30の彼岸花君影草 1の外の秋桜   作:テネブラエ

7 / 40
7

 

目下で行われている模擬戦施設でセカンドリコリスがサードリコリスを圧倒している

ほらまたサードリコリスの制服が緑に染まる

 

最近蛇ノ目エリカの調子がいい

 

射撃の腕が見てわかるほどに上がりセカンドとサード相手の模擬戦においても負けなしが続いている

 

さすがにファースト相手では負けているがそれでも中には一発当てた試合もあるくらいだ

 

この前のテロから一枚皮が剥けまるで別人のよう心身ともに変わった

 

動きは鮮明になり心は抱えることが無くなったためか精神に余裕が持てている

 

別にそれは悪くないことなのだが・・・

 

「また腕が上がったっスね

やっぱりあれが原因っスかね」

 

それの原因であろうある不穏な噂を耳にしてしまった

それは・・・

 

「エリカに男ができたって本当っスか?」

 

隣で乙女サクラが言うように最近リコリス東京支部ではエリカに春が来たと噂になっている

 

「本当なら調べる必要があるな」

 

我々リコリスは戸籍が無く存在していない物達だ

任務も殺し殺されが普通であるために守る対象である一般人のような幸せなど訪れる事がない

今回のようにごく稀にリコリスが恋に堕ちてしまう事があるがそれが成就したためしはない

 

リリベルならハニートラップで情報を取られて殺害される

 

裏の人間なら逃げるためのスケープゴートにされるかもしくは裏切り者として処分される

 

一般人ならうまく付き合えてもリコリスとして人殺しをしていたことに軽蔑されるか人質にされたうえで2人とも殺されるのがオチだ

 

たとえリコリスとしての賞味期限である20歳を超えてもDAからは出ることができないため結婚したという話はそうそう聞く事がない

 

ましてや現役リコリスが恋などしても失敗に終わり精神的に病んだ結果処分されたなんて話もあるくらいリコリスの恋は決して成就しないゆえに知る必要がある

 

まして任務ではよくフォーマンセルを組みリーダーとなる私には知る権利がある

 

「そういえば明日外出許可を申請してたっスね〜」

 

「・・・私達も出るぞ」

 

「了解っス」

 

実に都合がよく明日外出する事を知った私達は施設を後にした

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の日フォーマンセルの最後の一人である篝ヒバナを巻き込んで三人でご機嫌に鼻歌を歌いスキップする少女を尾行する

 

「♪〜」

 

「ご、ご機嫌っス・・・」

 

「まさか尾行にも気づいていないなんて・・・」

 

私服の時はリコリスではないため普通の少女を演じる必要があるがそれでもいくらなんでも

 

「隙がありすぎだろ・・・」

 

余りにも酷い後ろ姿に内心頭を抱えたいがその欲望を抑えて気配を消し追いかける

 

「ここって・・・」

 

暫く追いかけているとよく見慣れた公園に入って行った

そしてエリカはある少年が座っているベンチに座る

 

「あれが噂の彼氏っスか〜・・・あれ?確かあの子って・・・」

 

バレないように林の中に入った私達は体制を低くして植木に隠れながら正面から見たのだがあの少年には見覚えがある

どう見ても遥かに年下であろうあの子は確か

 

「前にエリカの服を汚した子じゃないか」

 

少し前にエリカの服をコーヒーで黒く染め上げた子供だった

そうして二人は話を始めたのだがエリカの表情は明るく晴れやかだ

 

「・・・幸せそうな顔してるわね」

 

「あういうのが趣味だったんっスか〜?」

 

「わからん・・・」

 

余りにも年下を好いている事に三人して驚きつつも監視をしているが聞こえてくる話の断片を聞いても普通の会話だった

暫く監視を続けると二人が立ち上がって公園を出ていく

 

「追いかけるぞ・・・」

 

「「了解」」

 

そうして尾行は続く

デパート

ゲームセンター

本屋

DVDのレンタルショップ

二人の荷物が少しずつ増えていくと同時に日が上り傾く

 

そうして空が若干暗くなって来た頃に二人は喫茶店に入る

 

「何て言ってるの?」

 

流石に入るとバレるため入れないが二人が窓の近くに座ったため

読唇をする事で会話を予想する事ができた

 

「ハッピバーステイテューユー・・・楓・・・」

 

「誕生日っスね」

 

どうやら楓という名の少年は誕生日らしくひとしきりバースデーソングをエリカが歌うと喫茶店店員がケーキを持って来る

少年は顔を赤く染めながらもお礼を言うと二人で手を合わせてケーキを食べ出した

 

「どう見ても一般人ですね」

 

そうしてケーキを食べていると少年が何か言ったらしくエリカが苦笑いをしてる

 

「何を言ったんっスか?」

 

「誕生日プレゼント・・・リコリスクライシス・・・見たい・・・」

 

「あ〜それはなんていうか皮肉っス」

 

リコリスがリコリスショックを見る確かに皮肉である

それでも首を縦に振ったエリカを見て少年は手をあげて喜んでいる

 

そしてケーキを食べ終わるとエリカが会計をして店を出てきてそこで二人は別れたのだった

 

「私達も帰るぞ」

 

「「了解」」

 

「この事は司令に報告するの?」

 

その言葉に少し考えたが尾行を行なってしまった以上はする必要がある

 

それに少年の事を知る必要もあるがいちリコリスでは限界もある

 

「あぁ勿論報告する」

 

「当然っスけど馬には蹴られたくないっスよ」

 

よく恋の邪魔をする奴は馬に蹴られて死んでしまえと言うがこんな都会では馬なんて競馬場に行かない限りはそうそう見る事がないだろう

 

そうして司令に今回の事を報告しDAの情報部に情報を集めてもらったのはよかったのだがその内容はとんでもない物だったのだ・・・

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

1:とあるリコリス

エリカに本当に春が来たみたいね

 

2:とあるリリベル

まじ?

 

3:とあるリコリス

まじまじ

昨日フキがエリカを尾行したら彼氏と会っていたって

 

4:とあるリコリス

原作後だからこの後がどうなるかわからないけど可能なら幸せになって欲しいな

 

5:とあるリリベル

DAに所属している以上は叶えられる可能性は低いだろうな〜

 

6:とあるリコリス

それは仕方ないわよ

 

7:とあるリリベル

で、どうするんだ?

 

8:とあるリコリス

そうね・・・彼氏の事はフキが司令に報告していたからひとまずは保留で

馬に蹴られたくはないでしょ?

 

9:とあるリリベル

確かに!

 

10:とあるリリベル

緊急事態!

パンドラの鍵からテロ予告が入ったよ

 

11:とあるリリベル

来たか!

 

12:とあるリコリス

腕がなるわね!

それで予告場所と予告内容は?

 

13:とあるリコリス

それが・・・

⚪︎⚪︎県にあるロケット発射施設

資源輸送用のロケットに無断搭乗して宇宙に行ったのち宇宙ステーションを乗っ取りDAの情報を世界に配信する事らしい

 

14:とあるリコリス

絶対に止めなきゃだね

 

15:とあるリリベル

あ、こっちにも話が来た・・・

リリベルを知っているリコリスとリリベルとの共同作戦になったみたい

 

16:とあるリコリス

そっかそれじゃあ頑張りましょっか

 

17:とあるリリベル

あぁ勿論!

 

18:とあるリコリス

うん!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「情報に異常性はなし・・・

たいして難しくはない任務だが・・・

既に2回失敗している・・・

三度目の正直になるか二度あることは三度あるになるか・・・

用意あれば憂いなしだな・・・

ロケットの衛星までの予想経路を計算・・・

・・・ここはダメ・・・ここも無理だな・・・

ここは・・・悪くないな・・・

ここをポイントにしよう」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。