仮面ライダーナスカ I come to米花町 作:ボルメテウスさん
正直に言えば、今回の事件には、驚きを隠せなかった。
私自身、組織に狙われていた自覚はあったけど、まさかこうして、目の前で他のメモリ犯罪に巻き込まれる事になるなんて。
「それにしても、あなたの身体、どうなっているのよ」
そう言いながら、私は目の前にいる弾空寺の身体を見る。
僅かに意識があったが、あの時、確かに私や子供達を護る為に、その身を盾にした。
変身が解除された後は、かなりの重傷だったはずだが、今では、その影響がまるで見えない。
「・・・まぁ、別に知られても問題ないから、良いか」
それに対して、彼は特に気にした様子はなかった。
「少し前に、俺は相棒を救う為に、命を賭けて、そして死んだ。
けど、その直前で、俺にある薬が投薬されたんだ」
「薬?」
「人体蘇生酵素」
「っ」
その言葉は、聞いた事がある。
とある組織が開発した薬で、その効力は。
「死体を不死身の兵士に変える」
「まぁね、ただ俺が投与された薬は、それの改良版かな。
若干、他の人間よりも再生能力が高い程度だからな」
「そう」
そう考えると、彼の身体は研究対象としては、実に興味深いわね。
まぁ、最も今は、それ所じゃなさそうだけどね。
「それにしても、フィリップさん、やっぱり機嫌が悪かったな」
そう言ったのは、あの戦いが終わった後。
彼が慕うという仮面ライダーが倒れた後に、新しい従業員と喧嘩していた。
『彼女の護衛は、影がいれば十分だ。正直に言えば、今すぐでも彼が探偵助手に戻ってきて欲しいぐらいだよ』
『それって、私が役立たずという事』
『あぁ、そうだね。君のような不完全な助手よりもね』
『あんたが本当に言う程、完璧だったら、さっきの敵も対処できたんじゃないの』
『確かに、あのメモリの能力は完全に把握できていない。
だが、君に言われる筋合いはない!』
『止めないか、ここは病院だ』
そう、照井刑事の言葉で、すぐに止まった。
だけど、正直に言えば、あそこの空間は居心地は悪かった。
それでも、影はどうも、あのフィリップという人の言う事をわざわざ聞いて、護衛している。
「・・・ねぇ」
「はっはい」
「そこまで驚く事」
そう、隣にいるときめに対して、少しびくついている。
「あんたが、私の前任だったんでしょ」
「まぁ、そういう事になりますねぇ」
「あなた、何を緊張しているの」
「五月蠅い、こういう美人と話すのは苦手なんだよ」
「私に対して、軽口で言っているけど」
「そんなの、ガキ相手に何を言っているんだ」
こいつ、なんだか最近、口の利き方が悪くなったわね。
「こういう形で会うとは思わなかった、ヒサメからはいつも色々と聞いていたか」
「あぁ、あいつ、元気なのか。
そう言えば、あいつは今、どこにいるんだ?」
「確か、知り合いに会いに行くとか」
「知り合い?
あいつ、風都以外に知り合いなんて、いたか?」
そう首を傾ける。
ふと、あいつの懐にあるスマホが見えたが、着信履歴がかなりある。
「あぁ、なるほど」
その答えが見えたようで、私は思わず苦笑いをする。
「・・・あんたも、フィリップと同じ意見なの?」
「どうなんだろう、俺自身、未だに完璧なつもりはないから。
何よりも、たぶんフィリップさんも色々と悩んでいますから」
「分かるんだ」
「まぁ、これでも色々やっていますから。何よりも、不完全だからこそ良いかもしれないんです」
「不完全?」
「Nobody's Perfect。
鳴海探偵事務所の初代所長である鳴海荘吉の言葉だからね」
「・・・誰も完璧じゃないね」
そんな言葉が出てくるとはね。
「・・・そう、だったら、少しはあんたの後任として、やってみないとね」
それだけ言うと、ときめという人は、少し迷いを捨てたように走って行く。
「なんというか、思った以上に個性的じゃない、あなたの探偵事務所は」
「だろ、俺にとっては居場所だからな」
「居場所ね」
正直に言うと、私は彼の事を羨ましくはある。
組織に所属して、私は良かったと思える事などなかった。
それに比べれば、彼が言うように、あの場所は居心地が良いのだろう。
「それじゃ、お前はどうする?他の子と一緒にいた方が」
「私が一緒にいたら子供達に襲われる可能性があるわ。悪いけど」
「あぁ、分かった」
そう言って、特に気にした様子もなく、彼は私を連れて行く。
その時に、私の手を自然と握ってくれた。
それが、今の私には、どこか嬉しく感じた。