インフィニティダンガンロンパ6 ようこそぼくらのコロシアイ強化合宿   作:M.T.

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(非)日常編②

side L

 

わたくし達は、運動場と女子更衣室とプールの探索をする事になりました。

ええと…とりあえず、一番近い更衣室から調べれば良いんですの?

 

「みるくちゃん行くよー」

 

「は、はいっ」

 

神無月さんは、氷川さんを連れて真っ先に更衣室へ向かいました。

何だか、お二人とも仲がよろしいようですわね。

そういえば、お二人は高校の頃からのご友人同士と聞いているのですが…あまり詳しい話はしてくださりませんでしたわ。

 

 

 

《コウイシツ》

 

更衣室に入ると、正面に赤い扉と青い扉がありましたわ。

どうやら、赤い扉が女子更衣室のようです。

扉の上にマシンガンがあるので、おそらくここも異性の更衣室に入ろうとすると殺されるのでしょうね。

怖いですわね。

早速入ってみましょう。

 

「まぁっ」

 

内装がピンク色の更衣室には、ベンチやロッカー、洗面台、それから水飲み場やトレーニング器具がございましてよ。

シャワーとお手洗いも設置されていますわね。

まぁ、これは…!

もしや簀の子ではありませんの!?

木製のものは文献で読んだ事がありますが、プラスチックのものもありますのね!

 

「ロッカーの中に水着があるよー?」

 

「サイズがピッタリなのが怖いですね…」

 

「うげぇっ、なんじゃこりゃあ!?」

 

神無月さんのお声が聴こえましたので後ろを振り向くと、壁にはポスターが貼ってありました。

モノクマさんの顔をコラージュした、ボディビルダーのポスターです。

神無月さんは、ポスターを見て気分を悪くされていました。

 

「汚物を貼るなし!気色悪い!!」

 

「え、そうですか?」

 

確かに奇妙なポスターではありますが、汚物かと言われれば…?

 

「あーあ、何か気分悪くなってきた。さっさと次行こうよ」

 

「え、あ、そ…そうですね」

 

更衣室の探索を終えたわたくし達は、更衣室に隣接したプールへ向かいました。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

《プール》

 

わたくし達は、プールのある施設に足を踏み入れました。

そういえば説明がまだでしたが、この施設の外観は、外に椰子の木が生えていて、建物自体はパルテノン神殿のような白い柱で支えられていて、それ以外はガラス張りでしたわ。

わたくし達の目の前には、大きなガラスの自動ドアがありますわ。

…早速入ってみましょう。

 

 

 

「まぁっ、これは…」

 

「す、凄いですね……」

 

目の前に広がっていたのは、水のテーマパークでしたわ。

競泳用のプールはもちろん、巨大なウォータースライダーや環状の流れるプール、サーフィンプール、飛び込み用のプール、滝の流れるプール、あと椰子の木と砂浜があるプールもありましたわ。

プールサイドの砂浜では、ビーチバレーもできるみたいです。

ガラス張りの建物なので、外に植えられている椰子の木がプールの中からでも見えて、まるで南国のようですわ。

外が極寒の雪国だという事を忘れてしまいそうですわね。

そしてなんと言っても、この広さ!

調べたところ、このプール全体の床面積は10万平方メートルもあるらしいです。

この大きなスライダーも、30mの高さから150mの長さを滑るアトラクションだそうですわ。

ウチのお屋敷より広いですわね、ビックリです。

維持費が凄そうですが、お金はどこから持ってくるのかしら…。

 

「わぁ、何これー!建物の中に海があるよー!」

 

「わっ……」

 

神無月さんも氷川さんも、とても楽しそうですわね。

何だか微笑ましいですわ。

あら?

アクアリウムもあるんですのね。

色鮮やかな熱帯魚が泳いでいて、まるで深海のようですわ。

 

「まぁ、綺麗ですわ!」

 

「魚がいっぱいだよー、これ食べれるのかなぁ」

 

「日本にはいない魚もいますね…」

 

神無月さんや氷川さんも、アクアリウムに見惚れているようですわ。

わたくし達がアクアリウムを眺めていた、その時でした。

 

『キャハハハ!楽しんでるようだね!』

 

「ひぃっ!?」

 

突然どこからかモノルナさんが現れました。

どこから出てきたのでしょうか?

まさかとは思いますが、排水溝をウゴウゴしたり…していませんわよね?

 

「何の用だよ!?消えろよ!!」

 

「お二人とも、お話だけでも聞きましょう…?」

 

氷川さんはモノルナさんを怖がり、神無月さんはモノルナさんに悪態をついています。

お気持ちはわかりますが、せっかくいらして下さったのですし、お話だけでも聞いた方がよろしいかと思うのですが…。

 

『ちぇー、みるくチャンと椛チャンは冷たいね。せっかくいい事教えてあげようと思ったのに』

 

「いい事とは?」

 

『このアクアリウムは、ダイビング用のアクアリウムになっているのです!常に最適な温度や水質になるように、コンピューターで管理してるんだよ!そうだ!せっかくだし、バックヤードを見に行かない?』

 

「強制ですわよね」

 

『ぎ、ギクっ!?』

 

おそらくですが、拒否したら行くまで誘われるのですよね。

わたくしでも、それくらいわかります。

まあそれを抜きにしても、どのみち探索をするので行きますが。

 

 

 

《バックヤード》

 

『こっちこっちー!』

 

わたくし達は、モノルナさんに連れられてプールの2階に上がり、バックヤードを訪れました。

バックヤードでは忙しなくコンピューターが動いていて、これら全てでプールの水質を管理しているらしいです。

クレーンのようなものもありますが…あれは何に使うのでしょう?

わたくしが氷川さんと一緒に探索をしていると、神無月さんが何かの蓋を見つけました。

 

「これはなあに?」

 

『それはアクアリウムの入り口だよ!このアクアリウムは、お魚さんと一緒に泳げるのが売りなんだ!ちなみに電子ロックを解除すると開くよ!』

 

「こちらの水槽は…?」

 

『ああ、そっちは予備水槽だよ!アクアリウムを掃除する時、お魚さんを予備水槽に移動させておくのです。皆が寝てる夜時間中に毎日掃除してるんだよ!偉いでしょ?』

 

「偉いのは機械であってお前じゃないだろーが、変態白黒頭女!」

 

『何だとう!?アタシの一張羅を愚弄するな!』

 

神無月さん、仰っている事は正論ですが、すごい言いようですわね…。

 

『あ、そうそう。プールは節水の都合上夜時間中水が出ないから注意してね!』

 

そう言ってモノルナさんは、どこかに向かわれました。

これだけ大規模なプールを設置しておいて、節水も何もないと思いますが…

 

「あー、何か怒鳴ったらおなか空いた!ご飯食べたい!」

 

「た、確かにもういい時間ですもんね…」

 

そういえば、もう12時半ですわね。

近くに食べられそうな場所があればいいのですが…

あ、ありますわね。

 

「皆さん。この近くにモーテルがあるようですので、そこでお昼にしませんこと?」

 

わたくしが提案すると、神無月さんと氷川さんが振り向きました。

調べたところ、ここから徒歩で行ける距離にモーテルがあり、そこから運動場もそんなに距離が無いみたいなので、わたくし達はモーテルで昼食をいただく事にしました。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

《モーテル》

 

わたくし達は、お昼をいただきに、パーキングエリアのようなデザインのモーテルに寄りました。

モーテルの近くには、このフロアの外側を一周するようにサーキットとランニングコース、サイクリングコースが整備されていました。

モーテルには何台か車や自転車が停まっていて、停まっているものはワンコインでレンタルできるみたいです。

モーテルの中には小さな食堂と人数分の客室、シャワールーム、それから小さな休憩スペースがありました。

数日間寝泊まりする分には、問題なさそうですわね。

 

「ご馳走様でした」

 

モーテルで昼食を終えたわたくし達は、早速運動場へ向かいました。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

《ウンドウジョウ》

 

モーテルを出発し、しばらく歩いていると、運動場が見えてきました。

40平米ほどの敷地に、陸上競技場や球技場、野球場、テニスコート、射撃場、公園、クラブハウスなどが完備された運動場です。

陸上競技場は、フィールドとトラックから構成されていて、投擲競技もできるみたいですわ。

球技場は、サッカーやラグビーができる仕様になっていて、良い設備が使われている事以外特に変なところはありませんでしたわね。

野球場は、プロの試合でも使われるような本格的な球場でしたわ。

 

「つーかさ、こんなデカい球場あったって、野球の才能持ちいないんだから意味なくない?」

 

「神無月さん…それを言ったらおしまいですよ」

 

神無月さんが言うと、氷川さんが小さな声でツッコミを入れました。

確かに…運動系の才能の方が多いわけでもないのに、この設備は過剰な気がしますわね。

 

テニスコートは全部で16面あり、硬式・軟式のどちらにも対応しているみたいですわ。

射撃場には的が十分な間隔を取って8つほど設置されていて、射撃に必要な設備は一通り整っていました。

ちなみにライフルは、エアガンと実弾が入っているものと両方ありました。

銃刀法どうなってるんでしょう…。

公園は、小さなアスレチックや砂場、池などがあり、人工照明で照らされていて明るいのでピクニックに良さそうでしたわね。

 

クラブハウスは、1階はバッティングセンターやアーチェリー、フリースロー用のゴールがあり、2階は倉庫になっていました。

倉庫の中には、スポーツに使う道具が色々収納されていました。

中には用途がわからないものもありましたわね…。

 

「はぁ、ずっと探索ばっかりだったから疲れちゃったなぁ」

 

「そ、そうですね……」

 

神無月さんが退屈そうにため息をついている隣では、氷川さんが息を切らしていました。

神無月さんも氷川さんも、動いた距離はほとんど同じだと思うのですが…。

氷川さんが疲れやすいというよりは、神無月さんが体力が有り余っていらっしゃるのね。

 

「みるくちゃん体力雑魚すぎ!もっと鍛えなきゃ生き残れないよ!」

 

「ひぃ、す、すみません…!」

 

「あ、でもこれ以上鍛えたら化け物になっちゃうか!」

 

神無月さん、言っていい事と悪い事がありませんこと?

 

「神無月さん、今のは氷川さんに謝った方がよろしくてよ?」

 

「えぇ、何で!?椛悪くないじゃん!?」

 

「あ、あの…大丈夫です」

 

神無月さん、見るからに拗ねていらっしゃいますわね。

ですがここは、心を鬼にして叱らなくては。

…薬師寺さんがそうしていたように。

 

「謝って下さい」

 

「…わぁったよ。……ごめん」

 

「えっ、あ……」

 

わたくしがお願いすると、神無月さんは意外にもあっさり謝ってくださいました。

…良かった、きっとわかってくれたのね。

さて、お二人とも仲直りできたみたいですし、そろそろ戻りましょうかね。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

side SH

 

僕は、酒蔵くんと一緒に男子更衣室とトレーニングジム、あとゲレンデを調べる事になった。

 

「消灯寺クン、一緒に行こうか」

 

……別の人が良かった。

視線がすごく気持ち悪い。

とりあえず、一番近い更衣室に行く…って事でいいのかな。

 

 

 

《コウイシツ》

 

更衣室に入ると、正面に赤い扉と青い扉があった。

青い扉が男子更衣室…なのかな。

 

「ここも扉の上にマシンガンがあんのか…」

 

「マシンガン?」

 

「銃だよ。しかも何百発も出るやつ。あれで撃たれると蜂の巣にされるんだよ」

 

「……怖」

 

考えた人頭おかしいんじゃないのかな。

そういえば、似たようなのがお風呂場にもあった気がする。

物騒だなぁ。

…とりあえず、中に入ってみようかな。

 

「……ふーん」

 

中は、壁が水色で、長い椅子とかロッカーが置いてあった。

あと洗面台とか、水飲み場とか、トレーニング器具とか。

お手洗いとシャワールームもあるみたい。

ロッカーには名前が書かれてて、中に水着が入ってたけど…。

え、何で大きさピッタリなの。

怖。

…ていうか。

 

「さっきから気になってたんだけど、あれ何」

 

「ああ、あれはポスターだよ」

 

「それは見ればわかるよ。そういう事じゃなくって…」

 

何あれ。

あの、モノルナの顔が貼っつけてある水着の女の人の写真。

何か酒蔵くんは楽しそうだし、気持ちが悪い。

 

「へへへ、コラ画像でもモノルナちゃんはかわいいね」

 

「……ヒェッ」

 

「一周回って恐怖!?でもその蔑みの表情がイイ!」

 

うわぁ……

 

「…それはもういいから、次ジム行くよねぇ」

 

「あ、うん」

 

更衣室の探索を終えた僕は、酒蔵くんと一緒に更衣室に隣接したジムに向かった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

《トレーニングジム》

 

僕達は、隣のトレーニングジムに足を踏み入れた。

そういえば、ジムの外観だけど、何かギリシャの神殿っぽい外観で、上にムキムキのモノクマの像がくっついていた。

どうやったらあんなに人を不快にさせるデザインにできるんだろう。

っていうか、何で極寒の雪国の中にこんな建物があるの?

…まあ、それは一旦置いとくとして。

今、僕の目の前には、ガラスの自動ドアがある。

…よし、入るか。

 

 

 

「……おぉ」

 

「凄えな」

 

トレーニングジムに入ってすぐ、僕と酒蔵くんは驚かされる事になった。

まず、ものすごく広い。

調べた限りだと、床の広さだけで700坪くらいある。

僕は全然運動しないから知らないけど、ここまで広いジムって珍しいんじゃないのかな。

トレーニング器具もすごい数と種類あるし。

ダンベルと、ベンチプレスと、ランニングマシンと、自転車と…あとは……わかんない。

僕、ジムとか行った事ないし、わかんない道具が多いな。

 

「…酒蔵くん、これ何」

 

「懸垂マシンだよ。ぶら下がって上半身の筋肉を鍛えるマシンさ」

 

「じゃあこれは」

 

「チェストプレス。両手でバーを動かして大胸筋を鍛えるんだよ」

 

「……ふーん」

 

知らないのばっかりだな。

というか、ここにあるもの全部、人生で一度も使った事がないと思う。

僕、ずっと家で霊媒師の修行してて、身体鍛える機会なかったし。

 

「何この自転車。地面に固定されてるけど」

 

「それはエアロバイクっていうんだよ、消灯寺クン」

 

「へぇ」

 

エアロ…?

何だろう。

 

「そういえば消灯寺クンって、華奢だし色白だし、女の子みたいだよね。身体鍛えたりしないの?」

 

余計なお世話なんだけど。

僕は別に、このままでいいから。

運動選手になりたいわけじゃないし。

 

「僕は降霊術の修行の一環で外に出ずに過ごしてきたから、身体を鍛える機会も必要性もなかったし…別に今更鍛えたいとも思わないし……僕は幽霊がいれば幸せだし。少なくとも、それ以上の何かを望む生き方はしてこなかったから」

 

「無欲だねぇ。でも少しは、身体を鍛えて生身の人間と関係を持った方がいいんじゃないのかい?ま、これは色んな人間を見てきたおじさんなりの結論だけどね」

 

「余計なお世話だよ……というか、これは言おうかどうしようか迷ってた事なんだけどさ。身体鍛えろっていうのは、酒蔵くんが言えた事かなぁ」

 

「え?」

 

「弛んだお腹、むくんだ顔と手足。どう見ても運動不足でしょ。あと、酒臭いし…酒蔵くんにだけは生活の事で口出されたくない」

 

「…ははっ、キミ、結構ズバズバ言うねえ」

 

僕が思っていた事を正直に言うと、酒蔵くんは顔を引き攣らせていた。

言っちゃ悪いけど、僕が酒蔵くんから学ぶ事があるとすれば、それは反面教師としてだよ。

 

「それはそうと、何か腹減ってきたな」

 

強引に話題を変えてきたな…。

やっぱり都合が悪かったんだな。

別にこの話これ以上続けたかったわけじゃないし、いいけどさ。

 

「だったら、ゲレンデ行かない?食べる場所あるかもしれないし」

 

「それもそうだな」

 

トレーニングジムの探索をし終わった僕達は、その足で次の探索場所のゲレンデに向かった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

トレーニングジムを出発した僕達は、徒歩から行ける距離にあるらしいゲレンデに向かった。

…のはいいんだけど、遠いな…。

移動するだけなのに、疲れる。

やっぱり、少しは身体鍛えようかな。

 

 

 

《ゲレンデ》

 

ジムから5分くらい歩くと、ゲレンデに到着した。

奥が高くなった建物で、手前側の屋根の上にはモノクマ頭の雪だるまが飾ってある。

…うん、もういちいち悪態つくのも疲れた。

 

僕達の目の前には、分厚くて白い自動ドアがあった。

お腹すいたし、中に入ろう。

 

 

 

「……うわぁ」

 

ゲレンデに入ってすぐ、大きな扉が見えた。

この扉の向こう側が、すぐスキー場になっているらしい。

で、僕達が今いる廊下の右奥には大きなスケートリンクがある。

多分、アリーナと同じくらいの広さはあると思う。

外には、スケート用のシューズを貸し出してるロッカーがあった。

メダル一枚で借りられるらしい。

 

左奥には、大きなストーブとソファーが置かれた休憩スペースがある。

床には、モノクマみたいな白黒の熊の毛皮の絨毯が置かれてた。

…モノクマって何なんだろう。

 

調べてみたところ、今いる建物の1階はスケートリンクと休憩スペースだけだった。

エレベーターで2階に上がると、手前に食堂が見えてきた。

 

「おっ、食堂だ」

 

僕達は、腹拵えにゲレンデの中の食堂に入った。

ゲレンデで食べた肉なしうどんがまあまあ美味しかった。

そのまま2階を調べると、スキーやスケートに使う道具が置いてあるショップと、簡易更衣室があった。

 

3階は、何かの乗り物の乗り場になってた。

…凄いな。

室内の施設なのに、こんな大掛かりな乗り物あるんだ。

 

「ねえ酒蔵くん。これは何?」

 

「ああ、リフトね。これでゲレンデの上を移動できるんだよ。それにしても、ビックリしたよ。室内にリフトがあるなんてさ」

 

「確かにね。じゃあこれに乗ろう」

 

「えっ、でも探索するんじゃ」

 

「疲れるし…」

 

確かに探索はしなきゃいけないけど、雪の中歩くとか嫌だし。

上からざっくり眺めるだけでいいでしょ。

僕達は、2階のショップで防寒具を買ってから、リフトに乗った。

僕と酒蔵くんがリフトに乗ると、リフトがひとりでに動き出す。

少しずつ前に動き出して、とうとうゲレンデの手前側の建物から外に出た。

…ふーん、ロープで上から吊るされてるのか。

これは便利だな。

何だかふわふわ浮いてる感じがして楽しいし。

 

「…うわ、結構高いな」

 

酒蔵くんは、やたらと僕に近づいて腕を掴もうとしてくる。

正直やめてほしい。

というか、高いのが嫌なら乗らなくて良かったのに。

 

ふと下を見下ろすと、そこは一面銀世界だった。

奥の方に雪山があって、そこから何本もの道が麓に向かって伸びている。

山には雪が積もったもみの木が生えていたり、麓には氷が張った湖があったりして、ここが室内だという事を忘れそうになる。

疲れるのは嫌いだけど、正直この景色は嫌いじゃない。

 

 

 

《センターハウス》

 

やがてリフトが一周して、僕達は最初にいた建物の3階に戻ってきた。

 

「ハァッ、ハァッ…」

 

ふと酒蔵くんを見ると、顔を青くして過呼吸を起こしていた。

だからやめときゃ良かったのに。

ゲレンデの探索を終えた僕達は、防寒具をショップに返してゲレンデを後にした。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

side KJ

 

私は、樺戸様と一緒にゴルフ場を探索する事になりました。

 

「ゴルフ場だってよ!行こうぜサダメ!」

 

「そのバイタリティを少しは分けていただきたいものです。ああ、決して皮肉ではなく本心ですよ」

 

樺戸様は、走ってエレベーターホールに向かわれました。

正直なところ、見失うと余計なエネルギーを消費する事になるので全力疾走しないでいただけるとありがたいのですが。

さて、私もゴルフ場へ行きましょう。

 

 

 

《スポーツセンター 2F》

 

私は樺戸様を追いかける形でエレベーターに乗り、スポーツセンターの2階に到着しました。

…それにしても、変わった形状のエレベーターでしたね。

まるでギリシャのパルテノン神殿を思わせるような外装をしていました。

オリンピアの名が示す通り、ここは古代ギリシャをモチーフにした建造物という事なのでしょうか。

 

「サダメ!早く行こうぜ!」

 

「ええ」

 

樺戸様は、私を引っ張りながらゴルフ場に向かわれました。

 

 

 

《ゴルフ場》

 

私は、樺戸様に連れられる形でゴルフ場に到着しました。

…それはいいのですが。

このゴルフ場、あまりにも広いのです。

マップで見た限りの情報だと、まずスポーツセンター全体の床面積が100万平米はあり、1フロアごとの高さが100m程となっています。

ゴルフ場の設備はゴルフホールとクラブハウスだけのようですが、クラブハウスはショップや練習場、レストラン、宿泊施設などがあり、キャンプ用品がある事からもゴルフ場はキャンプ場を兼ねているみたいですね。

ゴルフ場の裏側は山岳エリアになっていて、そこにスカイタワーもあるようです。

これは骨が折れそうですね…。

 

「すっげぇ!!広れぇええ!!皆を連れて来たいぜ!!」

 

樺戸様は、とてもお喜びになっていますね。

やはり、スポーツ系の才能を持つ身としては、このような施設の開放は嬉しいのでしょうか。

それにしても、これほど大規模な建造物を建て、それを維持するとなると莫大なコストと土地が必要かと思うのですが、そのお金や土地はどこから持ってくるんでしょうかね。

18ホール丸ごと一つの建造物の中に建てるなんて、聞いた事ありませんよ。

この建物の規模を例えるなら、某ネズミの国の遊園地が丸ごと一つの建造物の中に入っているようなものです。

空白の10年間といい、この現実離れした建造物といい、正直これが現実の光景とは到底思えません。

 

「ふむ……」

 

何か手掛かりになりそうなものが見つかれば良いのですが…

現実はそう甘くはありませんね、これだけ探しても何の手掛かりもありません。

私が手掛かりを探していた、ちょうどその時でした。

後ろから、ぐぅぅぅぅ、と音が聞こえてきたので振り向いてみると、樺戸様が頭を掻きながら笑顔を浮かべていました。

 

「…ワリ、走り回ってたら腹減っちった。何か食ってから続きやらねえか?」

 

確かに、もう時刻は正午ですね。

そろそろ昼食にしましょうか。

調べたところ、クラブハウスにレストランがあるので、そこで何か注文しましょう。

 

「サダメ!カレーあるぞカレー!」

 

樺戸様は、早速レストランでカレーを注文していました。

…さて。

私は何を戴きましょうかね。

 

 

 

「ご馳走様でした」

 

昼食を終えた後、私達はクラブハウスの探索をしました。

クラブハウスは、1階がゴルフの練習場、2階がショップ、3階がレストランと宿泊施設になっていました。

ゴルフの練習場は、何種類かの室内練習場に分かれていて、ワンコインで練習ができるようです。

ショップはアウトドア仕様になっていて、ゴルフ用品やキャンプ用品、あとは登山やロッククライミングに必要な物も販売しています。

3階は、先程のレストランと、人数分の簡素な客室と、小さな浴槽がついたシャワールームがありました。

こちらはホテルとは違って金色ではないので、私はむしろこちらの方が好きですかね。

 

「サダメ!次はあっち行こうぜ!」

 

「走ると危ないですよ」

 

樺戸様は、私の静止も聞かず一人で走っていってしまいました。

結局私達は、残りの時間のほとんどをクラブハウスで過ごす事になりました。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

side AM

 

俺様は、打田と共に魔物の巣食う山と天空に聳えし塔を攻略する事になった。

これもまた因果律の定めか……

フッ…その程度の事、魔界騎士団の団長たる俺様にとっては造作もない事よ。

 

「万物を穿ち、農神の宿りし地の名を冠す者よ。俺様と共にこの秘められし領域を攻略するぞ」

 

「は?」

 

「打田!貴様の名だ」

 

「人名くらい普通に言えば?」

 

何!?

此奴、俺様の言葉が通じぬだと!?

俗世の人間の言語で話しているつもりでいたが…

 

……はぁ、わかんないか。

やっぱり今からでも皆に合わせた方がいいかな。

 

ハッ!

いかん、どうやら邪悪に精神を持っていかれたようだ。

俺様は魔界騎士団の団長だぞ、これしきの事で狼狽える事などないわ!

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

《スポーツセンター 2F サンガクエリア》

 

俺様は、万物を………打田と共に、新たに封印を解かれし武神の大地の二層に…ん゛っ、んんっ、スポーツセンターの2階に来て、今は山岳エリアに向かっている。

打球…ゴルフ場とこの地を隔てるように山々が連なり、川や湖もあるようだ。

湖には小舟が浮いているな。

この山岳だが…登山やキャンプができるらしく、森林がある場所にはアスレチックも設置されているらしい。

ゴルフ場の裏側の面が岩肌の崖になっている山などは、ロッククライミングにもってこいだ。

そして最も高い山の頂には山小屋があり、目の前に見える塔と山小屋はリフトで移動できるようになっているらしい。

魔界には、業火の迸る山や魔物が住む山がそこらじゅうに鎮座し、血の池からは血煙が湧き立ち血が滾ったものだが…。

フッ…こういう景色も悪くない。

 

「ここが山岳エリアか」

 

「そしてこの塔が『スカイタワー』とやらか」

 

俺様は、目の前に聳え立つ塔を眺めながら呟いた。

天空まで聳え立つ塔故に『スカイタワー』…か。

フッ、面白い。

早速バベルの塔の頂を目指そうではないか。

 

 

 

《スカイタワー》

 

扉をくぐり塔へ侵入すると、1階にはボルダリング用の壁やパルクール用のアスレチックなどが設置されていた。

パルクール用のアスレチックの真上は吹き抜けになっていて、高所で遊ぶ事もできるようだ。

そして目の前にあるのが、最上階の展望台まで行けるガラス張りのエレベーターだ。

 

…これ、マジで昇るの?

でも上の階探索しないといけないしな。

 

…ハッ!!

また邪悪に身体を乗っ取られていたようだ。

此奴を押さえつけているうちにバベルの頂へ向かわねば…!

 

俺様は、打田と共にエレベーターに乗り最上階に向かったのだが…

こ、これは…!?

ハデスが憑き、臓物という臓物が一気に突き上げられるこの感覚…!

これが俗に言う上昇負荷か!?

 

「フハハハハ、愉快!!実に愉快!!これが神域を侵す者の宿命か…!!武者震いが止まらぬわッ!!」

 

「…あんたさ、もしかして怖い?」

 

「愚問だな!魔界騎士団の団長たる俺様に恐怖などという物があるわけなかろう!」

 

「じゃあ黙っててくんない?うっさい」

 

「ごめんなさい」

 

確かにうるさくしすぎたかも…

それにしても…

 

「…力が足らぬ。どこかに贄は無いものか」

 

「食べ物の事贄って言うのやめろ」

 

お腹減った……

さっきまでアスレチックの探索とかしてたし、もう昼だもんなぁ。

仕方ない、一旦タワーのレストランで何か食べてから探索の続きするか。

 

 

 

《レストラン》

 

俺様と打田は、一旦エレベーターを降り、外の絶景が一望できるレストランで贄を貪る事にした。

レストランまで展望台になっているのか…

…フ、フフ、愉快、実に愉快!

 

「ご馳走様でした」

 

ふう、お腹いっぱい。

そろそろ上の階に……

……上の階、かぁ。

 

「………」

 

ふと見上げると、打田がこちらを見ている。

えっ、何…?

 

「何だ」

 

「あんたみたいな奴の口からそんな言葉が出てくるんだ。…あんたって、もしかしてお嬢?」

 

「なっ、い、今のは邪悪に身体を乗っ取られただけだ!口を慎め貴様ァ!!」

 

何が可笑しいのよ?

だって、『いただきます』と『ご馳走様』はちゃんと言いなさいってお母さんが…

ハッ、俺様は一体何を…!?

 

「無駄口を叩いてないで、一刻も早くバベルの頂へ向かうぞ!俺様が邪悪を押さえつけているうちに!」

 

「さっきから言ってるけど何それ」

 

生贄の儀式を終えた我等は、共に一層上に向かった。

レストランの一階上は、ショップになっていて、スカイスポーツ用の道具が売っていた。

どうやらメダル一枚でレンタルできるらしい。

ここは特に気になるところもなかったので、一応ラインナップを確認してから最上階の展望台へ向かった。

 

 

 

《テンボウダイ》

 

最上階の展望台は、スポーツセンターの2階を一望できるガラス張りの施設になっていた。

同じ階に、山頂へ向かうリフトの乗り場もある。

 

「フハハハハ!!絶景!!まさに絶景!!やはり、俺様には俗世を見下ろすこの場所こそ相応しい!!」

 

「馬鹿と煙は何とやら」

 

打田が何かを言ったような気がするが、聴かなかった事にしよう。

俺様は魔界騎士団の団長だからな。

器も只の人間には計り知れぬ程大きいのだよ。

 

リフトか……

これに乗って山頂に行くのか。

…行くしかあるまい。

俺様は、打田と共にリフトに乗り、山頂へ向かった。

 

…うわ、これ思ったより揺れるな。

何か足フワフワする感じがする。

てっきりロープウェイみたいなやつだと思ってたんだけど…

ゲレンデにあるようなリフトじゃんこれ。

 

「フ、フフ、何度も聖戦を乗り越えてきた俺様にとって、これしきの事…」

 

「あんた何で同じリフトに乗るわけ?」

 

「き、貴様っ!?何の為の探索だと思っているのだ!?」

 

「どーでもいい」

 

こいつ…!

コロシアイを防ぐ為に、一人にならないように探索するって話だったでしょ!?

何考えてんの!?

…ハッ、いかんいかん。

俺様ともあろう者がこれしきの事で取り乱してはならん。

 

…それにしてもこの山岳エリア、とてつもなく広いな。

山岳エリアの真上はスカイスポーツを楽しめるようになっているし、下を覗けば崖や谷が広がっている。

建物の中に山やタワーがあるというのは一体どういう事なのだ?

モノクマの考える事はよくわからんな。

 

 

 

《ヤマゴヤ》

 

リフトで移動する事数分、我等は山頂の山小屋に辿り着いた。

山小屋は、リフトの乗降口以外にも、小さな売店や休憩スペースがあった。

山小屋を出てタワー側に目を向けると、そこには絶景が広がっていた。

 

「フッ…道なき道を乗り越えた先にある景色というものは、まさに絶景という言葉が相応しい」

 

「リフト乗ってただけじゃん」

 

「さて、そろそろ戻るとしよう。集合時刻までにホテルに戻らねば」

 

「無視かよ」

 

山岳エリアの探索を終えた我等は、今頂上にいる山を下り、山岳エリアを、そしてスポーツセンターを後にした。

 

 

 

 

 


 

 

 

ーーー 生存メンバー ーーー

 

【超高校級の小説家】東野(ヒガシノ)(ジュン)

 

【超高校級のオルガニスト】リーゼロッテ・ベルゲングリューン

 

【超高校級の原型師】安室(アムロ)明日奈(アスナ)

 

【超高校級の心霊学者】消灯寺(ショウトウジ)霊庵(レイアン)

 

【超高校級のディーラー】梶野(カジノ)運命(サダメ)

 

【超高校級のカルタ師】神無月(カンナヅキ)(モミジ)

 

【超高校級のグラシエール】氷川(ヒカワ)みるく

 

【超高校級のソムリエ】酒蔵(サカグラ)飛露喜(ヒロキ)

 

【超高校級のカバディ選手】樺戸(カバド)ラムジ

 

【超高校級の狙撃手】打田(ウチダ)清美(キヨミ)

 

【超高校級の幸運】的凪(マトナギ)(コズエ)

 

【超高校級のゲームプログラマー】六道(ロクドウ)千春(チハル)

 

ノコリ12人

 

 

 

ーーー 死亡メンバー ーーー

 

【超高校級のギャル】殉前(ジュンマエ)詩乃子(シノコ) Prologue 見せしめ

 

【超高校級のプロレスラー】内闘(ナイトウ)力也(リキヤ) Chapter.1 シロ

 

【超高校級の絵本作家】山脇(ヤマワキ)ゆか Chapter.1 シロ

 

【超高校級のヒットマン】暗野(アンノ)斬良(キラ) Chapter.1 クロ

 

【超高校級の司令官】神風(カミカゼ)大和(ヤマト) Chapter.2 シロ

 

【超高校級の軍医】薬師寺(ヤクシジ)療香(リョウカ) Chapter.2 クロ

 

以上6人

 

 

 

 

 

推しがいたら教えてくんなまし

  • 東野潤_小説家
  • 暗野斬良_???
  • 殉前詩乃子_ギャル
  • 神風大和_司令官
  • 薬師寺療香_軍医
  • リーゼロッテ_オルガニスト
  • 安室明日奈_原型師
  • 消灯寺霊庵_心霊学者
  • 山脇ゆか_絵本作家
  • 梶野運命_ディーラー
  • 神無月椛_カルタ師
  • 氷川みるく_グラシエール
  • 酒蔵飛露喜_ソムリエ
  • 樺戸ラムジ_カバディ選手
  • 内闘力也_プロレスラー
  • 打田清美_狙撃手
  • 的凪梢_幸運
  • 六道千春_ゲームプログラマー
  • モノルナ_引率教師
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