インフィニティダンガンロンパ6 ようこそぼくらのコロシアイ強化合宿 作:M.T.
side SK
俺と的凪は、新しく開放されたバーと映画館を調べてみる事にした。
「ほら、とっとと行くぞ」
「ボクは千春ちゃんの命令しか聞きたくないんだけどな」
俺が的凪に声をかけると、的凪は生意気にも口答えしてきやがった。
マジで面倒くせえなこいつ。
こんな奴に付き合わされる六道ちゃんが可哀想だ。
俺は、クソ凪が山脇ちゃんや氷川ちゃんにした事を、到底許せねぇ。
こいつは、山脇ちゃんを殺そうとした上に、氷川ちゃんの心を壊したのに、のうのうと生きてやがる。
俺も正直このクソ野郎といつまでも一緒にいたくねぇし、さっさと探索終わらせるか。
俺は、半ば強引に的凪の腕を引っ張って、目の前の建物の中に入った。
さてと。
まずはどっちから調べるかな。
とりあえず、マップ見てみるか。
マップを見てみると、オブジェみたいな建物に、モノクマハウスなる不愉快な名前が付いている事がわかった。
えっと…1階がカジノとバー、2階がミュージアム、3階が映画館、んで上の球体部分がコンサートホールになってんのか。
だったらまずは、1階のバーから調べるとするかな。
《モノクマハウス 1F》
モノクマハウスの1階は、だだっ広いロビーが広がっていて、天井には巨大なシャンデリアが吊るされていた。
ロビーの隅には椰子の木が生えていて、まるで高級ホテルのロビーみたいだ。
ロビーのど真ん中には、巨大なモノクマの像がある。
的凪は、その像を見上げてボソッと呟く。
「相変わらずセンスが終わってるね」
…こいつの味方をするわけじゃねぇが、今回ばかりはこいつの意見に賛成だ。
いくらストライクゾーンが広い俺でも、こんなの飾ってあるのを見せられたら気分悪くなってくる。
「ねぇ、酒蔵くん。向こうにエレベーターとバーがあるみたいだけど?」
「何だお前、急に探索に積極的になったじゃねぇかよ。どういう風の吹き回しだ?」
「探索をさっさと終わらせたいだけだよ。酒蔵くんと一緒に探索するとか嫌だもんね、千春ちゃん?」
そう言って的凪は、誰もいない壁に向かって話しかける。
うわ…マジかよこいつ。
ちょっと離れただけで、もう六道ちゃんの幻覚を見てやがる。
前から思ってたけど、こいつガチでやべぇな。
少し進むと、モノクマみてぇにツートンカラーに分かれたエレベーターが見える。
その左手には、『BAR』と書かれた小洒落た扉があった。
俺と的凪は、エレベーターには乗らずに、1階にあるバーを先に調べる事にした。
《バー》
俺と的凪は、バーの中に入った。
薄暗いバーの天井には、ロビー程の大きさじゃないがシャンデリアが吊るされていて、薄暗くて小洒落た雰囲気だ。
どこからか、このバーの雰囲気にマッチした音楽が流れている。
バーにはカウンター席とテーブル席があって、テーブル席には座り心地の良さそうな高級ソファーが置かれている。
カウンター席には、回るタイプの6つ席が並んでいて、向かいがキッチンになっている。
カウンターには、タバコと電子ライターが置かれている。
キッチンにはカクテルを作ったりちょっとした料理を出したりするための最低限の道具が揃えられていて、壁には古今東西色んな種類の酒が並んでいる。
中には珍しい酒もあったりして、正直酒好きの俺としては嬉しいラインナップだ。
さっきまで俺の隣にいた的凪は、キッチンに入ってカクテルセットを物色してやがる。
ソムリエナイフを見てる時の目つきなんか、完全にヤバい奴の目だ。
「ああ、これ見た事あるやつだ。何に使うんだっけ?」
的凪は、キッチンからストレーナーを取り出しながら言った。
別に的凪と話したいわけじゃなかったが、職業柄、つい的凪の疑問に答えちまった。
「ああ、ストレーナーだろ。ミキシンググラスの縁にはめて、不純物を濾過するための道具だ」
「ボクは千春ちゃんに話しかけてるんだけど」
俺が的凪の質問に答えると、的凪は舌打ちしながら声のトーンを下げて悪態をついてくる。
いや、舌打ちしたいのはこっちだから。
「まぁおじさんとしては、色んな酒がここで楽しめるのは嬉しいんだけどよ。俺以外未成年なのに、バーなんて開放していいのか?しかもタバコまで置いてあんじゃねえか。お前に言ってるんだぞ、モノクマ」
俺は、どこかにいるであろうモノクマに向かって話しかけた。
するとモノクマが、ソファーの影から飛び出してくる。
『はいはーい、ズバリお答えしますよっと。未成年の飲酒や喫煙は、原則禁止です!ボクはニュートラルで健全なクマだからね。故意の飲酒喫煙は、校則違反とみなしておしおきするからね!』
モノクマが言うと、電子生徒手帳が鳴った。
生徒手帳に書かれた校則を確認すると、新しく20個目の校則が増えていた。
二十、故意の未成年飲酒を禁じます。
「逆に故意じゃなきゃOKって事か…ありがとう、いい事を聞いたよ」
的凪は、無邪気な笑みを浮かべながら不穏な事を言っていた。
おい、お前絶対何か企んでるだろ。
「聞きたい事は聞けたし、もう行っていいよ」
『ちぇー。オマエラ、何かボク達への扱い雑じゃない?』
的凪がモノクマに向かって冷たく言い放つと、モノクマは不貞腐れた様子でとぼとぼ去っていった。
お前なんか、生ゴミ以下だっつうの。
「さて、と。調べ物は終わったし、もうここに用は無いよね?」
「お前が仕切ってんじゃねぇ」
バーの探索を終えた俺と的凪は、バーを後にして1階ロビーのエレベーターに乗り込んだ。
◇◇◇
《モノクマハウス 3F》
エレベーターで3階まで上がって降りると、そこはすぐ映画館のチケット売り場になっていた。
チケット売り場では、カーホップの格好をしたモノルナが、映画のチケットと飲食物を売っている。
『TICKET』と書かれた看板の上にはモニターが設置されていて、映画館の上映作品の一覧が表示されていた。
『名探偵モノクマ 四次元のスナイパー』『モノルナ少女の事件簿 モノクマパーク殺人事件』…どれもどこかで見た事あるようなミステリーものだ。
ポスターを見る限り、どう見ても駄作の予感しかしない。
しかもどの作品も、これでもかってくらいのぼったくり価格で販売されている。
飲食代別料金で5万メダルって…
なかなかにアコギな商売してんじゃねぇか。
「ここ、映画のポスターが貼られてるけどさ。これ全部ここでチケットを買えば見られるの?」
『キャハハ!お客さん、お目が高いね!ええ、そうよ。ここで上映されているのは、アタシとお兄ちゃんの完全オリジナル脚本の作品なのよ!しかも二作品以上チケットを買うと、お値段が半額になってお得なの!全米が涙した感動の超大作をお楽しみあれ!』
的凪が質問すると、モノルナが笑いながら答える。
完全オリジナル脚本か…ものは言いようだな。
あと、全米を舐めるな。
「ねえ、映画館の中に入りたいんだけど」
『それならチケットを買ってちょうだいな♪』
「じゃあこれとこれ」
『まいどありー♪』
的凪は、平然とした顔でぼったくりチケットを2枚買った。
チケットを売り捌いたモノルナは、気持ちいい笑顔で手を振った。
映画館には、シアターが4つ並んでいて、奥の方が鏡張りになっている。
奥行きを広く見せるためなんだろうけど…何かセコいな。
俺と的凪は、早速1番手前のシアターに入った。
シアターには、20人くらいが座れる数の席が並んでいて、目の前に巨大なスクリーンがある。
俺が適当に後ろの方の座席に座った、その瞬間だった。
「うわっ」
突然、照明が消えてシアターが暗くなった。
シアターが暗くなってからしばらくして、スクリーンに映像が表示される。
どうやら、映画が始まったみたいだ。
◇◇◇
上映開始から2時間が経って、やっと映画が終わった。
…マジで時間を無駄にした。
脚本は有名作品の切り貼りだわ、映像も音響も何もかもがゴミクオリティーだわ、映画に対する敬意をこれっぽっちも感じなかった。
…って、あれ?
的凪はどこ行った?
ったく、あの野郎…!
俺は、的凪に心の中で悪態をつきながら、映画館を後にした。
すると外のベンチに的凪が何食わぬ顔で座っているのを見つけた。
「やあ、酒蔵くん。まだ映画館にいたんだね。そんなにあの映画が良かったの?」
「お前…いつの間に外に出てたんだよ」
「だって面白くなかったんだもん。それより、ボクお腹空いちゃった。さっさと探索を終えてご飯が食べたいなぁ。そうだよね、千春ちゃん?」
こいつ…
やっぱり俺、こいつ嫌いだ。
◆◆◆
side KN
あたいとラムジちゃんは、新しく開放されたコンサートホールを調べる事になった。
とりあえずあたいは、ラムジちゃんに声をかけた。
「とりあえずさー、ちゃっちゃと調べちゃおうよ。なんか広くて調べるの時間かかりそうだし」
「お、おう!そうだな!」
あたいが声をかけると、ラムジちゃんはちょっと戸惑った感じで答えた。
何よ、あたいが探索しようって言い出したら何か悪いわけ?
…そりゃあまあ、今までの行いのせいで信用がない自覚はあるけど。
だってしょうがないじゃない、もう療香ちゃんもリーゼちゃんもみるくちゃんもいないんだもん。
ここから先は、あたいだって自分にできる事はやらなきゃいけない…それくらいわかってるよ。
あたいは、ラムジちゃんを連れてモノクマハウスとかいうヘンテコな建物の中に入った。
《モノクマハウス 1F》
モノクマハウスの1階は、だだっ広い空間が広がっていて、天井には硝子でできた巨大な照明が吊るされていた。
隅には椰子の木が生えていて、真ん中には、巨大なモノクマの像がある。
相変わらずモノクマってこういうセンスが死んでるよね。
んーっと…
コンサートホールってどうやって行けばいいんだっけ?
皆は電子生徒手帳を使って調べてたけど…
あたいだって、地図を見るくらいだったらできるもん!
…って、あれ?
どうやるんだったっけ、ド忘れしちゃった。
前にみるくちゃんにやり方教えてもらったのに…
「あれ?あれ?地図が開けないよ」
どうやっても、地図が開けない。
あたいが困ってると、ラムジちゃんが話しかけてきた。
な、何よ、そんな憐れむような目で見なくてもいいじゃん!
「…なあモミジ、オレが代わりにマップ見てやろうか?」
はぁ!?
よ、余計なお世話なんだけど!?
助けてもらわなくても、あたい一人でできるし!
「ぅぐ、お、お願い……」
「おう、任しとけ!」
あたいがラムジちゃんにお願いすると、ラムジちゃんは生徒手帳を使って地図を調べ始めた。
あれっ…?
あたい、なんで今素直にラムジちゃんにお願いしたんだろ…
「なんか4階にコンサートホールがあるらしいぜ!」
「4階って…どうやって行けばいいの?」
「あっちだ!」
ラムジちゃんは、奥の方を指さしてあたいを引っ張っていった。
ちょっと、引っ張らないでよ!
あたいはあんたみたいに体力バカじゃないんだけど!?
「ほら、早く行こうぜ!」
「わ、わかってるよ!」
あたいとラムジちゃんは、そのまま1階のエレベーターに乗り込んだ。
◇◇◇
《モノクマハウス 4F》
「………うわぁ」
エレベーターで4階まで上がって降りると、そこはすぐコンサートホールになっていた。
コンサートホールは、真ん中のステージを囲むようにぐるっと席が並んでいて、真上には星空が広がっている。
「何で部屋の中なのに星空が見えるの?」
「いや、多分あれ本物じゃねーとおもうぞ。ほら見ろ、空にうっすら線が見えるだろ?」
「う、うるさいなぁ!それくらい知ってるもん!」
あたいが強がると、ラムジちゃんはそれ以上は何も言ってこなかった。
だから憐れむような目で見るなっつーの!
「…って、あれ?何あれ」
ステージの方を見ると、何かよくわからない機械が置いてあった。
マイクとスピーカーはわかるけど、このデカくて黒いのは何だろ?
『それはAVアンプだよ!』
いきなり、どこからかモノクマがヌルッと登場した。
うわっ…
何こいつ、しれっとあたいの考えてた事読んできたんだけど…?
『あっ、AVって言っても『オーディオ・ヴィジュアル』の略だからね!ここテストに出るからね!別のものを想像したハレンチな人は、後で職員室に来ないとおしおきだよ!』
「いや、そこはどうでもいいんだけど」
『音声の増幅・変換機能で高音質なサウンドをお届け!楽器を演奏するも良し、ジ◯イアンリサイタルをするも良し!しかもこのアンプ、とっても便利な機能が付いているのです!』
「便利な機能?何それ」
『うぷぷ…それはね、使ってみてのお楽しみだよ』
「あっそ、教えてくれないんならいいや別に。あんまり興味ないし」
『しょぼーん』
あたいが適当にあしらうと、モノクマは見るからに落ち込んでいるようなそぶりをした。
…わざわざ口で『しょぼーん』って言う奴初めて見たんだけど。
◆◆◆
side KJ
私、安室様、六道様は、新しく開放された遊園地を調べる事になりました。
それは良いのですが…
「何を奈落に落ちたような顔をしているのだ、冥界の名を刻む者よ」
「…別に落ち込んでない」
安室様が六道様に話しかけると、六道様は眉間に皺を寄せて拗ねてしまいました。
どうやら、先程の役割決めのジャンケンで東野様に負けた事を、いまだに気にしていらっしゃるようです。
私と六道様はカジノの探索をしたかったのですが、同じくカジノの探索を希望されていた東野様と取り合いになり、どちらのチームがカジノの探索をするかを決める為のジャンケンで六道様が負けてしまったのです。
ですが過ぎた事をいつまでも気にしていても仕方ありません。
「六道様。もう終わった事ですから、いつまでも気にしていては仕方ありません。まずは植物園から探索をしてみませんか?」
「………ん」
「ククク、植物園か…魔界のマンドレイク共を刈り取った日々を思い出すな」
私が提案すると、六道様が不服そうな顔をしつつも頷きました。
反対に安室様は、どうやら乗り気のようです。
私はマップで植物園の場所を確認してから、安室様と六道様を連れて植物園に向かいました。
《ショクブツエン》
植物園には、世界中のあらゆる植物が生えており、あたり一面に緑が広がっています。
植物園の入り口付近の看板には、植物園についての解説文が書かれています。
よく見ると、中に池があったりもして、かなり大規模な植物園である事が窺えますね。
不思議な事に、熱帯の植物と寒帯の植物が混在していますね。
これ、温度管理とかはどうなっているんでしょう…?
「ばなな…ばなな…」
六道様は、南国の植物を見つけるなり、バナナが生っていないか探していました。
どう見てもバナナの木ではないと思うのですが…
しばらく真面目に探索をせずに遊んでいた六道様ですが、遊んでいる途中で何かを見つけたようです。
「なにこれぇ?」
一緒に探索をしていた六道様が、何かを指をさしていました。
六道様が指をさした先には、物置のようなものが設置されていました。
中を調べてみると、ツルハシや鎌、ロープや植木鉢、スコップなどの道具が入っています。
肥料や除草剤なども置いてありますね。
中には関係ないものもありますが、ほとんどが園芸用品のようです。
「こっ…こんな所に妖刀があるぞ…!?」
「えくすかりばー…」
「いや、これは妖刀三日月か…!?」
安室様は、物置の中にあったツルハシを手に取り、何かを呟いておいでのようです。
六道様と安室様は、ツルハシを巡って何やら盛り上がっていました。
私には分かりかねますが…クリエイター同士、独特の感性というものをお持ちなのでしょうかね。
それにしても、ここに置かれている道具に何かしらの意図を感じるのは私だけでしょうか…?
薬品の中には劇薬もありますし、ロープやツルハシや鎌などの、その気になれば殺人に使えそうな道具がわかりやすい場所に置かれています。
この場で殺人が起こるように、意図してわかりやすい場所に置かれている…というのは考えすぎでしょうかね。
とりあえず、使われたら危なそうな劇薬だけでも、わかりにくい場所に隠しておきましょうか。
私は、人体に有害な薬を選別し、コロシアイに悪用されないように棚の奥の方に隠しておきました。
「ここで調べられる事は、これくらいでしょうか?」
「……だね」
私が声をかけると、手を泥まみれにした六道様が頷きました。
……何故手が泥まみれなのでしょう?
「…何しているんです?」
「何かないか探してた…ぐぅ」
私が尋ねると、六道様は船を漕ぎながら答えました。
よく見ると、六道様の近くの花壇の土が掘り返されたのか汚れていました。
何かないか探してたって…まさかここにある花壇を全て掘り返して探したのではありませんよね?
《ユウエンチ》
植物園の探索を終えた私達は、次は遊園地の探索をする事にしました。
遊園地のアトラクションは、コーヒーカップ、メリーゴーラウンド、ゴーカート、ジェットコースター、観覧車の五つがあるようです。
残りの四つのアトラクションを囲むように、ジェットコースターのレールが設置されていますね。
私は安室様と六道様を連れて、先に残り四つのアトラクションを調べました。
「基本的には、普通の遊園地と変わらないようですね」
「ククク…魔界の遊園地を思い出すな…」
私が遊園地のアトラクションを調べている隣で、安室様がまた何かを呟いていらっしゃいました。
魔界にも遊園地があるんですね…
そんな事を考えていると、安室様が私に話しかけてきました。
「ところで…冥界の名を持つ者の姿が見当たらぬが?」
「六道様ですね。まあ、ここから遠くには行っていないのでしょうけれど…」
私が別のアトラクションに目を向けると、コーヒーカップがひとつだけあり得ない速度で回転していました。
もしやと思いそのコーヒーカップを見ると、案の定六道様が爆睡しておいででした。
「ぐ〜るぐる」
「おい貴様、何を遊んでいるのだ!?」
コーヒーカップで遊んでいる六道様に対し、安室様が怒鳴っています。
普段は常識外れな言動をするのに変なところで常識人なのは、何なんでしょうかね…
「…ねぇ、まだあと調べてない場所ってどこだっけ」
「人に調べさせておいて、何だその態度は…」
「あとはジェットコースターだけですね」
「おーし…じゃあ調べるぞー………ぐぅ」
「だから、何故貴様が仕切るのだ!?魔界騎士団の団長は俺様だぞ!?」
先程まで遊んでいた六道様が先にジェットコースターを調べ始めると、安室様がツッコミを入れました。
ジェットコースターは、途中に長いトンネルがあって、トンネルの中でレールが二本に分かれています。
「暗くてよくみえん…」
「むっ、何だ…?道が二つに分かれているが…」
「ここにある機械でレールの切り替えができるようですね。珍しいですが、無いわけではありませんよ」
そう言って私は、切替用のレバーを操作してみました。
すると線路が切り替わり、私達が立っているレールの隣のレールに繋がりました。
「んしょ…」
私達がトンネルの探索をしている間、六道様はジェットコースターのシートに乗っていました。
六道様が安全レバーを下げると、六道様の上半身がガッチリと固定され、身動きが取れない状態になってしまいました。
「これ、マジで首動かせないんだね……すやぁ」
「寝るな貴様!!」
安全レバーで固定された六道様は、レバーを外すのを諦めてシートの上で寝てしまいました。
困りましたね…
◆◆◆
side HG
「っしゃ、勝った…!」
俺は、打田と一緒にカジノとミュージアムを調べる事になった。
俺は最初からカジノを調べたかったんだが、六道と梶野がカジノを調べたいと言ったので、俺が六道とジャンケンをして、俺が勝ったからカジノを調べる事になったわけだ。
俺が勝利の喜びを噛み締めていると、打田が呆れた表情を浮かべる。
「いつまでそうしてるわけ?」
「ああ、悪い。それじゃ、俺達も行くか」
「…だね」
まずはどこから調べるか…
目の前にあるモノクマハウスは、1階がカジノとバー、2階がミュージアム、3階が映画館、んで上の球体部分がコンサートホールになっているらしい。
だったらまずは、1階のカジノから調べるか。
《モノクマハウス 1F》
モノクマハウスの1階は、広いロビーが広がっていて、天井には巨大なシャンデリアが吊るされていた。
ロビーの隅には椰子の木が生えていて、まるで高級ホテルのロビーみたいだ。
ロビーの真ん中には、巨大なモノクマの像がある。
モノクマって相変わらず余計な事しかしないな…
そんな事を考えつつ、『CASINO』と書かれた大きな扉を開けてみた。
《カジノ》
「すげぇ…何だこれ」
カジノに入った瞬間、俺は目の前の光景に圧倒された。
カジノは、高級そうなカーペットと凝ったデザインのシャンデリアで装飾された贅沢空間になっていて、ルーレットやビリヤード、スロット、テーブルゲームなんかが揃えられている。
娯楽施設にもゲームはあったけど、種類も数もこっちの方が圧倒的に多い。
何かすげぇ勝手な偏見だけど、梶野が来たらすごい喜びそうだな。
さっきもカジノに行きたいって言ってたし。
「意外と本格的なんだな」
俺と一緒に探索をしていた打田が、ぼそっと呟いた。
打田は、俺とは違ってカジノに入った時からほとんど無反応だった。
普段から表情をほとんど変えないのを差し引いても、まるで来た事があるかのようなリアクションだ。
「打田はカジノに行った事あるのか?」
「…行った事がないわけじゃない。やった事はないけど。金持ちの護衛とかやってた事あるから」
「へぇ…」
打田は、カジノのゲームを調べながら言った。
打田は傭兵集団『フェンリル』に所属してる狙撃手って聞いてたけど、そういう個人向けの仕事を請け負う事もあるんだな…
打田は、その場でしゃがみ込み、メガネをずらして細部までゲームを調べながら口を開く。
「カジノのゲームが色々あるけど…特にそれ以外に変わったところはなさそう」
特に変わったところがない事を確認した打田は、すぐに立ち上がった。
そういえばさっき、話したい事があるって言ってたけど…
打田の方から話してくれる気配がないな。
昨日の事件の事で話したかった事って、何なんだろう…?
…ひょっとして打田は、六道を襲った犯人…もしくは、六道と的凪が言ってた氷川の共犯者について何か知ってるのか…?
「なあ、打田。さっき昨日の事件の事で話したい事があるって言ってたけど…お前は何を話そうとしたんだ?ここには俺とお前以外誰もいないし、そろそろ話してくれてもいいんじゃないか?」
俺は思い切って、さっき打田が話そうとしていた事を尋ねた。
すると打田は、カジノを見渡してからこそっと話しかける。
「…ここじゃ話せない。場所を移すぞ」
ここじゃ話せない…?
もしかして、監視カメラで見られてるとマズい事でもあるのか…?
そういう事なら、ここで無理に聞き出すべきじゃない…よな?
カジノの探索を終えた俺と打田は、カジノを後にして1階ロビーのエレベーターに乗り込んだ。
◇◇◇
《モノクマハウス 2F》
エレベーターで2階まで上がって降りると、そこはすぐミュージアムになっていた。
ミュージアムには、巨大な恐竜の標本があったり、美術品や宝石が飾ってあったり、金と銀のモノクマとモノルナの像が置いてあったりと、統一感のないカオスな空間になっていた。
…銃とか鎧まであるんだが。
作業用の工房もあるらしく、絵画や彫刻なんかの美術品を作るのに必要な道具が揃えられていた。
こういうのは、安室が喜んだりするんだろうか。
俺がミュージアムの骨董品を調べていると、打田が黄金色の棺桶を調べ始めた。
棺桶には、ツタンカーメンのような装飾をしたモノクマの顔が刻み込まれている。
打田が棺桶を調べていると、棺桶の蓋が開いた。
「な…!?」
棺桶の蓋の奥は、薄暗い隠し通路になっていた。
暗すぎて監視できないからか、監視カメラがついていない。
防音性にも優れているようだ。
…まあ、モノクマが用意した施設って時点で信用はできないけど。
「ここでなら、思う存分話せる」
先に隠し通路に入って調べていた打田が、口を開いた。
俺は、気になっていた事を打田に尋ねる。
「聞いておいてなんだけど…どうして俺にだけ話をする気になったんだ?」
「今までの学級裁判で犯人を当ててきたあんたなら、話してもいいと思った」
「俺が黒幕って可能性もあるだろ?」
俺が言うと、打田が足を止める。
そしてずいっと顔を寄せて、言い放った。
「あんたにそんな事できる度胸ないでしょ」
『そんな事できる度胸ない』…か。
信頼してくれてるのか、それとも舐められてるのか…
…まあ、前者だと思っておこう。
「東野。昨日の事件はまだ終わってない。六道が襲われた時の事、覚えてる?」
「あ、ああ…確か、鋭い凶器で首を刺されてたんだよな」
俺が言うと、打田はいつも以上に真剣な表情で語り始めた。
「単刀直入に言う。六道を襲ったのは、氷川じゃない」
「えっ…?」
リーゼと消灯寺を殺し、的凪を襲った氷川が、六道をも襲った。
俺達のほとんどが信じ込んでいた仮説を、打田はあっさり否定した。
「六道の傷は、あえて致命傷を避けるように意図的につけられてた。氷川に、あんな芸当ができるとは思えない。六道に重傷を負わせてのうのうと今も生きてる『誰か』が、まだいるって事」
「誰かって…誰なんだよ?」
「心当たりは…一つだけある」
「心当たり?」
「…少しだけ、思い出したの。あたしの任務は、ある生徒を殺す事。そしてその生徒は、間違いなくあたし達のクラスにいる。もし六道を襲った奴があたしのターゲットなら、コロシアイはそう遠くないうちに確実に起こる」
「え…!?」
殺す…って…
『任務』って何なんだよ。
皆の中の誰かを殺す事が、打田の任務だってのか…?
そもそも、思い出したって…どういう事だよ?
混乱している俺に、打田は耳打ちしてきた。
「【超高校級の絶望】に気をつけて」
ーーー 生存メンバー ーーー
【超高校級の小説家】
【超高校級の原型師】
【超高校級のディーラー】
【超高校級のカルタ師】
【超高校級のソムリエ】
【超高校級のカバディ選手】
【超高校級の狙撃手】
【超高校級の幸運】
【超高校級のゲームプログラマー】
【サポートAI】アルターエゴ・Ω
ノコリ10人
ーーー 死亡メンバー ーーー
【超高校級のギャル】
【超高校級のプロレスラー】
【超高校級の絵本作家】
【超高校級のヒットマン】
【超高校級の司令官】
【超高校級の軍医】
【超高校級のオルガニスト】リーゼロッテ・ベルゲングリューン Chapter.3 シロ
【超高校級の心霊学者】
【超高校級のグラシエール】
以上9人
推しがいたら教えてくんなまし
-
東野潤_小説家
-
暗野斬良_???
-
殉前詩乃子_ギャル
-
神風大和_司令官
-
薬師寺療香_軍医
-
リーゼロッテ_オルガニスト
-
安室明日奈_原型師
-
消灯寺霊庵_心霊学者
-
山脇ゆか_絵本作家
-
梶野運命_ディーラー
-
神無月椛_カルタ師
-
氷川みるく_グラシエール
-
酒蔵飛露喜_ソムリエ
-
樺戸ラムジ_カバディ選手
-
内闘力也_プロレスラー
-
打田清美_狙撃手
-
的凪梢_幸運
-
六道千春_ゲームプログラマー
-
モノルナ_引率教師