サイオー・ホース・インパクト 作:BANZAINAMUSAN
◆トンチキ実況is#4に集約的な!◆
◆前置きが不要なら<ワープ>しよう◆
◆◆◆◆◆◆お知らせ終わり◆◆◆◆◆
プープププープププーデケデケーププププーデケデケーププププーデケデケー。ネオサイタマ郊外、ニューナカヤマ競馬場に伝統のファンファーレが轟く。サイバーホースたちがパドックをぐるぐる回っている。彼らはセンド・ホースに導かれ、18頭立てのゲートへ順次入っていく。
『イチバンゲート、スゴイテイオーの鞍上に乗るイチロー・モリタは初ジョッキーです。このオオオチバンに任せることのできる秘密兵器なのか!?期待できそうですね!』『デスネー』実況と解説の声が轟く。今日も重馬場。重金属酸性雨に濡れたバイオ芝は生半可なパワーでは満足に駆けることすらできぬ。
ホースは一様に重装騎兵じみていた。足回りからその胴体、頭部に至るまで、サイバネ手術の手が入っていない場所があるものは実際少ない。時代を逆行したバーリトゥード・レースめいて、彼らはジョッキーを背負って走りながら、ゴールまでの距離を殺しあう。
サイバネ技術が普遍化した近未来。競馬は変わった。暗黒メガコーポとJRA間の癒着に始まり、ルール改訂、レースのサツバツエンタテインメント化、サイバネ技術ホース転用……サイバーホースは時速200キロ以上で走り、しかしレース距離は旧態依然。あるいは伝統とも言えよう。
かつてブラッドスポーツと呼ばれた競馬は、今ではサイバネ技術の展覧会めいている。より高く、カネを積んだ方が勝つ。競馬は変わった。金で雇われた傭兵ジョッキーと、全身サイバネ手術を受けたサイバーホースが、果てしない代理戦争を繰り返す。
生体部位に打ち込まれたドーピングがホースの能力を助長し、受け継いだ血統などもはや物の数ではない。時の流れは、在りし日のミームを断ち切ろうとしている……レーストレーニングの時代は終わった。体重を管理しつつ、必死にスピード、パワー、タフネスをバランスよく鍛える?時代遅れ。
今のホースに求められるのはサイバネ手術に耐えるタフネスとコンジョ。サイバネ手術に耐えれば、スピードもパワーもついてくる。テックの力だ。鋼鉄の足回り、ニトロブースター、タックルにアドバンテージのある殺戮兵器の数々。射撃武器こそルール上禁止だが……ナムアミダブツ。
ナチュラルホースに勝ち目などありはしない。ニンジャホースでも無い限り……そのパドックに、4頭のナチュラルホースあり。ワザマエシンボリ、トテモブライアン、サイエンススズカ……そして、スゴイテイオー。前世紀から受け継がれた血統が集う。今年のサツキ・ショーはゴールデンエイジめいていた。
(((オダ・ニンジャを乗せたニンジャホースにアケチ・ニンジャクラン子飼いのニンジャホース!あやつはブル・ヘイケを乗せたニンジャホースではないか!そしてキサマの股下にはサナダ・ニンジャクラン子飼いのニンジャホース!全員殺せ!)))(黙れナラク)
多数のニンジャホースに囲まれ、フジキド・ケンジの心に巣食う邪悪ニンジャは興奮したおももちであった。フジキドの双眸は、あるジョッキー1人に注がれている。無論、ニンジャだ。ソウカイヤイチバンの鞍上を任されているニンジャの名は、シンマウンテン。調べはついていた。
サイバー競馬殺人を生業とする邪悪ニンジャジョッキーである。体当たり、進路妨害、落馬誘導……ナムサン。かつて重大インシデントとされた悉くは、いまではサツバツエンタテインメントを彩る真っ赤な花火でしかない。ネオサイタマではチャメシ・インシデントだ。
フジキドがスゴイテイオーの鞍上を任されることになるまで、紆余曲折があった。色々あったのだ。その仔細をいちいちあきらかにしようとするのはほんすじからはずれすぎるので、かたらない。原作ニンジャスレイヤーの【ノーホーマー・ノーサヴァイヴ】を読めば、その一端は読み取れよう。
はっきりいって過程は重要なことではない。我々はサツキ・ショーに集中しようではないか。芝2000メートルのグレードワン・レース。時速200キロ以上で走るサイバーホースたちにとって、2000メートルは30秒以内に駆け抜けられる短距離でしかない。
伝統のサンカンバに至る、第一のレースでもある。曰く、イチバンにハヤイなホースが勝つ。(モリタ=サン。頼むよ……あの日見た夢を俺に……俺の夢を乗せてくれ!)80を過ぎる老齢の男、カネガヤが祈るように両手を組んだ。フジキドはスゴイテイオーとともにイチバンゲートに入っていた。
最内周アドバンテージ……出遅れなければ。の話だが。出遅れれば、もっとも困難な位置ディスアドバンテージに一変する。シンマウンテンの乗るソウカイヤイチバンはジュウロクバンゲート。距離が遠い。事前に分かっていた事であるが、改めてニューロンが警告を発する。
まさかゲート開閉機能に偶然を装ったトラブルが起きるのでは?フジキドはスゴイテイオーを鞍上から撫で、語りかけた。「おそらく仕掛けがあろう。行けるか?」「ぶひゅるるるる。(誰に向かって口を聞いているのだ?テイオーはこのボクなんだが?)傲岸不遜。まさにニンジャホース。
ナンシー・リーの支援は期待できない。ゲート開閉機構はスタンドアローンであり、空に向けてピストルを打つスターターの手に開閉スイッチがあるのみ。物理的にトラブル要因が仕掛けられていれば、ハッカーの手でできることはあるまい。
「ぶっふぁ!(ヒヨドリ・オトシよりは容易いことよ!)」「ひひいいん!(タワケ!バトル・オブ・オケハザマには負けるわ!)」耳聡くフジキドの言葉を耳にした他のニンジャホースらも興奮したおももちで嘶いた。フジキドにはその言葉が人の言葉めいて聞こえた。
ニンジャは古来より、己のイクサの助けとすべく、動物を使役するクランも存在した。鴉の大群を操る者、ネズミを従え密偵や疫病媒介者として使う者、そして狼、犬、鷲などを戦闘獣として仕込む者など、使役対象と用途はクランによって様々であった。
現代において、動物へのニンジャソウルの憑依例はごく少数ながら確認されている。それが一様にニンジャホースで、ニンジャウマソウル憑依者?そして同じレースに挑戦?統計上の偏りだ。だってそれ以外考えられないじゃないですか。
彼らは実際人語を解する知能を持ち、またニンジャ同士であれば吠え声で人間の会話と遜色ない意思疎通を行うことができる。ただし、非ニンジャにはただの吠え声、ニンジャホースであれば嘶きとしか聞き取れない。(あやつら、気付いておるな。コシャクな)シンマウンテン。
彼もまた、ニンジャホースらの声が聞こえている。イチバンからヨンバンに寄り集まったナチュラルホースは世の理を知らず、徒にナチュラルホースへ夢を見る年収の少ないモータルへの撒き餌。10秒以内に14頭のサイバーホースが囲んでテックで叩く。ダンゴーにより取り決められている。
なんたるナチュラルホースとその血統を目の仇にした邪悪ダンゴーか!しかしそのたくらみは、あまりにもニンジャホース存在を甘く見ていた。無知ゆえの増上慢。その愚かさの代償は……ナムアミダブツ。その時である。
パーン!天に撃たれる空砲!レーススタート!機材トラブルで内周ゲートが開かぬ!だが!「ハイヤーッ!」「ヒヒィン!」『イチバンに飛び出したのはサイエンススズカ!スタートダッシュが完璧だァー!』あ、あれは伝説のウマカラテ技!サキ・ガケ!
【サイオー・ホース・インパクト】#1終わり。#2に続く
突発的に思いついたので決断的に投稿だ!
4話完結予定。
なお続きは思いつくまで未定