インフィニティダンガンロンパ6 ようこそぼくらのコロシアイ強化合宿 作:M.T.
side HG
俺達が食堂に戻ると、神風と酒蔵がミーティングの準備をしていて、梶野と消灯寺、リーゼと安室がそれを手伝っていた。
俺達もミーティングの準備を手伝っていると、時間までに全員食堂に集まってきた。
とりあえず、まずは席順決めないとだよな。
「えっと…席…どうしましょう…」
「東野くん…隣…いいかな…」
「あ、おう」
「や、山脇さん…隣、座ってもいい?」
「うん…」
俺の左隣には山脇が、さらにその左隣には暗野が座った。
すると、六道と的凪が俺達の右に来た。
「えっと…六道さんはここでいい?」
「寝れればどこでもいいよ…ぐぅ」
「寝ちゃダメだよ!?」
的凪は俺の右隣、六道はその隣に座る事にしたみたいだ。
えっと、他の奴らは…
「あたいは変態ヒロキと内闘の隣と正面じゃなきゃどこでもいいよー!」
「同感。こいつの隣だけは絶対嫌」
「ふん、こればっかりは日頃の行いだな」
神無月をはじめとした女子達は、内闘を嫌って隣の席に座りたがらなかった。
すると内闘が不機嫌そうに口を開く。
「んだとてめぇら…」
「何よ、その目。そっちが単独行動取って椛達に迷惑かけるのがイケナイんだよ?お前みたいな貧弱IQ社会不適合DQN野郎、地べたに座って虫でも食ってろよ」
「んのクソチビ…!!」
苛立ちを露わにする内闘を神無月が挑発すると、内闘は顳顬に青筋を浮かせて神無月に殴りかかろうとした。
おいおい、一触即発じゃないか…!
俺達が戸惑っていると、神風が鶴の一声で二人を制止する。
「やめろお前ら」
神風が低い声で二人を威圧すると、二人は黙り込んだ。
一匹狼の内闘も、指揮官としてのカリスマ性を持つ神風に睨まれたら大人しく黙るしかなかった。
すると、他の皆と内闘の間に不協和音が生じてしまった現状を察してか、リーゼが内闘の隣に来た。
「内闘さん。お隣よろしいですか?」
リーゼが内闘の隣に来て声をかけると、安室はギョッとして目を丸くする。
無理もない、まさかこの状況で内闘に声をかける奴がいるとは思わなかっただろうからな。
「なっ…おいリーゼロッテよ、貴様正気か…!?」
「わたくしは、ここで出会った皆さんと仲良くしたいのです。誰かを仲間外れにするなんて、そんなの間違ってます。内闘さんがよろしければ、お隣に座りたいのですが…」
リーゼは、穏やかな微笑みを浮かべながら内闘に話しかけた。
するとその笑顔に毒気を抜かれたのか、大人しく端の席に座った。
「…チッ、勝手にしろ」
「貴様…リーゼロッテに暴言でも吐いてみろ、俺様が魔界の業火で消し炭にしてやるからな」
内闘が不機嫌そうに端の席に座ると、安室が内闘に釘を刺した。
すると、樺戸が内闘の正面の席に座る。
「じゃあオレはリキヤの正面に座るぜ!」
こうして、内闘、リーゼ、安室、樺戸の4人の席が決まった。
内闘の事は、リーゼと樺戸に任せておけば大丈夫そうだな…
他の皆も、自分の希望の席に座り始める。
「じゃあおじさんは神無月ちゃんの隣に…」
「ふざけんな死ね変態!!」
酒蔵がしれっと神無月の隣に座ろうとすると、神無月が酒蔵を足蹴にした。
神無月に振られた酒蔵は、他の女子に泣きつき始めた。
「あーあ、振られちゃったよ。なあリーゼちゃん、おじさん可哀想だと思わない?」
「あの、わたくしの正面の席が空いておりますので、良かったらそちらに…」
「そう言ってくれるのはリーゼちゃんだけだよ〜!」
「調子に乗るな貴様…!」
酒蔵がリーゼに泣きついたので、リーゼが(仕方なく)酒蔵に正面の席に座るよう提案すると、酒蔵がリーゼに近づこうとしたので安室が威嚇した。
うん、あいつは完全にリーゼのセ◯ムだな。
「みるくちゃんはどうせ隣になってくれる人いないだろうから、あたいが隣に座ってあげるー!」
「あ、ありがとうございます…」
「僕は騒がしいの嫌いだから端がいいな」
神無月と氷川と消灯寺も、どこに座るか決めたみたいだ。
結局、席順は下の通りになった。
打 六 的 東 山 暗 酒 樺
消 氷 椛 梶 神 薬 安 リ 内
全員が席についたところで、神風がミーティングを始める。
「…さて。ではミーティングを始めるぞ。まずは俺達からの報告だ。俺達は、男子棟の一階を探索した。一階には大浴場、ランドリー、リネン室、トイレがあった。大浴場は昔ながらの銭湯といった感じで、ランドリーには洗濯機が8つあった。リネン室も、リネン類が置いてある事以外は特に変わった様子はなかった」
「どこもかしこも監視カメラばっかで参っちゃうよ。ああ、あとモノクマ曰く、大浴場とランドリーは使えねえんだと」
「ええと…女子棟の一階も同じような感じでしたわね」
「強いて気になるところを挙げるとするならば、穢れを清めし泉で邪悪な囁きを耳にした事くらいか」
「邪悪な囁き?」
「ええと…お風呂場の何故か仕切りから男性の声が聴こえてきたのです」
「えー、何それサイアク!もう椛大きいお風呂行けないよー!」
「は、ははは…」
神風と酒蔵に続けてリーゼと安室が報告をすると、神無月が大袈裟に嫌がり、酒蔵が顔を引き攣らせた。
にしても男性の声、か…
酒蔵…お前、何か知ってるんじゃないだろうな。
「あの、次は私達が報告をしても?」
「どうぞ」
「では、報告させていただきます。私と消灯寺様は、男子棟の二階を担当しました。男子棟の二階の設備は、ラウンジ、客室、お手洗いでした。客室は、豪華な客室が1部屋、普通の客室が3部屋、粗末な客室が4部屋となっていました」
「二階も、監視カメラばっかりだったよ。全く、個室にまで監視カメラがあるんだから嫌になっちゃうよねぇ。ああ、ラウンジは中央棟と似た感じだったよ。テレビと娯楽の道具とかはなかったけどねぇ…」
梶野がポーカーフェイスで報告をし、消灯寺は何故か薄ら笑いを浮かべながら報告をした。
すると今度は、神無月と氷川が報告をした。
「あたいが担当した女子棟の二階も同じような感じだったよー!豪華な客室は、ウォシュレットのトイレとジャグジーのお風呂、あとミニキッチンがあったよ!普通の客室は、シャワールームと普通のトイレでー、粗末な客室はボッロい和式のトイレしかないクソザコ設備だったよー!」
「え、えっと…夜時間中は水が出ないそうです…わたし達からの報告は以上になります…」
神無月に続けて、氷川もビクビクしながら報告した。
すると今度は、樺戸が手を挙げながら報告する。
「じゃあ次はオレらだな!オレとリキヤは、男子棟の三階を調べたぜ!!三階には屋内公園とファイナルデッドルームがあったぜ!!」
「ファイナルデッドルーム…?」
「あのクマ公が用意したクソくだらねえゲームができる部屋だとよ」
「
樺戸が報告すると暗野が少し不安そうに尋ね、内闘が不機嫌そうに報告した。
薬師寺も内闘の報告に補足する形で報告すると、神無月が首を傾げながら尋ねる。
「ねえ、さっきから言ってるそのファイナルデッドルーム?って何なの?ゲームってどんなゲームなの?」
「知らないよ。命懸けのゲームをクリアすれば、プレゼントを貰えるとしか」
「プレゼント…それって、ここから脱出して家に帰るのに役に立つものだったり…しないのかな?」
神無月が尋ねると、打田が銃の手入れをしながら答えた。
すると、的凪が少し自信無さそうに尋ね、それに対して薬師寺が腕を組みながら答えた。
「その可能性は低いから、やめておいた方がいいわよ。私達をこんな所に閉じ込めた黒幕が、そんな所に脱出口を用意するわけがないでしょう?」
「た、確かに…」
「それに、見てこれ」
薬師寺は、懐からコンパスを取り出して俺達に見せてくれた。
薬師寺の持っていたコンパスは、グルグルと針が回転していた。
「ここから出られたとしても、位置も方角もわからないんじゃ寒さで凍え死ぬだけ。今は無理して脱出しようとせずに、ここで生き延びる事を考えた方が賢明だと思うわ」
「………」
薬師寺が言うと、的凪は少し残念そうに俯く。
ちょっと空気が暗くなっちゃったかな…
まだ俺達の報告が終わってないし、今言うか。
「なあ、次は俺達いいか?」
俺が手を挙げながら言うと、全員が俺に注目した。
今は話しても良さそうだな。
「俺達が担当したのは、中央棟の二階と三階だ。二階は食堂と厨房と食堂倉庫、三階は売店があったぜ」
「えっと…食堂は、見ての通りで…厨房には、調理器具が色々揃ってたよ…食べ物には毒とかは入ってないし、アレルギー食品も明記されてるから安心していいって、モノクマが…あと、夜時間中は2階と3階には入れないんだって…」
「売店…は…コンビニ…みたい…な…感じ…だった…危険な…薬品…とか…あった…から…気を…つけて……あと…モノモノマシーン…って…いう…機械が…あった…」
「モノモノマシーン?」
「ああ、えっと、バカデカいガチャガチャだよ。この施設の中にはモノクマメダルっていうメダルが隠されてて、それを集めるとモノモノマシーンが引けるらしいんだ。色々景品があるらしいから、メダルを拾ったらやってみるといいんじゃないか?」
「えー、何それ!そんなのあったんだ!じゃああたいももっと舐め回すくらいにしつこくねっとりと調べとけばよかった〜!」
俺、暗野、山脇が報告すると、神無月が唇を尖らせながらリアクションした。
すると的凪が、神無月のリアクションに苦笑いを浮かべながら報告を始めた。
「えっと…じゃあ、最後はボク達だね。ボク達は、中央棟の地下一階と一階を調べたよ。地下にはボイラー室とトラッシュルームが、一階には玄関とロビー、ラウンジがあったよ。トラッシュルームの焼却炉は、夜時間中動かないらしいから気をつけてね」
「でも、スイッチ押せばオンオフを切り替えられるって…ものるなが…すやぁ」
「六道さん!寝ちゃダメだよ!?」
的凪に続けて六道も報告したが、六道は鼻提灯を膨らませて涎を垂れ流しながら眠ってしまった。
的凪が揺すり起こそうとしても起きる気配がなく、神風がため息をつきながら的凪に指示を出す。
「的凪、続けてくれるか?」
「う、うん…えっと、ロビーは皆行った事あるから特に言う事ないと思うけど…ラウンジには、本とか雑誌とか…あとファイルとか、色々あったよ」
「む、ファイルだと?」
「うん。殺人鬼についてのファイルなんだけど…」
「ひい!?殺人鬼!?」
的凪が報告すると、暗野が肩を跳ね上がらせる。
すると的凪は、暗野の反応に困ってしまう。
「ごめん、怖がらせるつもりは無くて…やっぱり、運で選ばれただけのボクは皆に迷惑をかけるだけなのかな…」
的凪は、自分のせいで暗野が怖がってしまったと思い込んで落ち込む。
すると打田は、腕を組んでため息をつきながら話題を切り出す。
「で、結局誰なの?あたしらをここに連れてきたクソはさ」
「クソはやめなさい打田さん。私は、希望ヶ峰学園の関係者なんじゃないかって思ってるけど…」
打田が言うと、薬師寺が自分の推測を話す。
すると的凪が言いづらそうに口を開く。
「あの…あいつの仕業じゃないよね…?」
「あいつ?」
「ほら、あいつだよ。『ジェノサイダー翔』だよ」
「ジェノサイダー翔?何だそりゃ」
「あれだよな?今世間を騒がせてる連続殺人鬼。確かターゲットをハサミで滅多刺しにして磔にするっていう…」
「現場には血文字も残ってたんだって。リョーキテキだな…ぐぅ」
的凪の発言に対して樺戸が首を傾げていたので、俺が説明を付け足した。
的凪の隣では、六道が寝ながらゲームをしていた。
すると、その時だった。
『レンゾクサツジンキー?何それドイツ人?』
『キャハハ、ジェノサイダーショー?何それサイダーをスプラッシュするショーかな?』
突然、どこからかモノクマとモノルナが現れた。
すると暗野と神無月がぎゃあぎゃあと騒ぐ。
「ぎゃあ!?出たぁ!!」
「汚物が食堂に来るな!!不愉快!!」
「いきなり出てきて、何の用?」
薬師寺は、モノクマを睨みつけながら尋ねる。
するとモノクマは、笑いながら話し始める。
『うぷぷぷ…オマエラが何か見当違いなことで悩んでるみたいだから、ちょっといい事を教えてあげようと思ってさ!ねえねえ、ところでオマエラ、コロシアイはしないの?外に出られるんだよ?』
「私達は…コロシアイ…なんて…しない…」
「そうだ!俺達は…17人全員でここから出て、家に帰るんだ!!」
山脇が言うと、俺も続けて言った。
俺達は、絶対にコロシアイなんかしない。
17人全員でここから出るんだ。
『キャハハ!17人全員で、ねえ…オマエラ、本当にそこにいる17人全員が味方だとでも思ってるの?もしこの中に、裏切り者がいるとしたら?』
「…!?」
モノルナは、甲高い笑い声を上げながら不吉な事を口にした。
その言葉を聞いた途端、何人かの表情が曇る。
『じゃあオマエラの仲良しこよしなムードを程よくぶち壊した事ですし?動機も配った事ですし?ボク達はこの辺でー』
『みんなバイバ〜イ☆』
モノクマとモノルナは、不吉な発言だけ残してその場から去っていった。
樺戸は、モノクマ達がいた場所を睨んでいた。
「クソッ、アイツら…好き勝手言いやがって…!!」
俺達は、ほとんど全員モノクマ達に敵意を抱いていた。
すると内闘が暗野を睨みながら尋ねる。
「おい、暗野。てめぇが裏切り者なんじゃねえだろうな」
「えっ…!?」
「てめぇだけ自分の才能を言ってねえじゃねえか。どう考えたって怪しいだろ」
「ぼ、僕は裏切り者じゃないよ…!才能は、本当に思い出せないんだ…!」
内闘は、完全に暗野を疑いにかかって暗野を問い詰めた。
暗野は、半泣きになりながら必死に否定した。
…何だろう、俺は…暗野は絶対に裏切り者じゃない気がする。
そんな根拠どこにもないけど、俺は…ここで初めて出会った友達を信じたい。
「待てよ内闘、才能がわからないからって暗野が裏切り者とは限らないだろ!?」
「そうですわ!内闘さん、暗野さんのお話も聞いてあげて下さい!」
俺が内闘を説得しようとすると、リーゼも俺に賛同した。
すると内闘は、舌打ちをしながらリーゼを睨みつけてきた。
「チッ…リーゼてめぇ、何いい子ぶってやがんだ。点数稼ぎか?ああ!?」
「違いますわ!わたくしは、ただ…」
「うるせえ!!そうやって誰にでもシッポ振りやがって、オレはてめぇみてえな奴が一番嫌いなんだよ!!」
「口を慎め貴様ァ!!切り刻んで
リーゼが涙目になるのもお構いなしに内闘が罵倒すると、リーゼの全自動セ◯ムこと安室が激怒して内闘に罵声を浴びせた。
おいおい、また喧嘩かよ…!
こいつら、水と油じゃないか…!
内闘と安室が喧嘩をしそうになっていると、神風が二人を睨みながら低い声で威圧する。
「少し黙れ」
神風が威圧すると、二人は喧嘩をやめて神風の方を見る。
すると神風は、顔の前で手を組んだまま話を始める。
「内闘。試合で培ったお前の体力とタフネスは、俺も高く評価している。だが今のお前の態度はいただけないな。俺にはないその力を、もっと建設的な事に活かしたらどうだ」
「てめぇも結局そうやってこいつらの味方する気かよ」
「俺は合理的な判断ができる奴の味方だ。少なくとも、自分を諭してくれた仲間にまで暴言を吐く今の貴様は擁護できない。一度頭を冷やせ」
神風は、冷静に内闘を諭した。
すると内闘は、立ち上がって苛ついた様子で椅子を蹴った。
「…クソッ、やってられっか!!」
「内闘さん!どちらに行かれるのですか!?」
「決まってんだろ…裏切り者がいるかもしれねえってのに、てめぇらなんかと一緒にいられるかよ!」
そう言って内闘は、声を荒げながら食堂を出て行った。
何なんだよ、内闘の奴…
せっかく皆が探索の報告をしてくれたってのに…
一部の内闘を心配するメンバーと、内闘を不快に思うメンバーの間で空気が滞っている中、空気の読めない発言をする奴がいた。
「はらへったー…」
六道が机に突っ伏して腹の虫を鳴らすと、俺も含めて皆が目を点にする。
おいおい…この空気の中それを言うか?
俺は、思わず顔を引き攣らせながらツッコミを入れた。
「あのなぁ、六道…こんな時に…」
「ちはるははらがへった。ごはんがないからつくえ食べる」
「わーっ、机食べちゃダメだよ六道さん!っていうかそもそも食べられないし!」
六道が寝ぼけて机を齧ろうとすると、的凪が慌てて止めた。
すると、他のメンバーも空腹を訴え始める。
「んー、でも確かにあたいもお腹空いたー!」
「確かに、ちょうどお昼の12時だものね。どうする?大和」
「そうだな…とりあえず全員報告が終わったし、今からは昼食の時間としよう。腹を満たしたからでないと頭が回らないからな」
薬師寺と神風の判断で、俺達は一旦昼食を摂る事になった。
すると、氷川が弱々しく手を挙げながら口を開く。
「あ、あの…皆さん、お料理はわたしが作ります…」
氷川が言うと、全員が氷川に注目する。
氷川は、涙目になってわたわたしながら話した。
「す、すみません…!いきなり変な事を言ってしまって…!で、でもぉ…ご飯を食べれば、皆少しは頭が冷えるかなぁって…」
「なるほど…一理ありますね。そういう事でしたら、私もお手伝いします」
「んじゃ、おじさんもいっちょ腕を振るうか!」
「私も…料理…やる…」
氷川が言うと、梶野、酒蔵、山脇の三人も名乗り出た。
他のメンバーも名乗り出そうな勢いだったので、神風が慌てて制止した。
「待て待て、その人数でいっぺんに厨房に入ったら却って非効率だ。ここは当番制にして、食事毎に当番を割り振るのが合理的なのではないか?」
「んじゃとりあえず料理できる奴、名乗り出ろ」
酒蔵にそう聞かれて名乗り出たのは、俺、薬師寺、リーゼ、消灯寺、山脇、梶野、氷川の7人だった。
結構料理できる奴多いな…
俺もそこまで上手いわけじゃないが、人並みには出来るとは思う。
名乗り出なかった暗野、神風、安室、神無月、樺戸、打田、的凪、六道の8人はというと…
「ご、ごめん…ボクは…」
「あはは、ボクは何の才能も無い一般人だから…ごめんね」
「俺も料理は専門外だ。すまない」
「オレはカバディしかできねえ!!」
「にゃはは、あたいもカルタ以外ぶきっちょだから〜!」
「何であたしがあんた達の為に料理しなくちゃいけないわけ?」
「ぐぅぐぅ」
「俺様は、米と塩を供物に儀式を行ったのだがな…気が付けば我が同胞をカタストロフィへと導く呪物へと化していたのだ。さながら錬金術といったところか…」
「ええと、安室さんは『おにぎりを作るつもりが失敗して、それを食べた友達が気分を悪くした』と仰っていますわ」
ちょっとカッコ良く言うな、食えるものを食えなくしただけだろ。
つーか何で塩むすび作ろうとしただけでそんな大惨事になるんだよ。
料理のサンプルはすごい精巧に作れるのに、料理はできないのかよ。
今日の昼は、山脇と氷川が作ってくれるらしい。
楽しみだな。
そんな事を考えていると、唐突にリーゼが口を挟んだ。
「あの、ところで内闘さんは如何いたしましょう?」
「今無理に連れて来ようとしても逆効果だろう。飯なら後で届けてやればいい。今はあいつに頭を冷やす時間を与えてやれ」
「そうだよな…よっし!じゃあリキヤのメシはオレが届けてやるぜ!!」
「………」
リーゼが尋ねると、神風が指示を出す。
それを聞いて樺戸が手を挙げながら立ち上がるが、リーゼは少し俯く。
すると安室がリーゼを心配する。
「むっ、どうした?我が盟友よ」
「いえ…わたくしも内闘さんにお食事を届けたいと思っていたのですが…よく考えたら、嫌っているわたくしにそんな事をされてもご迷惑なのでは、と…」
安室が尋ねると、リーゼが困った様子で話す。
リーゼが困り果てているのを見た神風は、ため息をつきながら話す。
「心配無い。俺の経験則上、ああいうタイプと打ち解けるには、余計なお節介が一番よく効く」
「そうですね。私も幼い頃から色んなお客様を見てきたのでわかりますが、内闘様はリーゼロッテ様の事を本気で嫌っているわけではないと思います」
「そういうものなのでしょうか…」
神風に続けて梶野も微笑みを浮かべながら言うと、リーゼは少し考え込んだ。
するとその時、氷川と山脇が作った料理を運んでくる。
「み、皆さん、お料理…できましたよ…」
「わーい、あたいもう腹ペコだよー!」
「うまそー!!」
氷川が料理を運んでくると、神無月と樺戸がキャッキャと大喜びした。
チャーハンに卵スープ、餃子、それからトマトの冷菜か。
どれも美味しそうだ。
皆が食事に手をつけようとしたその時、打田が席から立ち上がる。
すると配膳を手伝っていた梶野が打田に声をかけた。
「打田様、どちらに行かれるのですか?」
「…別に。ペンション内を調べようと思っただけ。一応席には着いたんだからもういいでしょ」
「あ、あの…ご飯は…」
梶野の質問に対して打田がぶっきらぼうに答えると、氷川はオドオドした様子で尋ねる。
すると打田は、ため息をついて冷たく言い放った。
「あのさぁ…あんたら、危機回避能力が無さすぎなんだよ。初対面の相手の手作りなんて食べるわけないでしょ?毒が入ってるかもしれないのに」
打田がそう言うと、皆がどよめく。
特に過剰に反応したのは、暗野と神無月だった。
「ひ、ひい!?」
「毒!?」
「あっ、神無月さん…!」
暗野はビクッと肩を跳ね上がらせ、神無月はたった今飲もうとしていた卵スープの器を落として床にぶちまけた。
すると、消灯寺もため息をついて席から立ち上がった。
「…悪いけど、僕も遠慮させてもらおっかなぁ。そんな話されたら普通に食欲失せたし。ご馳走様」
「僕は…ごめんっ、ごめんなさい…!」
「ぼ、ボクは…ごめん…」
「ぐぅぐぅ」
消灯寺に続けて、暗野、的凪、六道も食事の手を止めた。
消灯寺と六道に至っては、自分の席を立ってしまった。
暗野は、仲間を信じられなかった自責の念に駆られて涙を流していた。
どうしよう、せっかく皆がまとまってきたところだったのに…
「椛ももういらない!!死にたくないもん!!こんなもの!!」
「あっ…!」
神無月は、俺達全員を睨みながら自分の分の食事を払いのけて床にぶちまけた。
せっかく作った食事を神無月に捨てられた氷川と山脇は悲しそうな表情を浮かべ、それを見た樺戸が痺れを切らして机に身を乗り出し、神無月に向かって怒鳴りつける。
「テメェ、食い物粗末にすんな!!」
「お前らなぁ!!せっかく氷川ちゃんと山脇ちゃんが作ってくれたんだぞ!?」
「そんなの知らないよ!みんな死んじゃったら意味ないでしょ!?」
「んだと…!?」
樺戸に続けて酒蔵も神無月達に怒鳴りつけると、神無月は目に涙を浮かべながら感情を剥き出しにして反論した。
神無月の身も蓋もない言い方に樺戸はさらにヒートアップし、取っ組み合いの喧嘩に発展しそうになった。
すると流石に見かねた梶野、薬師寺、神風が止めに入る。
「落ち着いて下さい、樺戸様、神無月様、酒蔵様!」
「やめなさい三人とも!」
「お前らいい加減にしろ」
「全く、騒騒しい…」
「み、皆さん…お食事はお行儀良く食べましょう?ね?」
「うっせえ今それどころじゃねえんだよ!何も言う事ないなら喋るな!!」
「何だと貴様ァ!!」
梶野が酒蔵と樺戸を、薬師寺が神無月を止め、神風は全員を威圧した。
安室はこの騒動に呆れていて、リーゼが穏便に全員を説得しようとすると、神無月がリーゼにまで罵声を浴びせたので安室が激昂した。
おいおい、何飛び火させてんだよ…!
俺がこの現状に困惑していると、右の方から泣き声が聞こえてきた。
「うぅ…ひっぐ、ぐすっ…ごめんなさい、ごめんなさい…!わたしが、軽率にお料理したいなんて言ったからぁ…!ごめんなさぁい…!」
「ごめん…なさい…片付けるね…」
料理を作った氷川は泣き出してしまい、山脇は俯きながら全員の食事を下げようとする。
俺は…
気が付けば、目の前の食事をがっついていた。
皿に乗っているものを口の中にかき込んで、胃に流し込む。
…うん、美味い。
俺達の為に頑張って作ってくれたのが伝わってくる。
こんなに美味いのに食わないなんて、もったいねえよ。
「あっ、東野さん!いただきますはどうしたんですか?慌てずに、よく噛んで食べて…」
「リーゼロッテよ…今それをツッコむのはおかしいと思うぞ」
「美味いよ、氷川、山脇。こんな美味い飯作ってくれてありがとな」
俺が二人に礼を言うと、氷川は口を手で覆って泣き出し、山脇は下に向けていた顔を上げた。
すると、席を立った六道が神無月の席の前まで歩いていき、その場でしゃがみ込んで床に落ちた料理を口に含んだ。
「もぐ…」
「オェエ!!あんた正気!?床に落ちたものを食べるなんて!」
「3時間ルールです」
「3秒でしょ!?」
六道が床に落ちた料理を手づかみで食べると、神無月が気持ち悪がる。
六道が周囲のドン引きする目には目もくれずに床の料理を食べ続けると、的凪がツッコミを入れた。
「ボクはありとあらゆる薬物毒物を舐めて識別することができます。この料理を食べた結果、薬物や毒物の類は含まれていないと断定できます」
「マジか、毒って舐めてわかんの!?」
「普通はできないと思いますが…」
六道が人間離れした特技を自慢すると、樺戸が目を丸くし、梶野が冷静にツッコミを入れた。
六道は、落ちた食事を頬張りながら氷川と山脇に声をかけた。
「これ、おちてもおいしいよ」
六道が言うと、氷川は再び泣き出しそうになる。
六道…最初は何考えてるかわからない奴だと思ってたけど、いい事言うじゃないか。
食事に手をつけた俺達を見て、神風や薬師寺、樺戸、酒蔵も食べ始める。
「ちょっ、あんた達も食べるの!?正気!?」
「栄養失調で死にたくないからな」
「せっかく作ってもらったのに食べないのも悪いでしょ?」
「うん、やっぱり氷川ちゃんの作るメシは旨えな。山脇ちゃんも料理上手なんだな」
「だな!みるく、ゆか!おかわり!!」
「…っ!!はい!待ってて下さいね、すぐ作りますから!」
樺戸がおかわりを催促すると、氷川は嬉し涙を流した。
それを見て、他の皆も食事を食べ始める。
腹が膨れたところで、俺、梶野、酒蔵の三人で食器洗いをした。
やっぱり、普段から料理を作り慣れてるってだけあってすげえ手際いいな…
一方で、樺戸とリーゼは食事を内闘に届けにいっていた。
あいつら、大丈夫かな…
俺達が食堂の片付けを終わると、神風が全員に声をかけた。
「さて、これから部屋割りを決めに行くぞ。ここにいない奴等には、俺と療香から伝えておく」
「ああ」
部屋割りか…
そういや、男子棟にも女子棟にも部屋にグレードがあるんだったな。
うう、粗末な客室にだけは寝たくねえな…
◆◆◆
side L
わたくしは、食事が終わった後、内闘さんの分のお食事を持って中央棟へ向かいました。
ラウンジに顔を出してみると、案の定内闘さんがいらっしゃいました。
わたくしと一緒に食事を運んで下さった樺戸さんは、内闘さんを見るなり大声で声をかけました。
「おーーーい、リキヤーーー!!」
「チッ、またてめぇらか。何の用だ」
樺戸さんが声をかけると、内闘さんは鬱陶しそうに振り向きました。
どうやらそのご様子ですと、お食事はまだのようですね。
「オメー、メシまだだろ?持ってきてやったぜ!」
「っ…!余計なお節介だっつの!!いらねえよそんなもん!!」
樺戸さんがお食事を差し出すと、内闘さんは声を荒げました。
弱りましたね…かなり参っていらっしゃるようです。
やはりまだ、わたくし達の事は信用してくださらないのですね…
「あの、全て新鮮で安全な食材を使って調理されたものですので、ご安心して召し上がって下さい」
「そういう事じゃねえよ…てめぇら、何でいちいちオレに構うんだよ?」
「だって放っておけねえだろーが!!リキヤは、オレ達の仲間なんだぞ!?困ってるかもしれねえ仲間を心配するなんて、当たり前の事だろ?点数稼ぎとかじゃなくてさ、普通に!」
「わたくし達だけではありません。神風さんも、薬師寺さんも、東野さんも、皆さん内闘さんを心配していらしてよ。お願いですから、お食事くらいは召し上がってくださいまし。ここから出る前に栄養失調で倒れてしまっては、元も子もありませんわよ」
「…………」
わたくしは、思っている事をそのまま内闘さんに伝えました。
すると内闘さんは、おずおずと食器に手を伸ばし、食事に手をつけてくださいました。
「リキヤ…!オメー…」
「ここから出る前にぶっ倒れるのだけはごめんだからな。勘違いすんなよ、オレはこんな馴れ合い程度でてめぇらの事を信用したわけじゃねえからな」
そう言って内闘さんは、山脇さんと氷川さんが作ってくださった食事を完食しました。
どうやら、内闘さんも少しは心を開いて下さったようですね。
わたくしと樺戸さんが、内闘さんがお食事を完食したのを見届けたちょうどその時、薬師寺さんからチャットが来ました。
「あら、薬師寺さんからチャットが来ていますわ」
「あ、オレはヤマトから来てんな」
ええと、チャットには、『これから部屋割りを決めるから女子棟の2階に来い』と書かれていますわね。
樺戸さんに届いた神風さんからのチャットにも、同じような事が書かれていたようです。
「リキヤ、オメーも来いよ!」
「…チッ、わぁってるよ」
樺戸さんは、男子棟に内闘さんを引っ張っていきました。
内闘さんは、樺戸さんに任せておけば大丈夫そうですわね。
さて…と。
わたくしも女子棟に向かいませんと。
◆◆◆
side HG
俺達は、昼食が終わった後、神風に呼ばれて男子棟の2階に集まった。
これから、部屋割りを決めるらしい。
すると梶野が手を挙げて発言した。
「あの、私達男性陣は9人なのに対し、部屋の数は8部屋しかありません。これは一体どうしたら良いのでしょうか?」
「問題無い。俺がラウンジに寝る」
「「「!?」」」
神風が言うと、ほとんど全員が驚く。
そんなにあっさり決めていいのか…?
俺は、思わず神風の決定に口を挟んでしまった。
「えっ、神風…お前、そんなにあっさり…」
「争いを避ける為だ。お前達の不満を少しでも減らせるなら、部屋くらいいくらでも譲ってやる。上に立つ者として当然の務めだ。野宿なんて慣れっこだしな」
神風は、腕を組みながら理路整然と語った。
上に立つ者として、付き従う人達の事を第一に考えて時には自己犠牲すら厭わない。
だからこそ、神風の隊の人達は皆ついていくんだろうな。
だがそんな中、神風の決定に声を荒げる奴がいた。
「そんなのダメだよ!」
神風の決定に異議を唱えたのは、的凪だった。
的凪は、珍しくハッキリと自分の意見を伝えた。
「あっ、えっと…神風くんは、ちゃんとした場所で寝るべきだと思うな。ボク達のリーダーだからこそ、ちゃんと身体を休められる時に休めてほしいんだ。だからさ、その、ここは皆腹を括ってジャンケンにしない?」
「………」
的凪が言うと、神風は僅かに目を見開く。
すると他のメンバーも、的凪の提案に賛成した。
「私も賛成です。こういう時は、運に委ねてしまうのが一番かと」
「んー、まあしょうがねえか」
「運も実力のうちって言うしねぇ」
「…わかった。その代わり、恨みっこなしだからな」
的凪の提案を、神風も頬を掻きつつも受け入れた。
俺達は結局、ジャンケンで部屋割りを決める事になった。
その結果…
「あ、あの…なんかごめんね…?」
1番に勝ち抜けした暗野が豪華な客室。
「あらら…流石に運には勝てませんでしたね」
「俺はどこでも良かったんだがな…」
「………」
二抜けの梶野、三抜けの神風、四抜けの消灯寺が普通の客室。
「チッ……クソが!!」
「あーあ、まあしゃあねーか!」
「的凪クン、【超高校級の幸運】っていう割にはジャンケン弱えな」
「ボクは何の才能も無い凡人だからね…」
「まあ誰かさんよりはマシだけどな」
「あはは…ごめんね、東野くん」
「…………」
内闘、樺戸、酒蔵、的凪が粗末な客室。
そして俺がラウンジで寝る事になった。
…うん、こうなる気はしてたよ。
俺って昔からジャンケン弱いもんな…
そう思っていると、消灯寺が内闘に声をかけた。
「あの…内闘君…」
「ああ?何だよ」
「良かったら部屋、交換してもらえない?」
「!」
「僕、フローリングだと落ち着かないからさ…ダメかなぁ?」
「…おう、交換してくれるっつーんなら…」
「やった、ありがとう!」
消灯寺は、内闘に部屋を交換してもらえて喜んでいた。
すると神風も部屋を誰かに譲ろうと名乗り出る。
「仕方ない、俺の部屋も譲ってやる。樺戸、酒蔵、的凪。お前らは?」
「あー、いいよ。歳下差し置いて出しゃばんのも大人気ねえし」
「オレも別にいいよ!寝るとこさえありゃどこでも寝られっから!」
「ボクも遠慮しとくよ。何か悪いし…」
「そうか」
神風が部屋を譲って欲しいメンバーがいないか尋ねるが、皆神風の提案を断った。
まあ、ここで交換しろっていうのも図々しいしな…
っていうか、俺忘れられてない?
俺がそう思っていたその時、暗野と的凪が声をかけてくる。
「あの…「東野くん、良かったらボクの部屋一緒に使わない?」
暗野が何か言おうとしたのを遮って、的凪が提案してくれた。
俺は思わず、キョトンとして的凪に尋ねた。
「……いいのか?」
「うん。ボクみたいな凡人の部屋で申し訳ないけど…それでも、東野くんの役に立ちたいんだ!」
「あー、じゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな。ありがとな、的凪」
「とんでもない!超高校級の東野くんの役に立てるなんて、こんなにも光栄な事はないよ!」
的凪は、満面の笑みを浮かべて言った。
俺を気にかけて部屋を分けてくれるなんて、的凪は本当に良い奴だな。
そういえば、暗野が何か言おうとしてたけど、もしかして的凪と同じ提案をしようとしてくれてたのかな。
そうだとしたら申し訳ないが、俺は的凪の部屋を使わせてもらおう。
ジャンケンに負けておいて豪華な客室を使わせてもらうのも何か悪いし。
結局、豪華な客室は暗野、普通の客室は梶野と神風と内闘、粗末な客室は樺戸と消灯寺と酒蔵と的凪が使う事になり、俺は的凪の部屋を一緒に使う事になった。
結局、部屋順はこうなった。
暗 梶 消 酒
神 内 樺 的(東)
梶野が俺たちそっくりの似顔絵を用意してくれて、的凪の部屋のドアには的凪と俺の似顔絵を貼ってくれた。
別に似顔絵じゃなくて良かったんだが…
そういえば、女子の方は平和に決められてるのかな。
◆◆◆
side YK
私は、女子の皆を女子棟2階に集めた。
打田さんにもチャットで呼びかけて、ちゃんと来てくれた。
さて、と。
これから部屋割りを決めないとね。
「これから部屋割りを決めるけど、私は粗末な客室でいいわよ。もっと劣悪な環境での野宿も慣れてるし。あとは皆で決められる?」
「じゃああたしも粗末な客室でいい」
私が言うと、すぐに打田さんは手を挙げて言った。
全員が打田さんの方を見ると、打田さんはため息をつきながら言った。
「戦場に比べれば全然マシだし。あたしはあんたらと違ってどこでも生きてける自信あるし、こんなくだらない事で時間使いたくない」
「ちょっと、どこ行くの打田さん」
「売店。部屋決まったんだからもう良いでしょ」
打田さんは、自分の個室だけ決めるとそそくさと去ってしまった。
仕方ないわね…とりあえず、他の皆の個室だけでも先に決めちゃわないと。
「とりあえず、他の皆はジャンケンでいいかしら?」
「ええ」
「ふっ…良かろう」
「言っておくけど、負けても恨みっこなしよ?」
結局、私と打田さん以外の皆はジャンケンで決める事になった。
その結果…
「………」
一抜けの山脇さんが豪華な客室。
「ふっ…これもまた運命か…」
「流石ですわ、安室さん!」
「あ、あの…」
二抜けの安室さん、三抜けのリーゼロッテさん、四抜けの氷川さんが普通の客室。
「うわあああああん!!こんなばっちいとこで寝れないよぉおおお!!」
「むぅ……」
最後まで残ってしまった神無月さんと六道さんが粗末な客室に寝る事になった。
神無月さんに至っては、泣き喚いてしまった。
「恨みっこ…なし…って…」
「うっせえ!!あんたは豪華な客室だからそんな事言えるんだろ!!他に言う事無いなら喋るな!!」
「………」
神無月さんは、窘めようとした山脇さんに向かって八つ当たりした。
これはまずいわね…
今の神無月さんには、山脇さんが何を言っても神経を逆撫でしてしまう。
私がそんな事を考えていると、氷川さんが前に出て言った。
「あの…神無月さん…部屋、交換しましょうか…?」
「わーい、ありがとうみるくちゃん!みるくちゃんは優しいね!」
氷川さんが部屋の交換を提案すると、神無月さんはケロッとした様子で機嫌を直した。
切り替え早いわね。
…というか、さっき自分が何をしたか忘れてるんじゃないかしら。
「ちょっと神無月さん。山脇さんに何か言う事があるでしょう?」
「え?何が?」
「惚けないで。さっき山脇さんに暴言を吐いたでしょ?早く謝りなさい」
「は?何で椛が謝らなきゃいけないの?別に暴言なんか吐いてないし!」
この子…自分が何をしたかわかってないわね。
私は、神無月さんを睨みつけながら少しキツめに叱った。
「謝りなさい」
「うぅっ…わ、わかったよぉ。あたいが悪かったよ…ごめんなさぁい。これでいい?」
私が神無月さんを叱ると、神無月さんは涙目になりながら山脇さんに謝った。
心から反省してるようには見えないけど…山脇さんがそれで良いならよしとしましょうかね。
「あの、六道さん。わたくしもお部屋を交換して差し上げましょうか?」
「何だと!?リーゼロッテがそんな事をするくらいなら俺様が交換してやる!」
「…いい。結果は結果だし。ちはるはどこでも寝れるから」
リーゼロッテさんと安室さんが我先にと六道さんに部屋を譲ろうとするという中々にシュールなやり取りが繰り広げられる中、六道さんは二人の提案を拒否した。
豪華な客室は山脇さんが、普通の客室はリーゼロッテさんと安室さんと神無月さんが、粗末な客室は私と打田さんと氷川さんと六道さんが使う事になった。
結局、部屋割りはこうなった。
山 椛 氷 六
リ 安 薬 打
山脇さんが私達そっくりの似顔絵を用意してくれて、私達の部屋のドアに貼ってくれた。
別に似顔絵じゃなくて良かったのだけれど…まあいいか。
さてと、部屋割りは平和に決められた事だし、そろそろ自由時間にしようかしらね。
◆◆◆
side HG
俺と的凪は、早速部屋作りを始めた。
最低限掃除をして、売店で買った寝袋や日用品をセッティングした。
二人で売店に行った時、的凪に家具の相談をされたりなんかもした。
「東野くん、これどうかな?」
「いやぁ…流石にあの部屋にシャンデリアは合わねーだろ」
「そうかなぁ」
的凪が売店にあった小さめのサイズのシャンデリアを買おうとしていたので、流石に止めた。
粗末な客室にシャンデリアはガチャガチャしちまうだろ…
的凪ってひょっとして意外とインテリアセンス無かったりすんのか?
的凪の意外な一面に驚きつつも、二人がかりで掃除をしたら、粗末な客室とは思えないほど綺麗な仕上がりになった。
「…ふぅ、こんなもんか」
「そうだね。ありがとう、東野くん!」
「俺は部屋貸してもらってる立場だし、これくらい当然だよ」
「えへへ…こうして東野くんと一緒に作業してると、何だか不思議な気分だなぁ」
天使だ…
…はっ、しまった。
的凪の笑顔に、つい警戒を忘れて安心し切ってしまった。
俺が咳払いをして誤魔化した、その時だった。
ドゴォオオオオオオン!!!
「「!?」」
突然、地響きのような音が鳴り響いた。
この音…ラウンジからだよな…!?
「行ってみよう」
「う、うん…:」
俺と的凪は、すぐにラウンジに駆けつけた。
そこで見たのは……
「内闘…………!!」
ーーー 生存メンバー ーーー
【超高校級の小説家】
【超高校級の???】
【超高校級の司令官】
【超高校級の軍医】
【超高校級のオルガニスト】リーゼロッテ・ベルゲングリューン
【超高校級の原型師】
【超高校級の心霊学者】
【超高校級の絵本作家】
【超高校級のディーラー】
【超高校級のカルタ師】
【超高校級のグラシエール】
【超高校級のソムリエ】
【超高校級のカバディ選手】
【超高校級のプロレスラー】
【超高校級の狙撃手】
【超高校級の幸運】
【超高校級のゲームプログラマー】
ノコリ17人
ーーー 死亡メンバー ーーー
【超高校級のギャル】
以上1人
【おまけコーナー】
コロシアイ合宿参加者テスト結果
1位 薬師寺
2位 神風
3位 梶野
4位 山脇
5位 東野
6位 暗野
7位 消灯寺
8位 打田
9位 リーゼ
10位 的凪
11位 殉前
12位 六道
13位 安室
14位 神無月
15位 樺戸
16位 氷川
17位 酒蔵
18位 内闘
殉「うわ、りょーちゃんほぼ満点じゃん!ヤバ!」
薬「国語がちょっと苦手で点数落としちゃったけどね」
酒「神風クンも梶野クンも点高すぎだろぉ!何なのマジで!?」
神「酒蔵、内闘。貴様らはもう少し勉学に励め。この調子だとまた留年だぞ」
消「怠け者がバカを見るとはまさにこの事だねぇ…」
酒「うぐぅ…!」
内「勉強なんてまともにやった事ねえよ…」
梶「まあまあ、私も分かる範囲で教えて差し上げますから」
山「私も…国語だけなら…」
暗「5位…すごいね東野君」
東「数学もうちょい取りたかったけどな」
薬「打田さん、リーゼロッテさん、安室さん。あなた達数学得意だったのね」
打「…別に、仕事柄必要だったってだけ。狙撃手が空間計算できないとか致命的だし」
リ「数学は万国共通ですから!日本独自の科目は難しくて点落としちゃいましたけど…」
安「クハハハ!闇の問いかけならば俺様に任せるが良い!」
リ「安室さんなら安心ですわね!」
東「安室、お前地頭メチャクチャ良いのに文系教科が全然できないよな」
暗「あれ…?東野君がつきっきりで教えてあげてたんじゃ…」
東「ありゃダメだ、あいつ絶望的に文章が読めなさすぎる。あいつ、『黄昏』を何て読んだと思う?」
安「フッ、愚問だな。『黄昏』の読みはトワイライトだろう?」
東「ほら」
的「あはは…」
殉「ナギコ全部平均点とか、逆に凄くね?」
的「あはは…まぐれだよまぐれ」
六「それよりも全部きっかり60点取ったちはるを褒めろ」
東「それ逆に全教科満点取るより難しくね?」
薬「そんな縛りプレイせずに真面目にやりなさいよ。あと殉前さん、あなたも地頭は良いんだから真面目にやりなさい」
殉「えー、あたしモデル業で忙しいからぁ」
椛「にゃはは、ラムジちゃんはともかく、みるくちゃんは意外と勉強できないんだねー!ムキムキでバカとか、もうそれメスオーガじゃん」
氷「ひぃぃ!バカでごめんなさぁぁぁい!」
樺「オレにはカバディがあっから!」
東「胸張って言える事じゃねえだろそれ…あと神無月、お前も文系教科以外全部赤点じゃなかったか?」
椛「う、うるさいなぁ!!しょうがないじゃん、あたい数学とか理科とか全然わかんないんだもん!!」
薬「じゃあ週末私が教えてあげるから、皆勉強道具持って家に来なさい」
椛「う、うぅ…わかったよぉ…」
樺「よっしゃあ!!じゃあ週末は皆で勉強会だ!!」
安「何故貴様が仕切るのだ…」
推しがいたら教えてくんなまし
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東野潤_小説家
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暗野斬良_???
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殉前詩乃子_ギャル
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神風大和_司令官
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薬師寺療香_軍医
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リーゼロッテ_オルガニスト
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安室明日奈_原型師
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消灯寺霊庵_心霊学者
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山脇ゆか_絵本作家
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梶野運命_ディーラー
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神無月椛_カルタ師
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氷川みるく_グラシエール
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酒蔵飛露喜_ソムリエ
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樺戸ラムジ_カバディ選手
-
内闘力也_プロレスラー
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打田清美_狙撃手
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的凪梢_幸運
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六道千春_ゲームプログラマー
-
モノルナ_引率教師