少し短めです。
後、完結が近付いています事を、連絡します。
「……まだ、あれだけもつのか。」
あれから、かなりの時間が経っただろうか。生徒も私も、手を緩める事無く戦闘を続けているが、終わりの兆しが見えない所か、相手が想像よりずっとしぶとい。今も尚最初と殆ど変わらない程の火力を浴びせてくる。
補給が間に合うか。気付けば、そんな事ばかりが脳裏に焼き付いて仕方無い状況に。数だけで言えば、こちらの圧倒的有利なのに、戦況は私達が有利になる事を許さない。
何か、ないか。黒服が支給するアレ以上に、彼女に決定打を与える何か。それさえ、見つかれば。
「いつもの冷静さは何処にいったのですか?」
後ろから、黒服の声。しかし、振り向く余裕など無い。
「考えてるんだ、他の決定打を。……何か、ある筈だ。」
「
ハッとさせられた。
そうだ、そんな初歩的な事を、私は度外視していたではないか。度外視までは言い過ぎにしろ、怠っていたのは事実。
冷静になれ。相手を観ろ。生徒達も、少しの間なら戦線を維持してくれるだろう。ならば、その時間を無駄にするな。
「……ん?」
よく見てから気付いたが、生徒毎に立ち回りが違う?一人一人の単位まででないにしろ、明らかに立ち回りが違う時がある。
もしかして、生徒の立ち回りを分析してるのだろうか。他の敵は、立ち回りを変えてくる事が少ない。だからこそ、盲点だった。
……賭けになりそうだけど、突くならここしか無い。そうと決まれば、皆に伝えないと。
──────
『立ち回りを変える?』
「うん。賭けになると思うけど、これしか無い。」
私は、その案に疑問や不安を感じる事は無かった。恐らく、先生も気が付いたんだろう。リンネ先輩が、立ち回りを変えて戦闘をしている事を。私も、少し前に気付いたので、先生に伝える事は叶わなかったけれど、先生が気付いたのであれば、その手間も省けた。
「立ち回りを変えると言われましても……前線に出る、とかですか?」
「ううん、そこまでして欲しい訳じゃないんだ。自分の位置はそのままで、動きを少しずつ変えて欲しいんだ。」
その一言を契機に、先生は詳細な説明を始める。
私達生徒に先生がお願いしたい事は、主に二つ。
動きを
「…皆が不安になるのも、分かる。私も、こんな指示を出していいのか、ずっと悩んでた。」
でも、先生がそう言うと、また言葉を続ける。
「彼女は、聡明だ。私達を知り、理解しようと試みている。……対人戦だと、思って臨んだ方が良い。」
対人戦。先生はそう言ってのけた。
私としては、その表現が適切だと感じる。リンネ先輩が元々人だから、とかいう理屈ではなく、相手によって立ち回りを変える敵が、対人戦の様だと言いたいのだと思う。
その説明を聞いて、次々に納得する生徒。理解さえしてしまえば、納得さえしてしまえば。人というのは、こうも強くなる。解が見えているだけで、ここまで志を強く持てるものなのかと感じる程に。
「……行こう!ここからが、反撃の時だ!」
宣戦布告。ここからが、第三ラウンドだ。
──────
─ッ、さっきト…違う。
煩わしい。まず、そんな感情が先行した。
先程まで己の得意とする戦法にのみ興じていたというのに、今の敵は、不規則に変化する。
理解が、追いつかない。全く疲弊していない訳でもない自身の脳では、この数の敵の理解に割ける程の余裕はない。全力で理解に努めようとして、精々半分が限界だ。
数の暴力を、真の意味で使いこなしている。私が見てきた数の暴力は、単に数の多さに物を言わせてゴリ押すとかいう陳腐なものばかりだった。
しかし、目の前の敵は……数の暴力の真の強みを理解した。ジリ貧も、いい所である。
─……なら。
光を、今まで以上に煩雑に、そして広範囲に散らす。まともに動きづらい環境にしてやる。戦法を縮めてやる。
生命の数が多い戦場は、動きづらい。特に、地面に立つ者は。空という空間を使えないのだから、窮屈極まりない。私も、それを理解している。だからこその、策だ。
空を飛べる者は限られるし、空を飛ぶ手段が機械しか無いと言うなら、その巨体を貫くまで。不自由に翼で飛ぼうものなら、周りを光で覆って焼き尽くす。
この状況で、今以上の策があると言うなら。私の思考より上回った知能があるのなら。
─示しテ……見セろ!
瞬間、強烈な痛みが私を襲う。何事かとその方を見る。
「……正気に、なりなさいな。」
…………疫病神の、お出ましである。