インフィニティダンガンロンパ6 ようこそぼくらのコロシアイ強化合宿 作:M.T.
(非)日常編①
頭が回らない。
でも、何とか思い頭を動かして今の状況を整理した。
変なぬいぐるみと変な女が出てきたかと思えば、コロシアイ強化合宿だの何だのと意味不明な事を発表されて、俺達の仲間だった殉前が殺されて…
今はあいつらが消えて、俺達は殉前の冥福を祈っていた。
ようやく皆が殉前の冥福を祈り終わったその時、内闘が苛立った様子で口を開く。
「チッ、あのツートンカラー共、舐めやがって…」
内闘は、いきなりあんなゲームを強要されて苛立っているようだ。
俺は…苛立ちよりも不安が先に湧いてきた。
他の皆は…殉前の死のショックでまだ動けずにいる奴もいる。
するとその時、先程までモニターの前で俯いていた六道が口を開く。
「おまえら、いつまでエサ取られたモルモットみたくボサっと突っ立ってるわけさ。時間の無駄」
「あんた、寝てたんじゃなかったの?」
「一体いつから、ちはるが起きていると錯覚していた?すやぁ」
打田が話しかけると、六道は鼻提灯を膨らまし始めた。
…マジかよ。
こいつ、とうとう寝言で会話を成立させやがった。
さっきの台詞も寝言かよ。
すると、的凪が手を挙げて発言した。
「まずは電子生徒手帳を確認した方がいいんじゃないかな?ほら、マップとかこの合宿のルールとか、色々載ってるみたいだしさ。それでどうかな、神風くん」
「そうだな。まずはここの事を知る為にも、さっきモノクマが言っていたルールとやらを把握してから行動に移るのが合理というものだろう」
的凪の提案に神風が賛成し、俺達は校則を確認する事にした。
電子生徒手帳の『強化合宿の心得』と書かれたアプリをタッチして、内容を確認する。
すると、電子生徒手帳にルールがいくつか表示される。
《強化合宿の心得》
ー、生徒の皆さんはこの合宿場だけで共同生活を送りましょう。共同生活の期限はありません。
二、夜10時から朝7時までを夜時間とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう。
三、希望ヶ峰学園及び合宿場について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。
四、学園長ことモノクマと、引率教師のモノルナへの暴力を禁じます。監視カメラの破壊を禁じます。
五、殺人事件が発生した場合、一定の捜査時間の後、全員参加の学級裁判が行われます。
六、学級裁判で正しいクロを指摘できた場合、クロだけがおしおきされ、残りのメンバーで共同生活続行となります。
七、クロの指摘に失敗した場合、クロ以外の全員がおしおきされ、クロのみ『卒業』する事ができます。
八、シロが勝ち続けた場合、最後の二人になった時点でコロシアイ生活は終了となり、残った二人は『卒業』する事ができます。
九、モノクマ及びモノルナが殺人に関与する事はありません。
十、同一のクロが殺せるのは二人までとします。
十一、ルールは順次増えていく場合があります。
十二、男子の電子生徒手帳で女子棟に、女子の電子生徒手帳で男子棟に入室する事を禁じます。
「ふむ、なるほどな」
神風、やけに落ち着いてるな。
さすがは【超高校級の司令官】だ。
俺がルールを確認していると、神無月がコテンと首を傾げながら尋ねる。
「ねえねえ、この最後の二人になったら終わりっていうのはどういう事?」
「学級裁判の時に必然的にシロとクロが同数になって、投票が成立しなくなるからじゃないかしら?」
「ふーん、じゃあ人数が三人にまで減ってから人を殺したら、そいつはもうお咎めなしって事?わーい、世紀末だね!」
「ひ、ひい…!そんな事考えたくもないですよぉ…!」
神無月の質問に対して薬師寺が答えると、神無月がやけにハイテンションになった。
そのせいで氷川なんかはビビって泣き出してしまった。
神無月、さっきまであんなに泣いて騒いでたくせに、切り替え早いな…
「むっ、売店に行けるようになってるな。先程までは行けなかったはずだが…」
神風がマップを見ながら言うのでマップを確かめてみると、確かに売店に行けるようになっていた。
さっきまで売店にはいけなかったはずなのに…いつの間にか開放してるんだな。
「…よし、これからペアを作って探索をするぞ」
「は?何でペアなんか作る必要あるわけ?あたしこいつらと組むとか嫌なんだけど」
「殺人の予防線を張る為だ。もし仮に殺人が起きたとして、ペアで動いていればそいつが怪しいって事になるだろ」
「さ、殺人なんて…そんな恐ろしい事…」
神風が言うと、暗野はビクビクと怯え出す。
仲間同士で殺し合うなんて、そんなの俺としても絶対に避けたい。
その為には、仲間同士で協力し合わなくちゃいけないんだ。
「人数配置は、中央棟に5人、男子棟と女子棟に6人ずつでいいだろう。男子は男子同士で、女子は女子同士でペアを組むんだ」
「その事なのですが…もう内闘様は先に男子棟に向かわれましたよ?」
「何だと…!?あの問題児め…」
神風が提案すると、梶野が男子棟を指差しながら言うので、神風がギリっと歯を食い縛る。
内闘の奴…どこまでも自分勝手だな。
「困りましたわね…男子棟に行ってしまわれたのなら、わたくしはお力になれなさそうです」
「仕方ない。誰か監視しに行ってやってくれ」
「じゃあオレ行ってくる!任しとけ、足なら誰よりも自信あんだ!」
神風が俺達男子に言うと、樺戸が内闘を追いかけにいった。
とりあえず内闘は樺戸に任せておけば大丈夫…かな?
なんて思っていると、消灯寺と打田も先に出発してしまった。
「じゃあ僕も行ってくる」
「あたしも」
「え、消灯寺さんと打田さんもですか?」
「僕、人多いとこ無理」
「お待ち下さい、消灯寺様。私もご一緒します」
「仕方ないわね…打田さんは私が追いかけに行くわ。大和、皆をお願いね」
消灯寺は梶野が、打田は薬師寺が追いかけに行ってくれた。
残ったのは、俺、暗野、神風、リーゼ、安室、山脇、神無月、氷川、酒蔵、的凪、六道の11人だけだ。
「安室さん、わたくしとペアを組みませんか?」
「フッ、これもまた因果律の定め…」
「みるくちゃんは意外と役に立つから組んであげるー!椛に感謝していいんだよ?っていうかしろよ!」
「ひっ、ひぃいいい…!」
リーゼと安室、神無月と氷川は一緒に女子棟を調べる事にしたみたいだ。
氷川がちょっと可哀想な気がしないでもないけど…
俺も早くペア決めちゃわないとな。
「酒蔵、お前は俺と組んでもらう」
「えっ、男と二人っきりで探索…?悪くないじゃない。おじさんは男も全然オッケーだからね」
「黙れ」
酒蔵…お前まさか、ここにいる全員をそういう目で見てるんじゃないだろうな。
えっと、俺も早くペアを…
「あ、あの…山脇さん…その、一緒に探索しない?」
「あ……」
「六道さん、ボクと一緒にこの建物を調べない?」
「寝るの邪魔しなけりゃ何でもいいよ。ふぁあ…くそねみ」
あっ……
そっか、そりゃあそうだわな。
奇数人なんだもん、絶対1人余るよな。
いや、別にいいんだよ?
いいんだけどさ…
「「東野くん」」
俺がペアを組めずに困っていると、暗野と山脇が話しかけてくる。
「あの、一緒に探索…どう、かな?」
お、お前ら…
ありがとなぁ…!
こうして、全員無事ペアと探索場所が決まった。
中央棟:東野×暗野×山脇 的凪×六道
男子棟:梶野×消灯寺 樺戸×内闘 神風×酒蔵
女子棟:安室×リーゼ 打田×薬師寺 神無月×氷川
「んーっと、中央棟の設備は、一階がロビーとラウンジ、二階が厨房と食堂、三階が売店…で、地下一階がボイラー室とトラッシュルームだったよね」
「じゃあ俺達が売店を調べて構わないか?人数が多いし、そっちの方がいいだろ」
「うん、ボクなんかより超高校級のキミ達が調べた方が絶対にいいよ。ボク達は一階と地下一階を調べるから、東野くん達は二階と三階を調べてくれないかな」
「わかった。暗野と山脇もそれで構わないか?」
「うん…」
「僕も、東野君がいいって言うなら…それでいいよ」
「六道さんもそれでいい?」
「好きにして…ぐぅ」
おいおい。
だから寝るなって。
さすがにいくらなんでも寝すぎだろ。
「よし、全員決まったな。じゃあ昼の12時丁度に食堂でミーティングだ。いいか、他の奴等にもチャットで伝えておくが、絶対に遅れるなよ。では解散!」
神風の言葉を合図に、俺達はそれぞれ自分達の持ち場に向かった。
えっと、俺達は二階だからまずエレベーターで二階に上って…
着いた。
さて、と。
探索を進めていかないとな。
◆◆◆
side HG
《チュウオウトウ 2F》
ここが中央棟二階、さっきも行ったな。
二階には、食堂、厨房、あとは食堂倉庫があるみたいだ。
さっきは食堂をあまりちゃんと調べてなかったし、調べておかないとな。
《ショクドウ》
「まずは食堂を調べないとな。行こうぜ、二人とも」
「うん…」
俺達はまず、『ショクドウ』と書かれた扉を開けて食堂に入った。
食堂に入るとまず目に飛び込んでくるのは、部屋の中心に置かれテーブルクロスがかけられた大きなテーブルだった。
テーブルの両側には、ちょうど席が9つずつ配置されている。
テーブルの上には、花瓶が置かれている。
照明器具や装飾、壁紙などは温もりを感じるアジアンテイストで統一されていて、床にはオリエンタルカーペットが敷かれている。
ラウンジやロビーも思った事だが、極寒の猛吹雪の中なのにこのペンションはアジアンリゾート風なんだな。
初めて来た時は特に気に留める余裕も無かったが、こうして改めて見てみるとオシャレな感じだ。
「と、とりあえず…食べる場所には困らなさそうだね」
「うん…ミーティング…にも…使えそう…」
最初はこんな場所で一生暮らさなきゃいけないのかって思ってたけど、思ったより快適そうだ。
ただ…
「やっぱりここにもあるな、監視カメラ」
「うん…」
飯も監視されながら食わなきゃならないのか。
地味にストレスだな。
俺がそんな事を思っていると、暗野が嬉しそうに笑いながら呟く。
「へへ…何か、こういうちゃんとした場所でご飯食べられるのってありがたいよね」
「あー、確かにな。この雪山の中だし、正直あんまり期待してなかったけど…暖かい食堂で食事にありつけるのはありがたいな」
「いや、そういう意味じゃなくて…僕、こういうちゃんとした場所でご飯食べた事ないから…」
そうなのか…
そういや俺、暗野の事全然知らないんだった。
俺は、ほんの少し暗野の過去が気になった。
でも今無理に聞くのも野暮だよな。
いつか話してくれる時が来たら、その時話を聞けばいいんだ。
「次は厨房見てみようぜ」
《チュウボウ》
俺達は、食堂に隣接している『チュウボウ』と書かれた部屋に入った。
厨房には、包丁やフライパン、鍋にガスコンロなど、必要最低限の調理器具が揃えられていた。
ガスも水も通ってるし、ここで調理をすれば食い物には困らなさそうだ。
肝心なのは、食い物の備蓄の方だが…
「わあ、すごい…鍵付きの冷蔵庫だぁ…!」
暗野は、大型の冷蔵庫を見て驚いていた。
暗野の視線の先には、二台の冷蔵庫が並んでいた。
二台の冷蔵庫は、それぞれ肉や魚、乳製品や卵などの食品用、野菜や果物用になっているようで、俺達全員分が食べられるだけの十分な食糧が入っていた。
棚にはカップ麺やレトルト食品、缶詰などの非常食も入っている。
これだけあれば、当分の間は食糧に困る事は無さそうだ。
俺が冷蔵庫の中の食品をチェックしていると、山脇がカップ麺を手に取って見つめながら考え込む。
「でも…少し…心配…」
「え?」
「これ…全部…食べられる…のかな…」
「どういう意味だ?」
「考えたく…ない…けど…何か…危ない…ものとか…混ざって…ない…かな…って…」
あ……
そうだよな、ここにあるものが全部食べられるとは限らないもんな。
考えたくはないけど、もし毒とか入ってたら……
『そんなわけないやーーーーーい!!』
「ぎゃあ!?出た!!」
モノクマがいきなりどこからか飛び出してくると、暗野がビクッと肩を跳ね上がらせる。
確かにビックリしたけど、暗野お前ちょっとビビりすぎじゃないか?
『全く…変な言いがかりよせやい!毒なんか入れるわけないじゃーん!オマエラ、合宿のルールをちゃんと確認しなかったの?』
そう言ってモノクマは、空中に画面を表示する。
画面には、『九、モノクマ及びモノルナが殺人に関与する事はありません。』と書かれていた。
『ボクは、ルール違反以外でオマエラに直接手を下す事はありません!そんなみみっちい事いちいち気にすんのやめてよね〜。オマエラの為に毎日新鮮な食材を揃えてるし、賞味期限切れの食材はボクが責任持って処分してるからさ。それから、アレルギー食品に関しては全部ちゃんと表記してあるから安心して下さい!』
みみっちいって…命に関わる事だから気にしてるんだろうが。
というかこいつら、殺人が関係しないような場面でも律儀に俺達の事気遣ってくれてるんだな。
どんだけ俺達にコロシアイをさせたいんだ。
『ああ、そうそう。それと中央棟の2階と3階は、夜時間中は入れないので注意して下さいね。ではでは楽しいコロシアイライフを!』
コロシアイコロシアイうるさいな。
人の命を何だと思ってるんだこいつら…
「そっか。もう消えていいぞ」
『ちぇーーー…せっかく教えに来てあげたのに』
俺がモノクマを追い払う仕草をすると、モノクマはぶつくさ言いながら去っていった。
正直、こいつらの事は視界に入るだけで不愉快だ。
さてと。
邪魔者も消えたし、厨房は調べ終わったし、そろそろ隣の食堂倉庫を調べないとな。
《ショクドウソウコ》
俺達は、『ショクドウソウコ』と書かれた扉を開けた。
食堂倉庫には段ボールが山積みになっていて、棚にはテーブルクロスやエプロン、食堂を掃除する為の掃除用具などが置かれている。
なるほどな。
必要な備品とかはここに置いてあるわけか。
俺達は、早速置いてある備品を調べてみる事にした。
「暗野…くん…棚の…一番…上の…箱…取って…くれる…?」
「あっ、うん…!任せて」
山脇が棚の下の方を探しながら暗野に声をかけると、背の高い暗野はいとも簡単に棚の上の箱をひょいと取り上げた。
それを直接山脇に渡している時の表情は、どこか綻んでいるように思える。
…チクショウ、背が高い男って羨ましいな。
「ふぅ…とりあえず、これで全部調べ終わったかな」
「そうだな。じゃあそろそろ売店行くか」
食堂倉庫をひと通り調べ終わった俺達は、中央棟三階に向かう事にした。
三階は新しく開放されたみたいだし、少し楽しみだ。
《チュウオウトウ 3F》
俺達は、さっきのエレベーターに乗って三階に向かった。
エレベーターを降りてすぐのところに、アジアンテイストの装飾が施された扉が見えた。
『バイテン』って書いてあるし、ここが新しく開放された売店でいいんだよな?
「よし、行くぞ」
《バイテン》
売店の扉を潜ると、どこからかアジア系の音楽が聴こえてくる。
店の中に目をやると、色々な物資が揃えられたコンビニのような内装が広がっていた。
文房具にお菓子に日用品…ここが極寒の地だからか、寝袋や小型ヒーター、カイロなどの防寒グッズも充実している。
最低限生活に必要な物は、ここに行けば手に入りそうだ。
ジャージとかもあるのか。
制服のままだと寝心地悪いし、後で必要になるかもな。
薬とか絆創膏とかもあるし、ちょっとした怪我や病気程度なら、薬師寺に頼めばここにあるもので対応してもらえそうだ。
…というか、睡眠薬とかちょっとヤバめの薬とか平気で置いてあるけど大丈夫なのかこれ?
あと、さっきから気になってるこのモノクマを模った金色のガチャガチャ…
…いくらなんでもデカすぎじゃないか?
どう見たって3mくらいはあるし、入っているカプセルもサッカーボールくらいの大きさだ。
俺が金ピカのガチャガチャを調べていると、後ろから山脇がクィッと俺の服を引っ張って話しかけてきた。
「東野くん…これ…」
そう言って差し伸べてきた山脇の手には、モノクマの顔が描かれた金色のメダルが握られていた。
何だこれ…?
「山脇、どうしたんだこれ?」
「落ちてた…」
あ、普通にそこら辺に落ちてたものだったのか。
…けど、何だこれ?
『キャハハハ、それはズバリ、モノクマメダルだよ〜!』
「ぎゃああああ!!?」
背後からモノルナが耳障りな笑い声を上げながら現れ、暗野が叫び声を上げる。
この流れさっきも見たぞ…
『モノクマメダルは、このペンションの至る所に隠されています!モノクマメダルを拾うといい事がいっぱいあるから、じゃんじゃん見つけてじゃんじゃん拾う事をオススメするよ!』
「い、いい事って…例えばどんな…?」
暗野が尋ねると、モノルナは例のモノクマ型の金のガチャガチャの前に立ち、得意げにガチャガチャを指した。
誇らしげな表情から察するに、早く紹介したくて仕方なかったんだろうな。
『ジャジャジャジャーン!ザ・モノモノマシーン!モノモノマシーンは、モノクマメダル一枚で一回引けるよ!あと、モノクマメダルをたくさん集めれば、たくさんお買い物ができるよ!』
「お買い物?金なんてどこにも…」
『電子生徒手帳のウォレットアプリを開いてくださーい』
俺は、言われた通りにウォレットアプリを開いた。
アプリ内の画面には、モノクマメダルの枚数と所持金が表示されていた。
モノクマメダルが0枚なのはまあ当然だが、ウォレットには既に1万円が入っている。
『拾ったモノクマメダルは、ウォレットアプリとそこの両替機で換金できます!最初はみんなのウォレットに1万円入ってるけど、お金が足りなくなったらモノクマメダルを換金するといいよ〜!』
「ちなみに、これ一枚いくらなの?」
『1枚100円でーす』
100円か…
こんなに派手な見た目なのに、意外と安いな。
『ゆかチャン、せっかくだし一回ガチャ引いてみなよ!っていうか強制ネ☆』
「………」
山脇は、モノルナに強制的にモノモノマシーンを引かされた。
出てきたのは、小鳥の形の水笛だった。
景品をゲットした山脇は、心なしか少し嬉しそうだ。
「良かったな、山脇」
「…うん」
『あ、そうそう。三階は夜時間中入れないから注意してね!じゃ、アタシからの説明は以上です!モノクマ&モノルナは至る所に配置されています。用がある時はいつでも呼んでね!』
そう言ってモノルナは、どこかへと消えていった。
ふと時計を見てみると、ちょうど12時前になっていた。
昼のミーティングがあるし、そろそろ食堂に行かないとな。
売店を調べ終わった俺達は、食堂に戻った。
◆◆◆
side M
《チュウオウトウ 1F》
ボクは、六道さんと一緒に中央棟の一階と地下一階を調べる事になった。
ボクみたいな凡人ができる事なんて、たかが知れてるかもしれないけど…でも、ここから出る為にも手掛かりを見つけなきゃ。
「六道さん、まずはこのロビーを調べてみない?」
「…うん、そうする」
ボクが提案すると、六道さんは眠そうにしながらも頷いた。
本当はいい人なんだけど、マイペースだからなぁ。
《ロビー》
んーと…まずは、出入り口の確認からだよね。
ドアは頑丈にロックされていて、開けられそうにない。
窓もはめ殺しで、しかも強化ガラスが使われた二重窓だ。
もちろん隙間みたいなものはあるわけないし、うん、ダメだ。
これは出られそうにないな。
「うーん…やっぱり外に出られないね」
「出られたとしても、この猛吹雪じゃすぐ死ぬ」
「確かに…」
外に出られたとしても、この吹雪の中帰るのは無理…か。
うーん、ボク達はもしかしたら思ったより危機的状況に陥ったのかもしれないな。
でも、出られないものをいくら悩んでたって仕方ない。
今はここにある手掛かりを探さないと。
ロビーにあるのは、今見えてる受付と、モノクマとモノルナの像くらいだ。
受付にはモニターが設置されていて、カーペットや受付の装飾などは全体的にアジアンテイストで統一されている。
…あれ?これ、殉前さんの電子生徒手帳…だよね。
何でこんなところにあるんだろう…
渡す人がいなくなっちゃったから、モノクマが置いておいたのかな。
「まとなぎ…次、ラウンジ調べたい」
「あ、うん。そうだね」
《ラウンジ》
ロビーを調べたボクらは、ラウンジを調べる事にした。
ラウンジにはテレビとソファ、ローテーブル、あとはボードゲームや本が収納された小さな棚が設置されている。
家具はロビー同様どれもアジアンテイストで、ロビー側に置かれた木製の折り畳み式パーテーションがさらにオリエンタルな雰囲気を醸し出している。
7、8人で談笑するくらいならここで十分だろうけど…17人全員で集まるのは流石にちょっと狭すぎかな。
「ん……」
「ん?どうしたの六道さん」
ボクがラウンジを調べていると、六道さんが棚にあった本を渡してくる。
どうやら何かのファイルのようだけど…
これが気になるのかな?
「これ、読め」
「え、ボクが?」
「他に誰がいる。ちはる、文字多いのきらい。ねちゃうから」
そう言って六道さんは、また寝てしまった。
仕方ない、ボクが読むか…
ええっと、どうやら『ジェノサイダー翔』という殺人鬼のスクープ記事の切り抜きのようだ。
被害者は全員10〜20代の男性で、ジェノサイダー翔は被害者を鋏で磔にして『チミドロフィーバー』の血文字を現場に残すという猟奇的な犯行に及んでいるらしい。
一つだけわかっているのは、ジェノサイダー翔はボクらと同じ希望ヶ峰学園にスカウトされた高校生という事だけだ。
被害者のファイルをパラパラと捲っていると、あるページが目に留まった。
『一撃必殺のヒットマン』という見出しで飾られた記事で、被害者の写真が貼られている。
これらは全て『リカオン』という二つ名を持つ殺し屋による犯行で、使われた凶器は銃やナイフなど一貫性がないものの、どれも死因が心臓を一撃で貫通された事による即死という一点において共通している。
わかってるのは、リカオンは希望ヶ峰学園に入学予定の高校生だという事だ。
これはジェノサイダー翔の記事のファイルのはずだけど…ファイリングする時に違う事件の記事が紛れ込んだのかな?
「これってどういう事なのかな…ねえ、六道さん」
「ぐぅぐぅ」
また寝てる…
読んでって頼まれたから読んだのに…
そんな事を思っていると、六道さんが眠たげに口を開いた。
「ボクのほんの思いつきだけど、ジェノサイダーとリカオンには共通点があると思う」
「それって、殺人犯って事と、希望ヶ峰学園に入学予定の高校生って事?」
「そうじゃないよ…そんな読めばわかるような事なら、わざわざ言わないし。眠いんだから無駄に喋らせるな」
「ご、ごめん…」
六道さんは、あくびをしながら不機嫌そうに言った。
無駄な質問しちゃったせいで、機嫌損ねちゃったな。
「時間は有限。ちゃっちゃと行くぞ」
「うん…」
六道さんがラウンジ調べたいって言うから付き合ったんだけどなぁ…
えっと、あと調べなきゃいけないのは、ボク達が最初にいた地下だよね。
行ってみよう。
《チュウオウトウ B1F》
ボク達は、エレベーターに乗って地下一階に行った。
地下一階にあるのは…ボイラー室とトラッシュルームだったよね。
じゃあまずボイラー室から調べてみよう。
《ボイラーシツ》
ボクは、『ボイラーシツ』と書かれた扉の前に立ってドアノブを捻った。
…あれ?
開かない。
鍵がかかってるのかな。
『そこは関係者以外立ち入り禁止なのです!…って言っても、本当は何もないんだけどね』
いきなり、モノクマがボクらの背後から現れた。
六道さんはこの状況でも爆睡してるし…
何なんだろう。
「えっと…何の用かな?」
『ボイラー室では、高性能AIがこの施設の室温やお湯の温度を管理しております!下手に設定いじられると困るから、普段は立ち入り禁止にしているのです!』
「なるほどね」
「うぅ〜…おまえうるさい。どっか行け」
『ちぇー、せっかく説明してあげたのに』
六道さんが不機嫌そうにモノクマを睨むと、モノクマはぶつくさ言いながら去っていった。
まああんな事があったから当然なんだけど、皆やたらモノクマを邪険に扱うなぁ。
「入れないならもうここに用はない。次、トラッシュルーム行くぞ」
そう言って六道さんは、先にスタスタと行ってしまった。
あっ、待ってよもう…!
《トラッシュルーム》
ボクは、六道さんを追いかける形でさっきいたトラッシュルームに入った。
トラッシュルームには、『燃えるゴミ』『燃えないゴミ』『ビン・カン』『ペットボトル』『プラスチック類』等の貼り紙が貼られた大型のゴミ箱が置かれていて、その上には『ゴミはゴミ箱へ』というメッセージとモノクマのイラストが描かれた貼り紙が貼られている。
その奥には、巨大な焼却炉が設置されている。
焼却炉からは炎の音と機械の駆動音が微かに聞こえる。
どうやら動いているみたいだ。
…あれ?
何だろう、壁のくぼみにスイッチみたいなものが嵌め込まれている。
でも、アクリル板で仕切られていて押せないようになっている。
『トラッシュルームの焼却炉は、夜時間中動かないから注意してねん☆』
ボクがスイッチを調べようとすると、今度は後ろからモノルナが現れた。
やっぱり監視カメラでボク達の行動を逐一監視してるんだなぁ…
「それはいいけど、あのスイッチは一体…?」
『ああ、あれは緊急用の手動スイッチだよ。普段焼却炉は自動でオンオフが切り替わるんだけど、あのスイッチを使えば手動でオンオフが切り替えられるの。まあ、簡単に押されちゃ困るから、頑丈なアクリル板で蓋をしてあるんだけどね☆』
そう言ってモノルナは、ウインクをしながら決めポーズをした。
要は、事故を防ぐための緊急停止ボタンって事か。
『アタシからのアナウンスは以上だよ!モノクマ&モノルナは、館内の至る所に配置されております。用があったら気軽に呼んでね!ほんじゃぐっばいなら〜!』
そう言ってモノルナは、颯爽と去っていった。
どうしよう…思ったより早く調べ終わっちゃったな。
このままここにいるのも何だし、少し早いけど食堂に行ってみようかな。
「ぐぅぐぅ」
って、六道さんまたゴミ箱に突っ込んで寝てる…!
そんなにゴミ箱好きなの!?
とりあえず、起こしてあげた方がいいよね…?
「起きてよ六道さん、そんな所で寝てたら不衛生だよ…ぐふっ!!」
が、顔面に…モロ蹴り…
うう、意識が遠のいてく…
「……あれ?なにしてんのまとなぎ。そんなところで寝っ転がってたら風邪ひくよ」
「うぅ………」
…あれっ?
ボクはここで一体何を…
すっごく顔が痛い…
「ちはるもうあきた。食堂行こうよ」
「う、うん…」
地下を調べ終わったボク達は、二階の食堂に行く事にした。
何だろう、たった数時間しか経ってないのにものすごく疲れた…
ボクみたいな凡人が超高校級の皆と一緒に過ごせるのは光栄な事だけど、実際一緒に過ごしてみるとこうも疲れるものなのか…
ーーー 生存メンバー ーーー
【超高校級の小説家】
【超高校級の???】
【超高校級の司令官】
【超高校級の軍医】
【超高校級のオルガニスト】リーゼロッテ・ベルゲングリューン
【超高校級の原型師】
【超高校級の心霊学者】
【超高校級の絵本作家】
【超高校級のディーラー】
【超高校級のカルタ師】
【超高校級のグラシエール】
【超高校級のソムリエ】
【超高校級のカバディ選手】
【超高校級のプロレスラー】
【超高校級の狙撃手】
【超高校級の幸運】
【超高校級のゲームプログラマー】
ノコリ17人
ーーー 死亡メンバー ーーー
【超高校級のギャル】
以上1人
推しがいたら教えてくんなまし
-
東野潤_小説家
-
暗野斬良_???
-
殉前詩乃子_ギャル
-
神風大和_司令官
-
薬師寺療香_軍医
-
リーゼロッテ_オルガニスト
-
安室明日奈_原型師
-
消灯寺霊庵_心霊学者
-
山脇ゆか_絵本作家
-
梶野運命_ディーラー
-
神無月椛_カルタ師
-
氷川みるく_グラシエール
-
酒蔵飛露喜_ソムリエ
-
樺戸ラムジ_カバディ選手
-
内闘力也_プロレスラー
-
打田清美_狙撃手
-
的凪梢_幸運
-
六道千春_ゲームプログラマー
-
モノルナ_引率教師