インフィニティダンガンロンパ6 ようこそぼくらのコロシアイ強化合宿 作:M.T.
《ロビー》
ラウンジを出た俺達は、まずロビーに行ってみる事にした。
ロビーはペンションによくあるタイプの洒落た空間になっていて、そこには6人の男女がいた。
派手な格好をしたギャル、軍服を着た男女、西洋人の顔付きをした女子、眼帯をつけた女子、前髪で目を隠し狐のお面をつけた男子の6人だ。
…マジかよ。
他にも人いた。
しかも見た事ある顔が何人かいる。
どうやら他の人達も、俺と同じ希望ヶ峰学園の新入生のようだ。
俺が6人に声をかけようとした、その時だった。
「あー!人来たよ!ねえ人来た!カミヤマ、リョーちゃん聞いてる?マジゲロヤバ!」
「落ち着け殉前誌乃子。それくらい見ればわかる。まずは自己紹介をだな…」
ギャルがハイテンションで軍服の二人組に話しかけ、男の方がギャルを落ち着かせていた。
会話の内容はよくわからないが…
あ、ギャルがこっちに向かってきている。
勢いすごいな…
「ちーっす!あんたらも新入生?そうでしょ?ここにいる皆そうなんだよね!」
ギャルは、手を振りながら俺達に話しかけてきた。
ピンクブロンドのサイドテールに水色のツリ目、抜群のプロポーションに目を惹かれる美少女だ。
白いブレザーと青緑のミニスカートをオシャレに着こなしていて、思わず崇めてしまいたくなるような魅力がある。
…あれ?
この女は確か…
「ひっ…女の人怖い……」
俺が考え事をしていると、暗野が俺の後ろに隠れた。
だからお前の体格じゃ俺の後ろに隠れても意味無いって。
確かに初対面でこのテンションは人を選ぶかもしれんが…いくらなんでもビビりすぎじゃないか?
「あたしは
【超高校級のギャル】
殉前詩乃子…ああ、思い出した。
確か今若者の間で人気を博してるギャルで、ファッション誌の読者モデルの仕事もやってるんだっけか。
何かこう、こうも普通に有名人と話してると不思議な感じがするな。
「俺は【超高校級の小説家】東野潤だ。…で、後ろにいるのが暗野斬良。よろしく」
「ヒガジュンにキラリンね!よろしく!」
「ひ、ひがじゅん…?」
「うん。ひがしのじゅん、だからヒガジュン。こっちの方がカワイくね?」
カワイイ、か。
そういうもんなのか?
何だろう、あんまり得意なタイプじゃないかもな。
でも何故か全くイラッとこない。
これが【超高校級のギャル】の魅力なのか。
「ヒガジュンの本さ、ちょー面白いよね!『トロピカルエデン』とか『53番目の殺人』とか!」
へえ、殉前ってミステリーとか読むタイプだったのか。
何というか、面と向かって褒められると照れるな。
……あれ?
「ちょっと待て、『53番目の殺人』は未発表の作品だぞ?どうしてお前が知ってるんだ?」
「………」
「………」
「…エスパーだから」
「は?」
「エスパーなんだよ!イリュージョン!」
い、イリュージョンは違うんじゃないか?
こいつのテンションちょっとよくわかんないな…
「つかさ、キラリンの才能なに?あたしまだ聞いてないんですけど」
「それなんだが…本人も思い出せないみたいなんだ」
「えー!?それって記憶喪失的なやつ?」
「多分……」
「何それやばたにえん!マジ秒で来てよお医者さーん!あ、リョーちゃんキラリンちょーヤバみ的な?才能思い出せないんだって!」
殉前は、早速軍服の女子を呼びに行った。
あいつ、誰彼構わずあのテンションなのか。
まあ、暗野の事を心配してるあたり良い奴ではあるんだろうけど…
「聴こえてるわよ…殉前さんあなた少しうるさい」
「あ、ごめごめ!」
軍服女子が呆れながらため息をつくと、殉前がヘラヘラ笑いながら謝った。
絶対反省してないだろ。
そんな事を思っていると、軍服の男女が近づいてくる。
男の方は少し長めの藤色のショートヘアに切れ長の群青の目をした美青年で、紺色の制帽に紺色の軍服を着ている。
女の方は黄緑色のショートヘアに一本だけ腰まである三つ編みを垂らし前髪で右眼を隠した髪型、エメラルドグリーンの切れ長の目をした美女で、紺色の軍服を着ている。
二人とも長身な上にスタイル抜群で、クールな印象を醸し出している。
すると女の方が徐に口を開いた。
「
「に、にーはお…?」
えっと…
挨拶してくれたんだよな?
俺が少し困惑していると、今度は男の方が口を開く。
「どうやらお前達も…いや、これ以上は愚問だな。俺は【超高校級の司令官】
【超高校級の司令官】
神風大和…
最近設立された国防軍、『
圧倒的なカリスマ性をフルに活かし、国の窮地を何度も救ったといわれているが…
そんな人と普通に話してていいんだろうか?
暗野なんてずっと俺の背中に隠れて縮こまってるし…
「えっと…俺は【超高校級の小説家】の東野潤、後ろは暗野斬良です」
「そんなに畏まるな。立場は違えど、同じ76期入学生同士なんだ。気軽に接してくれて構わない」
気軽にって言われても…オーラが凄すぎて無理なんだが。
流石は【超高校級の司令官】、面構えからして住む世界が全く違うと物語っている。
殉前はよくあのテンションで普通に話せたな。
俺が神風と話していると、隣にいた女子が口を開いた。
「大和。次…私、いいかしら」
「ああ」
「東野君と暗野君、だったわね。私は【超高校級の軍医】
【超高校級の軍医】
薬師寺療香…
確か『旭』に所属している軍医だったはずだ。
戦場の怪我人を敵味方関係なく治療し、戦争のトラウマを抱えた人々のメンタルケアに努めて大勢の人の命を救ったんだよな。
噂によると、戦死した兵士の蘇生にも成功したといわれているが…
「療香はウチに所属している軍医だ。怪我や病気をしたら療香に言うといい」
「簡単な怪我なら治せるわ。流石に大手術は無理だけど」
「そうなのか。じゃあ、その時はお願いしようかな」
医療従事者がいるとなるとこうも頼りになるものなんだな。
とりあえず、当分は怪我や病気の心配をする必要は無さそうだな。
「あの…僕、才能を思い出せないんだけど…どうすれば…?」
「そうね…まずは色々な事に挑戦して、向き不向きを分析してみるといいんじゃないかしら。ただ、無理に思い出そうとするのは禁物よ。かえって思い出せなくなったり、トラウマがフラッシュバックしてしまう事があるからね。焦らず自分のペースで思い出せばいいのよ」
「あ、ありがとう…あの、ところで薬師寺さんってどこ出身なの……?」
「生まれも育ちも日本よ。母方の祖父が中国人だから、たまに祖父の母語が出てしまうけれど気にしないでね」
ああ、そういう事だったのか。
というか、神風と薬師寺って妙に距離近くないか?
お互い名前呼びだし。
ひょっとして…
「ちなみにカミヤマとリョーちゃんはカレカノらしいよ!マジアオハル〜!」
「茶化すな。あとカミヤマじゃない。神風大和だ」
マジか……
何となく察してはいたけど、やっぱりそういう関係だったのか。
道理で仲が良いと思った。
というか殉前、お前は何で常時そのテンションでいられるんだ?
俺が二人の関係性に少し驚いていると、神風が咳払いをして言った。
「二人とも、まだ他の奴等と話していないだろう?自己紹介も兼ねて少し話してきたらどうだ?」
「ああ。そうだな」
神風もこう言ってくれた事だし、そろそろ別の人に話しかけに行こう。
ロビーを見てみると、受付付近で話し合っている3人組がいた。
一人は水色がかった銀髪のロングヘアーにサファイアのような青い目、陶器のような白い肌をしていて、ドレスのような制服を着た女子。
一人は、紫色のおかっぱ頭に猫のような金色の目を持ち、眼帯やマフラー、包帯など厨二臭いファッションが目立つ女子。
そしてもう一人は、紺色の髪を短めのポニーテールにしていて前髪で両目を隠し、数珠やら狐のお面やらを身につけている男子。
見た目からして個性が強いな…
「ちょっといいか?俺は【超高校級の小説家】、東野潤。で、こっちは暗野斬良だ」
「は、はじめまして…」
「あんた達は?」
俺と暗野が話しかけると、三人ともこちらを振り向いた。
最初に話しかけてきたのは、銀髪碧眼でゲルマン系の顔立ちのお嬢様っぽい女子だ。
「お初にお目にかかりますわ。東野さんに暗野さん、でしたわね。わたくしは【超高校級のオルガニスト】リーゼロッテ・ベルゲングリューンと申しますわ。以後お見知り置きを」
【超高校級のオルガニスト】リーゼロッテ・ベルゲングリューン
リーゼロッテ・ベルゲングリューン…確か世界的に有名なオルガン奏者だったはずだ。
主に教会での礼拝の伴奏やコンサートで演奏を披露しているんだが、彼女の演奏は聴いた者の心を浄化するといわれる程見事なものだそうだ。
彼女の演奏を聴くためだけにわざわざ国外から訪れるというファンも多くいるらしい。
希望ヶ峰に入学する為に音楽の都ウィーンからわざわざ来日してきたんだよな。
それにしても…本当に日本語が流暢だな。
国外にも頻繁に演奏をしに行くからあらゆる言語を勉強していて、語学が堪能だとは聞いていたけど。
「よろしくな。えっと…」
「わたくしの事は、気兼ねなくリーゼと呼んでくださいまし」
「じゃあ、リーゼ。日本語上手なんだな」
「ふふふ、ありがとうございます。わたくし、日本への留学に憧れていて、それで独学で日本語を覚えましたの。夢にまで見ていた希望ヶ峰学園の新入生とお話できるなんて…まさに恐悦
んー、惜しい。
地獄じゃダメだよ。
「それを言うなら恐悦至極、じゃないかな…」
「あっ、すみませんそれでした!」
あ、これ本物の天然だ。
日本語がちょっとおかしいけど、それも含めて微笑ましいな。
「ふっふっふ、俺様を抜きにして狂宴を開くとはいい度胸だな」
今度は、例の厨二ファッションの小柄な女子が話しかけてきた。
すごい近寄りがたいな…
「えっと…キミは?」
「クハハハ!混沌より這い寄りし俺様の真名を詠唱させるとは…貴様も命知らずだな。我が名は
【超高校級の原型師】
「…悪い、何て言った?」
「『名前を聞いてくれてありがとう。私は安室明日奈。【超高校級の原型師】です』…と、安室さんは仰っていますわ」
そうなのか…
というか、リーゼは何で安室の言ってる事がわかるんだ?
「フフフ…天より秘宝を与えられ、魔界を統べる魔界騎士団の団長…それは俺様の事だ!」
安室はオタクなら誰もが憧れる精巧なプラモデルやフィギュアを作っている原型師だよな。
アニメキャラや巨大ロボだけじゃなく、ミリタリーフィギュアやロケットエンジンの模型など、幅広く作れるらしい。
彼女の作品だけを扱った美術館なんてものもあって、毎年全国から大勢のファンが訪れているらしい。
「ククク…暗野とかいったな。貴様からは俺様と似た覇気を感じるな。貴様の内に秘めし真の力が解き放たれる刻は近い…」
お前、誰彼構わずそのノリでいくのかよ。
暗野がすごいビクビクしてるし…
実際俺も少しビビった。
「えっと…ごめん、リーゼさん以外に留学生が来るって話は聞いてないんだけど…」
「なっ…!私、生まれも育ちも日本だし!それくらい見ればわかるでしょ?」
あれ?
今、素が出たよな。
こいつ、本当は案外普通の女子高生なんじゃ…
「はっ…!どうやら邪悪に肉体を支配されていたようだ。速やかに立ち去るのだ。我が瘴気が貴様らを飲み込む前に…!」
今のはうっかり素が出ちゃったから忘れてくれ、って言ったのかな。
うーん…なかなかに面倒臭い奴と関わっちゃったかもな。
悪い奴ではないんだろうけども。
「東野君…次、いこっか」
「そ、そうだな」
まだもう一人いるし、テンポ良くいった方がいいよな。
えっと…残りは、狐のお面の男子だけか。
ずっと数珠を握りしめていて、顔の上半分が前髪で見えないという事もあって、何だか不気味な雰囲気を醸し出している。
「ちょっといいか?自己紹介まだだったよな?」
俺が話しかけると、ずっと数珠を見つめていた男子が顔を上げる。
男子は、俺達の方を見るなり徐に口を開いた。
「君達、死後の世界って信じる人?」
「…へ?」
え、死後の世界?
急にそんな事聞かれても答えに困るな。
…というか、初対面の相手にまず最初にする質問かそれ?
「ちょっと待て、まずは自己紹介を先にしてくれないか?」
「あ、そうだね。ごめん。僕は【超高校級の心霊学者】、
【超高校級の心霊学者】
消灯寺霊庵…ああ、思い出した。
確か有名な心霊学者だったよな。
心霊現象の研究をしていて、著名な学者とも意見を交わしたりもしているんだよな。
最近は本も出していて、一時期はどこの本屋でも売り切れる程売れていたからよく覚えている。
噂によると死んだ人間と会話ができるんじゃないかともいわれているが、実際のところ真偽は定かではない。
「さっきの質問だけどさ、君達はどう思う?君達は、死後の世界って信じてるのかな?」
死後の世界、か…
うーん、俺はそういうの信じるタイプじゃないんだよな。
「あー、悪い。俺はそういうのあんまり信じてないかな」
「ぼ、僕はそういうオカルトっぽいのはちょっと…」
俺が苦笑いしながら答えると、暗野も俺の背中に隠れながら答えた。
暗野って幽霊とかも苦手なタイプなんだな。
俺がそんな事を考えていると、消灯寺の雰囲気が見るからに変わる。
「…ふうん、君達はそう考えるんだね」
…あっ、やばっ。
これ地雷踏んだかも。
すっごい冷めた目で見てくるんだけど…
初対面でいきなり嫌われるのもアレだし、フォローはしといた方がいいよな。
「あ、べ、別に頭ごなしに否定したいってわけじゃなくて、あくまで俺個人が疑問に思ってるって話な?そういう考えを持ってる事自体はいい事だと思うし…」
「そっか。心霊学に興味あったらいつでも声掛けてね〜」
「お、おう」
よかった…
とりあえず、機嫌が直ったみたいだ。
のんびりしてるように見えて、意外と怒ると怖いタイプなのかな。
「ところで、ここにいるのはこれで全員か?」
「いや、あと何人かいるみたいだけど」
これで全員じゃないのか。
って事は、他の人は別の場所にいるのか?
「じゃあ探索も兼ねて他の人達も探さないとな。行こうぜ暗野」
「あ…う、うん」
まだ行ってないのは…食堂と厨房、トラッシュルーム、あとはボイラー室だったよな。
まずは食堂と厨房を探してみるか。
ーーー 登場人物 ーーー
【超高校級の小説家】
【超高校級の???】
【超高校級のギャル】
【超高校級の司令官】
【超高校級の軍医】
【超高校級のオルガニスト】リーゼロッテ・ベルゲングリューン
【超高校級の原型師】
【超高校級の心霊学者】
アト10人