インフィニティダンガンロンパ6 ようこそぼくらのコロシアイ強化合宿 作:M.T.
side L
《ジョシトウ 1F》
わたくしは、中央棟組や女子棟組と解散した後、安室さんと一緒に女子棟に向かいました。
入り口には女子マークが描かれていて、扉を開けると四方をピンク色の壁で囲まれたホールが目の前に広がっていました。
向かって左手にはエレベーターと階段が、右手には廊下が見えます。
「ええと…打田さんと薬師寺さんが先に向かわれたようですが、わたくし達は如何なさいましょうか?」
「フン…シンプルに、一組が1フロアを調べるのが良いのではないか?」
「わーい、椛さんせー!」
「わ、わたしもそれがいいと思います…!」
わたくしが皆さんに意見を尋ねると、安室さんが名案を出してくださいました。
神無月さんと氷川さんもそれに賛成のようです。
お二人を納得させ、かつ一番効率的な方法をその場で思いつくなんて…さすが安室さんですわ!
やっぱり、安室さんをペアにお誘いして正解でしたわね。
そんな事を考えていると、電子生徒手帳にチャットが来ました。
薬師寺さんからですわね。
「ムッ…このタイミングで薬師寺から言霊が送られてくるとは…もしや俺様の念が奴等に届いたのか?」
あら、薬師寺さんは打田さんと一緒に三階を探索していらっしゃるのですか。
そうなると…わたくし達は一階と二階を担当するという事になりますわね。
本当にすごいタイミングですわね。
まるでわたくし達の行動が読まれているようですわ。
「あの、皆さん。わたくしは一階を探索したいのですが、よろしいでしょうか?」
「俺様は構わんぞ。魔界騎士団の団長である俺様には、恐るる物など何も無いからな。して神無月、氷川。貴様らはどうする?」
「おっけー、椛達は二階ね!みるくちゃんもそれでいいよね?」
「は、はい…」
「フッ、決まりだな。では終焉の刻まで、この封印されしダンジョンを攻略しようではないか!」
「はい!」
ふふふ、お友達と一緒に探索なんて、何だか冒険みたいで楽しみですわね。
わたくし、同年代のお友達とこうして探検をするのは初めてで…何だか腹が躍りますわね!
《ダイヨクジョウ》
わたくし達は、マップ上で『ダイヨクジョウ』と書かれた場所に向かいました。
向かった場所には
これがニッポンの銭湯…!
文献で読んだ事はありますが、こうして実際に行くのは初めてですわ!
ええと、これは靴を入れる箱ですわよね?
きちんと靴を脱いで上がって…よし、早速探検ですわ!
靴を脱いで上がると、板敷きの床に鍵付きの木製のロッカーが設置されていて、恐らく衣服を入れる為の籠が置いてあります。
わたくしは今、あの夢にまで見た銭湯にいるのですね…何だか感動で舞い上がりそうですわ!
“
「…リーゼロッテ。貴様…もしや一階の探索に名乗り出たのは、風呂場を見てみたかったからなのか?」
だってこのような機会、滅多に無いではありませんか!
この機会に学べる事は学んでおきませんと!
「あら?そういえば、お金を払う場所がありませんね。銭湯は入場料が必要だと文献で読んだのですが…どうすれば良いのでしょうか?」
「おそらく、この清めの泉は贄を捧げずとも常に我等を受け入れているようだな」
「無料で使えるのですか!?凄いですね!」
こんなに素敵な場所が無料で使えるなんて、感激ですわ!
出来る事なら、祖国にも持ち帰りたいものですわね。
そうですわ!
この光景を、写真に収めておきましょう!
確か、電子生徒手帳にカメラ機能がございましたよね?
「ふむ…設備としては申し分ないようだ。次はこの閉ざされた扉を…って、リーゼロッテよ。貴様、何をしている?」
「はわぁ……」
あらやだ、思わずはしゃいで写真を撮りすぎてしまいました。
わたくしとした事が、ついはしたない姿を見せてしまいました。
ベルゲングリューン家の子女たる者、常に気高く粛然としていませんと。
ええと、次は浴室を調べればよろしいのでしたわよね?
「はわぁぁ…!」
これが日本のお風呂…!
素晴らしいですわ!
風呂場はタイル敷きになっていて、洗い場と広い浴槽があります。
浴槽に接した壁には、やはりというべきなのか、富士山の絵が描いてありますわ。
文献で読んだ限りでは、まさに昭和の銭湯ですわね。
何故かモノルナさんの像がありますが…何か意味があるのでしょうか?
あら?
この仕切り、上の方に隙間がありますわね。
どこかに繋がっているのでしょうか?
「…あら?どうかなさいましたか、安室さん」
「いや…ここには全てを見通す邪眼の視線を感じないなと思ってな」
邪眼…ああ、監視カメラの事ですわね。
言われてみれば、ここには監視カメラが一台もありませんね。
館内には、至る所に監視カメラが設置されているというのに…
湯気で浴室が見えないので設置できないのでしょうか?
「フハハ!どうやらあのクマ共も、俺様のオーラに怖気付いたようだな!俺様の真の姿を見た者は、たちまち身体が石のように固まってしまうからな!懸命な判断だ!せいぜい震えて眠るが良いわ!」
せ、石化…!?
それは恐ろしいですね。
…あら?
仕切りの向こうから何か聴こえますわね。
「安室さん、お静かに」
「むっ、どうしたのだリーゼロッテよ」
「何か聴こえませんか?ほら、あの仕切りの向こう側から」
やはり、仕切りの向こうから音が聴こえます。
話し声…ですわよね?
しかも、男性のものですわね。
それだけでなく、何だかニチャニチャと粘着質な視線も感じるような気がします。
もしや、この仕切りの向こうは男子棟になっていたり…
……いえ、流石にそんな事は…ありませんよね?
「フン、ここに隠された謎はこれくらいか…」
「そうですわね…一階には、あとはランドリー、リネン室、それからお手洗いがあるようですが」
「うむ。では次は魔装を清めし渦を宿した祠にいざ行かん!」
「ランドリーですね、了解です!」
安室さんが次はランドリーを調べたいそうなので、わたくし達は大浴場を後にしてランドリーに向かいました。
《ランドリー》
わたくし達は、大浴場に隣接したランドリーに足を運びました。
『ランドリー』と書かれた扉を開けると、ドラム式の洗濯機が並んだ空間が目に飛び込んできました。
上下に重なった洗濯機が4つずつ、合計8つの洗濯機が並んでいます。
コインランドリーのような設備になっているようですが…どこにもお金を入れる場所が無いので、ここも無料で利用できるのでしょうか?
ええと、こちらの棚には…洗剤類が入っているようですわね。
こちらにはお洗濯物を干す為の物干し竿がありますし、お洗濯はここですれば事足りそうですわ。
『はーい、ここで皆のアイドルモノルナちゃん参上☆』
「まあ」
わたくし達がランドリーを調べていると、どこからかモノルナさんが現れました。
本当に神出鬼没ですわね…
どこかから染み出したりしているのでしょうか?
わたくしがそんな事を考えていると、安室さんがわたくしの前に出てモノルナさんを睨みつけました。
「貴様…何の用だ。場合によっては、我が魔界の業火で消し炭にしてくれるわ!」
『あー、こっわ。消し炭でも備長炭でもいいけど、そんな事したらルール違反になっちゃうよん?』
「ぐっ……」
ルール違反をしたら…
殉前さんのようになってしまうのですよね。
それをわかっているから、わたくし達はモノクマさんとモノルナさんに逆らえません。
『なぁーんか明日奈チャン、アタシへの当たりがキツくない?』
「貴様…殉前に何をしたか、忘れたとは言わせんぞ。大体、何だその破廉恥で下品極まりない格好は…実に不愉快だ…!」
『えーひっどーい!アタシの一張羅腐されたー!あーあ、女の嫉妬は醜いね。センボーの眼差しが痛いのなんの』
「黙れ…!」
モノルナさんが何かよくわからない事を言っていると、安室さんは敵意を剥き出しにしてモノルナさんを睨みました。
あんな風に人の命を弄んだんです、このような態度を取られても無理はありませんわ。
「ええと、モノルナさん、何か御用でしょうか?何かアナウンスがあるから、わざわざここにいらしたのですよね?」
『キャハハ、そうそう。アタシはキミらに伝えたい事があって来たのよ。夜時間中は大浴場とランドリーが使えません!以上!』
そう言ってモノルナさんは、どこかへ消えてしまいました。
すると安室さんは、腕を組んだままフッと笑いました。
「ふん、ようやく邪魔者が消えたな。では次に行こうか」
そうですわね、ここはもう大体調べ終わりましたし、そろそろ次の場所の探索に移ってもいいかもしれません。
ええと…あと残っているのは、リネン室とお手洗いでしたわよね?
ではまずリネン室を調べてみましょう。
「安室さん、次はリネン室を調べませんこと?」
「フッ、良かろう」
安室さんも賛成のようですわね。
では、早速向かってみましょう。
《リネンシツ》
次は、『リネンシツ』と書かれた扉を開けました。
リネン室には、枕カバーやシーツなどのリネン類が置いてあります。
床に直接置いてある段ボールも、中身は全て布類のようですわね。
見たところ、ホテルにあるようなものとほとんど変わらないようですわ。
特に気になるところもありませんし、ここはこれくらいにして次の場所の探索に移ってもいいかもしれません。
ええと、残っているのはあとはお手洗いだけでしたわよね?
《1F ジョシトイレ》
わたくしと安室さんは、最後に残った女子マークが書かれた扉を開けました。
ピンク色の壁に囲まれた空間に、赤い個室が4つ設置されていて、入り口側の壁には洗面台が二つ並んでいます。
お化粧台もございますわね。
特に変わったところは無さそうです。
あら、まだこんな時間…思ったより早く終わってしまいましたね。
「安室さん、少し早いですがお話でもしながらゆっくり食堂に向かいませんか?」
「何…?貴様、俺様と対話をしたいと申すか」
「はい!ここで出会ったのもきっと何かの縁ですし、わたくしはもっと安室さんの事を知りたいのです」
「フッ、魔界の覇者たる俺様を恐れぬとは…妙な女よ」
ふふふ、安室さんと一緒にお話できるなんて、とても嬉しいですわ。
安室さんは、魔界での武勇伝をわたくしに話してくださいました。
安室さんの話はどれも面白くて、ついつい引き込まれてしまいます。
「ふふっ」
「むっ…どうした?」
「いえ、安室さんは面白い方ですね。一緒にいると何だか楽しいですわ」
「貴様…俺様と一緒にいるのが、楽しいだと…?」
あら、どうしましょう。
安室さんのお話が面白くて、ついつい笑ってしまいました。
ひょっとして、ご気分を害してしまったのでしょうか?
「あ、ありがとう…」
安室さんは、マフラーで口元を隠しながら小さな声で呟きました。
ふふっ、照れた安室さんは可愛らしいですね。
わたくし達は、お互いにここに来るまでの経緯を話し合いながらゆっくり目に食堂に向かいました。
◆◆◆
side HK
《ジョシトウ 2F》
「わー、どこもかしこも真っピンクだね!目がイライラするー!ピンクは淫乱って相場が決まってんだね!」
えっと…わ、わたしは、リーゼさん達と解散した後、神無月さんと一緒に女子棟の二階にやって来ました。
今はちょうどエレベーターを降りて、エレベーターホールにいます。
と、とりあえず、神無月さんの足を引っ張らないようにしなくちゃ…
まずは最初にどこを調べるか、神無月さんの意見を聞くべきですよね…?
「あ、あの…二階には個室が8つとラウンジ、あとトイレがあるみたいですけど…どこから調べましょう?」
「そーだなぁ、とりあえずラウンジからでいいんじゃない?1番近いし」
「そ、そうですね…」
「もー、いちいちあたいの反応気にしてビクビクすんな!見ててイライラする!ったく、みるくちゃんって図体はオーガなくせにメンタルは雑魚キャラだよね!」
「ひ、ひい…!」
ど、どうしよう…
神無月さんに嫌われてしまいました…
わたしが、わたしが鈍臭くて意気地なしなせいで…
わたし…わたし、どうしたら…
「あーもう、いちいち泣くな鬱陶しい!こんなところにいきなり閉じ込められて困ってんのはあんただけじゃないんだよ!ほら、さっさとラウンジ調べるよ!…ったく、やっぱそこら辺に置いて来ればよかったかな」
あ…か、神無月さんが、わたしの事、邪魔って…
ご、ごめっ…ごめん、なさい…!
わたし、わたしのせいで…
こ、今度は邪魔にならないようにしなくちゃ…
《ラウンジ》
わたしと神無月さんは、一番近い場所にあるラウンジに向かいました。
ラウンジは、ピンク色の壁にオリエンタルなソファとテーブルが置かれていて、中央棟のラウンジと似た造りになっています。
ええっと…中央棟のラウンジにあったテレビややボードゲーム、本とかはここには置かれていないみたいですね…
テーブルにはアジアンテイストの花瓶が置かれていて、廊下側にはラタンのパーテーションが置かれているみたいですけど…
何でしょう、全体的に東洋を感じさせますね…
「何ここ、ボードゲームの一つもないの?監視カメラが剥き出しだし、何だかブコツって感じー!ここ設計した人ってホントデザインのセンス死んでるよねー!」
「は、はあ…」
えっと…そんなに言うほど酷いデザインでしょうか…?
そんなにひどい事言ったら、ここの設計者の方が可哀想だと思うんですけど…
「あー、やだやだ。こんなところ探索しててもちっとも面白くない!ねえみるくちゃん、もう次いこーよ!」
「あっ…えっと…」
神無月さん、飽きるの早いですね…
ええと、あとは個室とトイレでしたよね?
どちらを調べるか、神無月さんに決めてもらった方がいいんでしょうか…
「あ、あの…神無月さんはどこを調べたいですか…?」
「あたいは個室がいいなー。これから寝泊まりする場所だしさぁ」
「わ、わかりました…個室ですね…」
ええっと、マップによると、豪華な客室が1部屋、普通の客室が3部屋、粗末な客室が4部屋あるようです…
豪華な客室は防音性や密閉性に優れ、普通の客室は防音性はイマイチではあるもののそこそこの環境が整っていて、粗末な客室は隙間風が何とも厳しい造りとなっているわけですか…
合計8部屋…ちょうど女子の人数と一致しますね。
えっと…殉前さんを含めれば、女子は9人だったわけですけど…これって本当に偶然だったんでしょうか…?
「おいコラ!何をそんなところでボサっと突っ立ってるわけさ!ちゃっちゃと行くよ!」
「ひ、ひい…!すみません、行きます、行きますからぁ…!怒鳴らないでくださいぃぃ…!」
どうしよう…また嫌われてしまいましたぁ…!
わたしが鈍臭いせいで、どんどん神無月さんに迷惑かけちゃってます…!
「まずはこの豪華な客室からだね!行こっかみるくちゃん!」
「は、はい…」
《ゴウカナキャクシツ》
わたし達は、マップ上に『ゴウカナキャクシツ』と書かれている高級感のある扉から開けて調べてみる事にしました。
す、凄い…!
天蓋付きのキングサイズのベッド、フカフカとしたベルベットのカーペット、アンティーク調のデスク、天井から吊るされたシャンデリア、どれも一眼見ただけでわかるほどの高級品です…!
壁に直接取り付けられたテレビも、クローゼットも、どれも大きくて、一人で使うのには勿体無いくらいです…!
まるでお城の一室ですね…!
ええっと…どうやらバスルームとトイレ、ミニキッチンもついてるみたいですね…
トイレはウォシュレットで、バスルームの浴槽はジャグジー付き…『夜時間中は水が出ません』と書かれた紙が貼られています。
ミニキッチンにはIHと流し台、それから冷蔵庫が設置されているようです。
流石にスイーツを作ったりは出来なさそうですけど…でも、簡単なお料理をするくらいなら十分な設備が整っています。
「ふーん、思ったより悪くないじゃん。でも欲を言えば、フローリングより畳の方が良かったなー」
「え…?」
「うち、日本家屋だからさぁ。畳の方が落ち着くんだよねー」
な、なるほど…
そういえば神無月さんは、古くから続く名家の令嬢でしたよね…
わたしにとっては、雲の上の存在です…
「ねえねえ、次は普通の客室調べてみようよ!どんな感じか気になるし」
「そ、そうですね…」
《フツウノキャクシツ》
わたし達は、マップ上に『フツウノキャクシツ』と書かれている普通の扉のうちの一つを開けて入ってみました。
な、なるほど…これが普通の客室ですか…
普通のシングルサイズのベッドにフローリングの床、何の変哲もない普通のデスク、天井に直接取り付けられた素朴な照明器具…どれも一般的なもののようです。
テレビ台の上に置かれた32インチのテレビ、一般的なサイズのクローゼット、まるでビジネスホテルみたいですね…
わ、わたしは、あまり実家の環境が良くなかったので…普通の客室でも十分豪華なんですけど…
どうやらこちらの客室には、最低限の広さのシャワールームとトイレ、それからミニ冷蔵庫が付いているようです。
シャワールームとトイレもビジネスホテルのような造りになっていて、豪華な客室に貼られていたものと同じ張り紙が貼られています。
ミニ冷蔵庫も、お菓子と水が入っているくらいで特にこれといって変わったところはありませんね。
「この部屋さぁー、何だか貧乏臭いよねぇ。みるくちゃんもそう思わない?」
「え、えっと…わたしは…」
び、貧乏臭いですか…?
設備としては十分だと思うんですけど…
「うん、特にこれと言って気になるとこは無いや。行こー、みるくちゃん」
「あ、は、はい…」
神無月さんがもう飽きてしまったので、わたし達は隣の粗末な客室を調べる事にしました。
《ソマツナキャクシツ》
わたし達は、マップ上に『フツウノキャクシツ』と書かれたボロボロの木製の扉のうちの一つを開けて入ってみました。
ひ、ひい…!
こ、これは…!
ツギハギの布団にボロボロの畳、ちゃぶ台と箪笥、どれも年季が入っていて少し触れただけでギシギシと軋みます。
台の上に置いてあるテレビは…ええっと、これ、ブラウン管ですよね…?
ドアとは反対側の障子は所々破れていて、隙間風が何とも厳しいです…
こちらの部屋には浴室が無くて、古びた和式のトイレしかありません。
トイレには、他の客室と同じ貼り紙が貼られているようですが…
幸い、一階には大浴場がありますし、トイレもすぐ近くにあるのでそこに行けば済む話なんですけど…
「ぎゃあああああ!!?何このオンボロな部屋!!」
「か、神無月さん…?」
「びぇえええええええん!!!汚いし臭いし気持ち悪い!!畳の方が良いとは言ったけど、こんなボロカス部屋だけだなんて聞いてないよぉ!!こんな所で寝るくらいなら、ラウンジで寝た方がマシだよぉおおお!!」
ひ、ひい…!
ど、どうしましょう…
神無月さんが泣き出してしまいました…
えっと、どうすれば…
「あ、あの…まだ誰がどこで寝るのか決まったわけじゃないですし…その、そんなに嫌がらなくても…」
「ひっぐ、えぐっ…」
わたしが声をかけると、神無月さんは何とか落ち着いてくれました。
えっと…これで二階は全て調べ終わった事ですし、そろそろ食堂に行った方がいいんでしょうか…?
◆◆◆
side YK
《ジョシトウ 3F》
私は、一人で先に行ってしまった打田さんを追って女子棟に来たわけだけれど…
やっと見つけたわ。
一階にも二階にもいないから、もしかしてと思って三階に行ったら、案の定三階のエレベーターホールにいたんだもの。
一人で行動するのはいいけど、何も言わずに勝手に三階まで行かないでほしかったわ。
私が打田さんを追いかけていると、打田さんは足を止めて踵を返し、舌打ちをしながら話しかけてきた。
「…ねえ、いつまでそうやってついてくる気?」
「あなたが勝手に一人で行くからでしょう?殺人を防止する為にも、単独行動は避けろって言ったはずよ」
「あたしはあんたに守ってもらわなくたって、誰にも殺されないし。…それとも何?まさか、あたしが殺人をするとでも思ってるわけ?ま、仕事で人を殺してきたからそう思われるのも無理ないけど」
「そういうわけじゃないけど、何が起こるかわからないでしょう?生きて家に帰る為にも、私達は協力が必要不可欠なの」
「初対面の相手なんか…「信用できない。だからこそ、信用する為に行動を共にすべきなんじゃないかしら?私だって、すぐにあなたと打ち解けられるだなんて思ってないわ。だからってそうやって壁を作ってたら、いつまで経っても協力なんてできっこないわ」
私は、一人で行こうとする打田さんを説得した。
彼女は強いから、人を頼らなくても生きていけると思ってるのかもしれない。
でも、いくつもの戦場を乗り越え、何人もの重傷の患者さんを診てきた私は知ってる。
人は、一人で生きていけるほど強くはない。
だからこそ、時には周りの人を頼って生きていかなきゃいけない。
彼女に何かあった時に私が助けてあげられるよう、そばにいてあげなくちゃ。
私が打田さんを説得すると、打田さんは鋭い目つきで私を睨みつけてきた。
「…平行線だな」
「………」
どうやら打田さんは、頑なに一緒に探索したくないみたいね。
一体、何が彼女をそんなに人を信用しない性格にしてしまったのかしら。
「チッ、もういい。ついてくるなら勝手にしろ」
そう言って打田さんは、再び前を向いて歩き出した。
てっきりもっと強く突っぱねられるものだと思っていたのだけれど…
「どういう風の吹き回し?」
「よく考えたら、意地でも離れないあんたと言い合ってるのも時間の無駄だし。あたしは一人で手掛かり探してるから、見張りたいなら好きにすれば」
打田さん…
まだまだ協力し合える関係には程遠いのかもしれないけど、少しだけ心を開いてくれたみたいね。
ああ、そうだ。
他の皆も女子棟を探索しているでしょうし、私達が今どこにいるかチャットで知らせておかないと。
《オクナイコウエン》
打田さんがマップ上で『オクナイコウエン』と書かれた場所に場所に向かったので、私は打田さんについて行った。
屋内公園には、その名前の通り遊具が色々置いてあった。
滑り台、ブランコ、あと遊び方がよくわからない遊具まで…
それにしても、ここにも監視カメラがあるわね…
ここまで見られてると、何だか落ち着かないわ。
…うん、遊具をくまなく探したけれど、特に何かあるわけじゃなかったわね。
打田さんは、眼鏡を外して遊具をくまなく調べていた。
そういえば彼女、何か考え事をしたり何かを警戒したりする時に眼鏡に手をかける癖があるようだったけれど、何か意味があるのかしら?
打田さんは、遊具を調べ終わると再び眼鏡をかけて立ち上がった。
「ここには手がかりは無さそうだな…じゃあそろそろ本命に行くか」
本命…?
もしかして、ファイナルデッドルームの事?
どうして打田さんが真っ先に三階に行ったのか気になってはいたのだけれど、ファイナルデッドルームが気になるから調べに行こうとしていたのかしら?
だったらそう言ってくれれば良かったのに…
何も言わずに勝手に言ってしまうものだから、すごく探したわよ。
「打田さん、もしかして最初からここを調べるつもりで…?」
「当然でしょ。マップで見た場所で唯一どんな所か見当がつかなかった場所だし、自分で調べたかった」
「そのつもりなら、最初に一声かけてくれれば良かったのに…どうして私達に何も言わずに一人で勝手に行ってしまったの?」
「わざわざあんたらに言う義理ないでしょ。あんた達に抜け駆けされんのが嫌だったし、騒がしいのが嫌いだから」
抜け駆けって…
そんなに皆と一緒に行動するのが嫌だったのね。
私が思わず苦笑いを浮かべそうになると、打田さんが話しかけてくる。
「そんな事より、あんたはどう思う?」
「どうって…?」
「あたしらをここに連れてきた奴だよ。何か心当たりとか無いの?」
いきなりそんな事聞かれてもね…
犯人について知ってる事があったら、私だって苦労はしないわよ。
「わからないわね…ごめんなさい」
私が正直に言うと、打田さんはため息をついた。
どうやら失望されてしまったみたいね。
「ああ、でも、何となく目星はついてるわ」
「は?」
「おそらく、犯人は希望ヶ峰学園の関係者で間違いないと思うわ。私達が希望ヶ峰学園の新入生だと知っての拉致監禁、モノクマ達のまるで私達の性格や行動パターンを全て知っているかのような言動…私達の接点なんて希望ヶ峰学園以外に無いし、そうとしか考えられないわ」
「じゃあ何?このクソゲーは、希望ヶ峰学園が仕組んだ事なの?」
「わからない。でも少なくとも、外部の人間が助けてくれるのを期待するべきじゃないのは確かでしょうね。いきなり18人もの新入生が消えたら、誰だって不審に思うはず。つまり、黒幕もそんな事はとっくにわかってるって事よ」
私が自分の推測を話すと、打田さんは頭を掻きながらため息をついた。
本当に不甲斐ないわ。
こんな取り留めのない事しか言えなくて…
「まあいい、さっさとファイナルデッドルームを調べるか」
そう言って打田さんは、ひと足先に次の目的地に向かっていった。
《ファイナルデッドルーム》
私と打田さんは、『ファイナルデッドルーム』と書かれた扉の前に行ってみた。
この部屋だけは、部屋の名前だけじゃどんな施設なのか見当もつかなかったのよね。
何かしら…この部屋、何だか不吉なものを感じるのよね。
『キャハハ、この部屋が気になる?気になっちゃうよねぇそりゃあね!』
私と打田さんがファイナルデッドルームを調べようとすると、目の前にモノルナが現れた。
全く、目障り極まりないわ。
殉前さんの事に関しては、怒りを通り越して感情が氷点下まで冷え切ってしまっている。
モノルナを見据える私の隣では、打田さんがモノルナを睨みながらハンドガンの銃口をモノルナに向けていた。
私は、腕を組みながらモノルナに尋ねる。
「何の用?」
『キャハハ、キミ達にちょっといい事を教えてあげようと思ってね!』
「いい事?そんな事言ってくだらない事だったら怒るぞ」
打田さんは、モノルナに銃を向けたまま冷たく言い放った。
もちろん、彼女の言う『怒る』は、ただ怒るという意味ではない。
相手を徹底的に追い詰めて、それ相応の制裁を加えるという意味だ。
それくらいの事は、彼女の目を見ればわかる。
『あーあ、どいつもこいつもコロスケ立ってて怖いね。せっかくファイナルデッドルームの説明をしてあげようと思ったのにさ!』
「ファイナルデッドルームの説明…?」
『えー、簡単に言うと、ファイナルデッドルームの中では命懸けのゲームをプレイする事ができます!そりゃあもう瀬戸際スレっスレの際どいヤツをね!どんなゲームかは、入ってみてのお楽しみ!クリアした暁にはささやかな景品をご用意しておりますので、気が向いたら気軽にプレイしてみてね』
命懸けのゲーム…
何だか嫌な予感がするわね。
「…なるほどね。ありがとう、もう消えていいわよ」
『ちぇー…せっかく説明してあげたのに』
私が言うと、モノルナはガクッと肩を落としながら消えていった。
すると、打田さんは銃を懐にしまい、踵を返してスタスタとエレベーターホールに向かった。
「打田さん、どこ行くの?」
「決まってるでしょ。ここがどんな場所かわかったし、もうここに用は無いから中央棟に戻る」
戻るって…
さっきまであんなにファイナルデッドルームを調べたがってたのに、やけに切り替え早いわね。
「戻るって…中を調べないの?」
「命懸けてまであいつらの用意したゲームするとか馬鹿馬鹿しいし。…まあ、その景品とやらがここからの脱出とかに関わる事なら、話は別だけど」
確かに…
少なくとも、今無理して入る場所ではなさそうね。
私は、打田さんと一緒にエレベーターに乗り込んで食堂に向かった。
エレベーターに乗って一階への到着を待っていると、打田さんが話しかけてくる。
「あたしは、あんたの事を信用してない。ただ、あのメンツの中では一番手を組む価値があると思ってる」
「…ありがとう。褒め言葉として受け取っておくわ」
皆の事を避けている打田さんから、『手を組む価値がある』って言葉を聞けたのは大きな進展ね。
今すぐには無理かもしれないけど、いつか彼女の事をもっとよく知る機会が得られるといいわね。
ーーー 生存メンバー ーーー
【超高校級の小説家】
【超高校級の???】
【超高校級の司令官】
【超高校級の軍医】
【超高校級のオルガニスト】リーゼロッテ・ベルゲングリューン
【超高校級の原型師】
【超高校級の心霊学者】
【超高校級の絵本作家】
【超高校級のディーラー】
【超高校級のカルタ師】
【超高校級のグラシエール】
【超高校級のソムリエ】
【超高校級のカバディ選手】
【超高校級のプロレスラー】
【超高校級の狙撃手】
【超高校級の幸運】
【超高校級のゲームプログラマー】
ノコリ17人
ーーー 死亡メンバー ーーー
【超高校級のギャル】
以上1人
推しがいたら教えてくんなまし
-
東野潤_小説家
-
暗野斬良_???
-
殉前詩乃子_ギャル
-
神風大和_司令官
-
薬師寺療香_軍医
-
リーゼロッテ_オルガニスト
-
安室明日奈_原型師
-
消灯寺霊庵_心霊学者
-
山脇ゆか_絵本作家
-
梶野運命_ディーラー
-
神無月椛_カルタ師
-
氷川みるく_グラシエール
-
酒蔵飛露喜_ソムリエ
-
樺戸ラムジ_カバディ選手
-
内闘力也_プロレスラー
-
打田清美_狙撃手
-
的凪梢_幸運
-
六道千春_ゲームプログラマー
-
モノルナ_引率教師