30の彼岸花君影草 1の外の秋桜   作:テネブラエ

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1つ壁を超えた向こう側は海の底

そんな海底を私を乗せた鯨よりも大きな魚影が進む

ここは自衛隊が作った人型兵器の情報をネタにして乗り込んだ潜水艦の中だ

鉄でできた安全圏の中では艦の隊員が働いているなかその一室で私はソファーに座りワインを楽しんでいる

 

「手土産は減ったがまぁ問題ないな」

 

ラジアータに知られないようにしていたにしては戦利品の少ない結果になってしまい捕まるという失態も犯したが乗ってしまえばあとは着くのを待つだけだろう

 

「あとどれくらいで着く?」

 

海の底では時間もわからんがそろそろ日付が変わる頃だろうか・・・

携帯や時計など足のつく物も全て置いてきたせいか今がどの辺にいるのかさえつかめん

 

「今沖ノ鳥島を超えたあたりなので予定ではあと4時間くらいかと」

 

そう私に当てられた女性兵はワインを注ぎながら話す

おそらく今頃DAのガキどもが必死になって証拠を探しているだろうがもうじき日本の海域を出る

そうなれば追われる事はなく悠々自適に過ごせる

 

「勝ったな・・・」

 

「えぇおそらく証拠が見つかった頃には日本の海域を出るでしょう」

 

女性兵のその言葉には安堵する

それにいざとなったらこの潜水艦に乗っている戦闘機で脱出すればいい

 

「さて次は何をしようか・・・もう一度施設を建てるのもありだな・・・」

 

ガキを使った実験施設はガンダムに破壊され実験データはDAによって廃棄されたのには忌々しいことだが今までの経過データは頭の中にある

それを利用してでの明るい未来には笑みが浮かぶ

 

そんなことを考えていたせいか油断大敵もしくは取らぬ狸の皮算用という言葉を忘れたのがいけなかったんだろうか・・・

 

ガーンっと音が船内に響くと同時に大きく揺れ警報音が響く

あぁグラスを落としてしまったではないか

 

「どうした!」

 

「失礼します!」

 

扉を開けて兵隊が入ってきており焦っているが冷静に状況を報告し出す

 

「攻撃を受けましたスクリューを破壊され航行不能です!」

 

「なんだと!このままでは沈むぞすぐに浮上しろ!」

 

「了解」

 

「指示を出すため操舵室に向かいます失礼いたします」

 

女性兵はこの潜水艦では艦長を務めており指示を出すために部屋を出て行き私も続いて部屋を出るまぁ行き先は操舵室ではないが

走りまわっている兵士達の間を抜けながら目的地に着いた私はそこにある物のうち適当なのを見繕って乗り込む

上層部の一員になる前は使っていたんだ乗りこなせるさ

 

潜水艦が浮上を終えるとスクランブルがかかり屋根が開く

戦闘機乗りがどんどんと乗り込んで次々と飛び立ちすぐさま敵を殲滅しに行くだろうがそうしているうちに私は逃げ出せばいいだけだ

そう思っていたが・・・

空に上がった戦闘機がはじからピンクの光に射抜かれ続ける

 

「なっ!」

 

驚いている暇もなく私が飛び立つ番になってしまう

このままでは射抜かれて死を迎えるだろう

そんな恐怖が湧きながらも後戻りはできずに飛び立つと光はやってこない

わけもわからず光が襲ってきた方を向くとやはりそれはいた

 

「ガンダムめ!」

 

かつてロケットを狙撃したガンダムが銃身が長い銃をこちらに構えておりその足元には海面を向き固定された別の銃が置いてあるあれで地上から水中の潜水艦を撃ち抜いたのだろう

そのどちらも見たことないものだが近い形状の物なら知っているサイズは違いすぎるがあれらはスナイパーライフルそう呼ばれる物だ

潜水艦からは今でも戦闘機が飛びったっては落ち飛びったっては落ちを続けていた

その光景に振り返ることなく戦闘機のブースターを蒸して速度を上げる

あと少しあと少しなんだそう思っていると操縦席が暗くなる

 

「何だ?」

 

見上げると戦闘機の形をしながらもガンダムの顔が見下ろしており並行飛行をしている

 

「ひぃ」

 

恐ろしくなった私は速度を出そうとするがこれ以上は機体崩壊の可能性があるため出せない

そしてガンダムが少し前に出て変形すると左腕のひし形が開き機体を斜めに掴まれる羽からはひしゃげる音がしており目の前にはオレンジ色の鉄だけが見えるこれでは脱出はできん

ヘリとは違いバックすることができない戦闘機ではもう逃げ出す術はない

ガンダムが姿勢を立てると戦闘機が上下逆さまになる

そのまま私は後ろでおきた大爆発の音を聞きながら連れ去られた

 

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「本当にあるの〜?

全部壊しちゃったんでしょ〜?

派手に爆撃されたんでしょ〜?」

 

千束のそんな声を聞きながら私達は探す

事前に任務の内容を聞いたのだが証拠一つ探すのにこれだけのエージェントを使うなんて聞いたことがない

ましてや多くのセカンドとサードのリコリスにリリベルの存在を知られるのを覚悟の上での作業だ

そこまでして必要な証拠とは何だろうと思ってはいたがフキから話を聞いて納得した

人体実験を行っていた上層部の1人の悪事を確かなものにするための証拠それなら納得だ

しかも制限時間付き

 

「口よりも手を動かせ」

 

フキが千束に文句を言う

まぁ千束の気持ちもわかるがこれも任務だと割り切る

 

配布された革製の手袋はどんどん瓦礫の破片で汚れていく

重機を動かせるリリベルが瓦礫をどかしていき

監視カメラを見つけては電気系統に強い子が調べ

書物が見つかれば書類関係に強い子が確かめる

そうして夜更けから捜索作業が始まり4時間がたったそろそろ朝日が上り始め若干空は明るくなってくるだろう

 

「たきな〜疲れたよ〜」

 

「頑張ってください」

 

「うえぇぇ〜」

 

千束の言葉にこうとしか返せないが確かにキツイものがある

いくら鍛えているからといってもこういうことをしたのは初めてだ

 

「私達はクリーナーじゃないんッスよっと」

 

サクラはそう言い瓦礫をどかす

確かにクリーナーの人達はいつもこれをやっているのか・・・

今知ったその辛さにいつもありがとうと内心感謝しながらも証拠を探すが見つからない

 

「・・・捜索終了だ・・・くそぉ・・・」

 

そうして捜索開始から7時間が経ち朝日が上り明るくなった頃タイムアップの時間になってしまった

今頃例の犯人は国外に逃亡し歓迎を受けているだろう

誰もが下を向き暗い表情をし中には唇を噛んだのか血が出ている子もいる

そんな時それは聞こえた

 

「ガンダムです!」

 

海上に待機していたDA職員からそう連絡が入る

 

「2機です!そのうち1機は戦闘機を掴んでいます!」

 

誰もがその通信に困惑していると大きな影ができ皆が上を見る

そこにいたのはロケットを狙撃したガンダムと爆撃したと聞いたガンダムだった

狙撃したガンダムの方には長い銃が付いているあれはスナイパーライフルだろうか・・・

爆撃したガンダムが掴んでいる戦闘機は逆さまになっており中に乗っている人が見える

 

「お、おいあれって」

 

「あぁ間違いない例の上層部だ」

 

ガンダムは戦闘機を見せつけるように持ち上げる

私達いやあれはまるでビルに見せつけているようだ

そして始まった

その後いつまでも記憶に残り続ける処刑が・・・

 

クローと呼べばいいのかその挟んでいるものの中心から刃が出て戦闘機のコックピットに向かっていく

その動きはとってもゆっくりだった

まるで恐怖を刻みつけるように

まるでその人生を後悔させるように

 

 

「ガンダムそこまでにしろ!」

 

フキがその行動を止めようと銃を構えると狙撃したガンダムが足から銃を取り出しこちらに向ける

光を繰り出す銃あんなのの一撃をくらったら体は残らないだろう

銃口に光が漏れ飛んでくるかと思ったが先にサードリコリスの1人が出て止めるただしフキを

だが撃たれるのが怖いのか足は震えていた

 

「どけ!」

 

「だ、ダメです!

わ、わからないんですか?!

ガンダムは私達の代わりに罰を与えてくれているんですよ!」

 

「だがあれは立派な殺人だぞ!」

 

「それでもガンダムがいなければ今頃ヤツは海外で歓迎を受けていたはずです!

それでもいいんですか!

ここで苦しんだ子達の無念すら晴らせないんですよ!」

 

「・・・ちっ」

 

フキも先ほどは悔しくて唇を噛んで血を出していた為か今行われている行動を理解しており銃を下ろしガンダムも下ろす

 

そうしているうちに刃がコックピットのガラスを削り始める

ゆっくりとゆっくりと時間をかけながら

まるで恐怖を刻みつけるように

まるでその人生を後悔させるように

まるで・・・

ひしゃげているためかコックピットから声が漏れ出している

 

「何をしている私はDAの上層部だぞガキども早く助けろ!」

 

そんな事を言っているが残念ながら貴方はもうDAの上層部じゃない

それに自心だけ得をしようとして国を売った犯罪者が何を言う

皆それを知っているのかヤツに帰って行ったのはすわった絶対零度のゴミを見るような瞳だけだ

 

「そんな目で私を見るなぁ!」

 

刃はコックピットのガラスを貫通しその体に近づく

ゆっくりとゆっくりと

まるで恐怖を刻みつけるように

まるでその人生を後悔させるように

まるでここで苦しみ死んでいくことでしか救われなかった全ての子達の怨みを晴らすように

 

「がぁぁぁ!痛い痛い痛い!やめろ!やめてくれぇぇ!」

 

ついに刃がその体に埋まりコックピットのガラスが返り血で真っ赤に染まってうるさい叫び声が響き渡る

何人かのリコリスとリリベルがその光景に口を押さえて下を向く

それでもゆっくりゆっくりと刃は進む

 

苦しめ!

後悔しろ!

思いしれ!

子達の苦しみを刻み込め!

・・・あのガンダムのパイロットの気持ちが少しだけ理解できる私がいた・・・

 

叫び声も聞こえなくなると一気に刃は貫き戦闘機は二つにへし折れ地面に落ちる

酷い結末だがこれはヤツが行ってきた行動でおきた結果だ

 

処刑は終わった

けど何故かガンダムは地面に降りるとコックピットであろう部分の装甲が開き人が降りてきた

きたんだけど・・・

 

「ち、小さい子供!?」

 

「嘘でしょ!」

 

「ちょいちょいちょいどう見たって私達より幼いようにしか見えないんだけど?!」

 

「こんな子があれを操縦してるんッスか!」

 

「信じられない!」

 

ワイヤーアンカーを使用して降りてきたのは

顔はカーフィルムが貼られた車のようにヘルメットの中は見えなかったけどどう見ても小さい子供だ

花束を抱えた小さい子供だ

ピッタリ身体に合っているんだろうその黒が中心となっておりところどころ赤い装甲と青い線が入ったスーツにより若干の胸とお尻の膨らみが分かることから幼い少女だとわかってしまう

誰もが信じられないと口にする私だって驚いている

 

そしてパイロットは降り立つとビルに向けて歩き出す

多くの人を殺してきたためか少女は異様な気配を放ち誰も近づけないでいるどころか道を譲る

横を見ることすらしなずに戦闘機の横を通り過ぎビル前に着くと地面に片膝をつき彼岸花と君影草で作られた花束を置くと手を合わせる

 

どれくらい時間が経ったのだろうか・・・

少女は立ち上がると振り向きガンダムに向かってゆっくり歩き出した

その姿は隙だらけでどう見ても銃の類は持っていない間違いなく捕まえるなら絶好のチャンスだ

 

「本部どうしますか?」

 

「本部どうしたらいいですか?」

 

それを理解しているのかフキとリリベルのファーストが本部に指示を仰ぐが帰ってきたのは同じ答えだった

 

「「私にだって感謝を感じる心くらいはある・・・今回は見逃せ・・・」」

 

「「了解」」

 

そうして少女はワイヤーアンカーを上りガンダムに入ると装甲が閉じ空へと上がって飛んでいってしまう

それで生まれた上昇気流によって散った花束の花びらとガンダムが生み出した緑の光が高く高く空に昇って行ったのだった

 

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いまだに花の香りが残るコックピット内で私は無駄な膨らみを消しスーツを身体に合わせる

これでDAはパイロットを女性だと思うし2機で行ったことで組織で行動していると思うだろう

そう思っていると隣を飛ぶデュナメスに着いたハロから通信が入る

 

「危険行為!危険行為!」

 

そんなのわかっている

 

「自己満足!自己満足!」

 

それもわかっている

 

私は多くの人を殺している

おそらくその数は現役の全リコリスとリリベルが殺してきた合計数よりも遥かに多いだろう

100万人殺せば英雄という言葉があるもしそれが正しいのなら私はそれに片脚を入れ始めているほどだ

それほどまでに本当に多くの人を殺してきた

そんな命を軽く扱っている立場の私でも・・・

 

「散って行った魂くらいは大切に扱いたいものさ・・・」

 

「・・・報告しない!報告しない!」

 

ハロからはそう返答が返ってきたのであった

 

「すまない助かるありがとう」

 

とりあえずトルペードを回収するために戻るとしよう・・・

 

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1:とあるリコリス

まさかガンダムのパイロットがあんなに幼い子供だったなんて

 

2:とあるリリベル

大体見た目からして10〜13くらいの女の子だったな

 

3:とあるリリベル

顔は見えなかったけど身体の膨らみからしてそうだろうな

けどあの子はキュリオスから出てきたがデュナメスの方はパイロットが出てきていなく不明だ

 

4:とあるリコリス

ううんそれは違うよ

 

5:とあるリリベル

何が違うんだ?

 

6:とあるリコリス

確かにデュナメスのパイロットは不明だけど

パイロットスーツの設定を弄れば膨らみは作ることができるからわかったのは年齢だけだよ

 

7:とあるリコリス

それじゃあなに私達は危うく誤情報を掴まされるところだったの?

 

8:とあるリコリス

そうなるね

ただこの事はクラスメイト以外知らない事だから発見に向けてこっちが有利になったとも言えるね

 

9:とあるリリベル

確かに・・・

 

10:とあるリコリス

今回のことでだいぶ範囲が狭まったし任務をしつつパイロットを探すわよ

ただし前に決めたようにたとえ発見してもDAには伝えないように

 

11:とあるリコリス

了解

 

12:とあるリリベル

わかっているさ

 

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