30の彼岸花君影草 1の外の秋桜   作:テネブラエ

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緊張がはしるDA本部

 

「リコリスの配置再確認!」

 

マッシュルームカットの女性司令官

楠木司令の命令がはしる

 

モニターに空港が映し出されたDA作戦本部はいつもより緊張した空気で染まっている

DAが誇るAIラジアータがパンドラの鍵がおこなうであろう次のテロ予想を受けてから1週間が経った

 

パンドラの鍵による2つ目のテロ

前回はガンダムというアンノウンによって死者は本来のパイロット1人とテロ実行犯だけで済んだが今回の予想内容はそうもいかない

最悪50を超える死傷者と延空木の損失という最悪の結果を生むことになるからだ

 

そして前回の失敗によるリリベル司令虎杖からの嫌味も失敗をさせられない原因となっている

 

多くのDA職員達が必死にモニターを確認しキーボードを叩き続ける

 

「リコリス配置完了しました」

 

普段なら暗殺という方法を取るリコリスだが今回決定した作戦はかなり派手である

 

「予想時間まであと10分!」

 

なぜならリコリス達がいる場所は空港の滑走路だからだ

 

整備車や輸送車を利用し物陰には隠れているが殲滅戦になれば空港建物内にいる一般客にはすぐさま知られることとなるだろう

 

そもそもなぜこんな作戦をとっているのかは作戦会議をした4日前に戻る

 

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「ラジアータが掴んだ情報によりますと○○空港のジャンボジェット飛行機をジャックしたのち延空木へ特攻を仕掛けるものだと思われます」

 

「もしも成功してしまった場合少なくとも50人以上の死傷者と延空木損失という最悪な結果に終わります」

 

「また1年前の真島による延空木テロ未遂もあり今回失敗した場合リコリスの継続が不可能になる可能性もあります」

 

テロ組織らしいやり口といえばそうだがこんな行為許される筈がない

確実に先手を取らないと大損害が及ぶゆえに取る作戦は

 

「作戦としては空港内を警備

不審者を見つけ次第暗殺するものとする」

 

いつもの暗殺をローラーでおこなうという単純だが確実性が高い作戦であった

 

「作戦開始は○○時としその後は1日をかけて警戒をおこなうこととする、以上!」

 

普段ならこれで終わる作戦会議だが今回は1人のリコリスが手を挙げた

 

「発言宜しいでしょか?」

 

「なんだ?」

 

「相手は歴史を持つテロ組織ですそのため不審者以下の行動を行えるものだと思われます

そのうえ飛行機に乗られた時点で失敗が確定する状況の中人相が不明人数も不明な存在を見つけ尽くすとなると失敗する可能性が高い作戦だと思われます

またこの作戦の場合失敗しても成功しても一般人に被害が及ぶ可能性が高いと思われます」

 

上司命令に絶対的に忠誠でなければならないリコリスとしてはあり得ない反発であった

 

「ではどうする?他に作戦があると?」

 

そんな反発でも楠木司令は内心怒りを覚えながらもそのリコリスが考えている作戦を聞く

なかったらただの愚か者

あったとしても否定すればいい

そう思っていたのだがとんでもない作戦が飛び出てきた

 

「飛行機は搭乗が終わって飛び立つまでしばらくの時間があります

また今回はテロによる混乱もあるため発進は余計遅れるかと思われますそれを利用します

あらかじめ滑走路にリコリスをKSG及びクリスベクターを装備のうえ待機し滑走路に向かって来た飛行機の破壊を前提に銃撃殲滅する作戦を推進します

大型飛行機は傷一つで飛び立つことができなくなるためたとえパイロット席のテロリストの始末失敗しても飛行機の発進は止めることができます」

 

発言したリコリスの周りにいる子も口を開いたまま閉じれないような

リコリスとしての秘密主義を守るつもりがないとんでもない作戦である

そのため当然楠木司令は

 

「貴様ふざけているのか?リコリスの思念を忘れたのか?」

 

当然怒り心頭であるだが・・・

 

「勿論覚えております!」

 

「ならなんだその作戦は?!」

 

「・・・ですがこの作戦には終了状況操作がしやすいという大きなメリットがあります」

 

「・・・話してみろ」

 

「はっ!先ほどの暗殺のような小事の場合できない手口ですが

ここまで大事にすればリコリスクライシスの映画撮影だったと一般市民への誤魔化しができます

今の時代映画一本のために車は勿論、船さえも破壊することがあるため

映画撮影としてなら飛行機を破壊しても違和感はもたれません

また事前に情報を流せば一般乗客が飛行機に乗ることもございません

ですがパンドラの鍵は歴史があり長い時間かけて練られた計画が崩れるであろうため止まる事ができず実行するしかないです

他にもメリットがあり先ほどの作戦よりも人員が少なくて済むため保険もできます」

 

「保険だと?」

 

「はい、前回パンドラの鍵はラジアータを掻い潜りました

ガンダムというイレギュラーによって一般市民への被害はおきませんでしたが

今回は騙されていないとは言いきれません、なにせ一回掻い潜った相手ですから・・・

ですので本来より余った人員に地対空砲を持たせ延空木に待機させ飛行機を落とすという保険を作ることができ、またこちらも映画撮影とすれば事前に被害地点周辺の一般市民の避難も簡単であり誤魔化しができます」

 

とんでもなく信じられない作戦に楠木司令は(それはリコリスではなくリリベルが取る作戦だ)や(ウォールナットに便乗するのか)など思うところは沢山あるが

それでも

 

「成功率は高いか・・・」

 

彼女があげた作戦の方が成功率は高くたとえ前回のような事があっても確かに被害は良くてテロリストだけ悪くても50人まではいかないだろう

 

「いいだろう・・・今日中に詳しい作戦内容をまとめて来い」

 

「はっ!かしこまりました!」

 

こうしてリコリスとして前代未聞な作戦が決まったのである

 

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「予想まであと5分!」

 

緊張の中時間は無常にも進む

 

3

 

2

 

1

 

「ターゲット現れませんでした・・・」

 

そうそう上手く行く筈ないのが世の中である

それでも何も起きなかったのが一番だなどと心の中で思っているDA職員がいたのだが

 

「別空港のリコリスから緊急通信!

△△空港でジャックが発生!

ジャンボジェットが東京に向かっているとのことです!

なお情報によればパイロット3名とCA5名乗客12名の計20名が人質になっているそうです!」

 

起きては欲しくなかったがラジアータはまたも騙されたのである

だが今回は・・・

 

「延空木のリコリスへ通達!」

 

保険があった

 

モニターが空港から延空木へと移り変わった

窓は常に割られておりその中でファーストリコリスとセカンドリコリスが重い地対空砲を2人で持っている

ファーストが支えつつ目標をマークしセカンドが引き金に指を掛けていた

そして飛行機が東京の上空に入り地対空ミサイルの射程圏内に入る

 

「落とせ!」

 

楠木司令は命令をとばす作戦では撃墜する筈だったが

 

「何をしている?!落とせ!」

 

現場のセカンドリコリスは引き金を引けなかった

 

作戦も完璧

準備も完璧

ではなぜ引けないのかそれはリコリスの思想と教育方針に問題があったからである

自らの命を犠牲にしても一般人の幸せと平和が自分たちの幸せ

この思想が邪魔をしたのである

テロ組織なら目的のために犠牲はいくらでも出せるし引き金も引けるそもそも犯罪組織だから

リリベルならその戦闘の大きさから一般人が大勢巻き込まれても仕方ないと言えるしいざとなったら引き金も引けるだろう

だがリコリスは普段行っている暗殺任務の都合上大勢の一般人を巻き込んだ事がない

それでも教育では一般人のために命を使えと教わっている

飛行機を落とさないと多くの被害が出る

けれどもあの作戦会議から延空木に飛んできた場合高い確率で一般乗客がいる事が確定している

一般人を大量に殺してでも守る

犯罪者である人外ではない一般人の小を捨てて大を取るその決断がセカンドリコリスにはできなかったのである

 

Q、ではどうするか?

 

 

A、落とせる思考の持ち主が消せるだけの力を持っていればいい

 

ガンッ

楠木司令が強く机を叩く

 

「クソッ!」

 

飛行機はどんどん近づいてくるあと1キロも無くなったその時

飛行機と延空木の間正確には中心よりも延空木に近いところで急に緑色の球体が現れ中に巨大な何かが現れる

 

「ガ、ガンダムなのか!?」

 

DAの職員が自らのモニターに映ったそれに大声を出した

その声にDA職員がほぼ全員が中心の大型モニターを見ると

緑の球体が消え中から現れたのは自衛隊基地で見られたものよりかなり太く手には大きな物体を持っている

前のよりも見た目は大きく違うがあの顔のフェイスと特徴的なV字からガンダムなのだろうと予想ができた

 

その白黒色のガンダムは手に持っている物を両手で構え機体に密着させ自らの機体に接触させる

物体は縦に伸び中から金色の物体が前に出て大きく変わった

 

「まさか砲塔か?」

 

機体から出ている光が一気に増えその砲塔についたコイルが回転する

そして放たれたのはガンダムの大きさすら超えるほどの光の柱だった

その反動でガンダムは大きく後ろに下がるが延空木の手前で止まる

 

「す、凄い」

 

避けることも間に合わない飛行機はその光に飲まれコックピット側から潰れていくそれでも・・・

羽の部分が光からはみ出していた

 

「だ、ダメです威力が足りません!このままでは羽が残り地上に落ちます!」

 

その言葉を聞いた楠木司令はモニターから目を離し指示を出す

 

「至急落下地点の計算!現場付近のリコリスに通達!避難誘導をせよ!」

 

まだ最悪より被害が抑えられているがそれでも出るであろう被害を最小限にしようとする

しかしその必要もなかった

 

「司令!ガンダムが!」

 

驚く職員にモニターに目を戻すと

 

「赤い!?」

 

先程とは違い赤くなったガンダムが肩についた装甲を前に向ける

そしてそれからも光が出て光の柱は3倍ちかくまで膨れ上がり飛行機をまるまる飲み込んだ

そして潰し壊し分解破壊して溶かし尽くす

きっちり15秒の砲撃が止むともう大型飛行機は存在していなかったのである

元の色に戻ったガンダムは砲塔を機体から離すと足元から消えていく

 

「前の報告からまるで急に現れたかのようだったことから光学迷彩を考えていたがやはりか・・・」

 

楠木司令のそんな言葉と共に頭の天辺まで消えた機体は緑の光をその場に残していなくなった

 

「司令・・・命令を・・・」

 

「・・・状況終了・・・あとで春川フキと蛇目エリカを司令室に呼び出せ」

 

「はい・・・」

 

被害は考えられたうちでも最小限に抑えられたが

楠木司令の心境はやるせない気持ちになっていた

 

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1:とあるリコリス

・・・あれがヴァーチェガンダムだよ・・・それからトランザムシステム・・・

 

2:とあるリコリス

あれが大火力戦特化の機体・・・

それとガンダムが持つ切り札

使用後に性能が大きく下がる代わりに3倍の性能を引き出す諸刃の剣・・・

 

3:とあるリリベル

一般人も乗っていたのに・・・

確かにどうやっても乗客は助からなかったけどさ?!・・・

 

4:とあるリリベル

それでも延空木を失う最悪の事態は避けれた

 

5:とあるリリベル

そうだけど!

それでもあれに乗っているパイロットには人の心が無いのか?!

 

6:とあるリコリス

それでも助かった事実には変わらない!

それに今回は私が立てた作戦に問題があったからよ!

 

7:とあるリコリス

仕方ないよリコリスの教育方針が邪魔になるなんて普通は思わないよ

それに成功しても被害者の数は変わらない可能性が高かった・・・

 

8:とあるリコリス

そうだけど・・・そうだけど・・・それはわかっているけど・・・それでも・・・こんな・・・

 

9:とあるリリベル

終わった事を悔やんでも仕方ない・・・今は泣いてでも前に進もうよ・・・

 

10:とあるリコリス

・・・ごめん・・・抜けるね・・・

 

何処かの一室でリコリスが声を上げて泣いた・・・

 

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