インフィニティダンガンロンパ6 ようこそぼくらのコロシアイ強化合宿 作:M.T.
《ボイラーシツ》
ボイラー室に行ってみると、扉の前で三人の男女が屯していた。
一人はモヒカン頭の大男、一人は背の低い男子、そしてもう一人は髪を後ろで適当にまとめた眼鏡女子だ。
「クッソ開かねえ!」
「そんなに硬いのか!?その扉!」
「普通に鍵かかってるだけでしょ。バカじゃないの?」
「アァ!?今てめぇ何つった!?」
「はあ……さっきからあんた達うっさいんだけど」
大男と小柄な男子が騒いでいると、眼鏡女子が呆れながらツッコミを入れた。
俺はまず、元気はつらつな小柄な少年に話しかけた。
ボサボサの栗色の髪に紫色の目をしていて、タンクトップに短パンといった格好をしている。
「ちょっといいか?」
「ん!?」
「俺は【超高校級の小説家】の東野潤。で、後ろにいるのが暗野斬良。あんた達は?」
「おぉ、ジュンにキラ!よろしくな!オレは【超高校級のカバディ選手】
【超高校級のカバディ選手】
樺戸ラムジ…確か高校生にしてアジア競技大会に日本代表として出場し、優勝した経歴を持つカバディ選手だったよな。
小柄な体格なのに大の大人ですら相手にならない程洗練されたプレイスタイルは、まさに神業と称されている。
確か父親がインド人、母親が日本人のハーフなんだよな。
「よろしくな、樺戸」
「おう!!!よろしくな、ジュン!!」
俺が手を差し出すと、樺戸はニカッと笑って手を握り返してくれた。
何というか…すごいエネルギッシュだな。
樺戸は、俺と熱い握手を交わすと暗野とも握手をした。
「キラもよろしくな!!」
「あっ…うん……」
樺戸が握手をすると、暗野も握手を交わした。
テレビで見た時から思ってた事だが、樺戸は素直で良い奴なんだな。
俺達が樺戸と話していると、大柄な男が悪態をついてくる。
「誰かも知らねえ奴と馴れ馴れしくしてんじゃねえよ」
「えー、何で!?」
男が悪態をついてくると、樺戸が不思議そうに言った。
男は赤い髪をモヒカンヘアーにしていて、鋭い赤の眼光がこちらを覗いていた。
ピアスとシルバーアクセサリーをつけていて、赤いスカジャン、タンクトップにレザーのズボンといった格好をしている。
その格好から見るからに怖い印象を抱かせ、実際に暗野は俺の後ろに隠れてビクビク怯えている。
あんまり関わりたくないタイプだけど、話さない事には何もわからないし、とりあえず話だけは聞いてみるか。
「あんたは?」
「チッ、何でてめぇらに教えなきゃいけねえんだよ。たった今会ったばかりの奴なんか信用できるかよ」
は…?
え、いやいや。
こっちが名前を言ったんだからそっちも名乗るのは常識だろ?
何なんだこいつ。
「コイツは
「なっ…てめぇ勝手に個人情報教えてんじゃねえぞゴラ!!」
「いいだろ別に!ここで目覚めた仲なんだからよ!!」
樺戸が代わりに紹介すると、内藤という男は樺戸に突っかかってきた。
…あれ?
何で樺戸はこいつの名前知ってるんだ?
「ん?何だ、樺戸には教えてくれたのか?」
「いや、オレが知ってただけだぞ!テレビで見た事あったから、すぐにわかったんだ!!」
「フンッ」
【超高校級のプロレスラー】
内闘力也、ねえ…
確か高校生にして全国大会で優勝して、プロの試合にも出場しているレスラーだったよな。
圧倒的なパワーで今まで勝ち上がってきたが、見た目通りのヒールで、周りを見下したような態度が目立つ事から【超高校級のヒール】なんて呼ばれていたりもする。
試合の中でのそういうキャラだと思ってたけど、マジでこういう性格の奴だったのか…
「わかったらさっさとどっか行けよ。ただでさえこんなとこに連れて来られて訳わかんねぇんだからよ」
生意気な奴だな。
ヒールとして有名になるのも納得だ。
「い、行こうよ東野君……僕、この人苦手…」
うーん、暗野もこう言ってるし、そろそろ他の奴に声かけた方がいいかもな。
何より内闘自身がこれ以上近づくなオーラ出してるし。
初対面だからってここまで警戒心剥き出しにするかぁ……
俺は、近くにいた女子に話しかける事にした。
暗めの赤毛の癖っ毛を後ろでまとめていて、度の強い眼鏡の向こうからは銀色の鋭い眼光が覗いている。
ショートタンクトップにローライズのカーゴパンツ、半袖のジャケットといった格好で、地黒の肌を惜しみなく晒している。
殉前がモデル系、薬師寺がグラマラス美女、リーゼが正統派美少女だとするなら、この女子はフィットネスビューティーといったところか。
「なあ、自己紹介いいか?」
「はぁ……
【超高校級の狙撃手】
打田清美…
世界最強の傭兵集団『フェンリル』に所属しているスナイパーで、狙った相手は必ず仕留める仕事人って呼ばれてるんだっけか。
その人間離れした技術から、『白い死神』と呼ばれたシモヘイヘにちなんで巷じゃ『赤い死神』と呼ばれていたりもする。
要人暗殺も請け負った事があると言われているが、真偽は不明だ。
「打田さんは、300m先の標的をヘッドショットで仕留めたっていわれてるんだよね…」
「別に…あたしは自分に与えられた任務を全うしただけ」
マジかよ。
それは聞いた事なかったぞ。
自分の功績を驕ったり卑下したりしないあたり、良くも悪くもストイックな奴のようだな。
…というか暗野の奴、やけに打田の仕事ぶりに詳しいな…
希望ヶ峰のスレにも上がってなかったような情報なのに、よく知ってたな。
「詳しいんだな、暗野」
「あっ、うん…えっと、たまたま知ってたんだよ」
「そうなのか。暗野って頭良いし、俺の知らないような事知ってるし、【超高校級の情報屋】とか【超高校級の探偵】だったりしてな」
「うーん……」
どっちもしっくりこない感じか。
でも頭脳系の才能だとは思うんだよな。
「はあ…話が終わったんならどっか行くなりしてくれない?あたしもそこのプロレス馬鹿と同じ意見だから」
「誰がプロレス馬鹿だ!!」
「耳元で叫ぶなうるっさい」
「二人ともやめろよ、仲良くしようぜ!なっ!」
打田と内闘が険悪なムードになっていると、樺戸が仲裁に入った。
うーん…
あの二人は簡単に人を信用したりしなさそうだな。
これ以上一緒にいてもかえって刺激するだけだろうし、そろそろ別の場所を探索した方が良さそうだな。
「も、もう行こうよ東野君……」
「そうだな」
俺達は、ボイラー室を後にしてトラッシュルームに向かった。
◇◇◇
《トラッシュルーム》
トラッシュルームに行くと、また一人いた。
平均的な体格の男子だ。
「あ、もしかしてキミ達もここに連れてこられた人かな?」
男子は、俺達に気がつくなり声をかけてきた。
頭頂部からは特徴的な触角が生えていて、毛先を遊ばせた明るい茶色のショートヘアと緑色の目をしていて、パーカーと希望ヶ峰の制服を着ている。
見たところ柔らかそうな雰囲気で、虫も殺さなさそうな優しい印象を抱かせる。
「ああ。俺は【超高校級の小説家】の東野潤。で、こっちが暗野斬良だ。あんたは?」
「ボクは
【超高校級の幸運】
超高校級の幸運っていうのは、毎年全国の平均的な高校生の中から一人ランダムで選ばれる制度だよな。
今年は的凪が幸運として選ばれたのか。
「でも、ボクなんかが超高校級を名乗っていいのかな…ボクなんて、ただ運で選ばれただけの一般人なのに。他の超高校級の人達と同じ学舎に行くだなんて、とてもじゃないけど恐れ多すぎるよ」
「そんな事ないと思うぞ。『運も実力のうち』っていうしな。ここで出会ったのも何かの縁だし、変に気とか遣わなくていいからな」
「えへへ…【超高校級の小説家】の東野くん程の人にそんな事を言ってもらえるなんて、本当に光栄だよ」
わあ、すごい目を輝かせてくるなぁ。
そこまで言われると悪い気はしないけども。
「ところで…暗野くんの才能は何なのかな?キミも希望ヶ峰学園にされたんだよね?だったら、さぞかし凄い才能なんだろうね!」
「えっと…ぼ、僕は…才能を思い出せないんだ…ごめんね」
「それは……何て事だ、本当に役立たずだよ」
えっ、的凪…お前それは言い過ぎじゃないか?
才能がわからなくて不安な相手に対していきなり『役立たず』って…
「ひ、酷い…!」
「ああ、違うんだ。ボクは自分を責めてるんだよ。ボクに超高校級の才能があれば、暗野くんの手助けができたかもしれないのに…本当に不甲斐ないよ」
ああ、自分が役立たずって意味で言ったのね。
それはそれで自分を卑下しすぎな気がするけど。
「ところで、ここにいるのはお前が最後か?俺は既にお前含めて16人と会ってるんだが」
「ああ、それなんだけど……」
的凪が何かを言おうとした、その時だった。
「ぐごぁ〜…すぴぃ〜…」
どこからか、いびきのような音が聴こえてきた。
何だ、俺達以外にもまだここに誰かいるのか?
「…何の音だ?」
「さ、さあ?」
俺はふと、音のする方に視線をやった。
そこには、人の脚がはみ出ているゴミ箱があった。
どうやら女子のようだが、そいつはゴミ箱に上半身を突っ込んだまま微動だにしなかった。
「ひぃ!?し、死体!?」
「落ち着け暗野。生きてるっぽい。何でゴミ箱に突っ込んでるのかは知らんが…」
暗野は女子を死体だと思ってビビっていたが、どうやら生きているようだ。
…生きてるよな?
俺がゴミ箱に身体を突っ込んでいる女子に話しかけようとした、その時だった。
「んん〜………」
ゴミ箱に身体を突っ込んでいた女子がゴソゴソと動き、ゴミ箱から這い出てきた。
ベージュ色の髪に赤紫のタレ目をしていて、眠たげな顔の女子だ。
希望ヶ峰の制服の上にドクロマークのついたパーカーを羽織っていて、背中にはウサミミのリュックを背負っている。
「うるさいなぁ……ちはるが気持ち良く寝てたんだから静かにしてよね」
「ご、ごめんね六道さん」
「ちはる憲法第9条。何人たりともちはるの安眠を妨害すべからず。しかと心得よ」
そう言ってその女子は、ビシッと俺達に指を突きつけてきた。
いや…こんなわけのわからない場所に連れて来られて、ゴミ箱の中で爆睡したりしないだろ普通…
「えっと…六道さん。紹介がまだだったよね?この人達は…「知ってるよ。小説家の東野と才能不明の暗野でしょ」
えっ、何で俺達の事知ってるんだ?
…もしかして、寝ながら俺達の自己紹介を聞いてたのか?
「ふわぁあ……ボクは
【超高校級のゲームプログラマー】
六道千春…確か数々の名作ゲームを生み出している天才プログラマーで、『スカルプロジェクト』という会社を経営している若き社長だったよな。
『スカルプロジェクト』は、最初はR指定のエログロゲームや糞ゲーばっかり作っているマイナー企業っていうイメージだったが、『Ever Blooms』というRPGゲームが大ヒットしてからは業績は鰻登り、大手企業へと成長したんだよな。
さらには、悪徳ゲーマーやクラッカーを成敗するホワイトハッカーとしても活躍しているらしく、噂によると対象のシステムをゲームに変換してゲームを攻略する事でそいつらの悪行を阻止するのが彼女のやり方らしい。
テレビとかでは一切顔出ししてないからどんな人なのかと思ってたけど…こんなふわふわした感じの子だったのか。
「俺、『スカルプロジェクト』のゲーム大好きなんだよ!良かったら話…」
「断る。ちはるは眠いからもうねる。おやすみ」
寝た…!
しかも目を開けたまま?立ったまま!?
もうこれマイペースってレベルじゃなくね?
「何か冷たい人だね……」
「ごめん、本当は悪い人じゃないんだけど…」
的凪が言うならそうなんだろうけど…
よくわからない子だな。
…っと、これで中央棟の設備は全て見たわけだが…
『あー!!あー!!マイクテス!!マイクテスッ!!オマエラ、5分以内に中央棟1階のロビーに集合してください!!あ、来なかった人にはドキドキでエクストリームなおしおきをプレゼントしますので悪しからず!』
うるっさ…!?
えっ、何だ今の…?
あのスピーカーから聴こえたのか?
「ひ、ひい!?何なの、今の!?」
「それにおしおきって……?」
暗野は肩をビクッとさせてオロオロし、的凪も不安そうにしていた。
今の、俺達をここに連れてきた誘拐犯か…?
このタイミングで全員を集めるなんて、何かしらの罠があるに決まってる。
だけど……
「とりあえず、行くしかないだろう。行かなかったら何も始まらない」
「そ、それはそうだけどぉ…」
「大丈夫だよ。暗野は俺が守るよ。…って、何の根拠にもならないけど」
俺が強がって笑顔を浮かべると、暗野はびくびく怯えながら俺の背中にくっついた。
俺達がロビーに行こうとしたその時、的凪が呼び止める。
「あ、待って。六道さんが」
「ぐぅぐぅ」
「寝たまま歩いてる!?」
六道が眠ったままロビーへとスタスタ歩いていったので、俺達は六道を追いかける形でロビーに向かった。
この時、俺達は知らなかったんだ。
まさかこれが絶望の始まりだったなんて……
ーーー 登場人物 ーーー
【超高校級の小説家】
【超高校級の???】
【超高校級のギャル】
【超高校級の司令官】
【超高校級の軍医】
【超高校級のオルガニスト】リーゼロッテ・ベルゲングリューン
【超高校級の原型師】
【超高校級の心霊学者】
【超高校級の絵本作家】
【超高校級のディーラー】
【超高校級のカルタ師】
【超高校級のグラシエール】
【超高校級のソムリエ】
【超高校級のカバディ選手】
【超高校級のプロレスラー】
【超高校級の狙撃手】
【超高校級の幸運】
【超高校級のゲームプログラマー】
ノコリ18人
推しがいたら教えてくんなまし
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東野潤_小説家
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暗野斬良_???
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殉前詩乃子_ギャル
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神風大和_司令官
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薬師寺療香_軍医
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リーゼロッテ_オルガニスト
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安室明日奈_原型師
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消灯寺霊庵_心霊学者
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山脇ゆか_絵本作家
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梶野運命_ディーラー
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神無月椛_カルタ師
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氷川みるく_グラシエール
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酒蔵飛露喜_ソムリエ
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樺戸ラムジ_カバディ選手
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内闘力也_プロレスラー
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打田清美_狙撃手
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的凪梢_幸運
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六道千春_ゲームプログラマー
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モノルナ_引率教師