターフッドにも協力を仰いで構わないとも伝えるように!」
「は、はい!」
警備の為に立たせていた生徒にそう伝えると、足早に廊下に出ていく。それを見届けた後に、自分の振る舞いを振り返る。嗚呼、普段ならこんなに取り乱さないというのに。
私がティーパーティーに入る前、仲良くして下さったリンネ先輩。それは、ここにいるミカさんも同様で。当時は正義実現委員会の中でも特に慕われていた。優しくて強い、そしてカリスマ力も飛び抜けていた。
そんな先輩は、トリニティの都合で追放させられてしまった。何でも、雰囲気が悪くなるから、だとか。
ふざけないで欲しいと、今でも思う。その一件から、トリニティに対して不信感を抱くようになった。それまで些事だと流していた陰口や視線が、ソレを境に煩わしく、そして鬱陶しく感じるようになったのを、昨日のように覚えている。
「リンネ先輩……生きてるでしょうか。」
「……生きてるよ、きっと。あの人、強いもん。」
そう言い放つミカさんの顔は、不安と自信がこもっていた。……そうだ。ミカさんが憧れる程に強いあの人なら、きっとまだ生きている筈。
あの人の仇を打つ為にこうしてティーパーティーに就いたと言うのに、今ではこの立場が嫌になる。
叶うなら、すぐにでも捜しに行きたいのに。
─それは、叶わない。
時系列としては、現在段階で公開されているストーリーが全て完結した後だと思って頂ければと。主人公の容姿については、(画力が乏しいので)紙に描いたものをアップするかもしれません(要望があればですが)。
私の気分が乗るか、要望があれば続きを出します。
2023.4.26追記
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