30の彼岸花君影草 1の外の秋桜   作:テネブラエ

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人という生物にとって五感という感覚達はとっても大事なものです

 

視覚が無ければ一生暗闇に囚われ続け見えなければ何時何が起きるか分からず

 

聴覚が無ければ音の無い生活になるため危険を知ることができず

 

味覚が無ければ味気がないためそのうち食べる事を辞めてしまい

 

嗅覚が無ければ毒性のある気体を知ることができないため死に繋がる場合があり

 

触覚が無ければ暑さも寒さも感じないため知らず知らずのうちに体調を崩す原因となります

 

人によっては産まれながらに持ち合わせてはいない人も何かの拍子に失ってしまった人も多くはありません

そんな人達は別の感覚が鋭かったり

長い年月をかけて慣らす生活をしていますわ

勿論最初は誰だって産まれつき無かったりいきなり失ったりすれば恐ろしいはずです

それは人為的でも不安を感じるはずですの・・・感じるはず・・・感じ・・・

 

「イマアケルカラマッテテネ」

 

ピピピと簡単な電子音が数回なると空気が抜けるような音が聞こえる

 

「ソレジャアイコッカ」

 

そう言われて手を引っ張られる

目の前は真っ暗で何も見えなずに手だけの感覚で後ろを歩いているのがわかっているけど誘導が上手いのだろうさっきから何にもぶつからずに一緒に歩いて行く

 

少し前にパイロットは部屋に入ってくると時間だとだけ告げて来た時と同じように目隠しをされ手を引っ張って移動する

五感のうちの一つが使えない状況でも不思議と不安を感じることがなく歩けているのはパイロットが慣れているのが理由だろうか・・・

あんな人形の兵器だけではなくこのような事までできるとはかなり多芸みたい

 

しばらく歩くと何かエレベーターみたいのに乗せられたらしく足元が動く感覚がし

 

「ソレジャアノセルネ」

 

膝裏と脇に腕を入れられたのか抱えられてガンダムのコックピットに入ったのだろう少しだけ室温が暖かくなり目の前で機械音が聞こえた

 

「イマカラムカウカラネ」

 

パイロットはおそらく席に着きわたくしは来た時と同じ場所を手探りで探し捕まる

カタカタと何かを叩く音が聞こえるこの音は恐らくキーボードを叩いているのだろう

その音もすぐさま消え去り

 

「ユーハブコントロール!ユーハブコントロール!」

 

少し前まで一緒にいたハロの声が聞こえた

 

「アイハブコントロール・・・ガンダムヴァーチェデルヨ」

 

ヴァーチェと呼ばれた物が機械音をあげる

今まで出て来たガンダムは7機それのうちどれかの名前なのかそれともまた新しい機体なのかなどわからない

けど救われた時に思いました乗り心地は良くありませんわね・・・人殺しをする物に求めるだけ無駄でしょうけど

 

その後は互いに話すことは無く時間だけが過ぎて行く

 

「ソレジャメカクシハズスヨ」

 

見られたく無い所は過ぎたのだろう暗闇はもう終わり

光を忘れていた目に眩しさをおぼえ目を閉じてからゆっくりと開けると遠くに延空木が見えた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

まだまだ暑いのか青々しい色をしている銀杏並木には普段ではありえないほどの人で混み合っており警察官達が一生懸命に歩道から出ないように呼びかけている

 

「いっぱいいますね」

 

「これだけの人だ中には犯罪を犯す輩もいる可能性がある油断するなよ」

 

「「「了解」」」

 

何時もの四人でチームを組んで任務にあたるのだがパイロットの確保ではなく何時ものような不審者の発見とその排除が任務だ

警察、自衛隊、DAで今回の返還において話し合いがあったらしく結局ガンダムのパイロットを確保するのは自衛隊の仕事となったみたい恐らくその功績を欲しがった上層部の人がいるのだろう

その事を作戦会議で聞いた時には見てわかるほど落ち込んでいたサードとセカンドがいたけれど恐らく昇進を狙ったのかな?

当然ながら私も少しだけ期待していたけれどそれが政治という物らしい

 

人を掻き分けながら四人で歩いているとテレビ局の取材班の真横に出たみたいでアナウンサーがマイクを握ってカメラに向かっていた

 

「見てくださいこの見物の数を!

情報はあっという間に回り多くの人が今か今かと待っています

情報どうり本当にガンダムは来るのでしょうか!」

 

見ている見物はここにいる人だけではない周りを見てみればビルやマンションの屋上にも多くの人がおり犯罪者にとっては絶好の機会だろう

その為上空にはリコリスとリリベルのドローンが広範囲で幾つも飛び回っておりいつでも動けるように準備万端の状況だ

 

けれどもそれよりも高い所では自衛隊のヘリと戦闘機すら飛んでおり最終的な受け渡し場所になる国会議事堂の前には戦車すら存在していたどうやら自衛隊は本気で捕まえるらしく全ての砲門が銀杏並木を向いている

 

そこからさらに周りを見ながら歩いて行くと暑さから陽炎が出ていた遠くのアスファルトの道路に丸い影が現れ少しずつ大きくなっていく

 

「来たぞ!」

 

誰かがそういうと一斉に見物達はそちらの方へ向き私達もつられて向いてしまった

遠くでガンダムが見え始める太い体型のガンダムがこちらに向かって来ているあれは延空木の時のガンダムだけど・・・

 

「武装を装備してないっス!?」

 

飛行機を跡形も無く消し飛ばした自慢の砲塔も両肩についていた砲塔も装備されていなかった

そして銀杏並木の入り口でガンダムは降り立ち国会議事堂に向かって歩き出す

一歩一歩歩くたびに見物達はスマホやカメラで写真を撮っており

中にはツーショットしているのかピースサインまでしている人もおり内心呆れてしまう

 

「・・・そういう事か!

やられたこれでは確保できんぞ!」

 

様々なカメラ音を聞いているとフキちゃんが声をあげる

私達が三人揃って何がそういう事だろうなぜ確保できないのだろうと首を傾げると説明をしてくれた

 

「ガンダムはやり方はどうあれ多くの人を救った事に変わりない

それでも今回自衛隊は人殺しが可能な武装を施しているとして確保を検討していたはずだ

けれどもこれでは確保できんもししたら民集からは非難が浴びせられニュースを見ている世界中から鼻つまみにされる

そんな事になればたとえガンダムを確保した功績があったとしても民集からの支持など得ることは無く失うだけだ

そのうえ自衛隊も公務員だ当然税金から給料が出ており納めているのは民集達になるもしこれで自衛隊が嫌われて給料をあげたくないからと税金を納めなくなる可能性を考えれば自衛隊は何もできん・・・

こんな人の良心と信頼そして世界からの目を考えさせられる手口を使うなんて作戦を考えたやつは相当性格が悪いぞ」

 

「うへぇ〜それじゃあ今回も」

 

「見逃すしかないだろうな」

 

こう話しているうちにガンダムが私たちの前を通り過ぎようとしている

何もできなくて歯痒いけれども自衛隊が手を出せないならDAなんてもっと無理だろう

例えこの後パイロットが降りてきたとしても存在していないDAのエージェントが確保や暗殺を行ったら存在していない私達のことは世間には言えないため警察か自衛隊が責任を被る羽目になりそんなの両方嫌がるに決まっている

犯罪者が暗殺したことにでもしてしまったら平和神話が最悪の形で途切れることとなってしまうそれを考慮してこの時間指定だと今思い知った

 

勿論自衛隊はこの状況では捕まえるだけじゃなく攻撃なんてとてもじゃないけど無理なはずだ

二日間でヘリ、戦車、戦闘機と色々用意したのにただ単に燃料と時間を無駄にしたなんてお気の毒に・・・

そう思っていたのだけど・・・

 

戦車の砲塔が光った

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ジーエヌフィールドテンカイ!」

 

「きゃぁぁぁ!?」

 

目の前で爆炎があがる

信じられない撃った・・・

咄嗟に発動させたGNフィールドにより砲弾は届いていないが周りの見物達には煙がかかったようで所々で咳き込んでおりその中には知った顔もある

 

一緒に乗っている子は未だに悲鳴をあげているがそんな事に気をかけている暇などない

人質を乗せている事を知らないのだろうか・・・

 

そんな事は無いはずだだがこの異常すぎる状況にすぐさま情報が必要になりヴェーダに向こう側の作戦会議室へのハッキングを指示し音声を傍受させる

直ぐにコックピット内で音声が流れたのだがまず初めに聞こえたのは誰かが立った際に吹き飛ばされ大きな音を立てながら倒れ込むパイプ椅子の音だった

 

〈なぜ撃ったんですか!?〉

 

〈我々には民集を守る義務がある!

それに見てみろ戦車の砲弾を喰らってもあの光の壁で無傷だ!

あんな事ができる兵器だぞ!

あの重装甲の中にどんな物が隠されているのか分からないではないか!〉

 

〈ですがもしも防がなかった場合最悪周りの市民に被害が出ている可能性がありました!

いいえ常に被害が出ています!〉

 

〈では貴方はあの機体が武器を隠し持っており民集を攻撃した場合責任を取れるのか!?〉

 

二回受け答えだがそれで十分だと判断し通信を切る

理由はわかったがこれは・・・こちらのミスだろうな〜・・・

 

そういえば前例ではエクシアで送り届けていた気がする・・・

前例を見た時に思っていたなぜエクシアなのだろうと

確かに待っているほどの時間が無いというのもあっただろうがそれでもヴァーチェで行った方が安全に帰って来れる可能性が高いはずだ・・・

けれどそうしなかった

その理由も恐らくはこれだったのだろう当然といえば当然のことで細身のエクシアと違い太身であるヴァーチェでは武装を隠す可能性がある場所が多く見られるそんな機体で行きでもしたのなら・・・考えるのはよそう・・・

 

「重装甲という事はこの機体は延空木の時の機体なんですわね?」

 

ようやく落ち着いた彼女からそう質問が来たから

 

「アァソウダヨ」

 

そう返すと彼女は提案をした

 

「ここまででいいですわ後は歩いて行きますの」

 

確かにそれなら安全に終わるだろうだが僕は案外完璧主義者なんだこんな所で中途半端で終わらせるつもりはない

 

「キャッカ」

 

「ですがこの重装甲の機体では下手に進むと周りに被害が出かねませんわ」

 

彼女が言うことは正しく確かにさっきのが続けば周りでいつ死人が出てもおかしく無いだろう

けれども重装甲では進む事ができない・・・

 

なら軽装甲になればいいんだよね?

 

本当ならこんなくだらないことのために使う予定では無かったんだけどな〜

本来なら民集からの非難があろうとも世界からの爪弾きすら受ける覚悟でヴァーテェを捉えたのなら脱出の手段として使うはずだったけど

そうも言っていられない状況になってしまったのなら仕方ないよね

 

でも流石に本来みたいに行き良いよく解除すれば被害者が大勢出るから引き出したキーボードで垂直に落ちるように設定を変えてから・・・

 

「ナドレ!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

煙が晴れるとガンダムには一切の傷が無くその場で直立している

直前で発生させた緑色の光の壁がおそらく防いだのだろう

 

「あれを喰らっても無事なのね」

 

「相当頑丈らしい」

 

だがこれでは何時まで経っても前には進めない無理に進もうとすれば何時かは死人が出てしまうことになる

いくら周りへの被害を気にするつもりのないガンダムでもそれは望んでいないに決まっている

さてどうするのかなと思っていると

 

「なんか装甲が浮かび上がっていないっスか?」

 

サクラちゃんが言ったように装甲が浮かんでいるような気がする・・・

いやあれって・・・

 

「まさかパージできるのか!?」

 

ガンダムは装甲をパージしていく

後ろにあった大型の光を吐き出す部分が最初に落ち轟音を響かせ

肩の装甲が落ちアスファルトを割り

両腕と両脚に着いた装甲を押さえていたであろうベルトに見える物が外れて地面に落ちまた轟音

腰、股、胸の装甲がパージされてアスファルトをボロボロに砕き

顔から一瞬煙を出すと何本ものコードが伸び装甲だけが外れて地面に落ち無数のコードだけがまるで髪の毛のように残る

全てをパージし終わったであろうその姿はまるで

 

「女性・・・」

 

「こんな見た目の兵器があるなんて・・・」

 

「綺麗っス・・・」

 

「これが装甲の中身・・・」

 

美しい髪色をした女性のようだった

そして一瞬目を光らせるとガンダムは再び歩き出す

それと同時にまた周囲ではシャター音が響き続け人によっては後を追いかけるように移動を始めた

 

「移動するぞ」

 

「「「了解」」」

 

私達も人混みを割きながら後を置い戦車部隊が見える位置までなんとか移動できた

 

ついにガンダムは戦車部隊の前に着く

もうどこからどう見ても武器を持っているようにも隠しているようにも見えないためか戦車部隊が道を開けガンダムは国会議事堂の入り口についに到着してみせたのである

そしてガンダムが片膝を付くと二人ワイヤーアンカーを使用して降りて来た

一人は人質となった元総理大臣の隠し孫

そしてもう一人はパイロットだけど・・・

 

「また子供か・・・」

 

「小さいっス・・・」

 

「うん年下の少年だね・・・」

 

「あんな小さい子が操作しているのね・・・」

 

いつかみたのと同じスーツを着た小さい子供だった

おそらく私よりも幼いだろう少年だ

あの時は女の子だったとラジアータは判断したけれどこれは判断を待つ必要はない間違いなく男の子にしか見えない

 

敷地の入り口には既に元総理大臣と現総理大臣そして国会の官僚達と多くのSPさらには天皇皇后両陛下までがいたのだけれども誰もが驚きの表情を浮かべている

まぁ普通ならそんな反応になるよね・・・

実際周りからもその幼いであろう見た目に何処からも驚きの声が上がっている

自衛隊達特にさっき砲撃した戦車に乗っている人達はどんな反応をしているのだろうか・・・

 

そし少女は背中を軽く押されると祖父の元に駆け寄って行く

ガンダムに保護される前は相当怖い思いをしていたのだろう祖父に抱きつくと涙を流していた

その光景を横目に天皇陛下がガンダムのパイロットに近づくと数事話して右手を差し出す

おそらくは感謝の気持ちなのだろうそしてそれと同時に日本に取り込むための一手でもある

 

その差し出された手は普通なら誰もが望む物だそして憧れでもある

けれどガンダムのパイロットは・・・

 

「振りやがった・・・」

 

その差し出された手を無視してワイヤーアンカーを掴むとコックピットに上がって行ってしまう

天皇陛下は内心こうなる事はわかっていたのだろうため息を吐くことは無く手を下ろすとガンダムを見上げ軽く頭を下げられた

その後ろでは人質になっていた少女が目を拭き頭を下げその隣で元総理大臣も頭を下げている

 

そしてガンダムは立ち上がると緑の光を発生させて空へと上がって行く

空を飛んでいたドローンもヘリも戦闘機も道を譲りガンダムは去っていく

そのあとを誰も追うことは出来ない

ドローンにしろヘリにしろ戦闘機にしろパイロット達はわかっているのだろう

 

追ったりしたら世界から恥はないのかと言われることに・・・

 

捕まえでもしたら世界から弾き出されてしまうことに・・・

 

「状況終了帰還するぞ」

 

「「「了解」」」

 

あのガンダムの姿に後ろ髪を引かれながら私達現場のエージェントはバスへと戻ったのだった

 

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