サイオー・ホース・インパクト 作:BANZAINAMUSAN
ゼッケン2・サイエンススズカ(ハダカウマで失格)
ゼッケン3・ワザマエシンボリ
ゼッケン4・トテモブライアン
ゼッケン5・ウットコランナー
ゼッケン6・ヤバイウシロアシ
ゼッケン7・ヘルカタナブレード
ゼッケン8・オバンデススカイ
ゼッケン9・ポンデルタストーム
ゼッケン10・モーターテツバ(ニトロブースター逆噴射)
ゼッケン11・ソウハサセルカ(ニトロブースター逆噴射)
ゼッケン12・ヨロシサングリーン
ゼッケン13・サカイエサンレッド
ゼッケン14・ヤルキアフレルオー
ゼッケン15・アマカケルペガサス
ゼッケン16・ソウカイヤイチバン(ハダカウマで失格)
ゼッケン17・ネコソギマネキネコ
ゼッケン18・ラオモトゴールド
「ヒーンヒヒーン(アケチ=サンは死んだ。本能寺で。何故だ?)」「ブルルル!(なんだオヌシは!ワシが知るか!ついてくるな!)」前半カーブ終了地点。トテモブライアンは影めいてワザマエシンボリにぴったりと張り付くかのように後背から接近し、嘶いた。
あたかもアケチ・ニンジャとオダ・ニンジャの因縁に沿うように……しかしまずは、時計の針を巻き戻し、この両者が前半カーブ終了までにどのような走りを見せたか、どのホースが失格となったか、リプレイ映像でもう一度見てみよう……
パーン!天に撃たれる空砲!レーススタート!機材トラブルで内周ゲートが開かぬ!だが!「ハイヤーッ!」ニンジャスレイヤーはゲート開閉部位にアンマ・キックしてカラテマスターキー開錠!「ヒヒィン!」サイエンススズカは伝説のウマカラテ技、サキ・ガケのワザマエ活用により開かぬゲート下部通過!
残るナチュラルホース二頭は……ガシャン!コンマ99秒後にスタート。この遅れは「カンパイ」と呼ばれるフライングおよびゲート開閉機構の故障による出遅れを是正すべく再スタートさせるルールの適応時間外、そのギリギリの時間である。
ルール改訂により、フライングや1秒以上ゲート開閉時間の差があれば、スタート判定員クロコが旗を掲げて「カンパイ!」とシャウトする取り決めなのである。
何故カンパイなのか?伝統だ。JRAはメガコーポの賄賂的篭絡にこそあったが、伝統のすべてを手放してはいないのだ。サンカンバレースの維持などもその一環と言えよう。
今回、クロコは旗を掲げなかったのでサイエンススズカはフライングしておらず、ゲート開閉機構トラブルも誤差の範囲内とみなされたのだ。
当然、外周ゲートにいたゼッケン10から18の9頭は通常スタートし先行。内周ゲートにいたゼッケン3から9の7頭は全員出遅れた。
ウットコランナー、ヤバイウシロアシはその中でも更に出遅れ、ヘルカタナブレード、オバンデススカイ、ポンデルタストームが順に内周に寄る。ナチュラルホースたちを包もうとする。
「ブルルル(児戯……)」トテモブライアンはあえて加速せず、後方に下がる。ジョッキーとの折り合いもついている。バックアタックウマカラテ警戒。
バックアタック・タクティクス。それはレースのイチバンを目指すに当たって、という視点より、イクサバでのサムライジョッキーの立ち回りを連想していただくと分かりやすい。サムライジョッキーの攻撃は基本的に前方または左右に向けるもので、背後への攻撃を基本的に想定していない。
その事実はバックアタック者が前方を駆ける敵性ジョッキー達を一方的に攻撃できることを意味する、フーリンカザン!「イヤーッ!」トテモブライアンの鞍上、ヂデウチは慣れた様子でバックアタッカー存在であるウットコランナー騎乗ジョッキーにショックサスマタで攻撃!
「アババーッ!」電気ビリビリ衝撃で落馬!ウットコランナーはハダカウマとなり失格!「イヤーッ!」同じくバックアタッカー存在のヤバイウシロアシジョッキーが薙刀攻撃!「イヤーッ!」キン!ヂデウチはショックサスマタ防御!キンキンキンキンキンキンキン!
傭兵ジョッキー二人のワザマエはゴジュッポ・ヒャッポ!両手に武器を握って振るい、落馬せぬよう内股で鞍を挟み、鐙で踏ん張るさまは、まさにサムライジョッキーの併走イクサの如し。「「ワアーッ!」」観客らもサツバツエンタテインメントに興奮!マッポー興行マーケティング的にも大正解ですよ!
だが傭兵ジョッキーは互いのホースを狙わない。人はいくらでも代えがきくが、ホースの替えを準備するのはコストがかかる。サイバーホースであればなおさら。意図的に傷つければ借金。人の代え?ネオサイタマではチャメシ・インシデントであるローン債務者を引っ張ってこれば良い。
勝てば借金はチャラになると嘯いて。そのローン債務者が、ワザマエシンボリの鞍上にいる。「ヒイー!」ワナアキはタズナどころかワザマエシンボリの首へ必死にしがみ付き、ただ身を丸めている。(もうイヤだ!誰か助けてくれ!)インガオホー!ワザマエシンボリは真価を発揮できぬ!
ヘルカタナブレード、オバンデススカイ、ポンデルタストーム騎乗ジョッキーは相互に頷きフォーメーション形勢!ワザマエシンボリを中心に、前方にオバンデススカイ、後方にポンデルタストームが並び、ヘルカタナブレードが右回り内周方向へ圧迫!
「ヤーッ!」「ヒイー!」ヘルカタナブレードジョッキーのビッグカタナブレードがワナアキを触れるようで触れない!空振り欺瞞攻撃!本筋は右回り圧迫!進路妨害しつつ、ずんずんと右回り内周柵へと圧迫しつづけていく!ワザマエシンボリは鞍上がヘボなので真価を発揮できぬ!
このまま内周の柵まで圧迫されつづけ、ネギトロめいて磨り潰されるのか!?否!「ヒッヒーン!(このタワケが!ワシを誰だと思っておるのだ!)」「ヒヒーン!?」ワザマエシンボリのニンジャウマアトモスフィア篭る凝視がヘルカタナブレードを射抜く!
生存本能を刺激されたヘルカタナブレード暴走!「コラー折り合いコラー!」ヘルカタナブレードとそのジョッキーの折り合いがつかない!直後!KRASH!ツインターボニトロブースター逆噴射し大いに減速したモーターテツバと衝突!「「アバーッ!」」大惨事!
「ヒッヒーン!(このタワケが!ワシを誰だと思っておるのだ!)」「ヒヒーン!?」ワザマエシンボリのニンジャウマアトモスフィア篭る凝視がオバンデススカイを射抜く!生存本能を刺激されたオバンデススカイ暴走!まるでウマカラテミサイルだ!「コラー折り合いコラー!」
KRASH!ツインターボニトロブースター逆噴射し大いに減速したソウハサセルカと接触!「「アバーッ!」」大惨事!ワザマエシンボリは大惨事渦中をジャンプ跳躍回避!「ヒイー!」ワナアキは必死にしがみ付いてノー落馬!ワザマエシンボリのワザマエ!ここでカーブ!
「ハイヤーッ!」ワザマエシンボリの右前方にいたスゴイテイオーはニンジャスレイヤーと折り合いをつけ、イッソー・ムーブメントで一直線にシンマウンテンに迫る!「馬鹿なーッ!」スゴイテイオーに妨害行為しようとした4騎はありえざるムーブメントにロウバイし全員妨害行為失敗!
「ヒッヒーン!(このタワケが!ワシを誰だと思っておるのだ!)」「ヒヒーン!?」ワザマエシンボリのニンジャウマアトモスフィア篭る凝視がポンデルタストームを射抜く!生存本能を刺激されたポンデルタストームはサオ・ダチ!ホースの視野はひろいのでけっこううしろまで凝視可能なのだ!
KRASH!カーブに沿って走るヤバイウシロアシと衝突!「「アバーッ!」」大惨事!『アーッ!アーッ!なんだこれは!?今日のレースはサツバツインシデント多発!早くも9頭が失格!9頭が失格!アーッ!みなさん馬券はまだ捨てないで!ワン・チャンスあるから!』欺瞞実況!
残るサイバーホース6頭ジョッキーはスゴイテイオーに妨害行為しようとして失敗し、内周に寄せきれず、レーン中央付近でカーブを走っていた。肝心要の指揮者であるシンマウンテンが落馬。なんらかのテックがばくはつしたようにも見えた。当初の想定とはレース展開が違いすぎる。
Y.G:どうする?
S.R:ヤベェよ
Y.A.O:ヤベエ
A.P:ヤベエ
N.M:ヤベエ
ホースのイニシャル暗号ネームを用いた、レース中ノーハンドIRCチャットによる現場ダンゴー。「成せば成る!」チャット間の悪い空気を一蹴したのはラオモトゴールドの騎乗、モバヤシだ。一人キアイを叫んだだけなので、このシャウトだけでは現場間ダンゴー扱いには出来ぬ。
ラオモトゴールドはその名の通り、ラオモト家にたくさんいる家族の誰かが購入してサイバネ手術を進めたサイバーホースである。もはや購入者は色々あって生きていまいが……その内蔵テックの数々はとにかくすごい。たぶんななつどうぐくらいある。鞍上のモバヤシは旧ネコソギファンド社員だ。
彼はラオモトゴールドに在りし日の夢を見た。そして鞍上へ。色々あったのだ。
R.G:忌々しいが一息にまとめて潰すとはいかぬようだ。だがサツキ・ショーはレース!例え今回ナチュラルホースどもを潰せずともレースで勝てばバヌシ相手に最低限の面目は立つ!とにかく勝つぞ!成せば成る!
ナムサン。長文構成であるにも関わらず、そのタイプ速度はコンマ8秒!スゴイ級ハッカーよりは確実に上!KA-TOOOON!「ハイヤーッ!」モバヤシはモラールV字回復させんとラオモトゴールドの尻からニトロブースター噴射機構起動!カーブ減速後立ち上がりの直線加速が凄まじい!
『オーット!ここでラオモトゴールドがブースター加速!ハヤイ!イチバンに躍り出た!一体このレースは誰が勝つって言うんダァー!』時速300キロは出ていよう。危険なサイバネ手術が成功した結果だ。残り1000メートル!この因縁入り乱れるケイオスじみたレースを制するのは誰なのだ!?
サツキ・ショーはイチバンにハヤイなホースが勝つ!「ヒヒーン!(勝つのはこのボクに決まってるんだが!)」全く予想がつかない!
【サイオー・ホース・インパクト】#3終わり。#4につづく
ここまで、十数秒の出来事である。サツバツ!