インフィニティダンガンロンパ6 ようこそぼくらのコロシアイ強化合宿 作:M.T.
プロローグ①
私立希望ヶ峰学園。
そこは超高校級の才能を持った希望溢れる生徒達が入学する、世界でも有名な名門校だ。
この学園に入学する条件は二つ。
現役の高校生である事、そしてある分野において超高校級である事。
希望ヶ峰学園の卒業生は将来を約束されるとも言われており、事実卒業生達は世界中で偉大な功績を残している。
俺、
希望、憧れ、緊張、興奮……。
そんな思いを胸に抱えながら、俺は学園の門へと一歩踏み出した。
その瞬間、視界がぐにゃりと歪む。
頭の中がぐちゃぐちゃに撹拌されて、意識が遠のいていく。
俺は………
この時、俺は知らなかった。
この一歩は、希望への一歩なんかじゃない。
絶望への第一歩だったんだ。
「……………ん」
…あれ?
ここは…どこだ?
気がつくと俺は、見知らぬ場所にいた。
ソファーにテレビ、テーブル、本やボードゲームなんかもある。
どうやらペンションか何かのラウンジのようだ。
俺は何の気はなしにラウンジの窓に目をやった。
「はあ!!?」
何で…
何で俺はこんな猛吹雪の中にいるんだぁああああああああ!!!?
待て、落ち着いて状況を整理するんだ。
まず、ここに来るまでの記憶が全く無いんだが?
俺はどうしてこんなところにいる?
そもそもどうやって来た?
ダメだ、考えれば考えるほど混乱するばかりだ。
「んん……」
俺が考え込んでいると、後ろから声が聞こえてきた。
俺が声のした方を振り向くと、もう一つのソファーに誰かが横たわっていた。
180cmを優に超える長身に加え、ひとつにまとめた長髪が特徴的な男だ。
髪も肌も雪のように白く女性と見紛う程の美青年だが、全身黒ずくめでピアスをつけていて、どこか只者ではない雰囲気を醸し出していた。
どうやら気持ち良く寝ているようだが、起こした方が良いのだろうか。
「あの、すみません」
俺は、男の肩に手を置いてゆすってみた。
するとだ。
「!?うわぁああああああああっ!!?」
うわっ、ビックリした。
いきなり叫ぶなよ心臓に悪い…
男は、目を覚まして俺の顔を見るなりいきなりものすごい声量で叫びながら飛び退いた。
俺の方を見ながらビクビクと怯えている。
思ったよりその、気が弱いんだろうか。
「ひっ、ごめんなさい!お願いします、殺さないでください!何でもしますから命だけは…!」
おいおい待て待て待て、話が飛躍してないか!?
何で急に殺すとか命がどうとか物騒な単語がポンポン出てくるんだ!
…というかこの人、何か勘違いしてないか?
「待って下さい、俺はあなたに危害を加えるつもりはありません。というか、何もわからなくて不安なんです」
「………え?」
俺が危害を加えないという事を示すと、男はキョトンとした顔で俺を見た。
…良かった、どうやらようやく冷静になったみたいだ。
これでやっとまともな話し合いができる。
とりあえず、まずは自己紹介…だよな。
「はじめまして、俺は東野潤といいます。まずは落ち着いて状況を整理しましょう」
「東野…って……もしかして、あの?」
あっ、何だ。
この人、俺の事を知ってたのか。
俺は、【超高校級の小説家】として希望ヶ峰にスカウトされたしがない作家だ。
小さい頃から推理小説が大好きで、自分でも趣味で作品を書いていたら、友達にコンテストに応募するよう薦められ、そのコンテストで賞を取ったのが始まりだった。
それを機に作家としてデビューを果たして少しずつ人気を集め、今では俺が新しく作品を書くたびに年間ベストセラーに名を連ね、著名な先生方にも認めていただけるようになった。
【超高校級の小説家】
…と、自分語りはこの辺にしておこう。
まずは現状を確認しないとだな。
「はい。今年【超高校級の小説家】として希望ヶ峰学園にスカウトされて入学する予定だったんですが、目が覚めたらここに…」
「希望ヶ峰学園…僕と一緒だ……」
「え?」
『僕と一緒』…
…って事はまさか、この人も希望ヶ峰学園の新入生なのか?
「えっと……はじめまして、僕は
何だ、同年代だったのか。
勝手に歳上だと思って変に気を遣っちゃったよ。
「才能は、その…ごめんなさい、思い出せないんです」
「えっ?」
「自分が何の才能を持っているのか、思い出せないんです。希望ヶ峰学園にスカウトされたっていうのは確かなんですけど……」
【超高校級の???】
才能を思い出せないって…
それって記憶喪失…だよな?
いきなり心配になってきたぞ。
「そっか…早く思い出せるといいな」
「えっ、あ…は、はい…」
「そんなにかしこまらなくていいよ。お互い新入生なんだから、遠慮とかいらないだろ?俺は普通に接するからさ。よろしくな、暗野」
「あっ…うん。えっと…東野……くん?」
うーん…まだ距離が縮まってないような気がするけど…
まあ良しとするか。
「さて…と。まずは状況を把握しないとだな。まず俺達は極寒の猛吹雪の中、ペンションにいる…とまあこんなところか」
まずはこのラウンジを調べてみよう。
ここにあるのはソファーと、テレビ、あとは娯楽用の道具か。
自販機なんかもあるみたいだ。
…へえ、監視カメラなんかついてるのか。
何の為にこんなものが…
「この吹雪の中じゃ、外に出て行くのは無理だね…って、あれっ?携帯が無い…」
えっ、嘘だろ?
マジかよ…俺の携帯も無いぞ。
入学式に行く時はちゃんと持ってたよな?
直前まで家族や友達と電話してたし…
何で携帯が無いんだ?
どこかで落としたか?
いや、それとも……
「希望ヶ峰学園の新入生が脱出不可能なペンションの中にいて、連絡手段も無い…これってさ」
「拉致監禁、か…」
「うーん…どうなんだろう」
「え?」
「えっと…もし僕らに危害を加える事が目的なら、拘束するなり所持品を奪うなりすると思うんだ。でも僕らは自由に動けるし、携帯以外の所持品は何も奪われていない。どうやら身体にも何もされてないみたいだし…もし僕らをここに連れてきた人がいたとしたら、僕らに何かをさせたいんじゃないのかなって」
「…………」
すごいな。
さっきまであんなに喚いてたのに、少ない情報からそこまで具体的に推測できるものなのか。
俺なんかよりずっと頼りになるんじゃないか?
「暗野、お前すごく頭良いんだな」
「えっ、そ、そうかな……」
照れてるな…
褒め慣れてないのかな。
「あ……」
「ん?どうした暗野」
「マップがある…」
暗野が指をさした場所を見てみると、『ペンション・ザナドゥ』と書かれたペンションの館内マップが表示されていた。
宿泊施設は男子棟と女子棟に分かれていて、それぞれに個室が8つずつ、風呂場、ランドリー、トイレがあるようだ。
中央棟にはこのラウンジと玄関、ロビー、食堂、厨房、トラッシュルーム、ボイラー室があるみたいだ。
「なるほどな。とりあえず館内を回ってみようぜ」
「えっ、い、行くの…?わ、罠とかあるんじゃ…」
さっきまでの頭の良さが嘘のように怯えてるな。
というか、流れるように俺の背中に隠れてるし…
俺の体格じゃお前の体積はカバーできないぞ。
「だからってずっとここにいるわけにもいかないだろ?他に人がいるかもしれないし、館内を調べないとわからない事もあるだろうしな」
「そ、それはそうだけどぉ…」
「大丈夫だよ。何なら俺が先行くからさ」
「う、うん…ありがとう…」
そっか、暗野もいきなりこんなところに連れて来られて不安なんだ。
俺がしっかりしないと。
俺は、気持ちを切り替えて暗野を連れて探索に出向いた。
ーーー 登場人物 ーーー
【超高校級の小説家】
【超高校級の???】
アト16人