ブルアカの小説を執筆していらっしゃる方がお気に入り登録して下さっている事を最近知り、かなり驚いています。それ程多くの人に見られていると思うと、嬉しいのと同時に緊張が増しますね。
─……ココ、ジャない。
ケセドに、背を向く。ボロボロに砕け散った、
顔を覆った
悪に対して、真の理解は向けられない。討つ為の理解をしようとはせども、
理解出来ないと、斬り伏せる。相容れないと、一蹴する。それが、悪を悪たらしめる。そんな無意識な邪悪を、正義は知らずに犯す。皮肉にも、それは己が身体に帰結した。
そんな憐れな者が、ソレである。
──────
飛翔する。
新たに屍を五か六程積み上げ、どれも違うと一蹴して。その屍の側で騒いでいた虫は、認知せずに。
目指すは、
捨てた翼は、形を変えて己に宿る。
己の正義に、苛まれながら。
己の記憶が、
その天使は、翔び続ける。己の正義の行き所を求めて。己の居場所を探して。己の死に場所を、探して。
─私、ハ……。
今のキヴォトスは、彼女の舞台。満たせなかった正義を満たす為の、空っぽな劇場。ここまでは、紛れも無い出来レース。
己が如何程の悪であるかを、まるで理解せずに。そんな彼女の姿は。
─誰よりも、何よりも、見ていられない姿をしていた。
──────
「くっ…!皆さん!どうか持ち堪えて下さい!もうすぐ先生が来てくれます!」
トリニティの大半の戦力を目の前の敵に集中させ、援軍を待ちながら応戦。十分に出来るとは思えないけれど、私は先生のしていた様に指揮を執る。それが十全でない証拠は、トリニティの生徒達の傷の多さが物語る。
それでも。やらねばならない。せめて、
あの人が、もしトリニティを纏めていたら。そんな仮想を、何度夢想した事か。あの人には、魅力がある。異性を振り向かせるだとか、単に好感を持たれるだとかではない。人を惹き付け、導くだけの
それが、私にとってどれだけ輝かしく映った事か。どれだけそう在りたいと憧れた事か。
─ゴメンなさい、先輩。私は、先輩の様にはなれませんでした。
……とても、今の自分を先輩に対して、誇れるとは言えない。寧ろ、先輩を追放した
先輩は、私に何と言うのだろう。
叱咤するかもしれない。斬り伏せるかもしれない。侮蔑されるかもしれない。褒められる事は、有り得ない他無くて。
それでも尚、
「ナ、ナギサちゃん!あれ……!」
「……あれは。」
援軍では無い。それだけが、一目見て理解出来た唯一の事柄であった。背丈は私達とそこまで変わらない(少し大きい位か)けれど、あんな姿の学園生は見た事が無い。ましてや、あんな機械質で神秘的な翼を持った生徒など。
ソレに向けて、一部の生徒が発砲しようとする。それを、私とサクラコさんで制止する。味方か敵かも分からない状況で闇雲に敵を作るのは、凡そ得策ではない。
……けれど、撃つ準備はした方が良いかもしれない。僅かとは言えない、一瞬私達に向けられた敵意。あんな生命体に反感を買う行為をした覚えは無い。…どうか、杞憂に終わって欲しい。
─見つケた。ケレド、アナタが邪魔。
見た。明らかに、私達を。そして、見つけたと言った。武力行使に出ざるを得ないのかはまだ分からないが、ソレの目的が私達である事は、確定してしまった。ただ、ソレはその後にすぐもう一つの敵の方に向く。
私達への用の前に、邪魔者を排除しようと言うのだろうか。
……それよりも、だ。私は一人、恐怖に震えていた。
今はその眼は、私を視ていないというのに。
─どうして今も尚、視られているように感じるのか。
──────
「……あれは、いけない。」
今回は、傍観を貫こうと思っていた。ただのボスラッシュであるなら、私が出る幕もないだろう。その上、私達が出たところで、得られる成果は無いに等しい。他のゲマトリアに聞いても、恐らく私と同じだろう。
しかし、しかしだ。あれは、放るべきでない。下手をすれば、この世界がもたない。あの怪物のせい……ではない。あの怪物が存在する、という事実の
崇高に至るには、この世界が在らねばならない。なれば、少なくともここでキヴォトスが崩壊するのは、防がねばならない。
─
これ程焦り倒すのは、今が最初で最後やもしれない。そうであって欲しいものだ。
さて、そうと決まれば。準備をせねば。アレは恐らく、生半可な武器では届かないだろう。誰に頼むか。幾つの試行錯誤を重ねるか。
慎重に、行わねば。
悪夢の中で泣いているのは、物語の”正義側”とは限らない。